医学界新聞

第27回日本看護学会・看護管理分科会開催



 第27回日本看護学会-看護管理分科会(会長=日本看護協会長 見藤隆子氏,分科会長=山口ミユキ氏)が,さる9月19-20日の両日,長崎市の長崎県立総合体育館で開催された。
 今回は神近義邦氏(ハウステンボス社長)による「私の経営哲学」,荒井蝶子氏(国際医療福祉大教授)による「医療機能評価における看護ケアの質評価」の2つの特別講演のほか,「二交替と三交替における作業能率と精神的健康度の検討」(東京・昭和大学病院 市川幾恵氏)や,「日勤8時間の看護ケア量測定と主観的忙しさとの関連」(福岡赤十字病院 下山節子氏)など,看護実践の場での看護管理に関する研究を中心に60題(うち示説14題)の演題発表が行なわれた。
 また,初めての試みとして「看護の質評価」をテーマとしたワークショップ(座長=日赤長崎原爆病院 中尾初美氏)が行なわれ,会場の参加者とのディスカッションを交えながら看護の質評価に関する5題の演題が発表された。
 この中の1つ「看護の経済的評価―看護診断を用いた看護記録から」(金沢医大病院 山田千恵氏)では,測定が困難な看護サービスの質の評価が,看護診断に基づくPOSによる記録を記載することによって可能となったとし,また「標準看護計画をコンピュータ入力することで,看護業務の省力化を図ることができ,看護サービス提供の効率と質の向上に役立つ」と述べ,看護の質評価の方法の新たな可能性を示す一方,「医療サービス市場は完全競争市場ではなく,営利企業と異なり市場のかけひきや約定によって調節されないことが,看護サービスの質の向上を妨げている」と述べ,今後検討すべき課題を提示した。