医学界新聞

第2回日本看護サミット 石川'97 開催

「愛と感動を創造する看護」がテーマ


 第2回日本看護サミット石川'97(実行委員長=石川県看護協会長 油木京子氏)が,さる7月3-4日の両日,「愛と感動を創造する看護-看護の可能性を21世紀へプレゼンテーション」をテーマに金沢市の石川厚生年金会館において開催された。

新世紀における看護の課題

 サミットは,紙屋克子氏(筑波大教授)の基調講演から始まり,4つのクリエイティブフォーラム,2つのシンポジウムなどが行なわれた。「新世紀における看護の課題-創造・自立・社会貢献」と題された基調講演の中で紙屋氏は看護職に課せられた今後の課題として「(1)プロフェッショナルとしてあらゆる職種からの自立,(2)自分自身に課せられた責任を自覚しそれを受けて立つこと,(3)時代の要請を受け常にチャレンジしていくこと,(4)看護理論の体系化,(5)急性期のベッドサイドから在宅医療に至るまで,患者に対し必要な時に必要なだけ看護を提供すること」などをあげた。

看護の変革と医療への貢献

 2日目に行なわれたシンポジウム「看護の変革と医療への貢献」(座長=厚生省健康政策局看護課長 久常節子氏)では3人のシンポジストが,医療体制の変革に看護はどのような貢献ができるかを巡って討論を行なった。
 最初に登壇した辻哲夫氏(厚生省大臣官房政策課長)は,厚生省の立場から発言。介護保険制度の創設をはじめとする医療提供体制の改革について解説するとともに,変わりゆく医療体制において看護に期待される役割などについて語った。その中で辻氏は「医療の質をより高めつつその効率化を行なうという命題においては看護職が大きな鍵をにぎっている」と述べた。
 続いて,准看護婦問題検討会調査小委員会の委員長を務めた似田貝香門氏(東大教授)が,調査を通して准看護婦問題とは医療や,医療を受ける国民にとってはどのようなものであるかを調査結果を踏まえて報告。いわゆるお礼奉公の問題に関しては「准看護婦の養成所が教育機関というよりは労働力を確保するための媒体になりがちである」と述べ,准看護婦養成のシステムの問題点を指摘した。似田貝氏はさらに,「患者の自己主体性を尊重したケアを行なうことに専門性を持つことが看護職に求められている」と語った。
 最後に山崎絆氏(東京都済生会中央病院副院長)が,看護担当の副院長の立場から,看護の質の向上への取り組みが病院運営および患者にどのような影響を与えたか,また医療提供体制の改革に看護がどのような貢献ができるのかを語った。