医学界新聞

第25回日本臨床免疫学会が開催される

「病態解析と免疫学の進歩」をテーマに


 さる9月17-19日,第25回日本臨床免疫学会が,矢田純一会長(東京医歯大教授)のもと,東京の砂防会館(シェーンバッバ砂防)で開催された(本紙2255号で矢田会長と宮坂信之氏の対談で紹介)。
 特別講演においては最新のトピックスである「粘膜系細胞間インターネット」を清野宏氏(阪大微生物研)が,「エイズの化学療法-最近の進歩」をエイズ治療の第1人者である満屋裕明氏(熊本大)が,また1963年に初の肝臓移植を施行したピッツバーグ大のStarzl氏に師事した藤堂省氏(北大)が「肝臓移植と免疫抑制療法」と題して,米国時代の豊富な経験と,シクロスポリン,タクロリムスなどの免疫抑制療法の現状と将来的展望を述べ,多くの聴衆を集めた。
 また,「B細胞の分化」(東京都臨床医学総合研 鳥山一氏),「第4のリンパ球系列-NKT細胞」(千葉大 谷口克氏)をはじめとした教育講演13題と,「ケモカインと臨床」,「自己免疫疾患における免疫調節異常の分子機構」,「アポトーシス-基礎から臨床へ」をテーマとしたシンポジウム3題,さらに14題のワークショップおよび一般演題が企画された。

自己免疫疾患の分子機構

 学会2日目には,シンポジウム「自己免疫疾患における免疫調節異常の分子機構」(司会=東京医歯大 宮坂信之氏,九大生体防御研 塩川左斗志氏)が行なわれた。
 まず最初に司会の塩川左斗志氏(九大生体防御研)が,慢性関節リウマチ(RA)患者の末梢血と滑膜組織を用いてB細胞のクロノタイプ解析を行ない,B細胞がRA患者の関節局所で活性化されている可能性を示し,RAの病態との関連を検討した。続いて上阪等氏(東医歯大)が,全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるKIR(killer cell inhibitory receptor)やヒトNKB1などT細胞活性化抑制にかかわる因子に着目し,SLE発症との関連を示唆した。
 江口勝美氏(長崎大)がRAにおけるTNF‐αやラパマイシンなどを用いたアポトーシス誘導や骨芽細胞のアポトーシス抑制による治療の可能性を提示し,一方,坂口志文氏(都老人研)は,正常マウスからCD25陽性T細胞を除去すると種々の自己免疫疾患を発症する点に注目し,自己免疫疾患の発症機構に迫った。最後に吉崎和幸氏(阪大)が自己免疫疾患とIL-6との関連と臨床的意義を概説し,新しい治療法の可能性を述べた。