医学界新聞

「看護学雑誌」創刊のことば



 民主主義革命は日本のあらゆる部面に改造と進歩とを要求している。今や日本の看護婦,保健婦,産婆の職務,資格,地位においても,根本的大転換が行なわれようとし,その教育もまた本質的に改革される。真に女子特有の才能を生かし,医師と協力して医療と保健指導の成果をあげるに適する高き教育と専門的技術を具備する職業者たることが要求される。したがってその新教育制度は従来の養成法とは甚だしく趣を異にした教育内容の充実したる専門教育の実施をめざしている。
 本誌はこの線に沿う道を指南するを目的として,編集されるものであって,新しい時代の要求に適応する看護,保健指導,助産に関する技術,学理においての説述,職業改善に関する論説,あるいは教養を高めるに適する記事等も掲載するが,同時に模範教育課程の講義録を連載する。
 この講義録はこれから新教育制度によって設立される専門教育機関の教育基準を示すもので,教える者にも,学ぶ者にも参考資料として役立つのである。またさらに,従来看護婦,保健婦,産婆の職に携わった諸姉が,一切の旧き殻を脱して,新時代に適応する職業人として再出発せんと志すに際して,その学習の手引きとなることを望むのである。本誌1か年の読了によって1学年を進級し,3か年読了によって,新教育制度の全課程を修得し得るように編集される。
 本誌の読者は,それによって新知識,新教養を飽くことなく摂取して,新しき時代の脚光を浴びて,新しき職域に颯爽として登場されんことを期待する。

1946年10月
(再掲。原文のまま。ただし旧字,旧かなづかいは改めた)