産婦人科ベッドサイドマニュアル 第7版
産婦人科医の「困った」を解決する信頼のポケットマニュアル、待望の改訂!
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初版以来27年にわたり圧倒的信頼を得てきた、ポケットサイズの産婦人科最強ベッドサイドマニュアル第7版。構成新たに123テーマを明快解説。「再発卵巣癌に対する化学療法」「遺伝性腫瘍」「AMHの測定意義」「不妊症における子宮内膜症の治療」「女性アスリート診療の留意点」「骨盤臓器脱」「脂質異常症」など新規収載項目も多数。外来で。ベッドサイドで。産婦人科の「困った」「わからない」にはこの1冊が効きます!
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
編集 | 青野 敏博 / 苛原 稔 |
発行 | 2018年07月判型:B6変頁:536 |
ISBN | 978-4-260-03455-5 |
定価 | 7,260円 (本体6,600円+税) |
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- 目次
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序文
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第7版序(青野敏博)/第7版の刊行に寄せて 『産婦人科ベッドサイドマニュアル』30年の歩み(苛原 稔)
第7版序
本書は産婦人科の卒後臨床研修や生涯研修を効果的に進める一助にと編集され,1991年に初版が刊行された.各テーマの選び方が教科書的でなく問題解決型であり,内容が明快で理解しやすいことにより,好評を得て改版を重ね今回第7版を刊行できるのは有り難いことである.日本専門医機構が発表した新専門医制度の設計によると,専門研修が2018年4月から開始され,産婦人科における研修が再び必修化になったことも改版の追い風になると思われる.
今回は章構成を新たにし,腫瘍,生殖内分泌,周産期に女性医学を加えて4分野にまとめた.また,臨床医学の新しい進歩を取り入れるため魅力的な9項目を新設した.
新設の項目として,腫瘍の分野では「再発卵巣癌に対する化学療法」「婦人科領域のMRI診断」「遺伝性腫瘍」の3項目を加えた.生殖内分泌の分野では新しく「抗ミュラー管ホルモンの測定意義」「不妊症における子宮内膜症の治療」「女性アスリート診療の留意点」の3項目を追加した.女性医学の分野で新たに加えたのは「月経前症候群」「骨盤臓器脱」「脂質異常症」の3項目である.周産期の分野では,「胎児染色体検査の適応と診断」および「妊娠・授乳と薬剤」の2項目について全面的に内容を書き改めた.
一方,本文中で注目すべき事項を簡潔に解説するSide Memoについても10項目を新設し,最新の情報を取り入れる窓口となった.このような改訂を加えると,頁数が大幅に増えてハンディーでなくなる恐れがあるが,出版社のほうで紙面をタイトに仕上げてくださり,総頁数はむしろ減らすことができた.
近年,日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の編集によりQ&A方式による『産婦人科診療ガイドライン』が出版され,EBMの観点から重み付けも行われ,多くの方々に重用されている.われわれも本書の改訂に当たり『産婦人科診療ガイドライン』を参照し,一部の項目では内容を取り入れさせていただいた.
本書は,問題解決型のテーマを厳選し,エビデンスに基づいた最新の情報を盛り込み,図表と2色刷りを駆使してわかりやすく構成している.したがって日常診療上,困った問題やわからない事態に遭遇したときに本書を開いていただければ,ほぼ間違いなく答えが見つかるものと自負している.
本書は初期研修医はもちろん,産婦人科専攻医,実地医家のほか,助産師や産婦人科に携わる看護師の皆様にも幅広く利用していただき,日常の診療に役立てていただければ有り難く思う.
終わりに臨み,本書の改訂作業に献身的にご尽力くださった徳島大学の加藤剛志講師と医学書院医学書籍編集部の志澤真理子氏に,深甚の感謝を申し上げる.
2018年5月 新緑の色増す季節に
青野敏博
第7版の刊行に寄せて
『産婦人科ベッドサイドマニュアル』30年の歩み
7版目の『産婦人科ベッドサイドマニュアル』を上梓することになった.青い初版の発行は平成3(1991)年なので,実に約30年にわたり出版を継続させていただいたことになる.嬉しいとともに光栄に思っている.これだけ長く続いたのは,臨床現場で役に立つマニュアル書として第一線の産婦人科医に受け入れられてきた結果と,密かに自負している.支持していただいた先生方に厚く御礼を申し上げる次第である.
