今日の小児治療指針 第15版

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小児に関わる全領域を網羅し、第一線のエキスパートが最新の治療法を具体的かつ実践的に解説。今版では小児診療の際に押さえておきたい基本知識をまとめた「小児診療にあたって」、思春期に特有の問題を取り上げた「思春期医療」の2つの章を新設。ハンディサイズとなり、より使いやすくなった日常診療に役立つ1冊。
シリーズ 今日の治療指針
総編集 大関 武彦 / 古川 漸 / 横田 俊一郎 / 水口 雅
発行 2012年02月判型:A5頁:1040
ISBN 978-4-260-01231-7
定価 17,600円 (本体16,000円+税)
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第15版 序

 「今日の小児治療指針」第15版は内容および執筆者を一新し,現代的な体裁で皆様のもとへお届けすることとなりました.今版でも現在の小児医療において要求される疾患を網羅し,その治療法が要領よく述べられ,研修医,新進気鋭の小児科医,そして小児を診療する他科の先生方にも詳細かつわかりやすい記述となっています.ベテラン医師の読者には現代医療の進歩を確認・キャッチアップし,診療水準のより一層のレベルアップに役立てていただきたいと思います.
 本書の初版は1970年に発行され,小児疾患の治療におけるわが国の定本として40年余にわたる歴史を有しています.毎回の改版にあたっては単なる改訂ではなく全面的に書き下ろされ,最新のスタンダードな治療法が提示されています.第15版では全27章,713項目をわが国の小児医療の第一線で活躍中の657名の先生方にご執筆いただきました.旧版ではトピックスとして生活習慣病,虐待,クリニック・マネジメントなどを章として独立させてきましたが,今版ではその主要部分を既存の各章に包含しました.本書は,改版するたびに時代の要請にこたえて内容を充実させ,本書自体も成長してきたといえるでしょう.
 今回は新たに「小児診療にあたって」の章を設け,小児の特質と診療のポイント,倫理,安全性などの診療の基本を示しております.「思春期医療」も現代社会でより重要となっている領域であることから,集中的かつ詳細に記載をしました.また,小児科医にとっても外科的治療についての最新知識を有していることは,適切な治療方針の確立にぜひとも必要となってきたことから,外科系医師の立場で各章末に外科治療の現状について執筆いただきました.薬物療法はいうまでもなく中心的な治療法の1つであり,本書の各項では実際的な記載がなされています.これに加え,小児薬剤投与法の原則として注意点を,浜松医科大学薬剤部の川上純一教授に執筆いただき,あわせて全般の処方のチェックもお願いいたしました.
 今版から編集に水口が加わり,体制も内容も新しくなりました.読者には上記のような新機軸など,本書を有効にご活用いただけると信じております.小児の診療は疾患の種類の増加や治療法の進歩,そして小児に特有な倫理的・社会的要因などますます多岐にわたり高度化し,患者と医療者の関係も変化しています.その半面,子どもと養育者の心と体を理解するという小児科医の本質は不変でありましょう.本書が診療の場で役立つことを心より願っております.

 2012年2月
 大関 武彦
 古川  漸
 横田俊一郎
 水口  雅

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 小児薬剤投与法の原則

1 救急医療
2 治療手技
3 小児診療にあたって
4 新生児疾患
5 染色体異常,奇形症候群
6 先天代謝異常
7 内分泌疾患
8 代謝性疾患,栄養障害
9 免疫疾患,膠原病
10 アレルギー疾患
11 感染症,寄生虫症
12 呼吸器疾患,胸部疾患
13 消化器疾患,腹部疾患
14 循環器疾患
15 血液・腫瘍性疾患
16 腎・泌尿器疾患
17 生殖器疾患
18 神経・筋疾患
19 発達障害・精神疾患
20 思春期医療
21 小児保健
22 学校保健
23 骨・関節疾患
24 皮膚疾患
25 眼疾患
26 耳鼻咽喉・気管の疾患
27 小児歯科・口腔外科疾患

 付録1 小児薬用量
 付録2 脳死判定と脳死下臓器提供
 薬品名索引
 和文索引
 欧文索引

 資料一覧
  在胎期間別出生時体重・身長・頭囲標準値
  在胎期間別出生時体重・身長・頭囲標準曲線
  身長・体重・胸囲・頭囲のパーセンタイル値
  乳幼児身長・体重発育パーセンタイル曲線
  標準身長・体重表
  標準成長曲線
  体重・身長から体表面積を算出するノモグラム

  学校生活管理指導表(小学生,中学・高校生用)

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さまざまな目的に応じて使えるタフな構成
書評者: 内山 聖 (新潟大病院院長)
 『今日の小児治療指針』が5年ぶりに改訂され,第15版が出版された。第一線で活躍されている657名の医師たちが713項目を執筆し,小児科における最新の治療法を具体的かつ実践的に解説している。

