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- BRAIN and NERVE Vol.74 No.1
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特集の意図
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特集 脳神経内科医のキャリアパスとリーダーシップ
脳神経内科をめぐる状況は大きく変化している。新専門医制度や基本領域化・サブスペシャルティの問題,バーンアウト,働き方改革,そして新型コロナウイルス感染症による影響など,さまざまな要因を挙げることができる。こうした状況下では,自身のキャリアに迷い,悩むことも多いのではないだろうか。本特集では,若手〜中堅医師が自分自身に合った道を見つける一助となるよう,多くの先輩医師から多様なキャリアパスを示していただいた。一方,リーダーシップは,生まれながらにして備わっているものではなく,学問として学び身に付けるべき能力であるとして,海外学会は既にその教育に重点を置いている。年代や立場を問わずさまざまな人に,各キャリアのリーダー像を考える機会としていただきたい。
脳神経内科医のキャリアパスとリーダーシップ 下畑享良
臨床力とは何か?――どのように身につけるか? 福武敏夫
臨床力とは,臨床場面で患者に向き合うときに診断や治療に役立つ何かを発見しようとする気概である。そのためには,人間への強い興味,注意深い観察力,そして推理力が必要である。臨床力を身につけるためには,理屈や理論を先にせず,患者にみられる多様な現象をありのままに観察する態度が最も重要である。参考のために,チャールズ・ミラー・フィッシャーの至言と筆者の小さな経験を紹介する。
文献の探し方,読み方,まとめ方 渡辺宏久
論文を読むことは,日常臨床における疑問を解決するうえで,また,研究を準備し推進するうえで極めて重要である。ここでは文献の検索サービスを紹介し,最も広く使用されているPubMedの使い方を整理する。次に,文献の構造を概説し,パラグラフリーディングや時制など,英語論文を読むうえで基本となるポイントも紹介する。最後に,論文の整理の仕方,特に論文執筆におけるガイドラインを紹介し,日常臨床へ活かすうえでの留意点や,批判的吟味の重要性について述べる。
症例報告の書き方 阿部康二
日本の近代医学の祖と言われる緒方洪庵は,ベルツ医師の高祖師であるフーフェラント(ベルリン大学教授)の有名な遺訓「後の世の闇のためにも焚き残せ云々」(扶氏医戒之略第5条)を座右の銘にしていたという。その趣旨は,医師たるものは昼間の診療が一段落して夜になったら,その日に診た患者のまとめをして記録を残し,自分の貴重な経験を広く世間に,また後世にも伝えるべきであるということであろう。本論ではその方法の一端を,主として岡山大学脳神経内科での実経験をもとに紹介した。
科学的なプレゼンテーションと発表の仕方 松島理明,矢部一郎
効果的でわかりやすい発表を行うために,スライド,ポスターともに聴衆の印象に残るような見映えを意識して作成することが重要である。1枚のスライドに示す情報量は多くせず,見やすく作成することが望ましい。また,発表の最初に全体の構成を示し,短い言葉や文で内容を組み立てることが推奨される。さらに,聴衆が理解しやすい発表をするために,事前練習を十分に行い,自分自身で発表内容をしっかりと咀嚼しておく必要がある。
脳神経内科後期研修医が習得すべきノンテクニカルスキル 安藤哲朗,福武敏夫
社会で役立つ脳神経内科医になるために必要な,レジリエンス,コミュニケーション能力,マネジメント力,情報リテラシー,教育能力などの「ノンテクニカルスキル」を簡単に解説した。これらの能力は専門家としての「テクニカルスキル」を生かすために必要であり,後期研修医(専攻医)の時期に身に付けるようにするべきである。
大学院で何をどう学ぶか 勝野雅央
