医学界新聞

研修紹介
国立がんセンターのレジデント制度

勝俣範之(国立がんセンター中央病院・内科)


 国立がんセンターのレジデント制度はかなり古くからあり,今年は第26期の卒業生を輩出している。3年間のレジデント制度は,内科,外科,精神科,病理診断学,臨床検査医学,画像診断,麻酔科などのローテーションを通じて臨床腫瘍学を修得することを目的としている。がんセンターという名前の性格上,入院・外来患者のほとんどががん患者,もしくはがんの疑いのある患者である。したがって,レジデント制度は初期研修というよりは欧米のfellowship programと同様,初期研修後の専門コースであると考えられる。そのため応募資格には2年以上の一般臨床経験が必要とされている。
 レジデントは安月給で働かされることになるが,国立がんセンターのレジデント制度のよい点としては,がん専門の中心的病院であるため一流のスタッフ陣がそろっていること,症例数,カンファレンスなどは豊富であること,などがあげられる。また,私は内科で応募をした1人であるが,国立がんセンターは内科腫瘍学を研修できる国内では数少ない施設であるということである。内科研修ではインフォームド・コンセントから,各種がん化学療法,緩和医療まで,幅広く研修することができる。これからの時代,内科医ががん患者を診ることが増え,腫瘍内科医の需要も増えてくると考えられるため,腫瘍内科医をめざす者には絶好の研修病院と思われる。
 レジデント終了後の進路はというと,多くは出身医局へ帰っていくが,地方のがんセンターなどに就職する者もある。また,全卒業生266名のうち,52名はスタッフとして現在採用されており,がんセンターのスタッフとして残ることも決して狭き門ではない。
 国立がんセンターというと敷居が高いように感じられるかもしれないが,内部は決して一部の学閥が幅をきかしているようなこともなく,自由な雰囲気でがん診療に対して積極的な取り組みがなされている。私も地方大学出身者であるが,のびのびと診療・研究・教育に取り組んでいる。国立がんセンターのレジデントプログラムは臨床腫瘍医をめざす意欲的な若き医師のための専門コースとしてぜひお薦めしたい。
 なお,現在国立がんセンター(中央病院,東病院)では,下記の要領でレジデント,専門修練医を募集している。

●レジデント
応募資格:平成5年3月以降の大学(医学課程)卒の医師であり,平成10年6月1日時点で2年以上の臨床経験を有する者。ただし,外科病理部門にあっては,臨床経験が2年未満であっても医師免許取得後2年以上である者。
研修年限:3年(平成10年6月1日-平成13年5月31日)
募集人員:中央病院20数名,東病院12名
合同説明会:11月5日(午後2時から)国立がんセンター(中央病院)
願書締切り:11月21日

●専門修練医:がんに関する高度先進的な知識と技術を有する専門医のclnical oncologist
応募資格:昭和63年3月以降の大学(医学課程)卒業の医師であって,次のいずれかに該当する者
(1)国立がんセンターレジデント研修修了者
(2)(1)に相当する学識を有する者で,平成10年6月1日時点で5年以上の臨床経験を有する者
(3)ただし,外科病理部門においては,次にすべて該当する者
・死体解剖保存法による死体解剖資格を有し,かつ厚生大臣の認定を受けている者
・日本病理学会認定病理医の受験資格を研修修了時までに取得できる者
募集人員:中央病院10名,東病院4名
合同説明会:12月19日(午後1時から)国立がんセンター(中央病院)
願書締切り:平成10年1月13日
願書用紙請求・問合せ先
中央病院 〒104 中央区築地5-1-1 国立がんセンター運営部企画室
 TEL(03)3542―2511(内線2401)
東病院 〒277 千葉県柏市柏の葉6-5-1 国立がんセンター東病院運営部庶務第2課人事係
 TEL(0471)33-1111(内線2315)