医学界新聞

NICとNOCの検証と発展性

「看護診断に基づく看護治療の進展-理論と実際」講演会が開催される


 さる7月27-28日(東京会場:千葉幕張メッセ国際会議場),および30-31日(大阪会場:毎日新聞オーバルホール)に,国際医学・看護学会会議センター主催(医学書院後援)による,「看護診断に基づく看護治療の進展-理論と実際」講演会が開かれた。講演会には,日本側から早川和生氏(阪大教授)が演者として参加した他,アメリカ・アイオワ大からJ.マックロスキー教授およびG.ブレチェク助教授の両氏が講師として来日,尾崎フサ子氏(新潟大医療短大教授;東京会場),東サトエ氏(鹿児島大医療短大教授:大阪会場)の総合司会のもと約300名が参加し,熱心に講演に聞き入った。

433の介入行為が含まれるNIC

 臨床看護実践の自然の流れとして,看護の動向の中心は看護診断から看護治療(介入)への手法の確立として移ってきている。看護診断は,患者論(対象論)が中心であるのに対し,看護治療は看護職の行動(実践論)が中心課題であり,「看護職が独自に判断して行動する臨床行為をどう確立するか」の課題に直結するテーマでもある。アメリカのアイオワ大看護学部では一早くこのナーシングインターベンション(看護治療,もしくは看護介入)の理論と実践の研究に取り組み,その成果をあげている。
 本講演会では,初日冒頭に早川氏による講演「看護治療学の発達と重要性」が全体の概説として行なわれた。その後,看護治療学の国際的なトップリーダーであるマックロスキー,ブレチェク両氏の口演を中心に,NIC(Nursing Interventions Classification:看護介入分類)ならびにNOC(Nursing Outcomes Classification:看護結果分類)の紹介から有効性の検証,および実施における使用,教育における使用法の検討などが行なわれた。
 NICには433の介入行為が含まれ,すべての医療施設や専門分野において看護職が実行する処置を説明する標準化された言語であり,(1)包括的である,(2)リサーチに基づいている,(3)既存看護行為に基づき機能的に開発されている,(4)現在の臨床活動およびリサーチを反映している,(5)明確かつ臨床的に有意義な言語を使用している,(6)大規摸で多様なリサーチチームによって開発された,(7)実地試験されている,(8)NANDA看護診断に連係されている,(9)全米で承認を受けているなどの長所を持つ。参加者には,看護診断の次にとらえなければならないNICやNOCの活用法について学ぶことのできた2日間となった。