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内科レジデントの鉄則 第2版

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「新人レジデントは何がわからないか」を知り抜いている聖路加国際病院内科チーフレジデントの先輩方が教える、臨床で必要な考え方と対応の仕方を丁寧に解説した書。診療の鉄則がわかれば、「いまからできる」ことがこんなにもあると気づくはず。胸部X線の項を加え、新執筆者によりすべての章がアップデートされた改訂第2版。
聖路加国際病院内科チーフレジデント
発行 2012年03月判型:B5頁:264
ISBN 978-4-260-01466-3
定価 3,960円 (本体3,600円+税)
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  • 序文
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第2版の序

 初版『内科レジデントの鉄則』は,おかげさまで“新人研修医に「内科の鉄則」を刷り込む本”としてベストセラーになりました.
 初版を生みだす元になったのが,「内科コアカンファレンス」.内科チーフレジデントによる,新人レジデントを対象とした毎週土曜日朝7時のカンファレンスです.「とにかく実践的で役立つ」と,その後も脈々と受け継がれています.
 主催者の内科チーフレジデントには,内科全領域に通じたずば抜けた即戦力があります.そして,院内の誰よりも「新人レジデントは何がわからないか」,「新人レジデントにはどう説明すればいいのか」を知りぬいています.そのチーフレジデントが代々,「研修医の視点に立って,実際のケースにどう考えどう対応するか」を,新人に刷り込んでいくのです.

 本書の執筆者である野村章洋,浅野拓,大屋敷倫代の3人は,2009年度のそのチーフレジデント達です.
 彼ら自身も新人研修医として「内科コアカンファレンス」に学んだ時期がありました.それから約3年,実に多くの患者さんを診療し,「教え教えられる」教育を積み重ね,医学書や文献によって自らの知識を刷新し,彼ら独自の「内科コアカンファレンス」を生みだしたのです.
 本書『内科レジデントの鉄則 第2版』は,そのような当院お家芸の屋根瓦教育の結晶のような本です.

 「『内科レジデントの鉄則』を超える『新しい内科レジデントの鉄則』を作りたい」!そういう彼らの声から,第2版はスタートしました.
 彼らの原稿には,ダイヤモンドの原石のような輝きがありました.その原石を岡田定がカッティングし磨きました.そして,当院内科のスタッフが鑑識をして,出版社がきれいにラッピングして,ようやく本書は完成しました.
 このような本が生み出されるのは,聖路加国際病院という豊かな土壌があるからに他なりません.ここに病院関係者の皆様に深甚の感謝を申し上げます.そして医学書院の菅陽子さんにも感謝申し上げます.

 2012年1月
 聖路加国際病院 内科統括部長
 岡田 定

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I 当直で病棟から呼ばれたら
 1 発熱をきたす内科疾患.緊急を要する5大疾患は?
  → ①敗血症性ショック,②好中球減少性発熱,③急性細菌性髄膜炎,
    ④CAPD腹膜炎,⑤呼吸困難の強い急性肺炎
 2 ショックの治療.臓器への酸素供給を改善するためには?
  → ①臓器の血流改善,②酸素投与,③貧血改善
 3 突然の酸素飽和度低下.鑑別すべき4大疾患は?
  → ①急性心筋梗塞に伴う心不全,②肺塞栓症,③気道閉塞,④気胸
 4 意識障害.鑑別のための「魔法の言葉」は?
  → AIUEOTIPS
 5 ①頻脈性心房細動,②発作性上室性頻拍.それぞれの治療薬は?
  → ①ベラパミル,②ATP製剤
 6 胸痛の患者さん.緊急を要する5大疾患は?
  → ①急性冠症候群,②急性大動脈解離,③肺塞栓症,④緊張性気胸,⑤食道破裂
 7 腹痛の患者さんの診察.何に注目して鑑別する?
  → ①疼痛部位(解剖学的臓器),②腹痛の生理学的機序(内臓痛,体性痛,放散痛)
 8 血糖降下薬や持続型インスリンによる低血糖.いったん血糖が改善すればOK?
  → No! 低血糖遷延の可能性あり経過観察.
 9 病室で患者さんが転倒.何をチェックする?
  → ①意識とバイタルサイン,②骨折,打撲の有無,③神経学的所見

