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異常値の出るメカニズム 第7版

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増え続ける検査項目。これからの医療者には、初診時の基本的な検査から異常値が示す背景を探り、次に行うべき検査を適切に選択し、後に続く医療行為のゲート情報を見極める眼が求められます。5年振りの改訂第7版は「基本的検査」と、二次的に行う「基本検査に準ずる検査」に分類してメリハリをつけ、使用頻度順に項目を組み替え、よりわかりやすく生まれ変わりました。臨床検査医学を学ぶ学生、医療者の必携書。
監修 河合 忠
編集 山田 俊幸 / 本田 孝行
発行 2018年03月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-03240-7
定価 6,600円 (本体6,000円+税)
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第7版 序

 医学,医療が進歩するとともに臨床検査もその項目数が増え続けている.教育としては最新のものを解説することが求められるが,実は近年追加される検査は,初診の段階ではなく,診断をさらに絞りこむ際や,治療の適応や効果を判定する局面で用いられる二次的なものが多く,つまり目的が限られているため,成績の解釈は比較的容易である.一方,初診時に行う基本的検査は,異常値を示す背景が単純ではなく,次に行うべき検査の選択を含め,後に続く医療行為のゲート情報として重要度は高く,臨床検査医学教育が最大の力点を置くべきものといえる.このコンセプトのもとに,基本的検査が異常値を示す背景を,基礎医学と臨床医学のエッセンスをつなげ,わかりやすく解説したのが本書の出発点であった.初版関係者の卓越した文章力,印象的な図の採用など,構成力のたまもので,読者,特に医学生や関連領域の初学者の支持を受け,初版から33年経過した現在まで愛されてきた.
 このたび,初版編者であり執筆者の河合 忠博士には,総合監修という立場で,指導をあおぐこととし,実働の編集体制を一新することになり,全般的な構成に若干の変更を加えた.
 まず,基本的検査を重要視することを明確にするため,各分野で該当するものを「基本検査」と位置づけて解説に重点をおいた.二次的に行うものを「基本検査に準ずる検査」として,やや軽めの比重で解説した.結果的に本書に含めなかった検査項目については類書を参照していただきたい.また,臨床検査の教科書の多くは検査総論で始まり,次に一般検査,という掲載順となるが,今回は,使用頻度などを考慮して掲載順序を組み替えた.
 構成変更ならびに執筆者の交代による解説内容の変更においては,初版から続く基本コンセプトを遵守するよう細心の注意を払って行ったつもりであるが,読者からは是非忌憚のないご意見を賜り,次回の改訂に活かしていきたい.
 最後に,本書には,「KAWAI's LABORATORY MEDICINE」と副題をつけて永く受け継ぐことになった.臨床検査医学を学ぶ多くの医学生,医療関係者に永く愛していただけたら幸いである.

 2018年1月
 編者

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1章 末梢血液一般検査
 総論
  1 基本的な血球検査の読み方
  2 血球の産生
  3 血球の消費(消失)
 基本検査
  1 全血球算定(CBC)
  2 赤血球
  3 白血球
  4 血小板
 基本検査に準ずる検査
  1 赤血球沈降速度(赤沈)
  2 赤血球酵素検査
  3 赤血球浸透圧抵抗試験
  4 フローサイトメトリー(表面マーカー検査)
  5 骨髄像

2章 凝固線溶検査
 総論
  1 止血機構
  2 止血機構のスクリーニング検査
 基本検査
  1 プロトロンビン時間(PT)
  2 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
  3 フィブリノゲン
  4 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
 基本検査に準ずる検査
  1 凝固系検査
  2 線溶系検査

3章 含窒素化合物,生体色素,腎機能の検査
 総論
  1 アミノ酸・蛋白質の代謝
 基本検査
  1 尿素窒素(尿素)
  2 クレアチニン
  3 尿酸
  4 アンモニア
  5 血清ビリルビン
 基本検査に準ずる検査
  1 シスタチンC
  2 アミノ酸

