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ネルソン小児感染症治療ガイド 原書第19版

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小児抗菌薬療法のエキスパートによる実践的でエビデンスに基づいた情報を、表形式でコンパクトに収載したマニュアル。小児の感染症治療について、信頼できる最新の推奨療法にすぐにたどり着ける。感染症の各疾患では多くの抗菌薬の中からベストな選択ができるように解説がついている。『サンフォード感染症治療ガイド』(熱病)の小児版とも言える内容。
監訳 齋藤 昭彦
翻訳 新潟大学小児科学教室
発行 2013年08月判型:B6変頁:296
ISBN 978-4-260-01808-1
定価 3,740円 (本体3,400円+税)
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監訳の序(齋藤昭彦)/はじめに(John S Bradley, John D Nelson)

監訳の序
 帰国して,まもなく5年の歳月が経とうとしているが,私は翻訳の仕事を自ら進んで行ってこなかった.なぜなら原著に勝る本はなく,翻訳することで原著者の意図するところが変わり,本来の意味が伝わらない可能性があるからだ.また特に若い人たちには常日頃から英語で医学を勉強することの重要性を伝えており,翻訳されたものがあると英語に触れる機会が少なくなってしまう可能性もある.
 本書の原著は,私が小児感染症のトレーニングを受け,そして指導医として働いたカリフォルニア大学サンディエゴ校,サンディエゴ小児病院小児感染症科の臨床部門のチーフである John Bradley が John Nelson と一緒に執筆した,小児の抗微生物薬のポケット本である.初版は1975年に発行され,その後,多くの改訂を重ね,本版は第19版(2012-2013年)である.18版(2010-2011年)からは米国小児科学会(AAP)の出版物として発行されている.約2年おきに改訂が続き,学会からの本となったことからも,いかに本書が実践の臨床の場で支持されているかがおわかりであろう.そこには米国の感染症専門医が執筆した最新の抗微生物薬の情報が結集されており,私も2008年まで実際の米国の臨床現場でこの原著を白衣のポケットに入れ,診療を行ってきた.
 実は米国で仕事をしていたときに,著者の John Bradley から「この本の日本語版を作ってみないか」という話をもらったことがあったが,当時は,自分の研究のことで頭が一杯で,加えて上記の理由もあって断った.2008年に帰国し,2011年に新潟大学に赴任した後,今度は医学書院からこの翻訳の依頼があったとき,少し自分の考えに変化があった.原著者の知人でありよき友人でもある自分にとって,この本を翻訳する使命があるのではないか,また翻訳を通じて,教室の医師たちの抗微生物薬の特徴を知る勉強の機会となり,この作業を通じてさらに連帯感をもった仕事ができるのではないか.そういう新たな思いでこの仕事に取りかかった.そして教室員の有志を募り,翻訳作業を進めた.その過程は決して平坦ではなかったが,皆がより良いものを作ろうという気持ちでまとまり,企画から約10カ月の短期間で完成に至った.
 本書は米国の実際の臨床で使われているものであり,国内では使えない薬剤,投与量の異なる薬剤が存在する.したがって,この本のすべてをこのまま日本の臨床の現場で使うことはできない.しかしながら,国内で使えない薬剤は区別するために英語で記載し,投与量が異なる場合はできるだけ訳注という形で解説を加えた.逆にここから,海外と国内での小児における抗微生物薬の使用に関するギャップがあることをおわかりいただけるかと思う.実際の国内の臨床の現場でこれらの問題は大きく,これをどう解決し,そして世界標準の治療にどう近づけるかはこれからの大きな課題である.
 私が米国で指導医として働いていた頃 John Bradley からその当時いただいた16版(2006-2007年)の裏表紙には,次のコメントが彼の直筆で書かれている.

