標準微生物学 第12版

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定評ある微生物学の教科書改訂第12版。(1)最新かつ正確な記述、(2)臨床とのつながりを重視した構成、(3)よくまとまった図表、(4)オールカラーでわかりやすい紙面、などの前版からの特徴はもとより、今版では前版で好評であった寄生虫の項目を大幅拡充。本書で細菌・真菌・ウイルス・原虫・蠕虫をカバーできる。また、新たに「付録:実習に役立つ細菌分離用培地の基礎」も掲載。将来感染症と向き合うための土台となる、心強い1冊。
シリーズ 標準医学
編集 中込 治 / 神谷 茂
発行 2015年02月判型:B5頁:708
ISBN 978-4-260-02046-6
定価 7,700円 (本体7,000円+税)
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第12版 序

 世界を震撼させた西アフリカにおける未曾有のエボラ出血熱の流行,発生が続く中東呼吸器症候群(MERS),都心でのデング熱患者の発生,さらにわが国にも常在していることがわかったダニ媒介性の新しいウイルス感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など,人類は感染症に国境も終わりもないことを身をもって体験してきている.一方,高度先進医療の普及は,多くの易感染性宿主における感染症の増加をもたらしている.したがって,医学教育課程でこのような感染症の基礎となる病原微生物学を学ぶ意義は大きい.『標準微生物学』は初版からこの第12版に至るまで,医学における微生物学はいかにあるべきかという理念を求め時代の要請に応えるとともに,時代のゆく先に指針を与えるべく改訂を重ねてきた.その結果培われてきた本書の特徴は以下のとおりである.
①臨床とのつながりを重視:基礎医学である病原微生物学を学ぶことが,臨床医学における感染症学にどのように展開していくのか.病原微生物学の学習は,この感染症学への応用という視点を欠けばその意味を失いかねない.一方,感染症学の理解も,個々の病原微生物学の生物学的特徴を知るという努力を欠けば危うい.そのため本書では臨床とのつながりを重視した構成をとっている.特に「第IX編 感染症の臨床へのアプローチ」は,臨床医学の観点から病原微生物学の知識を再構成することを試みたものである.学生諸君は,クロスリファレンスの労をいとわず各病原微生物の該当頁に目を通し,学んだ知識を有機的に結び付けてほしい.将来感染症と向き合う際に,ここで身に付けた知識が必ず役に立つことだろう.
②最新かつ正確な記述:本書は総論から各論まで,医学生が基礎および臨床を通して必要とする病原微生物学のすべてを網羅し,必要に応じAdvanced Studiesとしてより進んだ内容も記載している.また,各項目の記述が正確であることはもちろん,およそ3年間隔で定期的に改訂することにより,常に最新の内容を盛り込んだ信頼ある微生物学の教科書となっていると自負している.
③オールカラー:全頁カラーとすることで,より見やすい頁構成を心がけた.
④構成マップの付与:各編の冒頭に構成マップを付け,はじめにその編全体の内容を概観できるようにしている.その編で学ぶべき事項や各病原微生物が視覚的に一覧でき,学習の助けとなるであろう.
⑤要点の掲載:学生諸君の学習の利便をはかるため,巻末付録「細菌学・真菌学・ウイルス学・寄生虫学の要点」を引き続き掲載した.これは本書第III編~第VIII編の重要事項の記載を,おおむねそのまま抜き出して(一部は改変して)まとめたもので,いわば本書のエッセンスを凝縮したものである.ここを参照することで微生物学の重要事項を理解し,さらに本文の該当頁を再復習することで,知識に厚みを持たせてほしい.時に応じて復習すれば,学習者に大きな自信を与えるだろう.また,ポイントとなる語句は色文字とし,市販の赤いシートをかぶせることで消えるようにしてある.穴埋め問題集として繰り返しチェックを行うことで,医学生が最低限学ばねばならない微生物学の知識が身につくであろう.効率のよい学習のために,ぜひ活用してもらいたい.
⑥略語一覧・索引の充実:初学者にとって使いやすい教科書となるよう,版を重ねるたびに略語一覧と索引を充実させてきた.ふだんの学習において気になる用語やわからない用語があった際など,大いに活用して本書を使いこなしてもらいたい.

 これらの特徴を堅持し,この第12版からは新たに以下のような改訂を加えた.

