医学界新聞

第24回日本救急医学会(看護部会)が開催される

救急看護エキスパートナースの育成を考える



 さる10月7-9日の3日間,第24回日本救急医学会が,大和田隆会長(北里大病院長)のもと,横浜市のパシフィコ横浜で開催。医師部会,救急隊員部会,看護部会の3部会でそれぞれに教育講演,シンポジウム,パネルディスカッション,一般演題の発表が行なわれた他,3部会合同による特別講演も開かれた。なお,看護部会の参加者は950名であった。

看護部会がより発展するために

 看護部会では,教育講演3題の他,パネルディスカッション,フォーラムセッション,ワークショップ,フリートーキング「救急認定看護師制度の現状」およびシンポジウム「救急看護婦教育 救急のエキスパートナースを育てるために」が開催された。
 パネルディスカッション「災害と看護」(司会=大阪千里救命救急センター 寺師栄氏,京都第二日赤病院 石原知代氏)での,福島県下で起きた化学薬品工場の爆発事故により搬送された有毒ガス被災者の対応をめぐる渡部貞子氏(総合会津中央病院救命救急センター)の体験発表は,医療職者に2次災害が発生したこと,防毒マスクの購入とその有用性の研究など,日常起こりうる事故の対策として注目を集めた。
 なお司会の寺師氏は,まとめにあたり「看護職には災害時の知識,対応が必要とされている。そのためにも継続的に『災害看護』を考える委員会の設置が急務である」として,看護部会で検討の上,「災害看護委員会」の設置を理事会へ提案する旨,参加者から了承された。
 また中村恵子氏(杏林大教授・同大病院看護部長)が司会を務めたシンポジウムでは,「日本ではエマージェンシーとクリティカルの両領域が混合され『救急看護』として位置づけられているが,それを前提としたエキスパートナースの育成を考える」(中村氏)ことの論議がなされた。
 この中で,明石恵子氏(三重大短大)は,救急看護学教育のモデルプランを提示。中谷茂子氏(三島救命救急センター)は,同センターが実施しているエキスパートナース研修システムを紹介。山勢博彰氏(西南女学院大)は,スペシャリスト育成における危機理論の教育目標として「危機介入の基本的アプローチを学び,具体的な看護過程の中で適用できること」をあげた。
 これらを受け中村氏は,「エキスパートナースの教育育成のための委員会」の設置を提案。理事会に提出する方向性を示した。
 さらに,看護部会の最終プログラムとして行なわれたフリートーキングで高橋章子氏(阪大教授)は,本年から教育が始まった日本看護協会の「救急認定看護師」と学会が進めてきた認定看護婦の関係を,これまでの経過を踏まえ解説。さらに「経験・研究が認定更新には必要。認定看護師のバックアップをする意味でも,学会として認定看護師制度委員会の設置が必要」と提案し,先の2つの提案と同様に,看護部会としてまとめ,理事会に提出することとなった。
 学会の半数を担う勢力となった看護部会のこれからの活動発展に期待したい。