Aki,
Thanks for being a wonderful friend and outstanding colleague!
Please let me know if we can make this (book) better.
 My best regards,
 John


 今まではこの本をただ利用する立場であった.しかしこの翻訳を通じて,本書を最初から最後まで精読し,本書の改善点,疑問点などを多く見つけることができた.そして早速 John Bradley に報告した.この本をより良くするために,感染症診療の基礎を教わった John に対して自分なりの仕事が今,ようやくできたような気がする.
 本書を翻訳するにあたり,多くの方々にお世話になった.医学書院の西村僚一氏,板橋俊雄氏には,それぞれ,本編の編集,制作の面でお世話になり,また,アメリカ小児科学会の Marth Cook には,日本版翻訳への許可を頂く過程でお世話になった.この場をかりてお礼申し上げたい.
 本書が小児感染症の診療に役立ち,最終的に日本の子どもたちの健康につながることを祈って.

 2013年8月
 新潟大学大学院教授・小児科学
 齋藤昭彦


はじめに
 小児感染症の分野では多様性と複雑性が増し,1人がすべての領域で熟達するのは当然不可能なことである.これまでの版では,薬理学の Dr. Jason Sauberan,熱帯医学の Dr. John Leake,HIV医学の Dr. Paul Palumbo,そして新生児学の Dr. Pablo Sanchez に協力頂いた.本版でも,小児感染症の領域で聡明で最も臨床的な見解をもつ真菌感染症の専門家であるDuke大学 Dr. William Steinbach,ウイルス感染症の専門家であるAlabama大学 Dr. David Kimberlin にも協力頂いた.
 “The Pocket Book of Pediatric Antimicrobial Therapy”初版から携わってきた専門家は,現在は編集者として協力をお願いしている (*訳注:原著初版のタイトル.1975年発行).さらに,スマートフォン用のデジタル版(アプリ)の普及により,参考文献や選択薬についてのコメントの追加など,より迅速で,完璧なデジタル版としてこの本はさらに発展していくだろう.また,米国小児科学会(AAP)として,われわれのように本の感触を好む人のために,本のフォーマットの発行も続けることを強調しておきたい.
 このような進化を反映し,本版では“Nelson’s Pediatric Antimicrobial Therapy”と本の名称を変え,目まぐるしく変化するこの分野において適切なアドバイスを伝えることを重要な役割としている.今後も小児感染症分野に携わる人々に対して,臨床的で根拠に基づいた推奨を提供していくことを約束する.
 版を重ねるごとに,われわれは主な小児感染症に対する治療の推奨レベルについて,その根拠が確かであるか否かの評価を見直してきた.発表済みの質の高い臨床試験や国家レベルのガイドラインがない場合は,医学雑誌,学会発表,合意声明,そして臨床経験からデータを収集してきた.そしてわれわれの評価を簡潔に示すために,推奨の強さおよび根拠の強さをそれぞれ3つのレベルに分けて示した(表1,2参照)

表1 推奨の強さ
推奨の強さ説明
A強く推奨する
Bよい選択として推奨する
C多くの他の治療のなかで,適切な治療としての選択肢の1つになりうる


表2 根拠のレベル
根拠のレベル説明
I適切な小児の症例数でよく計画され,前方視的で,ランダム比較試験に基づいている
II前方視的であるが,少数の比較試験,あるいは信頼できる,後方視的な小児の臨床試験,あるいは成人など小児以外の対象からのデータに基づいている
III適切なデータが存在しておらず,症例報告,合意声明,専門家の意見に基づいている


 初版から,FDA(米国食品医薬品局)が疾患に対して提示している以外の多くの推奨を本書に記載してきた.その理由として,抗菌薬の初期治療が行われる際には,多くの場合起因菌が判明していないこと,標的としている感染臓器も原発ではなく続発してその臓器に及んでいる可能性があること,そして経済的,そして医療環境の理由からFDAの示しているものと異なった使用方法をとらざるを得ないことなどが挙げられる.確かに,医学論文に掲載されている臨床データはしばしば慎重な解釈が必要である.しかしながら,これらの論文は最終的に,その本質を知るうえで価値のある情報を与えてくれる.薬剤を使用する際には,どのような症例においても起こりうるリスクとベネフィットについて判断しなければならないのである.
 かつて,AAP Red Book Committee の管理責任者で,現在AAPの製品開発部の編集長である Ms. Martha Cook には,“Nelson’s Pediatric Antimicrobial Therapy”の支持者として,本書をAAPの出版に加えていただくなど,この4年間大変ご尽力いただいた.AAPの出版物に加えていただくまでの間,推奨や根拠のグレードをつけるにあたり,彼女からの激励と的確な助言に対して感謝の意を表したい.同じく,AAPで,現在も子どもに対して最良の医療を提供することをともに目標として,われわれのパートナーとして関わってもらっている Mr. Jeft Mahony,Mr. Mark Gremes そして Ms. Maureen DeRosa にも感謝の意を表したい.

