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循環器Physical Examination [動画・心音186点付]
診断力に差がつく身体診察! 

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循環器疾患の異常所見を豊富なカラー写真、web動画・心音を用いて解説。実際の身体所見・心音を呈示することで、ベッドサイドで循環器診察を教えてもらっている雰囲気を再現した。心音聴診だけでなく、視診・触診所見までをリアルに学べる、いままでにない内容となっている。循環器診察のマスターに大いに役立つ1冊。
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●頸静脈の診かた 「図1 頸静脈の観察」

●頸静脈の診かた 「図4 三尖弁逆流症(TR)による収縮期陽性波」

●僧帽弁逆流症 「図3 心音」

山崎 直仁
発行 2017年09月判型:B5頁:188
ISBN 978-4-260-03235-3
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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  • 目次
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 2003年から毎年神戸で行われている循環器physical examination講習会に多くの医師が参加し,いつも満席になっていることからわかるように,循環器の身体所見をマスターしたいという医師の欲求は強い.これは逆に言えば,循環器身体所見の取り方の教育が十分になされていないことの裏返しであろう.身体診察の能力を向上させるには,実際に自分が患者さんを診察し,その後に指導医からベッドサイドで直接フィードバックを受けるのがベストの方法である.しかし,循環器physical examinationをきちんと教えてくれる指導医の数は少なく,実際にそのような恵まれた環境にある病院は圧倒的少数派と思われる.
 身体診察のうち,視診,触診所見は動画を見ることにより,かなりのことを学ぶことが可能である.また,聴診所見はデジタル心音図の心音を聴くことにより,臨床現場を忠実に再現できる.本書では,代表的な循環器疾患の身体所見につき,実際の患者さんから記録した動画,心音を計186点掲載することにより,指導医からベッドサイドで循環器フィジカルを教えてもらっている雰囲気を再現しようと試みている.本書の特長として,身体所見に関する動画を数多く収載していることが挙げられる.心音聴診に関する書籍は多くあるが,視診,触診の所見をここまでの数の動画で示した本はこれまでなかったと考える.本書のもう1つの特長は,心音と一緒に実際の心音図を提示していることである.心臓聴診は一種の音楽であるが,心音図はそれを記録した楽譜であると考えられる.音楽(心音)を繰り返し聴き,楽譜(心音図)を見ていれば,音を聴き分ける能力は著明に向上する.なお,本書の心音を聴く際は,実際の音に近く再現されるよう,必ずヘッドホンを使用して聴くようにしていただきたい.
 コンピューター技術の急速な進歩により,医師の業務を人工知能(artificial intelligence:AI)で代用させようという流れがある.しかし,医師が直接患者さんと触れあう循環器フィジカルはAI時代になっても決して消え去ることはなく,むしろその技術は輝きを放つと思われる.きちんと身体所見を取ることは,循環器診療の基本であり,醍醐味でもある.循環器physical examinationは底知れない魅力を有している.本書で身体診察を学ぶ楽しさを感じてほしい.そして本書をきっかけにして,自分でベッドサイドに行き所見を取り,身体診察の経験を積み重ねていくようにしてほしい.

 2017年8月
 山崎直仁

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I 総論
 循環器Physical Examinationの手順

II 各論
 [1]循環器Physical Examinationのコツ
  【視診,触診】
   1 頸静脈の診かた 心不全患者の診察では必須! 体液量の評価を行う
   2 頸動脈の診かた 大動脈弁狭窄症では頸動脈の触診で遅脈,小脈を触れる
   3 心尖拍動の診かた 左室拡大,左室肥大の有無がわかる
   4 右室拍動,そのほかの拍動の診かた
      右室肥大があると正常では触れない傍胸骨拍動が出現する
   5 腹部,四肢の診かた 腹部触診で大動脈瘤のスクリーニングを行う
  【心音の聴診】
   6 I音,駆出音の聴きかた 僧帽弁狭窄症,大動脈二尖弁の診断に役立つ
   7 II音の聴きかた 脚ブロック,肺高血圧症の診断に役立つ
   8 III音の聴きかた
      病的III音を聴けば心不全で血液うっ滞状態にあることがわかる
   9 IV音,ギャロップの聴きかた IV音で左室拡張障害の存在がわかる
   10 収縮期雑音の聴きかた 駆出性雑音と逆流性雑音の2つに分けられる
   11 拡張期雑音の聴きかた
      拡張早期雑音は大動脈弁,肺動脈弁の逆流により生じる
   12 連続性雑音の聴きかた 連続性雑音はII音をまたぐ
   (Topics)
    身体診察が上手になるには?
    病態を考えた診察を!
 [2]症例から学ぶ 循環器疾患の診かた
  【弁膜症】
   1 症例1 70代女性.大動脈弁狭窄症
   2 症例2 60代男性.僧帽弁逆流症
   3 症例3 70代男性.大動脈弁逆流症
   4 症例4 70代男性.三尖弁逆流症
   5 症例5 70代女性.僧帽弁狭窄症
  【心筋症】
   6 症例6 30代男性.肥大型心筋症
   7 症例7 30代男性.拡張型心筋症
  【先天性心疾患】
   8 症例8 50代男性.心房中隔欠損症 心室中隔欠損症(VSD)
   9 症例9 80代女性.動脈管開存症
  【不整脈】
   10 症例10 50代女性.不整脈
  【その他】
   11 症例11 40代女性.肺高血圧症
   12 症例12 70代女性.収縮性心膜炎 心タンポナーデ