II 内科緊急入院で呼ばれたら
 1 気管支喘息が疑わしい.まず除外すべき疾患は?
  → 心不全(体重増加? 浮腫? 胸部X線?)
 2 市中肺炎.鑑別すべき2つの肺炎は?
  → ①細菌性肺炎,②非定型性肺炎
 3 院内下痢症.主な原因は?
  → ①CD腸炎,②抗菌薬,③他の薬(下剤,制酸剤など),④経管栄養
 4 急性膵炎.臨床診断基準にある3項目は?
  → ①上腹部の急性腹痛発作と圧痛,②血中,尿中の膵酵素上昇,
    ③超音波,CT,MRIで膵に急性膵炎に伴う異常
 5 肝性脳症.2大治療は?
  → ①誘因除去(消化管出血や便秘など),②蛋白制限
 6 けいれん.①止める薬は? ②予防する薬は?
  → ①ジアゼパム,②フェニトイン
 7 脳梗塞.3つの病型は?
  → ①心原性,②アテローム血栓性,③ラクナ
 8 急性腎不全.鑑別の順番は?
  → ①腎後性 → ②腎前性 → ③腎性の順
 9 ①急性の低Na血症,②慢性の低Na血症.それぞれ補正スピードは?
  → ①12 mEq/L/日まで,②8 mEq/L/日まで
 10 高K血症.①緊急検査は? ②緊急治療は?
  → ①心電図,動脈血ガス,②グルコン酸Ca,GI療法,ケイキサレート
 11 悪性腫瘍が疑わしい.診断の2ステップは?
  → ①組織診断,②病期診断
 12 高齢者.頻度の高い合併症は?
  → ①転倒,②誤嚥,③認知症,④うつ,⑤せん妄,⑥褥瘡

III 病棟で困ったら
 1 基本的輸液.①水分,②Na,③K,④グルコースの1日必要量は?
  → ①30~40 mL/kg,②70~100 mEq,③20~40 mEq,④最低で100~150 g
 2 栄養の決め方の順番は?
  → ①水分 → ②カロリー → ③栄養の内訳(糖,蛋白,脂肪,電解質)の順
 3 がん疼痛.治療の3大原則は?
  → ①経口投与,②定時投与,③痛みに応じた最適な鎮痛薬の選択(1st非オピオイド,
    2nd弱オピオイド,3rd強オピオイド)
 4 担癌患者の嘔気.考えられる原因は?
  → ①消化管の問題,②化学療法・放射線療法,③オピオイド,④頭蓋内病変,
    ⑤高Ca,⑥精神的な問題
 5 突然発症のせん妄.考えられる原因は?
  → ①低血糖,②敗血症,③電解質異常,④薬剤
 6 便秘.原因になりやすい薬は?
  → ①循環器系(Ca拮抗薬,利尿薬),②消化器系(制酸薬),
    ③精神系(抗パーキンソン薬,向精神薬,三環系抗うつ薬,抗けいれん薬),
    ④鎮痛薬(モルヒネ,フェンタニル),
    ⑤その他(抗コリン薬,抗ヒスタミン薬,鉄剤,ビンカアルカロイド)
 7 動脈血ガス.解釈ステップの4つは?
  → ①pH(アシデミアかアルカレミアか),②pHの変化の原因(代謝性か呼吸性か),
    ③アニオンギャップ〔Na-(Cl+HCO3)〕,④代謝性変化は予測範囲内か
 8 胸部X線.読影する順番は?
  → ①撮影条件のチェック → ②骨・軟部組織 → ③中心陰影 → ④横隔膜周辺 →
    ⑤肺野全体 → ⑥肺野細部
 9 「これは緊急だ」「自分の判断に自信がない」と思った時.どうする?
  → 上級医に報告・連絡・相談(ほうれんそう)

索引
あとがき

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後期研修医や指導医にも熟読してもらいたい良書
書評者: 川島 篤志 (市立福知山市民病院総合内科医長)
 先日,お薦め本を紹介しあう機会があり(当院のブログに掲載*),「病棟で困りそうなことが詳しく載っている」という声が挙がる本があった。地方の地域基幹病院で病院総合医を継続し,さらに病院総合医を育てる立場でもある自分にとっては必読書!と,前から気になっていたが,自分自身のために読むのがちょっと気恥ずかしい感じがあった。が,今回,その本の書評を書かせていただく機会をいただいたので堂々とワクワクしながら読ませてもらった。

 この本を知らない人へこの本の魅力を伝えると,まず項目立てが面白い。「当直で病棟から呼ばれたら」「内科緊急入院で呼ばれたら」「病棟で困ったら」である。このキーワードにピンとこない若手医師(レジデント)はいないはずである。

 各項目は,症例をベースにQ&A方式で進み,コンパクトにまとめられている。引きつけるカンファレンスは興味ある内容とその構成によるが,この本の基が「内科コアカンファレンス」であることでうなずける。最初の項目は症状・症候や病気のことが書かれており,若手医師にとってはとても読みやすい導入になっている。ベテランの立場から言うと,「腎機能障害」「担癌患者」「高齢者」という,日常茶飯事に診る可能性があるがあまり俯瞰的に指導されることの少ない項目が含められていることが嬉しい。どの科に進んでも理解してもらいたい重要な項目である。

