医学界新聞

●骨髄バンク事業の現況について


 白血病や重症再生不良性貧血などの血液難病に対する有効な治療法である「骨髄移植」を普及するために,1992年1月から骨髄提供者(ドナー)登録などを行なう「骨髄バンク」がスタートしたのは周知の通り。骨髄移植が成功するためには,患者とドナーの白血球の型が一致する必要があるが,非血縁者間では数百~数万分の1の確率と言われる。したがって,患者と白血球の型が一致するドナーを得るためのドナーバンクを確立するために,当面10万人を目標にドナー募集が行なわれていた。

 ドナーが骨髄を提供するにいたるまでには,(1)HLA型1次検査(A,B座),(2)HLA2次検査(DR座),(3)MLC検査(組織適合検査),(4)健康診断,自己血採血,(5)入院,骨髄採取などが必要である。
 さる9月末に,厚生省から発表された「骨髄バンク事業の現況について」によると,本年8月中のドナー登録人数は1340人で,合計7万5142人のドナーが登録されたことになる。また,1992年6月から開始した「患者登録」に登録できる患者には,(1)親族内にHLA型適合ドナーがいない,(2)骨髄移植で予後が期待できる,(3)コントロール困難な感染症および骨髄移植に支障のある重篤な臓器障害を持たない,などの条件があるが,その数は4409人にのぼり,骨髄移植実施状況は合計855件である。