医学界新聞

看護婦の主体性をテーマに

第42回日本腎不全看護研究会が開催


 さる6月7日,第42回日本腎不全看護研究会(会長=宇田有希氏)が,「看護婦の主体性」をテーマに,横浜市の横浜市健康福祉総合センターで開催された。  研究会では,教育講演2題(1)看護婦の主体性とジレンマ(東大教授 小島通代氏),(2)アセスメント能力の強化-セルフケア理論の活用(神奈川衛生短大助教授 倉田トシ子氏)およびワークショップ-事例を通して看護を学ぶ「適切なアセスメントと看護を表現する透析記録」が行なわれた。

看護職のジレンマとアセスメント能力

 教育講演(1)で小島氏は,診療における看護職と医師との関係における「看護職のジレンマ」について,看護職の主体性という立場から検討。「よい仕事をするためには医師とのよい関係が必要。看護職は医療に口出しできないと考えられがちだが,診療方針に参加できる立場にある。患者援助のためにももっと参加しなければならない」と指摘。さらに看護の伝承に関し,「記述することが看護科学の進歩につながる」と記述することの大切さを述ベた。
 一方,教育講演(2)で倉田氏は,「人間にしかできないことに,言語,文字による伝承があり,文化が発展してきた。病棟の申し送りも看護の文化伝承の行為」と前置き。看護にとってのアセスメントは物事の本質を見出すことが基本と定義し,アセスメント能力を学ぶこと,強化するためには,「(1)体力,(2)気力,(3)知力などの自己に内在する能力を客観的に自己アセスメントすることが基本」と述べた。さらに,患者が持つアセスメント能力を奪わない看護のかかわり方の重要性も指摘した。
 また,その後のワークショップでもアセスメントの必要性や継続看護を実践するための看護記録の改善などについて5人が意見を発表し,論議を深めた。
 なお,同研究会は今総会において,今後より飛躍するために学会へ名称変更することが承認された。きたる11月26-27日の両日,同会場にて開催される第43回研究会ではその具体的動向が示される。腎不全看護の国際的動向(1997年5月19日付,2240号「腎不全看護の探る道程」参照)を視野に入れてのこれからの活躍が期待される。