人体の構造と機能[3]
栄養学 第11版
本書の特長
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●本書の教育目標は、「人間栄養学」を基本にしています。すなわち、生命科学を基本にして、栄養と健康、栄養と疾病・障害との関係、さらに人の栄養状態を適正化する方法を総合的に習得することに主眼がおかれています。
●第1章では、栄養学の歴史をふまえ、栄養の意義、そして看護(看護師)の役割について述べています。
●第1章に続く各章では、人体を健康の側面から観察し、日常生活の中で、食品・食べ物を用いての健康の保持・増進、さらに生活習慣病のリスクを除去して疾病に罹患することを予防するための知識と技術を総合的に取り上げています。
●第9章では臨床栄養として、病院食の意義を系統別に疾患を取り上げ、食事療法の概要をまとめて記述しています。
●第10章では、食生活の変遷と食品と食品群および現在の栄養問題について解説しています。
●2009年に公表された「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を付録として、その抄録を掲載しています。
*2011年版より表紙が新しくなりました。
シリーズ | 系統看護学講座 |
---|---|
著 | 小野 章史 / 杉山 みち子 / 鈴木 志保子 / 外山 健二 / 中村 丁次 |
発行 | 2010年01月判型:B5頁:296 |
ISBN | 978-4-260-00904-1 |
定価 | 2,090円 (本体1,900円+税) |
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- 序文
- 目次
- 正誤表
序文
開く
はしがき
栄養の意味
「この食べ物はからだによい」とか,あるいは「からだにわるい」とか,人間は古くから食べ物が身体にどうであるかという問題に大きな関心をもってきた。どのような時代にも,不老長寿の食べ物を熱望してさがし求める人々が存在し,経験をもととした知恵を集積させ,多くの議論を繰り返してきた。
この議論の行き着くところは,「私たちは,なにを食べればよいのか」ということであり,人間にとってきわめて大きなテーマである。このテーマに科学的に取り組み始めたのは18世紀になってであり,今日まで「栄養学」として発展させてきた。
生体が発育・成長して生命を維持し,健全な生命活動を営むために,体外から取り入れるべき必須物質が栄養素nutrientsである。これらが不足すると種々の欠乏症が出現し,さらに進展すれば死にいたる。栄養学は,エネルギーと種々の栄養素のはたらきを解明する学問分野である。
たとえば,タンパク質はからだづくりに利用され,脂質はエネルギー源になると同時に,脂溶性ビタミンの吸収をよくし,必須脂肪酸を供給する。糖質は,脳・神経系,各種細胞のエネルギー源となり,食物繊維は便通をよくすると同時に,低エネルギー源物質として,脂肪や糖質の吸収遅延をおこして肥満や糖尿病の予防に役だつ。各種ビタミン・ミネラルも微量ながら多様な機能を有している。栄養学は,これらのことを明らかにしてきた。
栄養学の課題
ところで,近年,栄養問題では,かつての食料不足による単純な欠乏症にかわって,生活環境やライフスタイルの変遷に伴って新たな問題を生じている。
交通手段の発達,労働形態の変化などによってエネルギー消費量が減少した一方,豊富な食品,高エネルギー食品の普及,食生活の簡便化などによって過食(エネルギー摂取過剰)状態となり,このような食習慣が肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症・動脈硬化・脂肪肝など,いわゆる生活習慣病の一大誘因になってきている。他方,逆に若年女性・傷病者・高齢者には,食料不足ではない新たな要因による低栄養状態が出現してきている。低栄養によって体力低下,免疫能の低下,薬効の低下,病気の回復力の低下,さらにQOLの低下,入院日数の増加や医療費の増加などの問題を生じている。
これら多様な問題を解決するには,「人間」を対象とした新たな栄養学としての取り組みが必要とされる。
改訂の趣旨
本書は1968年看護師が志す者が栄養学を系統的に学ぶにあたって,教科目の1つとして刊行された。その後,数度の改訂を重ねて内容を刷新してきた。
今回の改訂(第11版)では,前版の目次構成を踏襲し,それぞれの章において新知見の導入や内容の充実に努めた。
