医学界新聞

AMSA,Japanとは何か AMSA, Japan 広報部

アジアの学生とともに国際医療のあり方を探る


 AMSA, Japan(Asia Medical Students' Association, Japan:アジア医学生連絡協議会)は,アジアをはじ め海外の保健医療事情に関心を持つ日本国内の医学生が,大学の枠を越えて意見・情報を交換しあいお互 いの親睦を深め,幅広いヒューマンネットワークを形成することを目的に,1979年開催の西日本アジア交 流会議がもとになり設立されました。
 設立当時のAMSA,Japanの主な活動は各大学間の意見・情報の交換を目的とした年1回の交流会議の開 催でした。そこでは特に将来の国際医療協力の望ましいあり方を探るという分野がクローズ・アップされ, 重点が置かれてきました。そして,その実践活動の1つとして,AMSC(Asia Medical Students' Conference: アジア医学生国際会議)が始められました。
 AMSCは1970年代後半から大きな社会問題となっていたカンボジア難民問題を契機として1980年,日 本とタイの医学生によってはじめて開催されました。当時,タイ側の難民キャンプでは多くの日本人医師 やボランティアたちが救護活動を行なっていましたが,そこにはこの難民問題をアジアの一地域,一時期 の出来事として捉えるのではなく,将来の望ましい国際協力の基盤を学生の手で作れないかと考える日本 人学生たちも参加していました。その後彼らはその可能性を探るためカンボジアの隣国であるタイの医学 生に呼びかけ,各国の地域保健医療,難民対策,国際医療協力等の諸問題について話し合う機会を持ちま した。
 しかし,そこでは日本人参加者の国際協力に対する現状認識の甘さが浮き彫りにされました。また同 時に,異なる社会的,文化的,歴史的背景を持つアジアの各国が各々の保健医療の問題に関し,それまで 相互に知りえなかった多くの相違点,共通点を有し,さらに独自の解決法を展開していることが明らかに なりました。これらの体験は参加した各国の医学生の心に深く刻まれ,会議の最後には,これからも同様 の医学生の国際交流の場を自分たちの手で作っていこうということが満場一致で採択されました。以降, 毎年タイ,マレーシア,フィリピン,台湾などでAMSCは開催されてきました。
 AMSCが回を重ね参加者および参加国が増えるに従い,各国の医学生たちは互いのより親密な繋がり を求めるようになりました。さらに,他の国際組織との協力を促進するためにも,この国際会議の母体と なる明確な組織の設立が強く望まれるようになりました。こうして,アジア各国の医学生の国際交流,相 互理解の促進,および将来のアジアにおける国際協力の基盤作りを目的としたAMSA Internationalの設立 が提案され,1986年,第7回会議において正式に発足することになりました。
 現在,AMSA,Japanは,日本国内においては海外の保健医療問題に関心を持つ医学生の情報交換,交 流活動の場として,国外に対してはAMSA Internationalの日本側機関として,AMSC, SKMSC(Sino‐ Korean Medical Students' Conference)への参加・協力,加盟国との医学生の交換留学プログラムの紹介,ジョ イントディスカッション,国内交流会の開催,機関誌の発行,インターネットを使った情報交換などの活 動を行なっています。
                   (文責:岐阜大学6年 山藤雅之)

問合せ先:〒807 北九州市八幡西区千代ヶ崎2-1-6 医生ヶ丘ビル601号
AMSA,Japan代表 河津雄一郎(産業医科大学5年)
E-mail:i921027@rose.med.uoeh-u.ac.jp