昭和62(1987)年2月1日に,恩師であり本書の共同編者である青野敏博名誉教授が徳島大学産科婦人科の主任教授として就任された.その日から,日々の診療を通して,新体制における診療方針を確立していく作業が始まった.その過程のなかで,方針が定まっていない疾患への対応,日頃から常識と思っていた診断法や治療法の見直し,さらに外来や病棟での患者説明に必要な資料の作成を中心に,疾患ごとに標準方式を医局内で検討し,その結果をプリントにして積み上げていった.それをもとに,昭和63(1988)年に私家本の『徳島大学産婦人科診療マニュアル』をつくったのが本書の源流である.今でこそマニュアル書全盛の時代であるが,当時はあまり存在しなかった.丁度,私が昭和63年度に病棟医長を拝命した時期であり,病棟管理や新入医局員の教育に,この私家本はとても有用であった.そして,平成3年の本書初版の発刊に結び付くわけである.
このように本書は,徳島大学産科婦人科およびその関係者が実地診療に悪戦苦闘した戦歴の集積である.われわれは常に,患者にとって最適な対応をしよう,患者の理解のうえで治療を行おう,名人芸を排除して誰もが可能な診療を行おうと考えてきた.なかには唯我独尊的な部分もあるだろうが,それもまた大切に考えよう,というのがコンセプトである.そして,網羅的に項目立てをして計画的に頁を割り振るのではなく,実地臨床に必要不可欠な項目を厳選し,それぞれの項目に必要な情報を必要な分量で盛り込むことを編集方針として貫いてきた.さらに,常に内容を見直し,古くなった項目を削除して,新しい項目を追加してきた.このように時代に応じて自ら変わってきたことが,30年にわたり変わらずに支持されてきた原動力だと考えている.
本書は激動の平成の30年間をわれわれとともに歩んできた.産婦人科医療の発展に伴い本書も成長し,内容も充実してきた.この間に産婦人科を取り巻く環境や執筆する医局員も変わったが,各項目を検討する手順と姿勢は初版と変えていない.すなわち,疾患の問題点を抽出し,資料を集め文献に当たり,そのうえで上下関係なく侃々諤々の議論を行って,その結果をまとめる.文章は簡潔明瞭に,図表はわかりやすく加工する.この一連の作業をほぼ半年,毎週繰り返してきた.これは無駄なようだが,日々の医療を医局員が膝を交えて話し合う機会として,とても大事な時間となっている.それゆえ,本書はわれわれの宝であり,統合の象徴ともいえる.
私は3版までは執筆者として,また4版以降は青野名誉教授とともに編集を担当させていただき,とても多くの勉強をさせていただいている.いよいよ来年は「平成」から「新元号」の時代になる.その新しい時代にも,本書が臨床現場の第一線の産婦人科医に支持されて,版を重ねることを願っている.
最後に,初版から7版に関連したすべての当科医局員に感謝するとともに,長年,われわれを支援し出版を続けていただいた医学書院および編集関係者に厚く御礼を申し上げたい.
平成30年6月
苛原 稔
第7版序
本書は産婦人科の卒後臨床研修や生涯研修を効果的に進める一助にと編集され,1991年に初版が刊行された.各テーマの選び方が教科書的でなく問題解決型であり,内容が明快で理解しやすいことにより,好評を得て改版を重ね今回第7版を刊行できるのは有り難いことである.日本専門医機構が発表した新専門医制度の設計によると,専門研修が2018年4月から開始され,産婦人科における研修が再び必修化になったことも改版の追い風になると思われる.
今回は章構成を新たにし,腫瘍,生殖内分泌,周産期に女性医学を加えて4分野にまとめた.また,臨床医学の新しい進歩を取り入れるため魅力的な9項目を新設した.
新設の項目として,腫瘍の分野では「再発卵巣癌に対する化学療法」「婦人科領域のMRI診断」「遺伝性腫瘍」の3項目を加えた.生殖内分泌の分野では新しく「抗ミュラー管ホルモンの測定意義」「不妊症における子宮内膜症の治療」「女性アスリート診療の留意点」の3項目を追加した.女性医学の分野で新たに加えたのは「月経前症候群」「骨盤臓器脱」「脂質異常症」の3項目である.周産期の分野では,「胎児染色体検査の適応と診断」および「妊娠・授乳と薬剤」の2項目について全面的に内容を書き改めた.
一方,本文中で注目すべき事項を簡潔に解説するSide Memoについても10項目を新設し,最新の情報を取り入れる窓口となった.このような改訂を加えると,頁数が大幅に増えてハンディーでなくなる恐れがあるが,出版社のほうで紙面をタイトに仕上げてくださり,総頁数はむしろ減らすことができた.
近年,日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の編集によりQ&A方式による『産婦人科診療ガイドライン』が出版され,EBMの観点から重み付けも行われ,多くの方々に重用されている.われわれも本書の改訂に当たり『産婦人科診療ガイドライン』を参照し,一部の項目では内容を取り入れさせていただいた.