とくに第3章「栄養素の種類とはたらき」では,各種のミネラルを多く含む食品を加筆した。第5章「栄養素の消化・吸収」では,図を加え内容を再構成した。第6章「栄養素の体内代謝」では,新たに核酸代謝・ホリフィリン代謝について記述した。第9章「臨床栄養」では,新たに脳血管障害・メタボリックシンドロームなどを取り上げた。なお,腎臓疾患患者の食事療法については,全面的に書きかえた。第10章「健康づくり食品・食事・食生活」では,食生活の改善による一次予防として,食事バランスガイド・食育基本法などを解説した。また,新たに「食の安全性と表示」という項をおこし,その意義と内容を執筆した。
最後に,付録として2009年5月に公表された「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を抄録として掲載した。
それぞれの専門職種が,チームワークによって保健・医療・福祉を連携させる必要性が叫ばれている昨今,患者の生活という面を視野におかなければならない看護業務にとって,栄養学を学ぶことは重要な意味があると信じている。
2009年10月
著者ら
栄養の意味
「この食べ物はからだによい」とか,あるいは「からだにわるい」とか,人間は古くから食べ物が身体にどうであるかという問題に大きな関心をもってきた。どのような時代にも,不老長寿の食べ物を熱望してさがし求める人々が存在し,経験をもととした知恵を集積させ,多くの議論を繰り返してきた。
この議論の行き着くところは,「私たちは,なにを食べればよいのか」ということであり,人間にとってきわめて大きなテーマである。このテーマに科学的に取り組み始めたのは18世紀になってであり,今日まで「栄養学」として発展させてきた。
生体が発育・成長して生命を維持し,健全な生命活動を営むために,体外から取り入れるべき必須物質が栄養素nutrientsである。これらが不足すると種々の欠乏症が出現し,さらに進展すれば死にいたる。栄養学は,エネルギーと種々の栄養素のはたらきを解明する学問分野である。
たとえば,タンパク質はからだづくりに利用され,脂質はエネルギー源になると同時に,脂溶性ビタミンの吸収をよくし,必須脂肪酸を供給する。糖質は,脳・神経系,各種細胞のエネルギー源となり,食物繊維は便通をよくすると同時に,低エネルギー源物質として,脂肪や糖質の吸収遅延をおこして肥満や糖尿病の予防に役だつ。各種ビタミン・ミネラルも微量ながら多様な機能を有している。栄養学は,これらのことを明らかにしてきた。
栄養学の課題
ところで,近年,栄養問題では,かつての食料不足による単純な欠乏症にかわって,生活環境やライフスタイルの変遷に伴って新たな問題を生じている。
交通手段の発達,労働形態の変化などによってエネルギー消費量が減少した一方,豊富な食品,高エネルギー食品の普及,食生活の簡便化などによって過食(エネルギー摂取過剰)状態となり,このような食習慣が肥満・糖尿病・高血圧症・脂質異常症・動脈硬化・脂肪肝など,いわゆる生活習慣病の一大誘因になってきている。他方,逆に若年女性・傷病者・高齢者には,食料不足ではない新たな要因による低栄養状態が出現してきている。低栄養によって体力低下,免疫能の低下,薬効の低下,病気の回復力の低下,さらにQOLの低下,入院日数の増加や医療費の増加などの問題を生じている。
これら多様な問題を解決するには,「人間」を対象とした新たな栄養学としての取り組みが必要とされる。
改訂の趣旨
本書は1968年看護師が志す者が栄養学を系統的に学ぶにあたって,教科目の1つとして刊行された。その後,数度の改訂を重ねて内容を刷新してきた。
今回の改訂(第11版)では,前版の目次構成を踏襲し,それぞれの章において新知見の導入や内容の充実に努めた。
とくに第3章「栄養素の種類とはたらき」では,各種のミネラルを多く含む食品を加筆した。第5章「栄養素の消化・吸収」では,図を加え内容を再構成した。第6章「栄養素の体内代謝」では,新たに核酸代謝・ホリフィリン代謝について記述した。第9章「臨床栄養」では,新たに脳血管障害・メタボリックシンドロームなどを取り上げた。なお,腎臓疾患患者の食事療法については,全面的に書きかえた。第10章「健康づくり食品・食事・食生活」では,食生活の改善による一次予防として,食事バランスガイド・食育基本法などを解説した。また,新たに「食の安全性と表示」という項をおこし,その意義と内容を執筆した。
最後に,付録として2009年5月に公表された「日本人の食事摂取基準(2010年版)」を抄録として掲載した。
