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呼吸器病レジデントマニュアル 第4版

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研修医が習熟すべき医療技術や知識量は近年、加速度的に増加しているが、患者を実際に診療し治療していくには、ベッドサイドで患者から学びつつ、多くの経験を重ねていくほかない。これまでどおり日々の診療に役立つ実践的な内容を心掛けつつも、今版ではEBMや診療ガイドラインの内容も充分に吟味し、多くの項目が書き下ろされた。新しい編集体制のもと、執筆陣容も大幅に刷新。広大な呼吸器病学の荒野を目指す研修医必携の書。
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ レジデントマニュアル
監修 宮城 征四郎
編集 石原 享介 / 谷口 博之 / 藤田 次郎
発行 2008年04月判型:B6変頁:496
ISBN 978-4-260-00431-2
定価 6,270円 (本体5,700円+税)
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第4版 序

 『呼吸器病レジデントマニュアル』の第1版が出版されたのは1988年であるから,この第4版は記念すべき20年目の2008年に出版されることになる。本書は全国の研修医や呼吸器専門を目指す専攻医などの熱い支持を受け,ここまで育ってきた。第1版では卒後1~2年目の内科研修医を対象として編集された。しかしながら,臨床呼吸器病学は20年の歴史を経て,細分化・専門分化されつつ,統合的・包括的理解が必要とされる大きな学問体系となった。また,医学全般におけるプライマリケアの充実を目指して,平成16年度からは臨床研修が必須化され,卒後医学教育の流れも従来の医局中心の方向から,一般病院での研修プログラムやベッドサイド中心の診療体制の整備が制度化されてきた。そして,種々の医療行為においてevidence based medicine(EBM)や診療ガイドラインに基づいた医療評価が導入されてきている。
 しかしながら,習熟すべき医療技術や知識量は加速度的に増加し,臨床教育の現場は医師不足と多忙な診療に追われている。実際のところ,何をどのように教えればよいのか,あるいは学べばよいのか,指導医および研修医双方に多くの戸惑いが生まれているのも事実であろう。EBMやガイドライン全盛時代においても,患者を実際に診療し,治療してゆくにはベッドサイドで患者から学びつつ実践してゆく態度と多くの経験が必要である。広大な臨床呼吸器病学の荒野を目指す諸君に常に本書が携帯され,繰り返し熟読されることを願っている。
 今回の改訂では第3版の編者,石原享介,谷口博之に藤田次郎が加わり,各項目の執筆者にも多くの変更が加えられた。それぞれ一流の臨床医であり,EBMや診療ガイドラインの内容が十分に吟味されつつ,日々の診療に役立つ実践的な記載,内容になっていると自負している。
 本書の改訂作業が大幅に遅れたことを関係各位にお詫びしなければならない。その責はすべて編者にある。粘り強く本書の完成を支え続けてくれた,医学書院の中根冬貴氏に深甚なる感謝の意を表したい。
 2008年3月
 監修 宮城征四郎
 編集 石原享介,谷口博之,藤田次郎

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第1章 呼吸器疾患診断へのアプローチ
 A. 問診および身体所見のとり方
 B. 呼吸器疾患と自覚症状
 C. 呼吸器疾患診断に必要な検査
第2章 呼吸器救急の実際
 A. 呼吸器救急の扱い方
 B. 主要な呼吸器救急疾患への対応
 C. 呼吸器救急での基本的治療
第3章 主な呼吸器疾患の診断と治療
 A. 肺感染症
 B. 気道疾患
 C. 肺腫瘍
 D. 胸膜疾患
 E. 肺血管疾患
 F. びまん性肺疾患
第4章 慢性呼吸不全の診断と治療へのアプローチ
第5章 睡眠呼吸障害の診断と治療へのアプローチ
第6章 呼吸器疾患と社会との関わり(診断書などの作成法)

