医学界新聞

21世紀初頭をめどに看護婦養成制度を1本化

厚生省「准看護婦問題調査検討会」が報告書を公表


 厚生省准看護婦問題調査検討会(座長=工藤敦夫地域振興整備公団総裁)は,昨年の12月20日に検討会としての意見をまとめ,報告書を公表した。報告書では,これまでに報告されている調査結果などから,准看護婦(士)養成の「改善継続」と「停止」の選択肢から議論を進めていたが,現在40万人が就業している准看護婦(士)の存在を評価しながらも,現行の養成過程を見直す必要があるとし,准看護婦(士)が看護婦(士)の資格を取得するための方策を検討すべきであると述べている。また,「21世紀初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に努める」ことを提言した。
 これにより,事実上准看護婦の養成停止が打ち出され,これまでの20数年にわたり各方面で議論が交わされてきた,いわゆる「准看護婦問題」への解決の糸口が開かれた。また,厚生省としては新たに准看護婦の看護婦資格取得に向けての方策の検討に入ることになった。
 この報告に対し,いち早く日本看護協会(看護協会:見藤隆子会長,41万人)および日本医療労働組合連合会(医労連:江尻尚子委員長,17万5000人)はそれぞれに見解を発表。看護協会は,「検討会報告は,准看護婦養成停止の早期実現にはずみがついたもの」と高く評価。「准看護婦から看護婦の移行措置は緊急の課題であり,移行措置は看護の質を保障するものでなければならない」と言及。移行措置にあたっては,看護協会も支援体制を整え,積極的に取り組む姿勢を示した。また医労連は,「今回の検討会報告は,国民と関係者の大きな期待に十分応えるものではないが,国民のためのよい看護・医療を実現し,看護婦の地位向上を図る上で看護制度1本化に向け一歩前進」と受けとめる一方で,「すべての准看護婦を看護婦に切り替えること」などの5項目の要求を提示。引き続き政府に「看護職員の養成のあり方に関する検討会」の設置を求めるとともに,各関連団体の積極的な取り組みに期待したいと述べている。
 なお,検討会報告書の全文は医学書院発行の「看護教育」2月号に掲載される。
 また,前記した見解の全文は,看護協会については「看護協会ニュース」および同出版会発行の「看護」,看護協会ホームページ(http://www.nurse.or.jp/)に掲載,医労連の見解については,TEL(03)3875-5871/FAX(03)3875-6270に問い合わせを。なお,報告書は高等学校衛生看護科について,昨年7月末以降の報告が示されていないが,この報告に沿って詳細に別途検討がなされるべきであるとしている。さらに日本医師会は,1月後半に何らかの見解を発表する予定である。