索引

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循環器診察の「暗黙知」をふんだんに盛り込んだ一冊
書評者: 水野 篤 (聖路加国際病院循環器内科)
 本書が類書と比較にならないほどの明らかな優位性は,筆者の圧倒的なフィジカル能力を別として2点ある。一つは動画・音声コンテンツ。もう一つは温故知新である。

 心音のみならず頸静脈などの動画を多く含んでいることに加え,筆者が心尖拍動といったかすかな視診・触診の所見を初学者にどう伝えるかを検討してきた末に到達した「ふせん」まで,過去にも動画音声を含む書籍は多数あるが,それらと比較してもかなり豊富なコンテンツが盛り込まれている。スマートフォンやデジタルカメラといったデバイスの進化で視診・触診のダイナミクスを実際に読者に伝えることが可能となった。なんといっても「百聞は一見にしかず」ということで,視診の大切さを再度思い出させてくれるだろう。実際に例年神戸で行われる,循環器Physical Examination講習会も,今は心音に加え頸静脈,心尖拍動といった所見がかなりの要素で含まれるようになってきており,そこの講師達の中にある「暗黙知」をふんだんに盛り込んでいるので読んでいて“お得感”がある。視診および聴診を合わせることで診断に近づくことができるということを,他の誰より筆者が楽しんでいることが伝わると思う。

 さらに,本書は動画や心音で,直接の五感に訴えるだけではなく,偉大なる先人,吉川純一先生や福田信夫先生の書籍に近い含蓄,知恵というものを残している。ぜひ,細かな一言一句をかみしめて読んで欲しい。これは自分のような若輩者にはできないことである。本書を読むことで,おそらく過去の先人たちが何を大切にしてきたかということを感じることができるだろう。

 最後の症例集においては,ぜひ読者の皆さんには診断名を隠して疾患を当てることをしていただくことを推奨する。そういう意味では,自信がある読者には動画コンテンツから入るという楽しみ方もある。

 一つだけ注意点がある。スマホで閲覧できるようになったのは画期的であるが,心尖拍動や頸静脈のコンテンツは本当にかすかな所見であるため,電車などの振動で容易にわからなくなる。特に新幹線などではせっかくの音や頸静脈拍動も台なしである(笑)。

 心を落ち着ける環境で,穴があくほど見て,繰り返し聞いて,身体診察のアートを感じて欲しい。
実践的な力がつき,かつ診察を楽しめるストロングスタイルの一冊
書評者: 室生 卓 (倫生会みどり病院心臓弁膜症センター内科/院長)
 著者の山崎直仁先生は毎年開催される「循環器physical examination講習会」の主要メンバーである。彼のレクチャーはわかりやすく,またウィットに富んでおり,毎回参加者からの評価も非常に高い。その高評価の本質はしっかりした基本とその上に積み上げられた豊富な経験と知識に裏付けられた彼の実力である。いわば,毎日数千回に及ぶヒンズースクワットで鍛え上げられた足腰の上に百戦錬磨の実戦経験を積んだ本格派ストロングスタイルである。

 本書は内科臨床誌『medicina』の連載「診断力を上げる 循環器Physical Examinationのコツ」を再編成したもので各論は,基本編とも言える「1.循環器Physical Examinationのコツ」と,実践編の「2.症例から学ぶ 循環器疾患の診かた」の2部構成になっている。両編とも一つひとつの記載がしっかりしていてあいまいなところがなく初学者にもわかりやすい。

 さらに本書のもう一つの特徴はストレートな記載にならんで全編にふんだんに用いられているカラー動画,シェーマと心音である。いずれも非常にわかりやすく説得力がある。Physical examinationは患者から直接得られる情報を自らの五感で収集し自らの経験と知識で判断するものである。その分「見方」「聴き方」「触り方」とその解釈のいずれにおいても実力の差が如実に現れることになる。血液検査ならばその結果は数値で得られ,基準範囲が与えられるから少なくとも正常,異常の判別に迷うことはない。本書では重要な所見が「百聞は一見に如かず」(聴診は「一聴」か)と言わんばかりの説得力で動画や心音で体験できる。まさにベッドサイドで山崎先生と回診をしているかのような臨場感があり,読んでいて楽しくなってくる。

 これから循環器のphysical examinationを学ぼうとする初学者はもちろんだが,教育的立場の指導医,あるいはphysical examinationには結構自信があるという「猛者」を自認する人でも歯ごたえは十分の書と言える。小手先でなく本格的にphysical examinationを学ぼうと思う人に最適の書である。

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