本書は,問題解決型のテーマを厳選し,エビデンスに基づいた最新の情報を盛り込み,図表と2色刷りを駆使してわかりやすく構成している.したがって日常診療上,困った問題やわからない事態に遭遇したときに本書を開いていただければ,ほぼ間違いなく答えが見つかるものと自負している.
本書は初期研修医はもちろん,産婦人科専攻医,実地医家のほか,助産師や産婦人科に携わる看護師の皆様にも幅広く利用していただき,日常の診療に役立てていただければ有り難く思う.
終わりに臨み,本書の改訂作業に献身的にご尽力くださった徳島大学の加藤剛志講師と医学書院医学書籍編集部の志澤真理子氏に,深甚の感謝を申し上げる.
2018年5月 新緑の色増す季節に
青野敏博
第7版の刊行に寄せて
『産婦人科ベッドサイドマニュアル』30年の歩み
7版目の『産婦人科ベッドサイドマニュアル』を上梓することになった.青い初版の発行は平成3(1991)年なので,実に約30年にわたり出版を継続させていただいたことになる.嬉しいとともに光栄に思っている.これだけ長く続いたのは,臨床現場で役に立つマニュアル書として第一線の産婦人科医に受け入れられてきた結果と,密かに自負している.支持していただいた先生方に厚く御礼を申し上げる次第である.
昭和62(1987)年2月1日に,恩師であり本書の共同編者である青野敏博名誉教授が徳島大学産科婦人科の主任教授として就任された.その日から,日々の診療を通して,新体制における診療方針を確立していく作業が始まった.その過程のなかで,方針が定まっていない疾患への対応,日頃から常識と思っていた診断法や治療法の見直し,さらに外来や病棟での患者説明に必要な資料の作成を中心に,疾患ごとに標準方式を医局内で検討し,その結果をプリントにして積み上げていった.それをもとに,昭和63(1988)年に私家本の『徳島大学産婦人科診療マニュアル』をつくったのが本書の源流である.今でこそマニュアル書全盛の時代であるが,当時はあまり存在しなかった.丁度,私が昭和63年度に病棟医長を拝命した時期であり,病棟管理や新入医局員の教育に,この私家本はとても有用であった.そして,平成3年の本書初版の発刊に結び付くわけである.
このように本書は,徳島大学産科婦人科およびその関係者が実地診療に悪戦苦闘した戦歴の集積である.われわれは常に,患者にとって最適な対応をしよう,患者の理解のうえで治療を行おう,名人芸を排除して誰もが可能な診療を行おうと考えてきた.なかには唯我独尊的な部分もあるだろうが,それもまた大切に考えよう,というのがコンセプトである.そして,網羅的に項目立てをして計画的に頁を割り振るのではなく,実地臨床に必要不可欠な項目を厳選し,それぞれの項目に必要な情報を必要な分量で盛り込むことを編集方針として貫いてきた.さらに,常に内容を見直し,古くなった項目を削除して,新しい項目を追加してきた.このように時代に応じて自ら変わってきたことが,30年にわたり変わらずに支持されてきた原動力だと考えている.
本書は激動の平成の30年間をわれわれとともに歩んできた.産婦人科医療の発展に伴い本書も成長し,内容も充実してきた.この間に産婦人科を取り巻く環境や執筆する医局員も変わったが,各項目を検討する手順と姿勢は初版と変えていない.すなわち,疾患の問題点を抽出し,資料を集め文献に当たり,そのうえで上下関係なく侃々諤々の議論を行って,その結果をまとめる.文章は簡潔明瞭に,図表はわかりやすく加工する.この一連の作業をほぼ半年,毎週繰り返してきた.これは無駄なようだが,日々の医療を医局員が膝を交えて話し合う機会として,とても大事な時間となっている.それゆえ,本書はわれわれの宝であり,統合の象徴ともいえる.
私は3版までは執筆者として,また4版以降は青野名誉教授とともに編集を担当させていただき,とても多くの勉強をさせていただいている.いよいよ来年は「平成」から「新元号」の時代になる.その新しい時代にも,本書が臨床現場の第一線の産婦人科医に支持されて,版を重ねることを願っている.
最後に,初版から7版に関連したすべての当科医局員に感謝するとともに,長年,われわれを支援し出版を続けていただいた医学書院および編集関係者に厚く御礼を申し上げたい.