4章 血漿蛋白の検査
 総論
  1 代謝
 基本検査
  1 血清総蛋白
  2 アルブミン
  3 血清蛋白分画
  4 C反応性蛋白(CRP)と炎症マーカー
 基本検査に準ずる検査
  1 免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM)定量
  2 M蛋白関連検査
  3 クリオグロブリン
  4 β2-ミクログロブリン
  5 栄養指標蛋白
  6 KL-6
  7 可溶性IL-2レセプター
  8 フェリチン

5章 酵素検査
 総論
 基本検査
  1 ASTとALT
  2 乳酸脱水素酵素(LD)
  3 アルカリホスファターゼ(ALP)
  4 γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GT)
  5 クレアチンキナーゼ(CK)
  6 アミラーゼ(AMY)
  7 コリンエステラーゼ(ChE)
 基本検査に準ずる検査
  1 LDアイソザイム
  2 ALPアイソザイム
  3 アミラーゼアイソザイム
  4 リパーゼ
  5 心筋傷害マーカー
  6 心筋ストレスマーカー,BNPとANP

6章 糖代謝関連検査
 総論
  1 糖質
  2 血糖の調節
  3 検査の臨床的意義
 基本検査
  1 血糖と経口糖負荷試験
  2 HbA1c
 基本検査に準ずる検査
  1 インスリンとCペプチド
  2 HbA1c以外の糖尿病コントロールマーカー
  3 糖尿病関連自己抗体検査
  4 糖尿病の合併症関連検査
  5 糖代謝産物とその他の糖
  6 グルカゴンと負荷試験

7章 脂質代謝関連検査
 総論
  1 脂質代謝の概要
  2 脂質代謝の臨床
 基本検査
  1 総コレステロールとLDLコレステロール
  2 中性脂肪
  3 HDLコレステロール
 基本検査に準ずる検査
  1 アポ蛋白
  2 リポ蛋白関連検査
  3 リポ蛋白代謝の主要酵素群
  4 血中脂肪酸分画

8章 電解質
 総論
  1 体内の水分布とその調節
  2 水・電解質平衡の異常を招く5つの場
 基本検査
  1 ナトリウム(Na)とクロル(Cl)
  2 カリウム(K)
  3 カルシウム(Ca)
  4 無機リン(P)
 基本検査に準ずる検査
  1 マグネシウム(Mg)
  2 銅とセルロプラスミン
  3 微量金属

9章 酸塩基平衡
 総論
 基本検査
  1 動脈血ガス分析の読み方
  2 酸塩基平衡の異常
  3 動脈血酸素分圧(PaO2

10章 免疫・アレルギー検査
 総論
  1 アレルギーの病態と分類
  2 自己免疫疾患と自己抗体の意義
  3 抗原抗体反応を利用する検査の注意点
 基本検査
  1 関節リウマチの検査(RF,ACPA,MMP-3)
  2 抗核抗体
  3 補体
  4 輸血検査
  5 IgEとIgE抗体
 基本検査に準ずる検査
  1 各種自己抗体の検査
  2 抗リン脂質抗体
  3 抗赤血球抗体
  4 寒冷凝集素
  5 Donath-Landsteiner抗体
  6 細胞性免疫の検査

11章 腫瘍マーカー検査
 腫瘍マーカー
  1 腫瘍マーカーの定義
  2 腫瘍マーカーの産生機序による分類
  3 糖鎖抗原の腫瘍マーカー
  4 腫瘍マーカーの現状
 基本検査
  1 CEA
  2 AFP
  3 PSA
  4 CA19-9(糖鎖抗原19-9)
 基本検査に準ずる検査
  1 CYFRA
  2 ProGRP
  3 SCC抗原
  4 NSE

12章 ホルモン検査
 総論
  1 ホルモンの概要
  2 臨床検査におけるホルモン
 基本検査
  1 甲状腺ホルモン
  2 甲状腺刺激ホルモン
 基本検査に準ずる検査
  1 下垂体ホルモン
  2 副甲状腺ホルモン
  3 副腎ホルモン
  4 性(腺)ホルモン
  5 ナトリウム利尿ペプチド

