医学界新聞

日本国際保健医療学生フォーラム ― 第1回全国会

【記念講演】「災害医療と救急医療」


 フォーラム顧問の山本保博氏(日本医大教授)は「救急医療と災害医療」と題する講演を行なった。山本氏はメキシコ,アルメニア,サンフランシスコなどの災害現場において救急救命チームとして被災者の救助に当たった経験から,救急医療,災害医療のあり方について,スライドを交えて解説した。
 それによると,災害は短時間にその地域の処理能力を超えるほどの大量の被害がでるものであり,その現場においては「限られた人的・物的資源の中で最大多数の傷病者に最大限の医療を施すこと,つまりトリアージ(患者選別)こそが災害医療の原則である」ということだった。
 また,日本と欧米の災害への対応の違いについても触れ,日本における災害への対応は,その災害による被害が誰の責任によるものかを追及することから始めるResponsibility mindedなものであるとし,今後は災害の原因究明,対応の仕方を迅速に検討し,すぐに行動に移る欧米型のAnalysis mindに基づく対応に切り換える必要があると語った。