 John S Bradley, MD, FAAP
 John D Nelson, MD

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監訳の序
はじめに

1.抗菌薬の選択(β-ラクタム,マクロライド,アミノグリコシド,フルオロキノロン)
2.抗真菌薬の選択(ポリエン系,アゾール系,エキノキャンディン系)
3.感受性結果,薬力学,治療成績に基づく抗菌薬の投与量
4.市中MRSA
5.新生児への抗微生物薬療法
 A. 新生児の疾患別推奨療法
 B. 新生児に対する抗微生物薬の投与量
 C. アミノグリコシド
 D.バンコマイシン
 E. 妊娠および授乳中における抗微生物薬の使用
6.臨床症状による抗微生物薬療法
 A. 皮膚・軟部組織感染症
 B.骨・関節感染症
 C. 眼感染症
 D.耳,副鼻腔感染症
 E. 口腔咽頭感染症
 F.下気道感染症
 G. 心血管系感染症
 H.消化管感染症
 I. 性器と性感染症
 J.中枢神経系感染症
 K. 尿路感染症
 L.その他の全身感染症
7.特記すべき細菌とマイコバクテリアに対する推奨療法
8.特定の真菌に対する推奨療法
 A. 全身感染症
 B.皮膚粘膜の限局性感染症
9.特定のウイルスに対する推奨療法
10.特定の寄生虫に対する推奨療法
11.ABC順の抗微生物薬リスト
 A. 全身投与用抗微生物薬の剤形と投与法
 B. 局所に投与する抗微生物薬(皮膚,眼,耳)
12.肥満児に対する抗菌薬療法
13.腎不全患者に対する抗菌薬療法
14.症候性感染症に対する抗微生物薬の予防投与/予防
 A. 曝露後の予防投与
 B.症候性感染症の長期的予防投与
 C. 先行治療/潜在性感染症の治療(症候性感染症の予防投与)
 D. 手術や処理時の予防投与
15.重症感染症に対する静注-経口抗菌薬療法(経口ステップダウン療法)
16.抗微生物薬の副反応
17.薬物相互作用

付録:体表面積決定のためのノモグラム
索引

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小児患者の日常診療にすぐに役立つポケットマニュアル
書評者: 岩田 敏 (慶大教授・感染症学)
 “The Pocket Book of Pediatric Antimicrobial Therapy”は1975年に初版が発行された米国の小児抗微生物薬療法に関するポケットマニュアルである。1976年に小児科医となった私も,当時国内では小児感染症治療に関してコンパクトにまとめられたハンドブックがなかったことから,この本を愛用してきた。その後約2年ごとに改訂が繰り返され,今回翻訳された第19版からは本の名称も“Nelson’s Pediatric Antimicrobial Therapy”と変更されて,内容もさらにブラッシュアップされたものとなっている。本書の監訳は新潟大学の齋藤昭彦教授が担当され,新潟大学小児科学教室の若い力を結集して翻訳されたのであるが,原書の著者のお一人であるDr. John S. Bradleyは,齋藤教授のカリフォルニア大学サンディエゴ校,サンディエゴ小児病院時代の師でもあり,そういった意味で,本書の日本語版作成にはまさに最適な人材が選ばれたのではないかと考えている。

