診療報酬体系の見直しを公開論議
厚生省「医療保険福祉審議会」が初会合
医療保険の抜本改革を図るために
「医療保険の抜本的改革に向けて,公開の場で国民的視点から幅の広い論議を」との厚生大臣の要請を受け,さる11月12日,厚生省の諮問機関である医療保険福祉審議会制度企画部会(金平輝子会長兼部会長,別表参照)が厚生省内で初の会合を開いた。公開による本会合では,冒頭に厚生省側から「医療提供体制,医療保険制度の抜本的改革が求められている」として,次期国会で法案として提出する意向が示された。
なお,医療提供体制については別の審議会で諮られるが,制度企画部会では,先に発表されている「与党案」(1997年8月29日付,与党医療保険制度改革協議会作成「21世紀の国民医療」)をたたき台に,診療報酬,薬価基準,老人保険の分野での見直し論議を行ない,1998年3月までに意見をまとめる予定。当面は,診療報酬,薬価基準を中心とする基本的な方向についての審議が行なわれるが,今回厚生省側から提示された「診療報酬体系の見直し」について論議し,今後の方向性が確認された。
また,「医療費削減を前提とした,グローバルな視点での論議を」(塩野谷氏),「医療を受ける側がわかる制度を進める必要がある」(高秀氏),「改革には国民の同意が必要」(糸氏氏),「情報公開を前提に」(堀田氏),また初の看護職から委員に選出された南氏は,「医療を受ける側の視点が重要。病気予防がコスト減につながる。生活習慣病の予防など,健康に視点をおいた診療報酬化も考慮してほしい」など各委員から意見,提案がなされ,国民に開かれた医療の実現をめざした論議が行なわれた。
「診療報酬体系の見直し」概要
基本的な考え方医学および医療技術の進歩,高齢化の進展に対応し,地域医療の活性化と国民医療の質の向上を図るため,診療報酬体系を基本的に改革する。
技術に対する評価
現行の看護料は,主として人員配置を基準とした評価であり,看護必要度を加味した評価とする。
現行の診療報酬では,医師,歯科医師の技術が画一的に評価されていることから,患者の選択の下に,一定の範囲内で医師,歯科医師の技術や経験に対して適切な評価の途を開く。
医療機関の機能に応じた評価
一定規模以上の病院は入院機能を重視し,外来は原則として紹介。高度専門的技術を重視した評価を行なう。
中小病院・診療所については,初期診療における診断・治療や継続的な健康管理の機能を重視。地域との連携を重視し,病院の特性に配慮した入院評価をする。
急性期・慢性期医療に応じた評価
急性期医療は原則出来高払い,慢性期医療は原則定額払いとする。
診療報酬の点数表の簡素化
レセプト電算処理を推進するとともに,診療報酬点数表の簡素化を図る。
作業委員会の設置
診療報酬点数表の具体的な内容については,各学会や医療関係職種などの専門家から成る作業委員会で検討し,中央社会保険医療協議会の審議を経て,2000年度をめどに実施する。
●医療保険福祉審議会委員名簿
制度企画部会
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