医学界新聞

新カリキュラムにどう対応するか

医学書院看護学セミナーで関根龍子氏が講演



 さる8月26日,「保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則の一部を改正する省令 」が官報にて告示された。これにより,「看護職員の養成に関するカリキュラム等改善検討会 」の中間報告書(3月28日提出)で示された看護教育新カリキュラムの明年4月1日からの実施が,正式に発表されたことになる。
 これに先立つ8月8日に,佐賀市の佐賀県医師会メディカルセンターにて開催された第102回医学書院看護学セミナーでは,関根龍子氏(国療東京病院附属看護学校副学校長)が,「新カリキュラムにどう対応するか-質への転換,人間理解への教育をめざして」と題して講演。カリキュラム等改善検討会の委員でもある関根氏から,新カリキュラムの基本的姿勢や実施にあたっての留意点,今後の課題などについての考えが述べられた。

在宅看護論をどう学ばせるか

 関根氏は講演の中で,今回の改正のポイントの1つである「各学校・養成所が特色あるカリキュラムを考えられる」とのねらいに触れ,「ここでは教員の力量と責任,そして能力が求められている」と指摘。また今後教育計画を考える際には,人間をどう捉えるか,看護のあるべき姿などが支柱になるとも述べた。
 続いて,今回新設された科目「在宅看護論」と「精神看護学」について,「人間の成長発達とライフステージをもとに設立された科目である」と説明。このうち在宅看護論に関しては,「小児・成人・老人看護という成長発達段階からみた科目に加えて,在宅看護はどのライフステージもどの健康レベルも対象に当てはまる,言わば総合看護である」と重要性を指摘。その意義を理解して教育の強化に努力してほしいとの期待を述べ,さらに在宅看護論をどのように学ばせるかについて,基礎科目,専門基礎科目との関連も含めて詳細に解説した。

教員の責任と今後のあり方

 また,教員は役割モデルとして存在するべきとの考えを示したのち,教育における「人間理解」の意義を強調。さらに,看護教育のこれからのあり方を提示し,今回看護婦学校養成所の専任教員が8名以上とされたことについて,簡単なことではないとしながらも,「それに向けて努力をすることは私たちの責任である」と述べた。
 この他関根氏は看護教育の今後の課題として,(1)教育内容の精選と教育方法の開発,(2)学生の自己学習のための環境づくり(単位制の導入により主体的な学習を育む),(3)専門領域の探究と教材研究,(4)教員自身の自己実現・自己評価をあげ,「教員としての姿勢を培うことで,看護教育が体系的になり,社会で求められる看護婦の育成につながるのではないか」とまとめた。
(なお上記セミナーでの講演内容および改正された「保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則」の全文は,医学書院発行雑誌「看護教育」10月号に掲載される)