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新生児学入門


(第5版)

編集:仁志田 博司
編集協力:高橋 尚人/豊島 勝昭

  • 判型 B5
  • 頁 456
  • 発行 2018年11月
  • 定価 6,264円 (本体5,800円+税8%)
  • ISBN978-4-260-03625-2
新生児医療に携わるすべての方へ
新生児医療に携わる際の基礎知識、考え方をまとめた好評のサブテキストが大幅改訂! 各章に執筆者を置き、第4版までの内容をおさえながら最新の知見・情報を盛り込んだ。「新生児蘇生」「災害と新生児医療」を新たに章立てしたほか、近年その重要度が高まっている「フォローアップ」の項目も追加された。看護学生、助産学生はもとより、看護師、助産師、専門医といった新生児医療に従事するすべての医療者の必読書。
序 文
第5版 序

 本書は幸いなことに初版出版時から多くの新生児医療にかかわる方々に読んでいただき,すでに30年余の日月が流れている。もちろん各版の改訂出版に際しては,可能な範囲で最新の知見を盛り込む努力をしてきたが,新生児学の進歩はすでに1人でカバーできるレベルを超えていることは明ら...
第5版 序

 本書は幸いなことに初版出版時から多くの新生児医療にかかわる方々に読んでいただき,すでに30年余の日月が流れている。もちろん各版の改訂出版に際しては,可能な範囲で最新の知見を盛り込む努力をしてきたが,新生児学の進歩はすでに1人でカバーできるレベルを超えていることは明らかである。それゆえ,今版の改訂にあたり,私が1人で書くことにより新生児医療に対する考え方(philosophy)が一貫して読者に受け入れられやすい,というこれまでの本書の利点を可能なかぎり生かしながらも,新生児学の各分野の新進気鋭の方々に分担執筆をお願いしたのは時代の必然であると受け取っている。また,より深くなった内容の統合を支援してくれることを願って,わが国の新生児学の分野で広い視野をもって活躍している髙橋尚人医師と豊島勝昭医師の2人に編集協力をお願いした。
 各章のタイトルは第4版とほぼ同じものを踏襲しているが,以前の版で私が入門という名前に甘えて書いたレベルを超えていることを読み取っていただきたい。しかしながら専門書のように微に入り細にわたる記載でなく,新生児を学ぶ者が知っておくべき基礎知識(basic knowledge)を念頭において執筆していただいた。多少高度な内容が含まれているが,ぜひ読みこなしていただきたい。
 また第5版では,東北や熊本の震災時に新生児専門医が中心となって対応した経験を盛り込み,新生児・周産期医療における災害時の対応の章を加えた。これは単に救急時の対応の枠を超えた,母体胎児管理と高度チーム医療体制を必要とするNICUを中心とした地域医療体制を考慮しなければならない特殊性を含んでおり,この基礎知識は新生児を学ぶ者に必須の項目と考えられているからである。第4版では,その重要性に気づきながらも,当時はまだその内容を章立てするほど私たちの知識が十分でなかったが,近年の災害時における新生児仲間の活躍は目を見張るものがあり,その中心の1人である大木 茂医師にまとめていただいた。さらに,これまで総説のなかで取り扱ってきたフォローアップ(特に超早産児に対して)は,わが国がその分野では世界の最先端を担っていることもあり,全国のデータにアクセスしている専門家の河野由美医師に稿を改めて取り上げてもらった。
 これまでの版の序で繰り返し述べてきたが,本書は専門分野の教科書やベッドサイドで用いられているマニュアルとは趣旨を異にしている。自分たちが日常の新生児の臨床において行っていることの学問的な理由を理解してもらうことを目的としており,あえて言うなら“scientific basis of clinical neonatology”である。有名な『ネルソン小児科学』のように世に知られている教科書とは,その時代の知るべき内容を網羅し,さらに不確実な内容や誤った記載が載っていてはいけない,という裁判の資料となるほどの厳しさを要求されるレベルであり,大勢の専門家集団が長い年月をかけて編み上げるものである。一方でマニュアルは,実際の臨床の現場での「診断の手順は・薬の量は・呼吸器のセッティングは」などに関し,理屈ではなく具体的にどのようにするかが記載されているハウツーものであり,故 小川雄之亮教授は“cookbook(料理本)”と呼んで,考える習慣がつかないと研修医が使用することを好まなかったのである。施設によってやり方が異なることから,巷にはたくさんのマニュアルが出ており,どれがよいともいえないのはそのような由縁である。
 本書は新生児医療の背景にある知るべき学問的な知識を記載したものであり,「あーそうか,そんな理由があるのか」と気づくことにより,臨床の深みと新生児医療への興味が増すことを眼目としている。ベッドサイドですぐに役立つ本ではないが,側に置いて時間のあるときに読んでおくことで,ビタミン剤のようにジワジワとその価値が出る本だと考えている。本書があらゆる新生児医療に携わる方々の目に触れ,わが国の新生児医療の底辺を支え,多くの新生児とその母親の幸せに貢献することを願っている。

