医学界新聞

BOOK REVIEW


臨床実習を受けるすべての医学生に

レジデント臨床基本技能イラストレイテッド 小泉俊三 編集

《書 評》山田博英(徳島大・6年)

 このたび,医学書院から発刊された『レジデント臨床基本技能イラストレイテッド』は,『レジデント初期研修マニュアル』の姉妹本です。『マニュアル』にある治療法の項目こそ削られてはいますが,医師に欠かせない基本手技について,イラストを交えてさらに詳細に記載されています。
 内容は,「基本的診察法」,「基本的検査・手技」,「外科・救急手技」の3章から構成されています。各項目の執筆者は卒後5-10年になる先輩医師の先生方であり,最前線の手技を学ぶことができます。最初にメディカル・インタビューが記載されていることは,とかくテクニックの修得にとらわれがちなレジデントへの戒めとも言えます。また,所々に記載された「後輩へのプレゼント」等のコラムも見逃せません。

自分が診察・手技を行なう様子をイメージ

 もともと本書はレジデントを対象に執筆された本です。ですが,臨床実習・BSL(Bed Side Learning)を受ける学生にとっても,実に有用ではないでしょうか。各科1-2週間という限られた時間の中で,多忙な先輩方に基本的な手技を1から尋ねることは,迷惑この上ないことです。一方で,教科書を読んでみても,そこに書かれているのは文字の羅列のみで,それを理解して実践するのは難しいことがほとんどです。ところが,この本を開くことによって,自分が診察・手技を行なう様子をイメージして,そのまま実践に活かすことができます。先輩方に聞くのはその後からでも十分になるのです。
 もちろん卒業後も本書を愛用できます。本書は,徳島大学のようなストレート方式のみならず,ローテート,スーパーローテート方式といったすべての卒後研修に役立つことでしょう。そして,本棚の肥やしになることなく,常に手の届くところにある本の1冊になり得るのではないでしょうか。
 以上,未熟な医学生の立場からではありますが,この本をBSLを受けるすべての医学生に推奨・推薦したいと思います。
B5・頁180 定価(本体4,500円+税) 医学書院