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産婦人科ベッドサイドマニュアル 第6版

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好評ベッドサイドマニュアルの改訂第6版。各種診療手技、薬物治療、ガイドラインなど新知見を満載して大改訂。病棟で、外来で、産婦人科実地臨床に取り組む現場の医師の必携書。徳島大学産科婦人科学教室のスタッフの総力が結集した、最新・最強のベッドサイドマニュアル。
編集 青野 敏博 / 苛原 稔
発行 2012年01月判型:B6変頁:592
ISBN 978-4-260-01064-1
定価 7,260円 (本体6,600円+税)
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第6版序

 近年産婦人科を志す研修医が徐々に増加しており産婦人科の現場に活気が戻ってきた.これは日本産科婦人科学会がサマースクールの開催などにより医学生や初期研修生に産婦人科の魅力を広めたことと,2004年度から実施された新医師臨床研修制度で産婦人科が必修臨床項目に入ったことが寄与していると思われる.
 本書は産婦人科の卒後臨床研修や生涯研修を効果的かつ能率的に進める一助にと編集され,推敲を重ねて1991年に初版が刊行された.ハンディで内容が分かりやすいと好評を得て,ほぼ3~5年毎に改訂を繰り返して2006年に第5版を刊行した.これまで改版ごとに読者が増え,第5版だけでも約8,000部が販売された.今回ほぼ6年ぶりに全面改訂を行い第6版を出版することになった.新規の項目は「ベセスダシステム(細胞診)」と「前置胎盤の診断と管理」の2項目であるが,腫瘍分野では13項目,内分泌分野では5項目,不妊分野で7項目,周産期分野で6項目について大改訂を行い,内容をup-to-dateした.
 臨床の実際上困ったことが発生したり不明な事態に遭遇した場合に,本書を開けて下さればほぼ間違いなく回答が得られることをキャッチフレーズに,図表や箇条書きを多用し,2色刷りで分かりやすく構成した.最近,日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の編集による「産婦人科診療ガイドライン」が出版され重用されているが,本書はテーマを絞り込んでいる点で特徴があり,その存在意義は大きいものと考えている.
 本書は初期研修医はもちろん,産婦人科専攻医,実地医家のほか,助産師,看護師の皆さまにも幅広く利用していただき,日常の実地診療に役立てて頂ければ有り難く思う.終わりに臨み本書の改訂作業にご尽力下さった桑原章講師と医学書院の伊東隼一氏に心から感謝申し上げる.

 2011年11月 菊薫る晴れた日に
 青野敏博

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 略語索引

A.腫瘍
 1.婦人科悪性腫瘍の臨床期分類とTNM分類
 2.ベセスダシステム(細胞診)
 3.スメアclassIIIの取り扱い(妊娠時を含む)
 4.子宮頸癌とhuman papillomavirus(HPV)
 5.円錐切除術の適応
 6.子宮頸癌の標準的治療法
 7.子宮頸部腺癌I期,II期の取り扱い
 8.子宮体癌,内膜増殖症の取り扱い
 9.子宮体癌の手術術式および後療法
 10.広汎性子宮全摘出術後の排尿障害の管理
 11.卵巣癌の治療方針
 12.絨毛性疾患の分類と胞状奇胎の管理
 13.侵入奇胎,絨毛癌,存続絨毛症の化学療法
 14.TC/DC療法の実際
 15.CPT11療法の実際
 16.抗癌剤の副作用対策
 17.婦人科悪性腫瘍の妊孕性温存療法
 18.産婦人科領域における腫瘍マーカーの取り扱い
 19.末期癌患者の疼痛管理
 20.乳癌検診
 21.乳癌の画像診断
 22.子宮筋腫の治療法
 23.子宮内ポリープの取り扱い
 24.自己血輸血
 25.婦人科領域の画像診断
 26.婦人科における腹腔鏡手術
 27.子宮鏡検査および子宮鏡下手術

B.内分泌
 1.女性における各種ホルモンの基準値と解釈
 2.各種内分泌負荷試験の適応と診断基準
 3.無月経の検査,診断手順
 4.無排卵症の排卵誘発法
 5.ゴナドトロピン療法
 6.黄体機能不全の診断と治療
 7.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断と治療
 8.高プロラクチン血症性排卵障害
 9.卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の取り扱い
 10.機能性子宮出血の診断と治療
 11.過多月経の治療
 12.月経困難症の治療
 13.月経の人工移動
 14.更年期障害の診断と治療
 15.ホルモン補充療法(HRT)
 16.骨粗鬆症
 17.女性の排尿障害の管理
 18.成人女性の肥満の判定とメタボリック症候群

