医学界新聞

“再び,誇り高く美しく”を大会テーマに掲げて

「あけぼの会」1997年秋の大会が開かれる


 乳がん体験者の全国組織である「あけぼの会」(会長=ワット隆子氏)の1997年秋の大会が,「再び,誇り高く美しく」をテーマに,さる10月12日,東京の有楽町朝日ホールにおいて開催された。
 「あけぼの会」は,ワット会長が新聞に投稿した「単に体験者同士の救いになるのみでなく,さらに一歩進んで,自分たちの体験を生かして,がんでないかと気に病んでいる人から,実際に手術を受けて入院している人,さらに手術後,ショックから立ち直ろうとしている人たちすべての助けになろうと努めるのであれば,大変意義のある集まりになる」という呼び掛けがきっかけになって1978年10月に誕生した。
 同会はその後,(1)機関誌「曙」やニュースレターを発行して,講演会の講演内容の収録,術後用下着製品の販売先の紹介,会員の体験記,家族の声などを掲載,(2)「乳がん無料相談室」を開設して,相談員の訓練を受けた会員のボランティアと看護婦が,手術前後の悩みを持つ人たちの個別相談に応じる,(3)専門家を講師に迎えて各種の講演会やパネルディスカッションを開催し,また各支部では顧問医を招聘して小講演会,会食,旅行,体操会などを開く,(4)「母の日キャンペーン」を設けて,5月の母の日に全国の各支部のボランティアが街頭で乳がん自己検診を促すシールを配布,(5)毎年10月を“乳がん月間”と設定して,乳がん早期発見のキャンペーンを全国的に展開する,(6)全国会員名簿を作成して,会員相互の交流を図る,(7)年に1度,全国大会をかねた会員の親睦旅行の実行,などさまざまな,かつユニークな活動を続けてその輪を広げ,現在,3500人を越える会員を擁するに至っている。
 700余名の参加者を得た大会当日は,ワット会長のあいさつ「がんのあと潔く生きる」に続いて,同会の名誉会員でもある永六輔氏(作家)と玉橋容子氏(聖路加国際病院婦長)との対談「良い医者,だめな医者」が企画され,ユーモアを交えた軽妙洒脱な対話に会場から喝采の拍手が贈られた。
 また午後からは,田島知郎氏(東海大教授・外科),佐野宗明氏(県立新潟がんセンター病院臨床部長),福田護氏(聖マリアンナ医大助教授・外科)をパネリストに迎えたディスカッション「功を奏した再発後の治療‐その実例に迫る」(司会=ワット会長,アシスタント=福島県支部長 菊池弘美氏)が行なわれ,患者サイドから田巻朝子氏(新潟県会員),樋口雪江氏(長野県会員)らが登壇。参加者を交え,再発後の治療に関して熱のこもった討議が展開された。 
 なお,「あけぼの会」では「普通会員」(体験者)および「賛助会員」(趣旨の賛同者,専門医,看護婦)を募集している。詳細は下記まで。
問合せ先:〒153 東京都目黒区東山1-2-71-102 あけぼの会事務局
 TEL(03)3792-1204/FAX(03)3792-1533