 “いつ誰が指導するのか”的な要素が,「病棟で困ったら」にまとめられている。おそらく誰もまとまって指導しない……から,困るのかもしれないが,これを意識するのとしないのとでは大違いである。すば抜けた実力のチーフレジデント(後輩たちのことをこう言い切ってみたい!)からの「研修医の視点に立った」カンファレンスは魅力にあふれているに違いない。

 少し注文をつけると,Commonな病気であるニコチン依存症に対する禁煙支援(保険診療で病棟診療ができないとしても)や今回から追記された胸部Xpの項目で肺結核にも触れていただきたかった(聖路加国際病院では頻度が低い/入院前の確認ができているかもしれないが,病棟診療をするうえでは緊急性の高い項目である)。また終末期医療では責任編集の岡田定先生が取り組んでおられる「Living Will」のことに触れていただければ,全国の病棟診療を行う施設にとっては心強かったのではないかと個人的に感じた。

 ただ,これはカンファレンスの誌上再録である。これだけまとめ上げられている(磨き上げられている)施設の文化に感嘆する。本来のカンファレンスではこの誌面以上により深みを持って「教え教えられている」のではないかとうらやましく思う。

 “新人研修医に「内科の鉄則」を刷り込む本”と序にあるが,現在の研修制度では,より責任を持って診療にあたる後期研修医や,その若手に指導する立場の医師にぜひ熟読してもらいたい本である。「宿題」として全員に課したい衝動にも駆られるが,読みなさい!ではなく自施設で何をどのように伝えるのかを意識する,より良いヒントになる良書だと確信する。


*市立福知山市民病院 総合内科/臨床研修について: お薦め本!:2011年度メンバーより:3月29日(2012年5月6日)
学び手のニーズを知る「先達」の思いがつまった本
書評者: 清田 雅智 (飯塚病院総合診療科診療部長)
 伝統というのは名前だけではなく,その中に脈々と受け継がれる「魂」というものがそれを規定していると感じる。聖路加国際病院は,私が研修医になった1995年当時も遠い九州にも知られた有名な研修病院であり,老舗である。研修医用のマニュアルが多く存在しなかった当時の研修医は,ワシントンマニュアルが日本語になっていなかったこともあり,えんじ色の『内科レジデントマニュアル 第4版』(編:聖路加国際病院内科レジデント,医学書院)をポケットに入れておくのがお作法であった。当時の研修病院というのは,臨床のいろはを教育する専任の指導医が現在にもまして少なく,自らの努力で現場から学びとらなければという気運が多かったと思う。

 医学に限ったことではないが,同世代で同じ立場を経験した「先達」という存在が,知識や経験を積むにあたり身近にいてかつ重要な教師である。というのは,学び手のニーズを最も知っているからである。そういう意味で,研修医の最強の教師はチーフレジデントであると考える(といっても当院も含めてそのような仕組みを整備していないことが多いので,気の利いた先輩医師といった方が現実的かもしれない)。

 この本は,そういった「先達」の思いが詰まった本であろうことを一読して感じることができる。医学の成書は詳細に書かれているが故に,読むには時間がかかりすぎる。一方研修医は,学ばなければならないことが多いのである(挨拶をする,身なりを正す,時間厳守する,カルテを書く,患者さんの訴えを解釈するなど,探せばきりがない)。それで,医学知識は的を絞って最低限の情報を求めるのだが,いかんせん,その知識が浅いと臨床では使えないのである。広く薄くよりは,狭く確実な情報を入手するのが重要で,この本はその位置付けにあると考える。

 2006年に本書の第1版が出た当時,私はすぐに購入し読んでいた。えんじ色のマニュアルよりも的を絞っており,また伝えたい情報の背景が理解できるようになっていたのを覚えている。今回第2版を手に取ってみると,色を駆使してわかりやすいレイアウトに変わり,断然読みやすくなったということを感じた。項目がほとんど変わっていないことからは,この本がめざす「基本は一緒である」という意図を感じ取れるが,中身を読むときちんとアップデートされているのがわかった。

 脳梗塞やペインコントロールなどは,当時と治療方略が大きく変わっているのを感じる。個人的に最も感銘を受けたのは,最後に加わった胸部X線の読影である。初期研修で放射線科をローテーションするというのはまずないので,こういう基本を学ばないまま実際には単純撮影を自分で読むことを現場では求められる。私自身は3年次に9か月のローテーションをして身につけたが,本項はその優れたイントロである。