C.不妊
 1.不妊検査のスケジュール
 2.子宮卵管造影法(HSG)の手技と読影のポイント
 3.卵管不妊の治療方針
 4.子宮内膜症の診断と治療
 5.男性不妊の診断と治療
 6.免疫性不妊
 7.原因不明不妊の取り扱い
 8.AIH(配偶者間人工授精)
 9.生殖補助医療(IVF-ET,ICSIなど)
 10.不妊症に対する筋腫核手術
 11.異所性妊娠の治療法
 12.習慣流産(不育症)の診断と治療
 13.抗リン脂質抗体による不育症
 14.各種避妊法の選択

D.周産期
 1.分娩予定日ならびに妊娠時期の診断法
 2.遺伝相談
 3.合併症を有する妊婦の妊娠継続の可否
 4.妊婦と放射線被曝
 5.妊婦とウイルス疾患
 6.エイズの診断と感染妊婦の取り扱い
 7.妊婦と予防接種
 8.卵巣腫瘍合併妊娠の管理
 9.流産の超音波による診断
 10.妊娠時期別の超音波スクリーニング
 11.頸管縫縮術
 12.羊水穿刺の適応と診断
 13.糖尿病合併妊娠,妊娠糖尿病の診断と管理
 14.膠原病合併妊娠の管理法
 15.気管支喘息合併妊娠の管理
 16.甲状腺機能異常合併妊娠
 17.Rh血液型不適合妊娠の管理
 18.HBs抗原陽性妊婦の取り扱い
 19.切迫早産の治療方針
 20.前置胎盤の診断と管理
 21.Preterm PROMの管理(34週未満)
 22.B群溶血性連鎖球菌(groupB-hemolytic Streptococcus ;GBS)感染症
 23.IUGR(子宮内胎児発育遅延)の病態と治療
 24.多胎妊娠管理
 25.ノンストレステスト(NST)の手技,時期,判読
 26.fetal biophysical profileによる胎児評価法
 27.パルスドプラによる胎児評価
 28.骨盤X線計測法
 29.急速遂娩(帝王切開)の適応
 30.骨盤位の分娩方針
 31.分娩誘発法(頸管熟化法を含む)
 32.分娩中の胎児機能不全への対応
 33.妊娠高血圧症候群の管理と娩出時期の決定
 34.子癇の治療法:ECLAMPSIA法
 35.産科DICの診断と治療
 36.産科ショック対策のポイント
 37.新生児の蘇生と呼吸管理
 38.新生児血管確保に必要な器具,手技と輸液療法
 39.新生児に汎用される検査と参考値
 40.新生児によくみられる症状とその検査,処置
 41.光線療法の適応と方法
 42.産褥期の乳房管理
 43.乳汁分泌の促進と抑制
 44.妊娠・授乳と薬剤
 45.胎児・新生児の発育

E.感染症
 1.尖圭コンジローマ
 2.梅毒の診断と治療
 3.淋菌感染症の診断と治療
 4.性器クラミジア感染症の診断と治療
 5.外陰部潰瘍
 6.薬剤耐性菌

F.その他
 1.漢方療法
 2.産婦人科における急性腹症
 3.産婦人科における薬物相互作用
 4.静脈血栓塞栓症の予防

[別表]
 1.婦人科領域における抗癌剤一覧表
 2.婦人科領域の多剤併用療法

 和文索引
 欧文索引

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白衣のポケットに入るコンパクトな装丁ながら豊富な内容で日常診療に役立つ名著
書評者: 平松 祐司 (岡大大学院教授/産科・婦人科学)
 このたび,青野敏博先生,苛原 稔先生編集の『産婦人科ベッドサイドマニュアル』第6版が出版された。医学は年々進歩し,新しい検査,診断基準などが出てくるため,この種のマニュアル本も定期的に改訂されなければ実地臨床上役立たないことになる。本書の初版は1991年の発刊であるため,20年以上にわたって定期的にup to dateな内容に改訂され愛読されていることになる。「序」によると,第6版でも31項目の大改訂が行われたと記載されている。本の歴史があるということは,不備のあった点はその都度改訂され,非常に完成度の高い書籍になっているといえる。