平成30年6月
苛原 稔
目次
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略語一覧
A 腫瘍
(1)婦人科悪性腫瘍の臨床期分類とTNM分類
(2)ベセスダシステム(細胞診)
(3)CINの取り扱い(妊娠時を含む)
(4)子宮頸癌とhuman papillomavirus(HPV)
(5)円錐切除術の適応
(6)子宮頸癌の標準的治療法
(7)子宮頸部腺癌I期,II期の取り扱い
(8)子宮体癌,内膜増殖症の取り扱い
(9)子宮体癌の手術術式および後療法
(10)広汎子宮全摘術後の排尿障害の管理
(11)卵巣癌の治療方針
(12)再発卵巣癌に対する化学療法
(13)腟癌の標準的治療法
(14)外陰癌の標準的治療法
(15)絨毛性疾患の分類と胞状奇胎の管理
(16)侵入奇胎,絨毛癌,存続絨毛症の化学療法
(17)TC/DC療法の実際
(18)抗癌剤の副作用対策
(19)婦人科悪性腫瘍の妊孕性温存療法
(20)産婦人科領域における腫瘍マーカーの取り扱い
(21)末期癌患者の疼痛管理
(22)子宮内膜ポリープの取り扱い
(23)自己血輸血
(24)婦人科領域の画像診断
(25)婦人科領域のMRI診断
(26)婦人科における腹腔鏡下手術
(27)子宮鏡検査および子宮鏡下手術
(28)遺伝性腫瘍
(29)静脈血栓塞栓症の予防
別表
(1)婦人科領域における抗癌剤一覧表
(2)婦人科領域における抗癌剤の多剤併用療法
B 生殖内分泌
(1)女性における各種ホルモンの基準値と解釈
(2)各種内分泌負荷試験の適応と診断基準
(3)抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定意義
(4)無月経の検査,診断手順
(5)無排卵症の排卵誘発法(ゴナドトロピン療法以外)
(6)ゴナドトロピン療法
(7)黄体機能不全の診断と治療
(8)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断と治療
(9)高プロラクチン血症性排卵障害
(10)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の取り扱い
(11)機能性子宮出血の診断と治療
(12)月経の人工移動
(13)不妊検査のスケジュール
(14)子宮卵管造影法(HSG)の手技と読影のポイント
(15)卵管不妊の治療方針
(16)不妊症における子宮内膜症の治療
(17)男性不妊の診断と治療
(18)抗精子抗体による不妊
(19)原因不明不妊の取り扱い
(20)配偶者間人工授精(AIH)
(21)生殖補助医療(ART)
(22)異所性妊娠の治療法
(23)習慣流産(不育症)の診断と治療
(24)抗リン脂質抗体による不育症
(25)各種避妊法の選択
(26)女性アスリート診療の留意点
C 女性医学
(1)過多月経
(2)月経困難症
(3)月経前症候群
(4)更年期障害
(5)ホルモン補充療法(HRT)
(6)閉経後骨粗鬆症
(7)女性の排尿障害
(8)骨盤臓器脱
(9)成人女性の肥満の判定とメタボリックシンドローム
(10)脂質異常症
(11)子宮内膜症
(12)子宮筋腫
(13)乳癌検診
(14)乳癌の画像診断
(15)尖圭コンジローマ
(16)梅毒
(17)淋菌感染症
(18)クラミジア感染症
(19)外陰部潰瘍
(20)薬剤耐性菌
(21)漢方療法
(22)産婦人科における急性腹症
(23)産婦人科における薬物相互作用
D 周産期
(1)分娩予定日ならびに妊娠時期の診断法
(2)遺伝相談
(3)各種合併症における妊娠許容基準
(4)妊婦と放射線被曝
(5)妊婦とウイルス疾患
(6)HBs抗原陽性妊婦の取り扱い
(7)エイズの診断と感染妊婦の取り扱い
(8)妊婦と予防接種
(9)卵巣腫瘍合併妊娠
(10)流産の超音波による診断
(11)妊娠時期別の超音波スクリーニング
(12)頸管縫縮術
(13)胎児染色体検査の適応と診断
(14)妊娠中に取り扱う糖代謝異常の診断と管理
(15)膠原病合併妊娠
(16)気管支喘息合併妊娠
(17)甲状腺機能異常合併妊娠
(18)Rh血液型不適合妊娠
(19)切迫早産の治療方針
(20)前置胎盤
(21)Preterm PROM(34週未満)
(22)B群溶血性連鎖球菌(GBS)感染症
(23)子宮内胎児発育遅延(FGR)
(24)多胎妊娠
(25)ノンストレステスト(NST)の手技,時期,判読
(26)fetal biophysical profileによる胎児評価法
(27)パルスドプラによる胎児評価
(28)骨盤X線計測法
(29)急速遂娩(帝王切開)術の適応
(30)骨盤位の分娩方針
(31)分娩誘発法(頸管熟化法を含む)