それぞれの専門職種が,チームワークによって保健・医療・福祉を連携させる必要性が叫ばれている昨今,患者の生活という面を視野におかなければならない看護業務にとって,栄養学を学ぶことは重要な意味があると信じている。
2009年10月
著者ら
目次
開く
第1章 人間栄養学と看護 (中村丁次)
A 栄養と栄養素
B 栄養学の歴史
C 食物栄養学から人間栄養学へ
D 保健と栄養
E 医療と栄養学
F 食事療法の進歩と医療制度
G 看護と栄養
第2章 栄養状態の評価・判定 (杉山みち子)
A 栄養状態の評価・判定の定義と目的
B 栄養状態の評価・判定法
第3章 栄養素の種類とはたらき (鈴木志保子)
A 糖質
B 脂質
C タンパク質
D ビタミン
E ミネラル
F 食物繊維
G 水
第4章 エネルギー代謝 (鈴木志保子)
A 食品のエネルギー
B 体内のエネルギー
C エネルギー代謝の測定
D エネルギー消費
第5章 栄養素の消化・吸収 (小野章史)
A 栄養素の消化
B 栄養素の吸収
C 栄養素の体内運搬
第6章 栄養素の体内代謝 (小野章史)
A 肝臓のはたらき
B 血糖
C 血漿脂質
D 血漿のアミノ酸・タンパク質
E 核酸代謝
F ポルフィリン代謝
G 代謝の調節(内部環境の調節)
H 代謝産物の排泄
第7章 栄養ケア・マネジメント (杉山みち子)
A 栄養ケア・マネジメントとは
B 栄養スクリーニング
C 栄養アセスメント
D 栄養ケア計画
E 栄養ケア計画の実施とチェック
F モニタリング
G 評価
第8章 ライフステージと栄養 (鈴木志保子・杉山みち子)
A 乳児期における栄養
B 幼児期における栄養
C 学童期における栄養
D 思春期・青年期における栄養
E 成人期における栄養
F 妊娠期における栄養
G 授乳期における栄養
H 更年期における栄養
I 高齢期における栄養
第9章 臨床栄養 (外山健二)
A 病院食
B 疾患別食事療法の実際
C 栄養補給法
第10章 健康づくりと食品・食事・食生活 (中村丁次)
A 人間の食事と食文化
B 食品と食品群
C 各種食品群の分類法
D 食生活の変遷と栄養の問題点
E 生活習慣病の予防
F 食生活の改善による一次予防
G 食の安全性と表示
付録 日本人の食事摂取基準(2010年版)抄録
参考文献
索引
A 栄養と栄養素
B 栄養学の歴史
C 食物栄養学から人間栄養学へ
D 保健と栄養
E 医療と栄養学
F 食事療法の進歩と医療制度
G 看護と栄養
第2章 栄養状態の評価・判定 (杉山みち子)
A 栄養状態の評価・判定の定義と目的
B 栄養状態の評価・判定法
第3章 栄養素の種類とはたらき (鈴木志保子)
A 糖質
B 脂質
C タンパク質
D ビタミン
E ミネラル
F 食物繊維
G 水
第4章 エネルギー代謝 (鈴木志保子)
A 食品のエネルギー
B 体内のエネルギー
C エネルギー代謝の測定
D エネルギー消費
第5章 栄養素の消化・吸収 (小野章史)
A 栄養素の消化
B 栄養素の吸収
C 栄養素の体内運搬
第6章 栄養素の体内代謝 (小野章史)
A 肝臓のはたらき
B 血糖
C 血漿脂質
D 血漿のアミノ酸・タンパク質
E 核酸代謝
F ポルフィリン代謝
G 代謝の調節(内部環境の調節)
H 代謝産物の排泄
第7章 栄養ケア・マネジメント (杉山みち子)
A 栄養ケア・マネジメントとは
B 栄養スクリーニング
C 栄養アセスメント
D 栄養ケア計画
E 栄養ケア計画の実施とチェック
F モニタリング
G 評価
第8章 ライフステージと栄養 (鈴木志保子・杉山みち子)
A 乳児期における栄養
B 幼児期における栄養
C 学童期における栄養
D 思春期・青年期における栄養
E 成人期における栄養
F 妊娠期における栄養
G 授乳期における栄養
H 更年期における栄養
I 高齢期における栄養
第9章 臨床栄養 (外山健二)
A 病院食
B 疾患別食事療法の実際
C 栄養補給法
第10章 健康づくりと食品・食事・食生活 (中村丁次)
A 人間の食事と食文化
B 食品と食品群
C 各種食品群の分類法
D 食生活の変遷と栄養の問題点
E 生活習慣病の予防
F 食生活の改善による一次予防
G 食の安全性と表示
付録 日本人の食事摂取基準(2010年版)抄録
参考文献
索引
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。
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