医学界新聞

10周年を迎えた日本手術看護学会開催

周手術期看護のリーダー的役割を担う学会として


 第10回日本手術看護学会が,松田千浪会長(埼玉医大病院,日本手術看護学会関東甲信越地区会長)のもと,さる10月26-27日の両日,千葉市の幕張メッセを会場に開催された。今年で10周年を迎えた同学会には,過去最高の約1900名が参加,33題の一般演題発表,18題のポスター発表のほか,教育講演(2題),シンポジウム(2題)やラウンドテーブルディスカッションなどが行なわれた。

設立10周年を記念して

 10周年を記念する開会式にはリンダ・グロア米手術看護婦協会長が来日。その祝辞の中で,「低侵襲性が高い外科手術は短期入院につながり,移動式手術室や遠隔操作手術の利用が考えられている。医学の進歩に見合った周手術期看護の重要性を見出すことが,手術看護の将来には重要」と,日本の手術看護への期待を述べた。
 さらに宮原多枝子学会長は,理論と実践の統合の中から理論を検証できる研究への取り組みを強化する計画を示すとともに,「周手術期看護のリーダー的役割を担う学会となる」ことや,今年から教育研修が開始された日本看護協会の「認定看護師制度」についても触れ,「学会としても専門性を追究すべく対応を考えたい」とその方向性を示唆する発言を行なった。

手術看護スペシャリストの養成の時期に

 教育講演「変革の中での手術看護―専門看護師制度のはじまりに向けて」を行なった小島操子氏(聖路加看護大)は,(1)医療のハイテク化がもたらす術前,中,後の対応,(2)チーム医療の進む中で,チームは対等でなければならないし,各々がユニーク性を持たなければならないこと,(3))魅力ある職業への脱皮,などをこれからの手術看護の課題にあげた。また,手術看護の専門性をまとめ,スペシャリストの養成へと動く時期であることを強調。高度手術へのサポーターとして,危機管理,ハイテク対応を学び,患者,器械,病態の3様がわかるスペシャリストが「認定看護婦」の指標になるだろうことを示唆した。
 内視鏡手術など医学は急速に進歩していることが,シンポジウムその他でも話題になったが,その中にあって,医師やスタッフにはそれに伴う技術も要求されてきている。看護も,知識を取り入れると同時に,単に機器,物品管理だけに終わらない役割を明確にしていく必要がある。研究会から学会となり会員も大幅に増えている中での課題とも言えるだろう。
 なお次回は,会場を初めて地方に移し大阪で開催される。