(32)分娩中の胎児機能不全への対応
(33)妊娠高血圧症候群の管理と娩出時期の決定
(34)子癇の治療法:ECLAMPSIA法
(35)産科DICの診断と治療
(36)産科ショック対策のポイント
(37)新生児の蘇生と呼吸管理
(38)新生児血管確保に必要な器具,手技と輸液療法
(39)新生児に汎用される検査と参考値
(40)新生児によくみられる症状とその検査,処置
(41)光線療法の適応と方法
(42)産褥期の乳房管理
(43)乳汁分泌の促進と抑制
(44)妊娠・授乳と薬剤
(45)胎児・新生児の発育
和文索引
欧文索引
Side Memo 目次
・部分胞状奇胎(部分奇胎)の管理
・広汎子宮頸部切除(radical trachelectomy)
・ヒト精巣上体蛋白4(human epididymis protein 4;HE4)
・閉経後卵巣腫瘍の取り扱い
・予防的卵管切除・予防的卵巣摘出術
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
・早発卵巣不全
・PCOSに対するクロミフェン-メトホルミン併用療法
・高プロラクチン血症採血時の注意
・OHSSの重症化予防(カベルゴリン)
・ARTにおける多胎妊娠予防と選択的単一胚移植
・MD-TESE(micro dissection-testicular sperm extraction)
・persistent ectopic pregnancy(PEP)
・マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)
・ビスフォスフォネートと顎骨壊死
・OC/LEPと血栓症
・選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)
・新生児TSS様発疹症(neonatal toxic-shock-syndrome-like
exanthematous disease;NTED)
・凍結後解凍母乳
・妊娠とC型肝炎
・劇症型A群溶血性連鎖球菌(GAS)感染症
・妊娠性甲状腺機能亢進症,甲状腺クリーゼ
・出産後甲状腺機能異常症
・早産予防に対する黄体ホルモン療法
・無痛分娩
・妊娠高血圧症候群定義・臨床分類改定案(平成29年9月 日本妊娠高血圧学会)の
主な変更点
・パルスオキシメーター
・All or Noneの解釈について
A 腫瘍
(1)婦人科悪性腫瘍の臨床期分類とTNM分類
(2)ベセスダシステム(細胞診)
(3)CINの取り扱い(妊娠時を含む)
(4)子宮頸癌とhuman papillomavirus(HPV)
(5)円錐切除術の適応
(6)子宮頸癌の標準的治療法
(7)子宮頸部腺癌I期,II期の取り扱い
(8)子宮体癌,内膜増殖症の取り扱い
(9)子宮体癌の手術術式および後療法
(10)広汎子宮全摘術後の排尿障害の管理
(11)卵巣癌の治療方針
(12)再発卵巣癌に対する化学療法
(13)腟癌の標準的治療法
(14)外陰癌の標準的治療法
(15)絨毛性疾患の分類と胞状奇胎の管理
(16)侵入奇胎,絨毛癌,存続絨毛症の化学療法
(17)TC/DC療法の実際
(18)抗癌剤の副作用対策
(19)婦人科悪性腫瘍の妊孕性温存療法
(20)産婦人科領域における腫瘍マーカーの取り扱い
(21)末期癌患者の疼痛管理
(22)子宮内膜ポリープの取り扱い
(23)自己血輸血
(24)婦人科領域の画像診断
(25)婦人科領域のMRI診断
(26)婦人科における腹腔鏡下手術
(27)子宮鏡検査および子宮鏡下手術
(28)遺伝性腫瘍
(29)静脈血栓塞栓症の予防
別表
(1)婦人科領域における抗癌剤一覧表
(2)婦人科領域における抗癌剤の多剤併用療法
B 生殖内分泌
(1)女性における各種ホルモンの基準値と解釈
(2)各種内分泌負荷試験の適応と診断基準
(3)抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定意義
(4)無月経の検査,診断手順
(5)無排卵症の排卵誘発法(ゴナドトロピン療法以外)
(6)ゴナドトロピン療法
(7)黄体機能不全の診断と治療
(8)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断と治療
(9)高プロラクチン血症性排卵障害
(10)卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の取り扱い
(11)機能性子宮出血の診断と治療
(12)月経の人工移動
(13)不妊検査のスケジュール
(14)子宮卵管造影法(HSG)の手技と読影のポイント
(15)卵管不妊の治療方針
(16)不妊症における子宮内膜症の治療
(17)男性不妊の診断と治療
