医学界新聞

財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所発足


 財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所(理事長=聖路加国際病院理事長 日野原重明氏)が発足。その第1回目の事業として,さる11月18日,「発足記念招待講演会」が東京の聖路加看護大学・セントジョン記念ホールにおいて開催された。
 同財団はその事業目的を,「医療の質的向上のための臨床医学および臨床看護学に関する研究助成,臨床疫学および予防医学に関する研究助成,ならびに同分野に関わる人材の育成,また適切な病院管理のための研究および研究助成を行ない,あわせて医療および看護の国際交流に貢献すること」としている。
 発足記念講演会では,(1)「予防医療・臨床疫学の新局面開発を医学校と病院でどう行なうか」(ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生学部副学部長 Robert S. Lawrence氏),(2)「日本の医学・看護の教育の刷新をめざして」(京大教授 福井次矢氏),(3)「新財団のめざすもの‐医学・看護の教育方針の発想の転換」(日野原重明氏)の3題の講演が持たれた。
 その中で福井氏は,“臨床疫学”を「患者集団の診断,予後,治療などに関するデータを統計学的・疫学的な手法を用いて解析し,個々の患者で確率論的に最も適切な臨床判断・決断を下すまでの一連の科学的なアプローチ」と定義。医療行為に伴う不確実性を上記の方法を用いて評価し,「最も有効で効率的な臨床行為を特定するための科学的な方法である」と説いた。
 続いて日野原氏からは,発足に至るまでの経緯やその設立趣旨,および同財団が目指す今後の方針についての解説があった。

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