学位を取得することだけが大学院で学ぶ目的ではない。大学院で学ぶべきことの1つは,研究を通じて物事を科学的に考えるということである。すなわち,現状の科学に疑問を持ち,疑問に関する情報を収集,分析し,解決のために行う研究を立案,実施し,その結果を考察して発表,共有することである。さらに,大学院では専門分野以外の教育を受けることができ,学内外の研究者とのコラボレーション,国際連携,産学連携など,さまざまな活動からも学ぶことは多い。
海外留学で学ぶべきこと 関島良樹
近年,日本からの海外留学者数は減少傾向にあるが,グローバル化が進む医療・科学の分野における海外留学の重要性は決して低下していない。海外留学は「世界の多様性と普遍性」を身をもって経験できるまたとない機会である。また,海外留学により国際的な人脈の構築,最先端の研究手法や臨床技術の習得,英語力の向上なども期待できる。
コロナ禍での臨床留学 原田陽平
新型コロナウイルス感染症の拡大は,米国での脳神経内科研修の体制を大きく変えるものとなった。未曽有の感染拡大の中で,患者と医療従事者の感染リスクを最小限に抑えながら,いかにレジデントの研修の質を確保するかが大きな挑戦であった。迅速かつダイナミックな変革が求められたパンデミック開始の時期を,チーフレジデントとしてどのように過ごしたのか,そしてそこで見たリーダーシップの在り方について報告する。
コロナ禍における基礎研究留学 西山修平
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより基礎研究留学へのハードルは上がったが,コロナ禍に対応したシステム変更が進み新しい生活様式でも基礎研究を行うことのできる土台が構築されてきている。コロナ禍以前の研究留学とは異なることも多いが,コロナ禍によって自身の夢をあきらめず,ぜひ門戸をたたきチャレンジすることをお勧めする。
女性医師のキャリアパスとリーダーシップ――市中病院 饗場郁子
自分自身の市中病院でのキャリアパスは,ライフイベントの時期を経て,臨床病理学的研究,そして現場で困っていることをテーマに臨床研究を進め,多施設共同研究へと発展させてきた。ライフイベントの時期に一時的に仕事が遅れても,大切だと思うことを継続すれば十分挽回でき,不安に思う必要はない。女性医師がバーンアウトせずに仕事を継続できるよう,リーダーシップ教育をはじめ多様なアプローチが不可欠である。
女性医師のキャリアパスとリーダーシップ――大学病院 三澤園子
大学病院の教員に占める女性割合は低いのがわが国の現状である。特に講師以上の上位ポストでその傾向は顕著になる。さまざまなライフイベントを経て,大学病院での勤務を継続するのは,女性にとっては大変なこともまだ少なくない。しかし,状況は確実に変化しつつある。大学病院ならではのやりがいのある仕事も多くあり,多くの女性医師に大学でのキャリアも選択肢の1つとして考えていただきたい。
脳神経内科で開業するためのキャリアパスは存在するか――ロールモデルとしての医師会での活動 目々澤 肇
脳神経内科として開業するためのキャリアパスに一定のものはなく,医師個人ごとに異なると思われる。内科開業医として自立するためには「かかりつけ医」となる自覚が必要であり,家庭医や総合医としての最低限の素養が必要で,そのうえに「脳神経内科としての専門性」を主張するため,医療機関同士のネットワーク形成を考え,医師会活動に励むこととなった。
キュアからケアへ――在宅診療医へのキャリアパス 渡辺 良
在宅診療は,通院が困難な患者がその暮らしの場で治療やケアを受けることのできる医療の形である。脳卒中,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症など神経疾患を生活の場で診ることにより,患者のニーズに沿う医療やケアが可能となる。在宅診療医に期待されるのは疾患の診断治療能力のみならず患者や家族の訴えを共感的に聴く力,そして最期まで在宅で患者を支えることである。そのために多職種と連携しリーダーシップをとる必要がある。
臨床研究・治験PIのキャリアパス 桑原 聡