(18)抗精子抗体による不妊
(19)原因不明不妊の取り扱い
(20)配偶者間人工授精(AIH)
(21)生殖補助医療(ART)
(22)異所性妊娠の治療法
(23)習慣流産(不育症)の診断と治療
(24)抗リン脂質抗体による不育症
(25)各種避妊法の選択
(26)女性アスリート診療の留意点
C 女性医学
(1)過多月経
(2)月経困難症
(3)月経前症候群
(4)更年期障害
(5)ホルモン補充療法(HRT)
(6)閉経後骨粗鬆症
(7)女性の排尿障害
(8)骨盤臓器脱
(9)成人女性の肥満の判定とメタボリックシンドローム
(10)脂質異常症
(11)子宮内膜症
(12)子宮筋腫
(13)乳癌検診
(14)乳癌の画像診断
(15)尖圭コンジローマ
(16)梅毒
(17)淋菌感染症
(18)クラミジア感染症
(19)外陰部潰瘍
(20)薬剤耐性菌
(21)漢方療法
(22)産婦人科における急性腹症
(23)産婦人科における薬物相互作用
D 周産期
(1)分娩予定日ならびに妊娠時期の診断法
(2)遺伝相談
(3)各種合併症における妊娠許容基準
(4)妊婦と放射線被曝
(5)妊婦とウイルス疾患
(6)HBs抗原陽性妊婦の取り扱い
(7)エイズの診断と感染妊婦の取り扱い
(8)妊婦と予防接種
(9)卵巣腫瘍合併妊娠
(10)流産の超音波による診断
(11)妊娠時期別の超音波スクリーニング
(12)頸管縫縮術
(13)胎児染色体検査の適応と診断
(14)妊娠中に取り扱う糖代謝異常の診断と管理
(15)膠原病合併妊娠
(16)気管支喘息合併妊娠
(17)甲状腺機能異常合併妊娠
(18)Rh血液型不適合妊娠
(19)切迫早産の治療方針
(20)前置胎盤
(21)Preterm PROM(34週未満)
(22)B群溶血性連鎖球菌(GBS)感染症
(23)子宮内胎児発育遅延(FGR)
(24)多胎妊娠
(25)ノンストレステスト(NST)の手技,時期,判読
(26)fetal biophysical profileによる胎児評価法
(27)パルスドプラによる胎児評価
(28)骨盤X線計測法
(29)急速遂娩(帝王切開)術の適応
(30)骨盤位の分娩方針
(31)分娩誘発法(頸管熟化法を含む)
(32)分娩中の胎児機能不全への対応
(33)妊娠高血圧症候群の管理と娩出時期の決定
(34)子癇の治療法:ECLAMPSIA法
(35)産科DICの診断と治療
(36)産科ショック対策のポイント
(37)新生児の蘇生と呼吸管理
(38)新生児血管確保に必要な器具,手技と輸液療法
(39)新生児に汎用される検査と参考値
(40)新生児によくみられる症状とその検査,処置
(41)光線療法の適応と方法
(42)産褥期の乳房管理
(43)乳汁分泌の促進と抑制
(44)妊娠・授乳と薬剤
(45)胎児・新生児の発育
和文索引
欧文索引
Side Memo 目次
・部分胞状奇胎(部分奇胎)の管理
・広汎子宮頸部切除(radical trachelectomy)
・ヒト精巣上体蛋白4(human epididymis protein 4;HE4)
・閉経後卵巣腫瘍の取り扱い
・予防的卵管切除・予防的卵巣摘出術
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
・早発卵巣不全
・PCOSに対するクロミフェン-メトホルミン併用療法
・高プロラクチン血症採血時の注意
・OHSSの重症化予防(カベルゴリン)
・ARTにおける多胎妊娠予防と選択的単一胚移植
・MD-TESE(micro dissection-testicular sperm extraction)
・persistent ectopic pregnancy(PEP)
・マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)
・ビスフォスフォネートと顎骨壊死
・OC/LEPと血栓症
・選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)
・新生児TSS様発疹症(neonatal toxic-shock-syndrome-like
exanthematous disease;NTED)
・凍結後解凍母乳
・妊娠とC型肝炎
・劇症型A群溶血性連鎖球菌(GAS)感染症
・妊娠性甲状腺機能亢進症,甲状腺クリーゼ
・出産後甲状腺機能異常症
・早産予防に対する黄体ホルモン療法
・無痛分娩
・妊娠高血圧症候群定義・臨床分類改定案(平成29年9月 日本妊娠高血圧学会)の
主な変更点
・パルスオキシメーター
・All or Noneの解釈について
書評
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臨床の問題から文献を調べ上げ,議論を重ねてまとめられた書