 研修医の皆さんは,伝統ある研修病院の「魂」をじっくり味わい,ぜひ内容をマスターしていただきたい。
病棟管理の研修医と指導医にとって共通の基盤となる書
書評者: 田中 和豊 (済生会福岡総合病院臨床教育部)
 本書は聖路加国際病院で毎年新人研修医向けに行われている「内科コアカンファレンス」をまとめた本である。この「内科コアカンファレンス」は2004年に新医師臨床研修制度が開始され,それ以前の内科だけの研修に比較して大幅に内科研修期間が削減されたことに危機感を抱かれて実施されたものだという。しかし,この「内科コアカンファレンス」に相当する講義は新医師臨床研修制度開始以前からも行われていた。

 評者は1995年に聖路加国際病院の外科系研修医として勤務し,外科系研修医ではあったが最初のローテーションを内科から開始した。4月はCCUで5,6月は7階西病棟であったと思う。評者はその前年に大学を卒業して横須賀米海軍病院でスーパー・ローテートをしたために,同僚よりも1年遅れの研修医であった。また,その年は1月に阪神・淡路大震災が,3月には地下鉄サリン事件が起こった年で,これら日本での未曾有の事件を横須賀米軍基地のCNNのテレビで観たのを記憶している。地下鉄サリン事件の混乱がおさまらない4月に入職して,CCU勤務の合間に当時の内科チーフレジデントから内科の基本的な講義を受けたのを覚えている。内容は,病歴の採取方法,カルテの記載方法から各種症候の鑑別診断,各種検査法や薬物の治療法にわたるものであった。評者はその後米国で内科レジデントとなったが,そこでも「noon conference」といって昼食時に通年内科全般の基礎的講義を受けた。この日米での臨床研修および帰国後臨床研修指定病院で研修医を逆に自分が指導するようになって,評者はある一つのことを確信するに至った。

 その確信とは「多くの臨床問題は基礎的臨床技能で解決できる」,言い換えると「臨床問題がマネージできないのは基礎的臨床技能が身についていないからである」ということである。もちろん,臨床問題の中にはいわゆる「神の手」と呼ばれるような高度な専門能力が絶対的に必要なものもある。しかし,そのような特殊な臨床問題はごくごくわずかしかないのである。新医師臨床研修制度が目標と掲げているように,すべての医師が基礎的臨床技能を身につけさえすれば,現在叫ばれている「医療崩壊」という状況は少なからず改善されるのではないかと評者は考えている。

 そのためにはどうすればよいのか? 答えはまず今すぐ書店に行ってこの本を買うことである。そして,同時に姉妹書の『内科レジデントマニュアル 第7版』も買うことである。2冊合わせて税込みでたったの¥7,350である! よくお金をケチって必要な本を買わなかったり借りたりする人がいる。そのようなケチな態度ではまず臨床能力は身につかない。書籍は,買ってみて気に入らなかったら捨てるくらいの心と金の余裕がないと駄目である。この2冊は一生血となり肉となる本である。飲み会などにお金を払うことを考えると何と安いのであろうか!

 次にはこの本を精読することである。1度ならず何回も読んで大切な箇所に線を引き,必要があれば書き込み,記載されていない情報は張り付ける。このような地道な作業を必要な時期に行わないと,いつまで経っても基礎的臨床能力は身につかない。基本的な臨床問題を解決する方法は本書に記載されている。それができないのはただその方法がわれわれの頭の中に入っていないだけなのだ!

 本書の内容は3部で構成されている。第I部「当直で病棟から呼ばれたら」は,新人研修医が内科病棟当直を行う際に必須の問題を,第II部「内科緊急入院で呼ばれたら」は新人研修医が救急入院で扱う基本疾患と問題が,そして第III部「病棟で困ったら」は新人研修医が病棟で遭遇する一般的な問題について扱っている。どの章も新人研修医にわかりやすく記載されており,かゆいところに手が届く。また,最新のエビデンスとともに多彩な表,グラフおよび画像写真が掲載されている。内容はすべて新人研修医が身につけておかなければならない必須の基本事項ばかりである。基本事項だから指導医には当たり前のことばかりで,新人研修医以外は読む必要はないと思われるかもしれない。しかし,本書はよく読んでみると指導医でも知らないことが随所に記載されていてその内容は決して侮れない。病棟管理の研修医と指導医の間の共通の基盤として本書を教科書として使用すべきである。

 奇しくも私どもの病院では本年度から総合診療で入院診療を開始することとなった。この絶好の機会に本書と『内科レジデントマニュアル 第7版』を研修医必読の教科書として使用することにする。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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