援助者必携
はじめての精神科 第2版

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誰も教えてくれなかった精神科のツボを、誰にでもわかるように解きほぐしてくれたと大好評の初版に、認知症、新型うつ、パーソナリティ障害など新たな「困りごと」とその解決策を示しました。はじめて精神科に足を踏み入れたとき誰もが感じる「不安」の元に分け入る超実践的アドバイス集。ホントの言葉は、軽くて深い。
本書表紙の猫イラストは、版画家・コルク人形作家の片岡まみこさんに描いていただきました。片岡さんのホームページはこちらです → http://www.corkdoll.com/
春日 武彦
発行 2011年12月判型:B5頁:256
ISBN 978-4-260-01490-8
定価 2,090円 (本体1,900円+税)
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第2版にあたって

 本書の旧版が出てから、7年が経過した。その間に痴呆は認知症と呼称が変わり、人格障害はパーソナリティ障害と言われるようになった。介護保険制度はさまざまな問題を含みながらも浸透し、新型うつ病が外来患者の多くを占めるようになり、向精神薬の新製品が数多く発売され、双極II型といった概念が知られるようになった。認知症のなかでもレビー小体型という幻視を伴うタイプがクローズアップされ、電気けいれん療法(電気ショック)は修正型通電療法m-ECTとして甦り、精神科にも専門医制度が取り入れられるようになった。
 とはいうものの、いまだに統合失調症の正体はつかめず、認知症領域で画期的な薬剤は登場せず、うつ状態だか適応障害だか“わがまま”なのかわからない中途半端なケースが激増し、パーソナリティ障害者は権利意識や「お客様」意識や個人情報保護法などを「燃料」にしてますます毒々しさを強めつつある。援助者としての我々の仕事はちっとも楽にはならず、むしろより厄介で戸惑う事例が増えつつある。
 時間の流れにともなって、そろそろ書き直したり補足すべき箇所も目に着くようになった。新しい知識や情報のみならず、「凡人の後知恵」といったものも出てきたし、講演や研修における質疑応答やケース検討会参加を通して新しく見えてきた問題点もある。
 というわけで増補改訂に踏み切ったわけだが、絶版ではなく第2版へ移行できたのは数多くの読者を得られたからこそであった。実際、おもわぬところでしっかりと使い込まれた本書を見せられて感激したことも少なくない。現場で働く読者諸氏と一緒にこの本はつくられバージョンアップされていく種類のものであることを、あらためて実感している。

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I 手を出す前に考えておくこと
 I-1 基本の基本を検討する
 [a]他者を理解するための、何本かの補助線
 [b]心構えについて
 [c]ファーストコンタクトI-わたしの方法
 [d]ファーストコンタクトII-地域だったらどうするか
 [e]「経験を積む」とはどういうことか
 [f]我々とは何者なのか
 I-2 家族と地域に関するいくつかの事柄
 [a]とらえどころのなさ
 [b]「待つ」ということ
 [c]共依存という膠着
 [d]時間を動かす触媒として
 I-3 しんどくならないための2つのヒント
 [a]キーワードとしての「優先順位」
 [b]「演出」という視点
II かれらの苦しみ 病気は何をもたらすか
 II-1 統合失調症
 [a]統合失調症のイメージとは?
 [b]問題は陰性症状
 [c]陰性症状の人たちと接するために
 II-2 うつ病
 [a]うつ病とはなんだろうか
 [b]従来型うつ病の知識をあらためて整理する
 [c]非典型的なうつ病
 [d]躁病
 II-3 認知症
 [a]認知症とはなんだろうか
 [b]自尊心と羞恥心は残る
 [c]忘れたことを忘れる
 [d]かれらは助けを求められない
 [e]周囲と当人との相互作用
 [f]疾患としての認知症
 [g]ノスタルジーのこと
 II-4 パーソナリティ障害
 [a]パーソナリティ障害とはなんだろうか
 [b]境界性パーソナリティ障害のこと
 [c]境界性パーソナリティ障害者とどうつきあったらよいのか
 [d]介護される人の家族にパーソナリティ障害者がいた場合
 [e]気持ちを傷つけられた我々自身について
 II-5 アルコール依存症
 [a]アルコール依存症とはなんだろうか
 [b]アルコール援助の「普遍性」
 II-6 ストレス・不安・怒り
 [a]「世界を狭める」という方法
 [b]「狭い世界の住人」にどうかかわるか
 [c]我々自身の苦しみにはどう対処するか
III わたしたちの困難 だから精神科はむずかしい
 III-1 恨まれる、ということ
 [a]我々自身のプライバシーに関連して
 [b]強硬手段について
 [c]もうひとつ、強硬手段について
 III-2 我々自身の怒り、悔しさ、不快感
 [a]売り言葉に買い言葉
 [b]轢き逃げをされた気分
 [c]不快なやさしさ
 III-3 責任感と義侠心
 [a]孤軍奮闘の人
 [b]自殺予防は可能か
 III-4 「困っている」とは言うけれど
 [a]おろおろする夫
 [b]保護者という壁
IV 電話相談 受話器を片手にして「できること」と「できないこと」
 [a]鼻白んだ経験
 [b]無防備な立場
 [c]心を込めて焼いてください
 [d]7種類の質問
 [e]匿名性について
V Q&A いざというとき役立つテクニック集
 Q1 患者さんと話す(1)
 Q2 患者さんと話す(2)
 Q3 妄想を聞いてもいい?
 Q4 暴力を振るわれそう
 Q5 スキンシップ
 Q6 話を切り上げるには
 Q7 患者さんの「論理」(1)
 Q8 患者さんの「論理」(2)
 Q9 患者さんの「論理」(3)
 Q10 立腹されたら
 Q11 クレームの理由
 Q12 注意のしかた
 Q13 話の“小技”
 Q14 患者さんの権威主義
 Q15 セクハラ
 Q16 同僚への悪口
 Q17 被害妄想
 Q18 妄想と治療
 Q19 ダニ妄想?
 Q20 ゴミ屋敷
 Q21 こだわりが強い
 Q22 ひきこもり(1)
 Q23 ひきこもり(2)
 Q24 困ったキーパーソン
 Q25 ケース検討会
 Q26 医者と住民
 Q27 敵は本能寺
 Q28 受診させるには
 Q29 薬を飲まない
 Q30 パーソナリティ障害者にげんなり
 Q31 クレーマーへの対応
 Q32 自殺のこと
 Q33 なぜ懲りない?
 Q34 相談のしようがない相談
 Q35 話がうますぎる?
 Q36 生きる価値
 Q37 発達障害?
 Q38 援助者のストレス解消法

索引
あとがき

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