書評者: 加藤 聖子 (九大教授・婦人科学産科学)
青野敏博・苛原稔編集『産婦人科ベッドサイドマニュアル 第7版』が刊行された。1991(平成3)年の初版より27年の間,研修医・実地臨床医に愛されてきたマニュアルである。評者自身は第5版より利用させていただいている。ちょうど良い大きさ・量であり,患者さんに説明するために知りたいこと・処方や処置をするために必要な知識が的確にまとめられており,10年以上評者の診療のよりどころとなっている。
青野先生の「序文」,苛原先生の「第7版の刊行に寄せて」の内容を読むと,一冊の本が完成するまで,徳島大産科婦人科の教室員が,日頃の臨床現場から問題点を抽出し,資料・文献を調べ上げ,議論を重ねまとめるという姿勢を初版よりずっと貫かれており,まさに教室員の汗と努力の賜物である。
この本は医療の進歩,変化に合わせて改訂されているので,われわれは最新の産婦人科医療の知識を得ることができる。第7版に新たに加えられたものとして,例えば,無侵襲的胎児遺伝学的検査(NIPT)の広まりを受けて,「胎児染色体検査の適応と診断」が解説されている。また,最近のトピックである「女性アスリート診療の留意点」も取り上げられている。特に今回,評者が着目したのは「Side Memo」のコーナーである。周産期・内分泌・婦人科腫瘍・女性医学の最新の情報が簡潔にまとめられており,各分野の専門医試験にも十分役立つ内容である。
この本の良さは手に取って,ページをめくってもらうとよくわかる。知っておきたい疾患の発症率やリスク発生率などの統計学的数値,診断のフローチャート,治療のレジメンなどが,視覚的に頭に入る構成になっている。
産婦人科の基礎的知識を得たい初期研修医,産婦人科専門医試験を控えた後期研修医,各サブスペシャリティの専門医など,産婦人科医療に携わる全ての人にお薦めしたい本である。
“青野・苛原スクール”―全身全霊の指導の集大成!
書評者: 木村 正 (阪大大学院教授・産科学婦人科学)
『産婦人科ベッドサイドマニュアル』は改訂を重ね,すでに第7版刊行にまで至っている。確かに白衣のポケットに入り,産婦人科全領域をカバーする本はなかなかないので,その人気のほどがわかる。
手にとって通読してみると,35年前の講義室が目の前に突然よみがえってきた。阪大の学生時代,当時講師であられた青野敏博先生の講義を拝聴した。パワーポイントも打ち出したレジュメもない時代,口述と板書のみで講義は進んでいた。青野先生のされた,卵巣の2-cell theory(顆粒膜細胞と黄体細胞が協調してFSH,LHに反応し,排卵前後でエストロゲン,プロゲステロン産生を調節する)の見事な解説は,今もって私にはできない。その青野先生が徳島大に移られ多くの先生方を育成され学長となられた。そして後任であられる苛原稔先生には日本産科婦人科学会の倫理委員長として,また日本生殖医学会理事長として,ご指導をいただいた。苛原先生の温かみのある,しかし毅然とした方針は常に日本の産婦人科医療を照らす道しるべとなった。このお二人が編集されたベッドサイドマニュアルは,簡潔かつ整理整頓され,エビデンスの基本データが必要に応じて配置され,執筆された先生方の臨床現場における「知」が集積された,即戦力の冊子である。外来で,病棟で,迷ったときに確認するためにうってつけで,いつも白衣のポケットに忍ばせておくのにちょうど良い。
世の中はガイドラインばやりである。しかし,ガイドラインは教科書ではなく,ましてや「勉強」の対象ではない。エビデンスを吟味し,7~8割の患者に最も適した方針が示されている単なる手引きの一つである。残念ながら,なぜかガイドラインはどんどん分厚くなっていき,適応を理解しようとしない司法界にあたかも法典のごとく利用されがちである。それに対応するためにも,必要最小限のことだけを書けば良いのだが,なかなかそれだけでは許されない雰囲気があるらしい。本書も時にはガイドラインを参照するが,それだけではない,現場に即した知恵が書かれている。また,平成に入って6回も改訂されているだけあって,常に最新の知識の導入が図られている。ホルモンの測定値が使用するキットによって異なることが記されていたり,乳房に関する基本的診察や検査が書かれていたりして,青野・苛原イズムが本書を執筆された先生方に徹底され浸透していることがよくわかる。二代にわたる青野・苛原スクールで,お二人が教室の先生方に全身全霊を費やして指導してこられた,その集大成がこの書籍なのだと拝察する。
産婦人科の実地診療を行う上で,必要十分な知識を,無駄な言葉を一切使わずに簡潔にまとめ上げた本書は,若手からベテランまで産婦人科全体の知識の再整理に,日常診療でちょっと「あれ!?」と思ったときに,ポケットに忍ばせて助けになる良書である。