 小児科医が臨床の現場で遭遇する,ほぼすべての疾患が網羅されているといっても過言ではない。一生のうちに診る機会がないのではという希少疾患さえ含まれるが,いざというときのために,これほどの安心はない。また,小児を診療する際は,疾患の病態や重症度を理解し,見極めた上で治療を行うことが肝要であり,個々の症例を大切にし,そのような経験を積み重ねていくことが小児科医としての力量となる。本書では,各項目ともまず病態について,項目によっては治療よりも詳しく説明されており,病態と重症度に応じた具体的かつ詳細な治療法がわかりやすく示されている。初期臨床研修医からベテラン小児科医まで,小児科を専門としない他科の医師,小児科医としてのスタート,専門医試験の準備,最新の知識の確認など,それぞれに応じて,それぞれの目的で使ってもらえる,幅広いタフな構成である。各章末ごとに外科治療の現状についても記載されており,どのような症例や場面にも対応できる強みがある。

 処方例の記載も懇切丁寧である。具体的な商品名や剤形とともに,小児に薬剤を使用する際の用量の考え方(投与量)のほか,投与回数や投与経路を示した実践的な内容となっており,さらに巻末の付録として小児の薬用量も載っているので,本書一冊で杞憂〈きゆう〉なく治療に専念できる。付録として,ほかに「脳死判定と脳死下臓器提供」が掲載されている。脳死下臓器提供は,たいていの場合,かなり短時間に状況を整えることが求められるので,本書の巻末に記載があることを念頭に置いておくだけで,いざというとき心強い。

 小児科学の治療の進歩と小児医療を取り巻く社会の変化に対応すべく,「第3章 小児診療にあたって」や「第20章 思春期医療」など,現場で求められる現代のニーズに合った新たな章や項目が設けられたことも注目される。小児の治療に関する出版物はこれまでにも多くみられるが,本書の「小児診療にあたって」のように,小児診療に関わる社会的な問題やクリニックマネジメントにまで踏み込んだ書籍はあまり見当たらない。本書は,日常診療で必要に応じて開くことが多いと思うが,小児科医として,勤務形態に関わりなく知っておきたい知識と情報の整理のために,まずこの章の一読を勧めたい。「思春期医療」では,自殺,暴力,性,喫煙,薬物など現代社会ならではの問題を取り上げている。逆に,小児科医の守備範囲の広さと,社会的な立ち位置を改めて認識させてくれる新たな章といえ,編集の先生方の見識に感服する。

 今回からハンディサイズとなり,書棚を出て日常診療の傍らにと,さらに身近な存在になった。小児を診るすべての医師に薦めたい,小児診療のハンディなエンサイクロペディアといえる。
小児を診療する幅広い読者のための実践書
書評者: 神川 晃 (神川小児科クリニック院長)
 まず本書を手に取ってご覧ください。今回の改訂からA5サイズに小型化され,辞書のように手に持ちやすくて,急いでいるときにぱっと調べてみたくなる本になっています。

 内容は小児科全般にかかわることが網羅され,小児科診療に携わる医師が遭遇する疾患を,それぞれその分野で名前が浮かぶ第一人者が執筆しています(全27章,713項目)。

 本書では,必要なときにすぐに確認できるよう,各疾患の病態,治療方針の要点が簡潔に解説されています。小児科医は子どもの全身を診察し,重症度や専門性に応じ二次,三次医療機関との連携,境界領域疾患で他科との連携を要求されます。また,ここ数年,インターネットからの医療情報収集は医師のみでなく保護者も日常的に実施しており,外来診療の際,子どもの病気をインターネットなどで検索し,得た情報について質問されることは時々あります。そのような場合でも本書が役立つと思います。

 私は健診をはじめとして相談されることの多い口腔疾患の領域で,聞きなれない言葉である「再石灰化療法」の項目に注目しました。齲蝕といえば切削・充填処置が基本と覚えていましたが,初期治療はフッ化物塗布,患者教育による口腔清掃と,フッ化物を用いた洗口による再石灰化療法が究極の予防治療であることを知りました。このように気になる1項目をご覧いただければ随所に新知見が認められます。

 なお,各項目の治療方針に記載されている処方例では,薬剤は商品名で用法・用量とともに記載されており,その場で対応できるよう工夫されています。さらに,付録「小児薬用量」では医療用医薬品添付文書に記載されている小児の用法・用量がまとめられています。

 今版では新たな章として次の2章が設けられました。「第3章 小児診療にあたって」では,医療を行うにあたっての基本的な観点について在宅医療を含め記載され,小児科診療所のマネジメントについても言及されています。「第20章 思春期医療」は妊娠,性教育,性感染症,薬物・飲酒・喫煙など小児科医があまり関与していない分野の情報をまとめています。

 小児科医は診療所や病院で医療を行うだけでなく,地域の医療・保健・福祉でも中心的な役割を担うことが望まれています。「第21章 小児保健」「第22章 学校保健」では,点としての医療機関から面としての地域活動をするための情報と対応の手段であるネットワーク構築にも触れられています。

 ほかにも付録「脳死判定と脳死下臓器提供」では,15歳未満の小児からの臓器移植が可能になった『臓器の移植に関する法律』の改正の重要な変更点について記載されています。

 本書は小児科専門医のみでなく,小児を診療することのある一般の勤務医,開業医,研修医など幅広い読者向けに構成された非常に便利な本です。個人的には,辞書として使っている『小児科学 第3版』(医学書院)と一緒に使われることをお薦めします。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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