13章 尿・便・分泌液検査
 総論
  1 尿の生成
  2 尿のサンプリングと尿検査のピットフォール
  3 尿検査の種類
 基本検査
  1 尿の観察
  2 尿潜血と血尿
  3 尿比重と尿浸透圧
  4 尿pH(尿水素イオン濃度)
  5 尿蛋白
  6 尿糖(尿グルコース)
  7 尿胆汁色素
  8 尿亜硝酸塩と白血球反応
  9 便潜血検査
 基本検査に準ずる検査
  1 尿沈渣(尿中有形成分測定を含む)
  2 尿妊娠反応検査(尿排卵予知検査を含む)
  3 尿中蛋白定量
  4 尿アミノ酸と電解質
  5 尿ケトン体
  6 糞便の寄生虫・原虫
  7 分泌液検査

14章 穿刺液・髄液検査
 総論
 漿液検査
  1 漿液の生成
  2 漿液が貯留する場合
 髄液検査
  1 髄液の生成
  2 髄液の外観と液圧の上昇
  3 髄液の細胞成分が増加する場合
  4 髄液中の病原微生物
  5 髄液中の化学的成分の増減
  6 髄液蛋白と検査法
  7 髄液蛋白が増加する場合
 関節液検査
  1 関節の構造と関節液の生成
  2 関節液の外観と有形成分
  3 関節液の生化学的検査
  4 関節マーカー検査と臨床的意義

15章 感染症の検査
 総論
  1 感染症とは
  2 感染経路
  3 感染の成立
  4 感染症の種類
  5 感染症新法
  6 感染症の検査
 細菌感染症
  1 診断検査
  2 補助的血液検査
 真菌感染症
  1 診断検査
  2 補助的血液検査(β-Dグルカン)
 ウイルス感染症
  1 診断検査
  2 補助的血液検査
  3 ウイルス肝炎
  4 風疹

16章 遺伝子検査
 総論
  1 遺伝子検査
  2 染色体検査
  3 遺伝子検査か染色体検査か
 核酸増幅検査
  1 polymerase chain reaction(PCR)法
  2 loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法
  3 その他の検査
 染色体検査
  1 総論
  2 分染法
  3 in situ ハイブリダイゼーション(ゲノムDNAを対象とした場合)
  4 染色体検査と遺伝子検査のかかわり(染色体転座を例に)
  5 治療効果判定に必要な微小残存病変評価
  6 リキッドバイオプシー(液体生検)と遺伝子検査

17章 検査値の見方
 検査値の背景
  1 検査値の見方の基本
  2 検査の標準化と精度管理
  3 検査の閾値
 検査値に影響を与える因子
  1 生理的変動
  2 試料採取と取り扱いによる影響

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欧文索引

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新たな魅力が加わり一層利用しやすくなった改訂版
書評者: 佐藤 尚武 (順天堂東京江東高齢者医療センター臨床検査科科長)
 『異常値の出るメカニズム 第7版』が刊行された。本書は1985年に初版が出版されて以来,30年以上にわたって版を重ねている臨床検査医学領域の名著である。一度は目にしたことのある医療関係者も多いのではないだろうか。

 私は初版以来全ての版に目を通しているが,今回はこれまでで最も大きな変更があった。まず,初版からの編著者であった河合忠先生(自治医大名誉教授)が監修に回り,山田俊幸先生(自治医大教授)と本田孝行先生(信州大教授)による編集になった点である。また,本書の英文名がLaboratory MedicineからKawai’s Laboratory Medicineに変更された。本田先生は今回から編者に加わっているが,実は第6版の書評を書いておられ,私はそれを読んだ覚えがある。そこには,信州大でReversed Clinicopathological Conference(RCPC)を実施するにあたり,『異常値の出るメカニズム』を10回以上精読したと書かれていた。本田先生自身が本書の愛読者だったわけである。

 次の変更点は本の厚さである。本書は初版以来,版を重ねる度に徐々に厚くなってきていたが,今回初めて少々薄くなった。実際,第6版は500ページに迫るページ数だったが,第7版は300ページほどになっている。この変化は内容にも反映されており,各章が「総論」「基本検査」「基本検査に準ずる検査」で構成されるようになった(9,11,14~17章を除く)。そして内容がかなりそぎ落とされ,読みやすくなっている。また,基本的検査を中心に解説するという本書のコンセプトが明確になった。