本書で使用した薬剤・処置・手技点数一覧
索引

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レジデントに捧ぐ呼吸器診察の羅針盤
書評者: 長谷川 好規 (名大大学院教授・呼吸器内科学)
 本書は,第一線の臨床現場において呼吸器疾患診療に長年にわたり携わるなかで,診療に真摯に取り組まれ,また,後継となる若き研修医の育成に尽力されてきた第一級の臨床医により執筆されている。本書の基本姿勢が,「臨床医学は万国に共通する“一般常識”の下に取り組まれるべきとする編者の医療哲学と,従来の偏向した趨勢に歯止めをかける目的をもって,若い呼吸器科研修医や専門外の諸先生方を対象として編纂された(序文)」とあるように,実地臨床に密着した,かつ,高いエビデンス・レベルに基づくわかりやすく,使用しやすい呼吸器診療を学ぶ医師のためのベッドサイド診療指針となっている。第1章の最初のページに,「かつて診断の基礎として重要視された問診・身体所見診療法が次第になおざりにされてきている。―――(略)―――患者の自他覚症状は常に病態・生理学的に解釈を試みることが重要である。」と編者の意図が明確に示されており,大変好感が持てる一冊である。また,呼吸器症状の詳細と診断学的意義の「痰」の項目では,「寝床にティッシュ・ペーパーを置いている場合には,1日痰量が30ml以上,痰壷の場合には100ml以上の痰量を示唆する」と,さらっと記載されており,執筆メンバーの知識に裏付けられた臨床的経験の深さを推測するに難くない。

 呼吸器疾患は,急性期の呼吸管理から,慢性呼吸管理まで,また,肺炎・結核をはじめとする感染症から,アレルギー・免疫性肺疾患,さらには,肺癌をはじめとする腫瘍性疾患まで,取り扱う疾患の範囲は幅広く,呼吸器という専門性を有した内科医としての総合的な能力が要求される。これらの内容をコンパクトな一冊にまとめることは大変な作業であるが,この点においても本書はよく考えられている。第1章「呼吸器疾患の診断へのアプローチ」,第2章「呼吸器救急の実際」と構成されており,これだけでも初期臨床研修や後期臨床研修の研修医マニュアルとして大いに役立つ内容が盛りこまれている。さらに,第3章「主な呼吸器疾患の診断と治療」,第4章「慢性呼吸不全の診断と治療」,第5章「睡眠呼吸障害の診断と治療へのアプローチ」と構成され,common diseaseを中心とした各論が分かりやすい図表とともにまとめられている。最終章の第6章では,これも編者の意図するところであるが,「呼吸器疾患と社会との関わり」として,医師として身につけておくべき地域福祉資源との連携から,届け出書類のノウハウまで簡潔にまとめてある。本書は,まさしくレジデントの諸君が白衣のポケットに忍ばせ常に診療の指針として役立てていただけるすばらしい一冊である。
調べ物の時間を大いに短縮 節約した時間で基礎を学ぼう
書評者: 長坂 行雄 (近畿大学堺病院呼吸器科)
 8年目の改訂で第4版が上梓された。初版以来20年を経て,すでに定評のある本書であるが,第3版から内容も使いやすさも大きく向上した。製本上の改良も見られ,30ページ増えたにもかかわらず冊子の厚さは変わらない。活字も工夫されて情報量も大幅に増えているが読みやすく図表も見やすい。片手に持って親指でページを繰れば見開き右端の表示で速やかに求める項目が見つかり,ペンを持ちながらの参照も簡単である。

 内容も格段に充実した。執筆者は医師としても書き手としてもピークを迎えた方たちで気魄に満ちた記述は読んで気持ちがよい。最初の「診断へのアプローチ」の章は,検査など総論的な項目であるが“臨床現場で知りたい”内容が簡明に記されている。「救急の実際」の章では研修医が大急ぎでページを繰りながら必要な記載と分かりやすい図を見つけてほっとするのが眼に見えるようである。

 「診断と治療」の章はそれぞれガイドラインを踏まえながら最新かつ,確立した知識がコンパクトにまとめられ,引用文献も厳選されている。概念が大きく変わりつつある「びまん性肺疾患」の項の内容も見事である。「呼吸不全」「睡眠時無呼吸」の章も要点が分かりやすく示されている。「診断書の作成」の章は身体障害などの基準値を探し回ることの多い現場で役に立つ。

 本書は便利で有用なマニュアルで,臨床現場での調べ物の時間を大いに短縮するであろう。読者にはここで節約できた時間で,教科書や学生時代に習った生理学,解剖学を参照していただきたい。マニュアルの内容をより深く理解できるようになるし,説明しきれなかった病態にもより的確に対応でき,医師としての一生の財産となる。

 この本には初版の企画から第4版の監修まで,医学教育家としても高名な宮城先生の臨床哲学「臨床医学は万国共通の一般常識の下に取り組まれるべきだ」が貫かれ,「問診および身体所見のとり方」に先生の真摯な臨床への取り組みが示されている。優れた臨床家が総力を挙げて執筆した本書を,ぜひ外国語でも出版して世界に日本の呼吸器臨床の実力と成果を示していただきたいとも思う。

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