特集 救急対応ドリル 外来から在宅までの60問!
ISSN | 2188-8051 |
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定価 | 2,750円 (本体2,500円+税) |
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Editorial
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『総合診療』編集委員会が贈るドリル特集!──いつでもどこでもスキマ時間でも、ドリルで楽しく救急スキルをブラッシュアップ!
藤沼康樹(医療福祉生協連 家庭医療学開発センター)
現場のプロフェッショナルは、完全に身についた知識や技術の発動は、いちいち意識せず使いこなすことができる。いわば自動化している。しかし、仕事をしている時に、予期していなかったこと、驚きに必ず出合うものである。それが現場というものだ。
私達がそうした想定外の驚きに出合った時、調べたり、人に聞いたり、昔の経験を思い出したりして、なんとかその場を切り抜けることを試みるだろう。むろん切り抜けることができず、仕事が頓挫することもあるかもしれない。なんとかその場を凌いだあと、ただホッとするのではなく、少し間を置いてから、「あの驚きは何だったんだろう?」という課題を立てて振り返る時間を持とうとするのが、プロフェッショナルといえる。文献を調べたり、スタッフや同僚とディスカッションしたりして、今後の教訓を引き出し、それを自分のレパートリーに加えることができれば、私達は一歩成長することになる。仕事のスキルがアップするのだ。
こうしたプロフェッショナル像を、哲学者のドナルド・ショーンは“省察的実践家”と呼んだ。
本号の特集は、こうしたプロフェッショナルの成長に必要な小さな「驚き」を、模擬的に提供するものだと思う。楽しんで読んでいただければと思う。
徳田安春(臨床研修病院群 プロジェクト群星沖縄)
新型コロナウイルスのパンデミックでは、世界的に総合系医療者が救急外来のフロントラインで活躍した。コロナ感染では、呼吸器症状だけでなく、消化器や神経系の症状をきたすことも多かった。凝固亢進による深部静脈血栓症や心筋梗塞だけでなく、感染で体調不良となり、交通外傷や転倒、基礎疾患の増悪をきたしたことでも来院した。在宅や臨時医療施設でも、総合系医療者の活躍が目覚ましかった。
コロナ後の外来診療では、以前にも増して、総合系医療者の活躍への期待が高まっていくだろう。外来診療では、隠れた重症救急患者もさまざまな症候で受診するからだ。期待に応えることができる総合系医療者は、“診断エクセレンス力”と“救急マネジメント力”を備えた救急スキルを持つ。診断エクセレンス力とは、タイムリーで正確な診断を一貫して行うことができること。救急マネジメント力は、自身による手技だけでなく、一般外来から救急外来への迅速な紹介を行う必要性の判断も含む。
本特集で、日本人の得意とする勉強ツールであるドリルを通して、救急スキルを伸ばしてほしい。
山中克郎(福島県立医科大学会津医療センター)
田舎に住む醍醐味は、豊かな自然と美味しい食べ物である。春になると、ふきのとうの味噌和え、たらの芽の天ぷら、山うどの甘酢漬けが食卓に並ぶ。フルーツ王国の福島県では、さくらんぼ、桃、ぶどう、柿、りんごと、季節ごとに新鮮な旬の果物を楽しむことができる。
地方における教育環境を心配する方がいるかもしれないが、野山を駆け回るのが大好きな育ち盛りのお子さんを持つ医師や、子育てを終えたベテラン医療従事者が、地域住民と交流しながらゆとりのある生活を味わっていただくのも楽しいと思う。
ベテランになると、救急患者は若手医師に任せることが多くなるので、救急医療に対する自信がなくなっていく。しかしながら、救急医療を避けて通ることはできない。診療所で働いていても、ハチに刺されたアナフィラキシー患者が運ばれてくることだってある。糖尿病で通院中の患者が、急性腎盂腎炎から敗血症を起こすこともある。「迅速に診断し、正しい治療を行うことができるだろうか?」と、日々自問している。
ボーイスカウトの合言葉は「備えよ常に(Be prepared.)」である。いつ遭遇するかわからない重要疾患に対して、医師として知識をブラッシュアップし、万全の準備をしておくことが大切である。
