臨床外科 Vol.77 No.4
2022年 04月号

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 腹(胸)腔鏡下で融通の利きにくい長い鉗子を操りながら繊細な手術を行うのは苦行である.わが国の消化器外科医はこのような困難な手術操作を,時間をかけて高いレベルまで昇華させた.涙ぐましい修練と工夫の賜物である.ところが,ロボットの出現により,そのような修練をテクノロジーの進歩でカバーして目的を達成できる時代となってしまった.腹(胸)腔鏡下手術がそこまでのレベルに達していない領域では,ロボット支援手術の利点を示すのは容易であろう.一方,腹(胸)腔鏡下手術の技術において,すでに高いレベルにあるわが国の胃外科医たちにとっては,今さら臨床的なアウトカムにおいてロボットの利点を証明するのは困難であった.にもかかわらず,これまで腹(胸)腔鏡下手術の可能性を大きく拡げてきた,わが国を代表する胃外科医たちが,ロボット支援胃切除術に熱心に取り組んでいる.そこにさらなるポテンシャルが感じられるからであろう.今,どうやってロボット支援手術を導入すればよいのか.そして,努力した暁にはどこまでのことができるようになるのか.本特集でぜひ学んでいただきたい.


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ISSN 0386-9857
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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■ロボット支援手術を始めるために
今,なぜ胃癌にロボット支援手術を行うのか――胃癌に対するロボット支援手術のエビデンス
小濱和貴・他

ロボット支援胃癌手術のチーム編成と立ち上げ
野原京子・他

ロボット支援下胃切除術の準備と立ち上げ――マイナスからのスタート
田中千恵・他

■デバイスの選択と手術の定型化
ロボット支援胃癌手術で用いる各種エネルギーデバイスの利点と欠点
木下敬弘

ロボット支援幽門側胃切除術の定型化――電気メスを用いる手術(Double bipolar法)
菊地健司・他

ロボット支援幽門側胃切除術の定型化――超音波凝固切開装置を用いる手術
服部 卓・他

ロボット支援胃全摘術の定型化――助手鉗子のフル活用をめざして
伊藤 直・他

ロボット支援下噴門側胃切除術の定型化(観音開き法)
幕内梨恵・他

■個別のテクニック
膵上縁先行アプローチによるロボット支援下胃切除術
郡司 久・他

噴門部胃癌のロボット手術での視野確保の工夫
江原一尚・他

ロボット支援下脾門リンパ節郭清の手技
冨井知春・他

術前化学療法後のロボット支援下胃癌手術
堀田千恵子・他


●How to start up 縦隔鏡下食道亜全摘(第4回)
上縦隔腹側1――気管の左側と食道右側,右迷走神経
森 和彦・他

●手術器具・手術材料――私のこだわり ④
内視鏡外科手術用スポンジ(セクレア®)/多関節機能付き内視鏡外科手術用の持針器(ARTISENTIAL®ニードルホルダー)
中村慶春

●FOCUS
両側側腹部圧迫法による腹部手術後の咳嗽時創痛の軽減効果
下山勇人・他

「転移性肝がん診療ガイドライン」の要点
佐野圭二

●病院めぐり
宮崎市郡医師会病院外科
甲斐真弘

●臨床報告
小児Meckel憩室による絞扼性腸閉塞の1例
井田晃頌・他

逆行性に空腸がY脚へ重積した胃全摘術後腸重積の1例
佐藤孝洋・他

治療・診断に難渋した非特異性多発性小腸潰瘍症の1例
吉本裕紀・他

術中ICG蛍光法で残胃血流評価を行った幽門側胃切除術後膵体尾部切除術の1例
塚田 暁・他

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