 感染症治療の主軸となるのは抗微生物薬であるが,小児感染症においては,感染症の病態,診断のための手段,抗微生物薬の体内動態・有効性・安全性といった点で,小児の特殊性を考慮する必要があるため,成人とはまた異なった考え方で,感染症の診療に当たる必要がある。また使用できる抗微生物薬の種類や用法・用量も成人と小児では異なっているので,この点についても注意が必要である。本書は,小児抗微生物薬療法のエキスパートによる実践的でエビデンスに基づいた情報を,コンパクトに収載したマニュアルで,小児の抗微生物薬療法に関する最新の情報が含まれており,日常診療にすぐに役立つ内容となっている。原書が米国のマニュアルであるため,本書の中には,一部国内では未承認の薬剤や用法・用量が記載されている場合がある。この点は意識していただきたいと思うが,齋藤教授のアイデアで,国内未承認の薬剤や用法・用量については,それがわかるような注意喚起がなされているので,その部分も楽しみながら利用していただければ問題はないと考える。

 原書にはデジタル版もあり,既に利用されている方も居られると思うが,日本語で読むことが可能で,白衣のポケットに携行できる本書は,わが国の小児科臨床医にとってはやはり待望の書であるということができる。ぜひ日常の小児診療の中で利用していただきたいと考えている。そして,ほぼ2年ごとに改訂される原書に合わせて,日本語版のほうも定期的に改訂されることを期待したい。
キレのある感染症診療を行うための比肩なき治療ガイド
書評者: 森内 浩幸 (長崎大大学院教授・小児病態制御学)
 この本を手に取られた方は皆さんよくご存知のように,監訳の労を取られた齋藤昭彦氏は,長年にわたって米国で小児感染症の研究と診療にいそしんでこられ,今はわが国の小児感染症分野の次期リーダーの1人として大活躍の人である。「監訳の序」の中で齋藤氏は,元来翻訳を出すことには抵抗があったと述べられているが,これには評者自身も共感する部分がある。翻訳にしてしまうとかえって読みづらくなってしまう理由の1つは,病原体名や薬剤名や疾患名がアルファベット順になっている点である。アルファベットのままなら流して読めるのに,それを日本語訳してしまうと何の順番で並んでいるものやらまったくわからなくなってしまう。

 しかしこの『ネルソン小児感染症治療ガイド』の翻訳本には,そういうおっくうがって引き気味だった評者の気持ちを跳ね返す力があった。米国では小児科医の誰もが白衣のポケットに入れている本書は,エビデンスに基づいた治療指針を簡潔かつ明解に示してくれる。本当に残念だが,まだわが国にはこのレベルに近づいた治療指針はない。短くピリッとまとめられた総論的解説に,(先に述べたアルファベット順のトラブルはあるものの)箇条書きで必要最小限度の内容をきっちりと盛り込んだ多くの表から構成される本書は,必要なときに必要なことを探し出すのに適している。日米の違いを踏まえた脚注も掲げてあるので,「これは何?」「あれがない!」と戸惑うことは少ない。新潟大学小児科学教室の先生方が手分けして翻訳されているが,翻訳文は熟れており日本語として自然で読みやすいものになっている。機械的に訳すのではなく,内容を理解しながら日本語に置き換えていかれたことが察せられる。

 昨今,日本ではサンフォード・ガイド「熱病」の日本語訳が出回るようになって,感染症に興味のある多くの医師のポケットに忍ばせてある。サンフォードの原著を薦めてもなかなか手にしなかった人達でも,翻訳されていると一気に距離感が縮まるようだ。サンフォードも素晴らしい治療ガイドであるが,こと小児に関することではネルソンに比肩するものはない。きっとこの翻訳が出たことで,多くの小児科医のポケットの友として,エビデンスに基づいたキレのある感染症診療を行うガイド役になってくれるのではないかと,大いに期待しているところである。
内科医にも参考になる精度の高いマニュアル
書評者: 青木 眞 (感染症コンサルタント)
◆はじめに

 聖路加国際病院院長の日野原重明先生のお招きで筆者が帰国した1992年当時,日本の臨床感染症とでも呼ぶべき領域は極めて希薄であった。筆者は臨床感染症の軸となる抗菌薬の削減・適正使用をはじめとする感染管理,感染症診療にと動いた。研修医教育も始め,その対象に当時小児科研修医であった齋藤昭彦先生の姿もあった。時に厳しすぎたかもしれない教育も彼は甘んじて受け入れ,今度はその齋藤先生が小児感染症領域における日本のリーダーとして彼我の格差を是正する番になった。監訳の序で齋藤先生いわく「海外と国内での小児における抗微生物薬の使用に関するギャップがある……(中略)……国内の臨床の現場でこれらの問題は大きく,これをどう解決し,そして世界標準の治療にどう近づけるかはこれからの大きな課題である」と述べている。

