医学界新聞

オーストラリア・ニューキャッスル大学大学院

臨床疫学通信教育プログラム学生募集


 オーストラリアのニューキャッスル大学では,臨床疫学や生物統計学などを通信教育で学ぶ大学院学生を募集している。これは同大学が,特に働く臨床関係者を対象として開講しているプログラムで,日本では2年前より,臨床疫学通信教育プログラム日本事務局*が中心となって同大学と協同し,パイロットプログラムを2年間実施してきた。その結果,内容的にも優れ,わが国の臨床関係者にも実行可能なプログラムであると判断されたため,これを継続,発展させるべく,1998年度の学生を募集することとなった。
 このプログラムのメリットは,日本にいながら本格的なコースワークができる点である。しかし授業期間は週2日はこのコースに投入する覚悟がいる。通信制在学生は各国あわせて100-200名。日本でもすでに数名がresidential courseを受講している。教員の対応については心配は要らない。Richard Heller教授以下スタッフは諸外国の学生の教育にも熱心で,英語力が多少不足していても親切である。近い将来,東海大学大学院との単位交換も検討中である。募集に関する詳細は以下の通り。
・入学資格:学士取得者(医学・看護学・薬学あるいは他の健康科学関連学部)で,学習を継続できる英語能力があること(TOFEL550点以上が目安,他の試験でも代用可)
・授業期間:2-3年以上(選択により期間を延長可)。学期は3月初めから11月末。
・学習方法:コースワークの大半は,各選択科目(module)ごとに作成されたテキスト(syllabus)をその指示に従って読み進んで理解を深め,その理解度を頻回にチェックするための課題であるProgress Assignment(大体1-2週おき)に回答し,ファックス・電子メールなどで返送,評価を受けることの連続で成り立っている。選択科目により若干異なるが,通常各科目ごとに半年に1-2回のMarked Assignment(配点の高い総合的な課題)がある。さらに筆記試験(例えば1年目の疫学ABと生物統計学ABなど)を行なって,総合で単位の認定がなされる
・科目:Graduate Diplaomaの資格を取得したい者は,2年間で必修科目と選択科目(疫学,生物統計学,臨床疫学,社会科学,臨床経済学,研究プロトコールデザインなど)により総計80単位(各moduleは10単位)をとることが必要。修士の資格を取得したい者はさらにコースワーク(40単位相当)あるいは論文提出が必要である(約1年必要)。上記の学位が必要ない者は,学びたい各moduleを受講してもよい。ただし,コースによっては,最初に特定のmoduleを取っておくことを要求されることがある
・各コースの学費:1 module(10単位)は1200オーストラリア(A)ドルで,80単位のGraduate Diplomaは9600オーストラリア(A)ドル
・面接授業(residential course:出席は必須):原則はシドニーに近いキャンパスで年2回。日本事務局(東京大学医学部国際交流室および東海大学医学部が中心)では,現地に行かなくても日本で受講できるように,ニューキャッスル大および日本から講師を招聘してworkshopとあわせて開催している。このworkshopには若干の参加費が必要。
・奨学金制度:日本事務局では,1998年度以降の入学生を対象に,1学年に若干名(選考を行なう)を対象50万円の奨学金を贈呈する制度を開始する。さらに最低2年間のDiplomaを修了した学生の中から,The student of the yearを1名選考し,奨学金100万円を贈呈する
・応募締切り:2月上旬まで
・連絡先:〒103 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部国際交流室内臨床疫学通信教育プログラム日本事務局
Fax 03-5803-1817
プログラムに関して,詳しくはニューキャッスル大学発行のProspectus(入学案内)がある。またインターネットでも概要が出ている
(http://www.health.newcastle.edu.au/disciplines/cceb/ccebmain.htm)

*臨床疫学通信教育プログラム日本事務局について:この事務局の機能は,日本人参加学生への情報提供,日本でのresidential courseやworkshopの開催,試験の実施などを行なうことである。なお実際の学費納入や課題の提出や教材の受け取りなどは,本人が自己責任のもとでニューキャッスル大と直接行なうことになっている。