書評者: 加藤 聖子 (九大教授・婦人科学産科学)
青野敏博・苛原稔編集『産婦人科ベッドサイドマニュアル 第7版』が刊行された。1991(平成3)年の初版より27年の間,研修医・実地臨床医に愛されてきたマニュアルである。評者自身は第5版より利用させていただいている。ちょうど良い大きさ・量であり,患者さんに説明するために知りたいこと・処方や処置をするために必要な知識が的確にまとめられており,10年以上評者の診療のよりどころとなっている。
青野先生の「序文」,苛原先生の「第7版の刊行に寄せて」の内容を読むと,一冊の本が完成するまで,徳島大産科婦人科の教室員が,日頃の臨床現場から問題点を抽出し,資料・文献を調べ上げ,議論を重ねまとめるという姿勢を初版よりずっと貫かれており,まさに教室員の汗と努力の賜物である。
この本は医療の進歩,変化に合わせて改訂されているので,われわれは最新の産婦人科医療の知識を得ることができる。第7版に新たに加えられたものとして,例えば,無侵襲的胎児遺伝学的検査(NIPT)の広まりを受けて,「胎児染色体検査の適応と診断」が解説されている。また,最近のトピックである「女性アスリート診療の留意点」も取り上げられている。特に今回,評者が着目したのは「Side Memo」のコーナーである。周産期・内分泌・婦人科腫瘍・女性医学の最新の情報が簡潔にまとめられており,各分野の専門医試験にも十分役立つ内容である。
この本の良さは手に取って,ページをめくってもらうとよくわかる。知っておきたい疾患の発症率やリスク発生率などの統計学的数値,診断のフローチャート,治療のレジメンなどが,視覚的に頭に入る構成になっている。
産婦人科の基礎的知識を得たい初期研修医,産婦人科専門医試験を控えた後期研修医,各サブスペシャリティの専門医など,産婦人科医療に携わる全ての人にお薦めしたい本である。
“青野・苛原スクール”―全身全霊の指導の集大成!
書評者: 木村 正 (阪大大学院教授・産科学婦人科学)
『産婦人科ベッドサイドマニュアル』は改訂を重ね,すでに第7版刊行にまで至っている。確かに白衣のポケットに入り,産婦人科全領域をカバーする本はなかなかないので,その人気のほどがわかる。
手にとって通読してみると,35年前の講義室が目の前に突然よみがえってきた。阪大の学生時代,当時講師であられた青野敏博先生の講義を拝聴した。パワーポイントも打ち出したレジュメもない時代,口述と板書のみで講義は進んでいた。青野先生のされた,卵巣の2-cell theory(顆粒膜細胞と黄体細胞が協調してFSH,LHに反応し,排卵前後でエストロゲン,プロゲステロン産生を調節する)の見事な解説は,今もって私にはできない。その青野先生が徳島大に移られ多くの先生方を育成され学長となられた。そして後任であられる苛原稔先生には日本産科婦人科学会の倫理委員長として,また日本生殖医学会理事長として,ご指導をいただいた。苛原先生の温かみのある,しかし毅然とした方針は常に日本の産婦人科医療を照らす道しるべとなった。このお二人が編集されたベッドサイドマニュアルは,簡潔かつ整理整頓され,エビデンスの基本データが必要に応じて配置され,執筆された先生方の臨床現場における「知」が集積された,即戦力の冊子である。外来で,病棟で,迷ったときに確認するためにうってつけで,いつも白衣のポケットに忍ばせておくのにちょうど良い。
世の中はガイドラインばやりである。しかし,ガイドラインは教科書ではなく,ましてや「勉強」の対象ではない。エビデンスを吟味し,7~8割の患者に最も適した方針が示されている単なる手引きの一つである。残念ながら,なぜかガイドラインはどんどん分厚くなっていき,適応を理解しようとしない司法界にあたかも法典のごとく利用されがちである。それに対応するためにも,必要最小限のことだけを書けば良いのだが,なかなかそれだけでは許されない雰囲気があるらしい。本書も時にはガイドラインを参照するが,それだけではない,現場に即した知恵が書かれている。また,平成に入って6回も改訂されているだけあって,常に最新の知識の導入が図られている。ホルモンの測定値が使用するキットによって異なることが記されていたり,乳房に関する基本的診察や検査が書かれていたりして,青野・苛原イズムが本書を執筆された先生方に徹底され浸透していることがよくわかる。二代にわたる青野・苛原スクールで,お二人が教室の先生方に全身全霊を費やして指導してこられた,その集大成がこの書籍なのだと拝察する。
産婦人科の実地診療を行う上で,必要十分な知識を,無駄な言葉を一切使わずに簡潔にまとめ上げた本書は,若手からベテランまで産婦人科全体の知識の再整理に,日常診療でちょっと「あれ!?」と思ったときに,ポケットに忍ばせて助けになる良書である。