「新生児(あなた)への 夢に生きたる 我が人生(いのち)
旅路の果てに 編みし新生児学入門(もの)あり」

 2018 年9 月
 長き人生を生き抜いた証の後期高齢者なる名称に違和感をおぼえながら
 仁志田 博司
目 次
第1章 新生児学総論
 A わが国の新生児学の過去・現在・未来
 B 新生児医療に関する用語
 C 新生児の医学的特徴
 D 新生児の薬物動態の特徴
 E 新生児医療の特徴
 F 新生児医療の原則とルチーン
 G 新生児医療に必要な産科学的知識

第2章 発育・発達とその評価
 A 胎児・新生児の発育
 B 胎児・新生児の発達
 C 在胎週数推測と児の成熟度評価法
 D 在胎期間別出生時体格基準曲線とその利用法
 E フォローアップ

第3章 新生児診断学
 A 新生児の診察法
 B 新生児に特徴的な所見
 C 主要な異常所見とその診断学的アプローチ
 D 母体・胎児情報の読み方

第4章 新生児の養護と管理
 A 分娩室からの管理
 B 正常新生児の管理
 C ハイリスク新生児の管理
 D NICU入院児の管理
 E 新生児モニタリング

第5章 母子関係と家族の支援
 A 母子相互作用の科学的背景
 B 母子関係確立のステップ
 C 母子関係確立のための臨床
 D 母子関係の破綻に基づく臨床的問題
 E 出生前小児保健指導
 F 母親への保健指導
 G 病児の家族への援助
 H 児を失った家族への援助

第6章 新生児医療とあたたかい心
 A 子育てと環境
 B あたたかい心を育む医療
 C 新生児発達促進ケア(ディベロプメンタルケア)

第7章 新生児医療における生命倫理
 A 新生児医療における倫理問題の特徴
 B 倫理的観点からの医療方針決定
 C 成育限界をめぐる倫理
 D 医の倫理の基本的な考え方

第8章 医療事故と医原性疾患
 A 新生児における医原性疾患
 B 医療事故の原因と背景
 C 医療事故の原因による分類と予防
 D 医療事故が起こったときの対応
 E 医療事故と訴訟

第9章 体温調節と保温
 A 新生児の体温調節
 B 保温とその目的
 C 保温の臨床
 D 体温の異常

第10章 新生児蘇生
 A 出生直後の適応生理
 B 出生直後の蘇生術

第11章 呼吸器系の基礎と臨床
 A 新生児の呼吸生理と特徴
 B 肺サーファクタントと呼吸窮迫症候群
 C 肺水の動態と一過性多呼吸症
 D 子宮内環境が影響する新生児呼吸障害
 E 新生児の慢性肺疾患
 F 新生児呼吸障害の一般的管理
 G 補助呼吸法の進歩

第12章 循環器系の基礎と臨床
 A 循環生理の基礎知識
 B 循環系の発達生理
 C 循環系の適応生理
 D 新生児における先天性心疾患の診断と治療

第13章 水・電解質バランスの基礎と臨床
 A 新生児の水・電解質バランスの特徴
 B 新生児の腎機能の特徴
 C 水・電解質管理の実際

第14章 内分泌・代謝系の基礎と臨床
 A 副腎皮質ホルモン
 B 甲状腺ホルモン
 C 血糖調節機構とその異常
 D 糖尿病母体児
 E 先天性代謝異常症
 F FGR児の有する内分泌学的問題点

第15章 栄養・消化器系の基礎と臨床
 A 新生児の栄養に関する特徴と問題点
 B 栄養と発育・発達
 C 新生児に必要な栄養量
 D 正常新生児における栄養法
 E 低出生体重児における栄養法
 F 母乳栄養法
 G 授乳と薬剤
 H 新生児から小児にみられる主な消化器関連疾患

第16章 黄疸の病態と臨床
 A 黄疸の基礎
 B 黄疸の病態
 C 黄疸の臨床

第17章 血液系の基礎と臨床
 A 新生児の血液系の特徴
 B 血液系の発達生理
 C 多血症
 D 貧血
 E 新生児メレナとビタミンK
 F 血小板減少症
 G 好中球減少症
 H 易出血性疾患
 I 新生児における輸血
 J 血液に関与するサイトカイン療法

第18章 免疫系と感染の基礎と臨床
 A 新生児の免疫の特徴
 B 新生児感染症の特徴
 C 感染経路とその特徴
 D 新生児の敗血症・髄膜炎の病態
 E サイトカインの役割とそれがもたらす疾患
 F その他の新生児に特有な感染症

第19章 中枢神経系の基礎と臨床
 A 新生児の神経学的後障害
 B 低酸素性虚血性脳症
 C 頭蓋内出血
 D 脳室周囲白質軟化症
 E 新生児発作

第20章 先天異常と遺伝
 A 先天異常の基礎知識
 B 代表的な先天異常症候群
 C 遺伝医療と遺伝カウンセリング
 D エピジェネティクス

第21章 主要疾患の病態と管理
 A 未熟児網膜症
 B 超低出生体重児
 C 乳幼児突然死症候群

第22章 災害と新生児医療
 A 災害時における新生児医療の特性
 B 自助(最初の72時間を耐え抜く備えを)
 C 共助
 D 公助
 E 施設避難
 F 関連団体の後方支援

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