◆使いやすい構成

 成人の感染症で定評のあるサンフォードマニュアルと同様,版を重ねた本マニュアルも大変使いやすい構成となっている。その背景には「臨床小児科医マインド」とでもいうべきプリンシプルがあり,それは監訳者の友人であり原著の編集責任者John S. Bradley医師による以下の冒頭の言葉でも明らかである。

 「初版から,FDA(米国食品医薬品局)が疾患に対して提示している以外の多くの推奨を本書に記載してきた。その理由として,抗菌薬の初期治療が行われる際には,多くの場合起炎菌が判明していないこと,標的としている感染臓器も原発ではなく続発してその臓器に及んでいる可能性がある……(以下省略)」。病初期,問題の臓器も起炎菌も不明な状態で診療を強いられることが多いのも小児感染症領域の一つの特徴だろう。何より,子どもは自分で訴えることができない。

 以下,内科医であっても印象に残った箇所を少し紹介する。全般的に各治療薬,その投与量,投与法の表などはすべてエビデンスのレベルと共に示されておりマニュアルといえども「精度」が高く,内科医にも参考になる点が多い。

〈米国小児感染症臨床レベルの高さを示すもの〉
2章 抗真菌薬の選択:
 ボリコナゾールはCYP2C19で代謝されるのでアジア人に副作用が出やすい(人種が検討対象になるのは米国教科書の長所)

4章 市中MRSA:
 過去10年間クリンダマイシンの使用が増加しているがCD腸炎が増加していない(疫学的観察が最初から制度設計されている米国)

13章 腎不全患者に対する抗菌薬療法:
 米国における臨床薬剤師の活躍は小児科領域でも

16章 抗微生物薬の副反応:
 複雑性尿路感染症に対するシプロフロキサシンによる筋・関節・腱への影響はFDAへの報告する前方視的研究ではコントロール群よりも大きい(4章と同様に疫学デザインに抜かりがない米国)

〈小児は小さな成人ではない〉
1章 抗菌薬の選択
経口ペニシリンより経口セファロスポリンは,いくぶん安全性が高く懸濁製剤では味が良い。エステル基のあるセフロキシムとセフポドキシムは最も味が落ちる。後発品は元の製品と比べて好ましい味でないこともある(内科医が「味」を意識することはまれ)
アモキシシリンの中耳液における長い半減期……(薬物動態の検討は中耳液にまで及ぶ)

12章 肥満児に対する抗菌薬療法
各薬剤の脂肪組織への移行性の違い・程度を分けて理想体重を利用したり,脂肪量を勘案したりする(体重あたりの投与量が重要な小児科では肥満児の薬物動態は極めて重要)

◆小児を診るすべての医師に

 齋藤先生が帰国されて5年余の歳月が経過。この間,日本のワクチン環境の改善,新潟大学小児科学教室の教授就任など大変な活躍をされたが,出版という点からは雌伏の時期を過ごしていたような気がする。今般,その齋藤先生とその門下の先生方が小児感染症領域でバイブル的存在のマニュアルを翻訳され世に問われた。

 私事で恐縮だが西暦2000年,日本人として初めて小児感染症フェローシップを開始するにあたり齋藤先生が下さった手紙を筆者は大切に保管している。それを改めて読み直しながら平坦ではなかったであろう彼の米国留学・研修生活を思い,また優れた若手医師をその黎明〈れいめい〉期に聖路加病院で教育する機会を与えられた幸せをあらためてかみしめている。自らは訴えることができない子どもたち,途方にくれる保護者のアドボケイターとしてのぶれない齋藤先生の軸の下,多くの後継者が集まっているのも心強い。

 小児科診療に携わる多くの医療従事者に読者を得て,減少一方のわが国の小児に適切な感染症診療が行き渡ることを期待しています。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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