・イラストの刷新:ウイルス粒子の模式図など,多くの図を新たに描き直すことによって,より見やすい誌面構成となるよう試みた.
・「第V編 真菌学」の充実:今版より「第28章 真菌学総論」「第29章 真菌学各論」の2章に分け,真菌学各論では分類学的な観点から主要病原真菌ごとに解説を行った.
・「第VIII編 寄生虫学」の新設:前版で初めて「寄生虫感染症」の章を設けて好評を得たが,今版では寄生虫学の解説をさらに充実させるべく“編”として独立させ,「第41章 原虫学」と「第42章 蠕虫学」に分けて掲載した.
・「付録 実習に役立つ細菌分離用培地の基礎」の掲載:付録の章として,実習などでよく用いられる代表的な培地の解説をまとめた.

 本書を活用することで,学生諸君が病原微生物学の生きた知識を身につけてくれることを望む.

 最後に,改訂の趣旨を了解し,時間のないなか編集者からの少なからぬ無理な要求にも快く応じられ執筆に協力してくださった分担執筆者に御礼申し上げる.また,校正は細心の注意をもって行ったが,なお意を尽くさぬところを懼れる.この点に関し,ぜひとも読者からのご叱正を賜りたい.お気づきの点があれば,医学書院『標準微生物学』編集室宛にご連絡いただければ幸いである.

 2015年1月
 中込 治
 神谷 茂

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第I編 微生物学の歴史
 第1章 微生物学の歴史

第II編 環境と微生物
 第2章 微生物の種類と微生物学の範囲
 第3章 生体防御と感染
 第4章 易感染性宿主と日和見感染症
 第5章 消毒と滅菌
 第6章 バイオセーフティと病原微生物の取り扱い

第III編 細菌学総論
 第7章 細菌の構造と機能
 第8章 細菌の物質代謝の特徴
 第9章 細菌遺伝学
 第10章 細菌の病原性
  細菌の病原因子
  内毒素(エンドトキシン)
  外毒素
 第11章 細菌の分類と同定
 第12章 細菌の検査室診断
 第13章 細菌感染症と化学療法

第IV編 細菌学各論
 第14章 グラム陽性球菌
 第15章 有芽胞菌
 第16章 グラム陽性無芽胞桿菌
 第17章 グラム陰性通性嫌気性桿菌
  腸内細菌科
  ビブリオ科
  エロモナス科
  その他のグラム陰性通性嫌気性桿菌
 第18章 グラム陰性好気性桿菌
 第19章 無芽胞偏性嫌気性グラム陰性桿菌
 第20章 グラム陰性好気性球菌および球桿菌
 第21章 グラム陰性嫌気性球菌
 第22章 スピロヘータ科細菌,レプトスピラ科細菌,らせん菌
  スピロヘータ科
  レプトスピラ科
  らせん菌
 第23章 放線菌とその関連細菌
 第24章 口腔細菌
 第25章 マイコプラズマ
 第26章 リケッチア
 第27章 クラミジア

第V編 真菌学
 第28章 真菌学総論
 第29章 真菌学各論
  子嚢菌門
  担子菌門
  門の所属不明の亜門

第VI編 ウイルス学総論
 第30章 ウイルスの形態・構造・組成
 第31章 ウイルスの分類と命名
 第32章 ウイルスの増殖
 第33章 ウイルスの遺伝・進化
 第34章 ウイルスの病原性
 第35章 ウイルスの検査室診断
 第36章 ウイルス病の治療

第VII編 ウイルス学各論
 第37章 DNA型ウイルス
 第38章 RNA型ウイルス
 第39章 肝炎ウイルス
 第40章 プリオンと遅発性ウイルス感染症

第VIII編 寄生虫学
 第41章 原虫学
 第42章 蠕虫学

第IX編 感染症の臨床へのアプローチ
 第43章 感染症の制圧と予防
 第44章 医療関連感染
 第45章 全身性炎症反応症候群(SIRS)
 第46章 新興ウイルス感染症
 第47章 臨床症状から病原診断へ:syndromic approach
 付録 実習に役立つ細菌分離用培地の基礎

付1 細菌学・真菌学・ウイルス学・寄生虫学の要点
付2 本書で用いた略語一覧
和文索引
欧文索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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