臨床医が行う研究の最終目標は新規治療開発〜疾患克服であり,それを実現するためには新規治療薬の候補(シーズ)を開発し,臨床試験(治験)を経て国の承認(薬機法承認)を得,より有効性・安全性の高い治療を全国(あるいは全世界)の患者に届けるというプロセスが必要である。治験のPIとしてのキャリアパスを進むには,新規治療を開発しようとする意思と,シーズの発案から治験実施,承認まで一貫した長期ビジョンを持つことが最も重要である。本論ではシーズ開発の方法から特定臨床研究・治験の実施を効率的に実践するための道筋を,自身の医師主導治験の経験を含めて概説する。
臨床をベースとする基礎研究者のキャリアパスとリーダーシップ 岡澤 均
若い研究者あるいは臨床医のために私のキャリアをケーススタディとして紹介した。キャリアパスには多くの可能性があると思われるが,重要な点は研究における独創性と創造性であり,新たな道を切り開くための情熱であろう。
脳神経内科医にとっての医系技官のキャリア 桑原宏哉
医系技官は,医師全体の約0.1%と少ないが,保健医療の専門的な知識や経験を持って厚生労働行政に携わる重要な職種である。本論では,脳神経内科医が人事交流で厚生労働省に出向し,医系技官として勤務する実態について,筆者自身の経験を踏まえて概説し,そのメリットとデメリットについての私見も述べる。脳神経内科医にとって,医系技官のキャリアの意義を考える一助になれば幸いである。
製薬企業で働く医師としてのキャリアパス 藤本陽子
医療において医薬品は中心的な役割を果たしており,医薬品の研究開発やエビデンスの構築,適正使用のための情報提供を担う製薬企業に勤務することは,医師として果たすべき役割の延長線上にある。幅広く医療や公衆衛生,社会に貢献したいという志を持つ医師にとって,製薬企業に勤務することは自己実現と目標達成のための1つの選択肢である。
大学発ベンチャーの現状と設立のためのキャリア 山本 卓,横田隆徳
日本における大学発ベンチャーは,2020年度時点で2,905社に達し,そのうち907社がバイオ,ヘルスケア,医療機器に関連したベンチャー企業である。ここ数年は毎年200社を超える高い水準で大学発ベンチャーが設立されるなど,活況を呈している。本論では,創薬を目的とした大学発ベンチャーを主眼に,現状,意義,大学での発明の扱い,ベンチャー設立プロセス,知的財産マネジメント,利益相反マネジメント,エグジットについて概説する。
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脳神経内科医のキャリアパスとリーダーシップ
下畑享良
臨床力とは何か?――どのように身につけるか?
福武敏夫
文献の探し方,読み方,まとめ方
渡辺宏久
症例報告の書き方
阿部康二
科学的なプレゼンテーションと発表の仕方
松島理明,矢部一郎
脳神経内科後期研修医が習得すべきノンテクニカルスキル
安藤哲朗,福武敏夫
大学院で何をどう学ぶか
勝野雅央
海外留学で学ぶべきこと
関島良樹
コロナ禍での臨床留学
原田陽平
コロナ禍における基礎研究留学
西山修平
女性医師のキャリアパスとリーダーシップ――市中病院
饗場郁子
女性医師のキャリアパスとリーダーシップ――大学病院
三澤園子
脳神経内科で開業するためのキャリアパスは存在するか
ロールモデルとしての医師会での活動
目々澤 肇
キュアからケアへ――在宅診療医へのキャリアパス
渡辺 良
臨床研究・治験PIのキャリアパス
桑原 聡
臨床をベースとする基礎研究者のキャリアパスとリーダーシップ
岡澤 均
脳神経内科医にとっての医系技官のキャリア
桑原宏哉
製薬企業で働く医師としてのキャリアパス
藤本陽子
大学発ベンチャーの現状と設立のためのキャリア
山本 卓,横田隆徳
■対談
Aducanumab――アルツハイマー病診療にもたらすインパクト
粟田主一×岩坪 威
■総説
小分子のリピートRNA毒性に対する動物モデルでの効果
中谷和彦
■原著
痙性斜頸患者に対するB型ボツリヌス毒素製剤の安全性および有効性
梶 龍兒,他
●脳神経内科領域における医学教育の展望―Post/withコロナ時代を見据えて
第5回 基礎医学における神経解剖学/神経科学教育の現状と今後の課題
山口 瞬
●臨床神経学プロムナード―60余年を顧みて
第11回 CT・MRI検査の出現。その光と蔭
平山惠造
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