 三番目は表紙をはじめ,全体がカラフルになったことである。以前から多色の図表が数多く用いられていたが,今回は色の種類が格段に増え,大変きれいにかつ一見して理解しやすくなっている。本書の特長であった河合先生の原図は,今回も多くが踏襲されているが,新たな図も多数追加されている。

 四番目は,いきなり末梢血液一般検査から章立てが始まっており,総論にあたる検査値の見方は最終の17章に移動している点である。尿や便,穿刺液など,血液以外の材料を検体とする検査も後方に移動した。血液検査を,末梢血液一般検査と凝固線溶検査に分けるといった変更も行われている。

 全体がスリムになったとはいえ,新たな内容も追加されている。いくつか例を挙げると,感染症の検査では質量分析法による同定や,髄液培養におけるグラム染色による原因菌推定のフローチャートが追加されている。遺伝子検査は一新され,具体的で詳しい内容になっている。総論(17章 検査値の見方)では,共用基準範囲が収載された。

 今回の第7版は,これまで本書が有していた価値を損なうことなく,新たな魅力を付加し,かつ利用しやすくなっている。これまでの版以上に多くの読者に愛読され,これにより臨床検査(検体検査)がより有効に利用されることを期待している。
診療でも学習でも一層使いやすい構成となった改訂版
書評者: 前川 真人 (浜松医大教授・臨床検査医学)
 異常値の出るメカニズム,何と興味を引くタイトルかと思う。1985年に初版が出たとき,「おっ,待ってました」と購入したことを覚えている。たしか,河合忠先生が『medicina』という月刊誌に書かれていたのを元に書籍にとりまとめられたものであった。月刊誌は読んでいたので,書籍になって本当にありがたかった。なぜなら臨床検査を現象として記載している書籍は他にもあったが,本書のように「なぜ異常になるのか,どういうメカニズムで異常値になっているのか,その背景にはどんな病態があるのか」などの疑問に答えてくれる書籍は,本書が初めてではなかったかと思う。そして,今でも他書にはない特徴を引き継いでいるのがわかる。現在は河合先生が監修をされ,山田俊幸先生,本田孝行先生が編集を担当されている。臨床検査専門医として,臨床検査医学の研究者であり教育者であるお二人が,時代に即した改変を加えつつ,初版のスコープをそのまま維持し,拡張させていると思える。

 初版が出てから30年を過ぎ,臨床検査もずいぶん変わった。技術の進歩による精度の向上,高感度化により,測定値がますます収束して,病態による微細な変化も捉えられるようになった。また,バイオマーカーという,病態よりも即病気を反映するような検査項目も開発されてきた。この臨床検査の進歩に追随するように,本書で扱う検査項目も増えてきている。そして,以前の版に比べて構成が少し変化している。すなわち,各章で検査群を扱っているが,その中で“総論”,“基本検査”,“基本検査に準ずる検査”と分けて書き込んでいる。これは,検査を段階的に進めていく診療上の検査依頼も意識してのことであろう。さらに,その章の中で,高頻度に測定するコアとなる検査項目が扱われている。まずは,基本検査に記載の検査項目を理解した後に,基本検査に準ずる検査に進めていくことが,診療でも学習でも必要である。

 これだけの内容を伝統のある『異常値の出るメカニズム』という比較的コンパクトな書籍にまとめるのは,大変なご苦労をされていると思う。ほぼどのページにも図表が掲載されており,特に図が多いのが本書の特徴でもある。表には情報を詰め込みやすいが,図はイメージすることができ理解を助けてくれる。作る側から考えると図を作るほうが大変なので,読み手からするとぜいたくな書籍と言えよう。

 一つだけ注文を出させてもらえるなら,検査項目が増えすぎて,詳細なメカニズムまで触れにくくなっている。ページが許せば,細胞内での転写因子が遺伝子の制御領域に結合するところから説明するものもあってもよいかもしれない。ストーリーが長くなるかもしれないが,そこまですれば『チコちゃんに叱られる』こともないだろう。

 ともあれ,各検査領域のエキスパートが渾身の力を込めて執筆された『異常値の出るメカニズム 第7版』,ぜひご一読いただきたい。特に医師や臨床検査技師をめざしている方,既に働き始めている若い方々ばかりでなく,臨床検査に興味がある各種医療関連の職種および学生にもお薦めする。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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