 最近,新卒後研修制度の開始にも並行し,切り口の異なる同種のいくつかの本が出版されているが,本書はその中においても最も歴史のある名著といえる。本書の全執筆陣は徳島大学関係者であり,本書は徳島大学産科婦人科学教室の臨床の歴史といっても過言ではないと思う。

 本書の特色は各疾患,検査法を見出しとして採用していることである。大きな分類としては腫瘍(27項目),内分泌(18項目),不妊(14項目),周産期(45項目),感染症(6項目),その他(4項目)の6パートに分けられ,総計114項目について解説されている。

 例えば,腫瘍の項目ではまれな腫瘍まで進行期分類が掲載され,診断から治療の実際まで図表入りでわかりやすく記載されている。また,薬剤は一般名だけでなく商品名も記載されているため,日常診療で非常に使いやすくなっている。周産期についても同様で,判断に困るような疾患の項目ではフローチャートにより,その都度関係するガイドラインをひもとかなくても対応できるよう,配慮がなされており非常に便利である。さらに,徳島大学の研究のメインテーマである内分泌,不妊の項目にも多くのページが割かれ,これらの項目はいずれも専門書に匹敵する詳しい内容がわかりやすく整理され記載されている。図表はすべて2色刷で品よく,見やすくまとめられているのも好感が持てる。

 本書は白衣のポケットに入るコンパクトな装丁でありながら,以上に述べたように実に豊富な内容が盛り込まれているため,学生の臨床実習,初期研修医,産婦人科専門医,産婦人科専門看護師,助産師あるいは他科の医師のいずれにとっても,日常診療のバイブルとして手元に置いておけば役立つ名著として推薦する。
心憎い配慮で,病態の包括的理解と実践的医療の問題解決能力の陶冶に資する良書
書評者: 吉村 泰典 (慶大教授・産婦人科学)
 われわれが専攻する産婦人科学は,生殖医学,周産期医学,婦人科腫瘍学,さらには女性のプライマリ・ケアのそれぞれの専門分化が推奨されるほどその範囲は広く,女性の生涯を通じてその健康に奉仕する女性医学としての性格を有するようになってきている。どの学問においても分化と統合は常に必要であり,教育においては方法論的に産科学そして婦人科学として器官別に細分化して論ずるよりは,産婦人科学は女性の生態学,病態学として大きくとらえられるべきである。

 医師は日々の臨床において,症例から多くのことを学ぶ。臨床医は症例から学ぶだけではなく,その診療の基盤となる科学的エビデンスに注目し,臨床に当たらなければならない。日常診療においてもいずれの領域であっても高いエビデンスに基づいた診療が要求され,治療の標準化が叫ばれ,診療の指針となるガイドライン作りが盛んに行われるようになってきている。すでに日本産科婦人科学会においても,「診療ガイドライン」が『産科編2011』『婦人科外来編2011』それに『ホルモン補充療法ガイドライン2009』として刊行されている。日進月歩する産婦人科医療においては,患者の予後改善に寄与する可能性のある新知見が見いだされ,それに伴う新技術も陸続と開発されていることより,これらガイドラインは3年ごとに改訂されることになっている。

 このたび,徳島大学前学長 青野敏博先生,同大学院産科婦人科分野教授 苛原稔先生により,『産婦人科ベッドサイドマニュアル 第6版』が上梓された。両先生のご編集の下,徳島大学医学部産科婦人科学教室の先生方の総力を結集して編纂されている。本書は1991年に初版が発刊され,以来21年にわたり産婦人科学の代表的な診療マニュアルとして揺るぎない評価を受けている。今回の改訂においては,内容の大幅な見直しによる項目の改廃,新しい検査法や治療法など,さまざまな診療ガイドラインに準拠する形で,2006年度版を改稿したものである。

 本マニュアルは外来診療時や病棟のベッドサイドで直ちに利用できるようにコンパクトにまとめられている。内容も文章の羅列による教科書的な記述を避け,極めて明快に論述されており,また適応や管理のアルゴリズムがフローチャートで記されていることも特徴である。治療に使用する薬剤は実地臨床に役立つように商品名も記載されており,心憎い配慮が読み取れる。各分野の病態の包括的理解を容易にし,かつ医療の実践に向けての問題解決能力の陶冶に資するよう意を尽くされている。本書はまさにこのような趣意で草されたもので,類書を見ない。

 初期研修医はもちろん,産婦人科専攻医,実地医家の先生方のほか,助産師や産婦人科看護師の方々にも,clinical expertiseを高める意味でぜひとも本書の活用を祈ってやまない。

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