片岡仁美(岡山大学病院 総合内科・総合診療科)
私たちは時間がない。その中で学び続けなければならない。
私事だが、現在2歳と6歳の子育て中でもあり、笑ってしまうくらい自分の時間がない。加えて、以前より無理が効かない。もう少し仕事をしたいと思っても、気絶するように寝てしまうこともしばしばである。それでも知識はアップデートしなければならない。
若い先生方も、私よりキャリアを積んでいる先生方も、誰もがいかに短時間で印象深く学ぶか、という課題を持っておられることだろう。また、臨床医は「患者さんから学ぶ」ことが最もインパクトがあることは自明であるが、一方で、すべてを経験することも不可能である。
そんな中、印象深い経験をコンパクトにまとめ、ドリルで学べる本特集は、どのページを開いても、ほんの少しの時間でエッセンスを学べる“時間がない”方にこそ手に取っていただけたら、という内容であると思う。敬愛する赤津晴子先生が、育児中限られた時間でどう学ぶか、という話をしていた際に、「論文をちぎってポケットに入れておいて、レジに並んでいる時などのちょっとしたスキマ時間にサッと見る」とおっしゃっておられ、感銘を受けたことがある。本特集も、時間がない中での臨床医の学びを強力にサポートしてくれる存在ではないだろうか。
収録内容
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 救急対応ドリル──外来から在宅までの60問!
問題
解答
■出題者
Q1
大國皓平
Q2・Q41・Q59
樋口真司|山中克郎
Q3・Q20・Q21・Q30・Q38
宗像慧太
Q4・Q27
柴田恵多
Q5・Q49
佐藤萌子|西村勝治
Q6・Q15・Q28
神野定男
Q7・Q33
湊しおり
Q8・Q16・Q22・Q35・Q57
高橋平安彦
Q9・Q56
原田芳巳
Q10・Q26
伊藤 涼|友田義崇|粟屋幸一
Q11
堀井 聡
Q12・Q43
藤原英晃
Q13
本多寛之
Q14
大西秀樹
Q17・Q53
藤原靖士
Q18
北川正史
Q19
田 直子
Q23
山田万里央|北野夕佳
Q24
西山 充
Q25・Q36・Q47
百武美沙
Q29・Q32
鈴木康平
Q31
田邊克幸
Q34
原田 亮
Q37・Q39
矢野裕之|金城光代
Q40
本村悠馬|福岡秀規
Q42・Q51
土肥栄祐
Q44
石岡みさき
Q45
田中 厚
Q46・Q58
植田育也
Q48・Q54
安達彩織|融 衆太|内原俊記
Q50
木野村 賢
Q52
長谷川 功
Q55
山野井友昭
Q60
那須淳一郎
●Editorial
『総合診療』編集委員会が贈るドリル特集!
いつでもどこでもスキマ時間でも、ドリルで楽しく救急スキルをブラッシュアップ!
藤沼康樹|徳田安春|山中克郎|片岡仁美
●ゲストライブ
マニュアルを置いて“臨床小説”を読もう──論文では表せない「臨床医」の思考や姿勢
國松淳和|玉井道裕|古関麻衣子
●新連載 臨床医のためのライフハック|限りある時間を有効に使う仕事術|1
「ビジョン」と「時間管理」の原則──限られた時間を有効に使って“医師人生”をハックするには?
中島 啓
●新連載 ジェネラリストに必要なご遺体の診断学|1
「死んだら終わり」じゃありません!
森田沙斗武
●What's your diagnosis?|244
逆立ちした猛獣の100万ボルト~!!
猪飼浩樹|酒見英太(監修)
●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|36
最期の1週間
松下芳雄
●Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?|37
寝る子は育つ
上田剛士
●患者さんには言えない!?|医者のコッソリ養生法|16
「やる気」と「集中力」を最大に引き出す生活とは?②
須田万勢
●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|4
舞い上がれ! 研修医のモチベーション
佐田竜一|木村武司|長野広之
●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|75
若年男性の倦怠感
上原里依|平良翔吾|徳田安春(監修)
●投稿 GM Clinical Pictures
急速な体重減少に伴う肝障害
眞田雄市|吉村寛志