標準組織学 各論 第4版

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“読んでおもしろく、生きた組織学が理解できる”テキストの全面改訂版。生体の多様な細胞の精巧な形態をつぶさに観察し、その細胞のダイナミックな活動との関係をわかりやすく論じるという初版からの方針を徹底し、第3版発行以来の新知見を取り入れ、図、写真、解説の表現方法まで入念に検討し直した。カラー図・写真を大幅に増やし、一層理解しやすいものとなっている。
シリーズ 標準医学
藤田 尚男 / 藤田 恒夫
改訂協力 岩永 敏彦 / 石村 和敬
発行 2010年10月判型:B5頁:616
ISBN 978-4-260-00302-5
定価 13,200円 (本体12,000円+税)
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改訂第4版 序

 「標準組織学」の初版は,総論が1975年,各論が1976年に刊行された。以来30余年,学生の教科書として,研究者の参考書として広くご利用いただいてきた。その間2002年に総論・改訂第4版を出版したが,このたび各論・改訂第4版を上梓する運びとなった。諸般の事情があったとは言え,改訂第3版から長い年月が経過し,新しい情報を待つ読者にご不便をおかけしたことを深くお詫び申し上げる。また,それにもかかわらず,怠惰な著者をあたたかく励ましてくださった先輩・友人の方々に心から御礼申し上げる。
 生体のなかに(ガラス器のなかでなく)棲む多様な細胞が顕微鏡の下に見せてくれる精巧な形態を分析し,その細胞のダイナミックな活動との関係を論じることが,本書の初版以来変わらぬテーマである。共著者藤田尚男氏の理念により,この版も新しい知見を羅列的に紹介するのでなく,研究や発見の背景と歴史を語ることに力を入れた。近年の分子生物学の発展はめざましいが,本書は分子よりも細胞のレベルで生体の機能を解説することに主眼を置いた。また,医学徒のための人体組織学の教科書にふさわしく,ヒト(マウスなどでなく)の細胞の知見に焦点をしぼり,写真も出来るかぎりヒトのものを用いることに,前版に増して努力した。組織学に電顕が導入されて60年,近年はヒトの組織の観察所見がかなり蓄積してきたからである。
 このたびの改訂は,初版以来の共著者藤田尚男氏の健康上の理由から,私が単独で行なうことになった。老著者一人の力にあまる困難な作業となったが,岩永敏彦・石村和敬両氏が全面的に改訂作業に協力してくださったおかげで,ようやく上梓に漕ぎつけることが出来た。まずはこの二人の改訂協力者に心より御礼申し上げる。
 第10章・神経系は,寺島俊雄氏に全面的な改訂をお願いし,初版以来改訂が遅れがちであったこの章の面目を一新していただいた。さらに,渡辺雅彦氏に新知見や写真を追加していただいた。特記して感謝申し上げる。
 このたびは,全章にわたり,以前の改訂のときよりはるかに多くの方々から,新しい情報のご教示や貴重な資料・写真のご提供をいただいた。おもな方々のお名前を以下に掲げさせていただく。(50音順,敬称略)
 飯島忠彦(動静脈吻合),石川博通(クリプトパッチ),井上金治(下垂体),猪俣 孟(視覚器),岩永ひろみ(腎臓ほか全般),牛木辰男(胸腺ほか全般),内山安男(肝細胞核の多倍性),江崎太一(免疫系),大島勇人(歯),小川徳雄(汗腺),亀田芙子(甲状腺・頚動脈小体),小室輝昌(カハール介在細胞),甲賀大輔(周皮細胞ほか),坂井建雄(腸,腎臓),佐藤洋一(パネート細胞ほか),島田達生(心臓),下田 浩(リンパ管),菅沼龍夫(壁細胞),鈴木啓之(メルケル細胞),高野吉郎(歯),高橋 姿(中耳),高橋 均(脳),高見 茂(嗅覚器),立花民子(メルケル細胞),土肥良秋(血管内皮),年森清隆(男性生殖器),豊島邦昭(味覚器),鳥橋茂子(カハール介在細胞),内藤 眞(肝臓),永野俊雄(男性生殖器),難波紘二(松果体と概日リズム),野村恭也(聴覚器),原 正啓(皮膚),日比野 浩(聴覚器),星野知之(聴覚器),細谷安彦(脳),松野健二郎(免疫系),柳町隆造(男性生殖器),山科正平(唾液腺),山田純三(家畜の組織学ほか全般),山田貴穂(肺),吉江紀夫(味覚器),和氣健二郎(肝臓・細網内皮系)。
 さらに,このリストに記載されていない多くの方々のあたたかいご協力に,心から感謝申し上げる。

 こうして,各分野のエキスパートというべき研究者のご協力をいただいたおかげで,すべての章にわたって,学問の進展を取り入れ,かなり徹底的な改訂を行なうことが出来たと思っている。
 この改訂第4版が,研究者や学生諸兄にインパクトのある情報を提供し,生体の不思議への興味をかきたて,あるいは学問の流れに思いを馳せるよすがとなれば,共著者藤田尚男氏ともども,これに過ぎる歓びはない。
 最後に,本書の出版に初版以来変わらぬご尽力を賜った医学書院の関係各位に敬意と感謝を捧げる。とくにこの版の編集を担当された坂口順一,武田 誠両氏には,格別のご苦労をおかけし,感謝の言葉もみつからない。
 
 2010年9月
 藤田恒夫

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1章 脈管系
  毛細血管/動脈/静脈/動静脈吻合/心臓/リンパ管
2章 リンパ性器官,脾臓,骨髄
  リンパ浸潤とクリプトパッチ/リンパ小節/リンパ節/
  扁桃/胸腺/鳥のファブリキウス嚢/脾臓/骨髄
3章 消化器系
  口腔壁の組織/歯/唾液腺/咽頭/食道/
  胃/小腸/大腸/肝臓と胆路/膵臓
4章 呼吸器系
  鼻腔と副鼻腔/咽頭/喉頭/気管/肺
5章 泌尿器系
  腎臓/腎盤と尿管/膀胱/尿道
6章 生殖器系
 男性生殖器
  精巣/精路とその付属腺/陰茎
 女性生殖器
  卵巣/卵管/子宮/胎盤と臍帯/腟/外陰部
7章 内分泌系
  下垂体/松果体/甲状腺/上皮小体(副甲状腺)/
  ランゲルハンス島(膵島)/消化管の内分泌/副腎/パラガングリオン
8章 皮膚
  表皮/真皮/皮下組織/角質器/皮膚の腺/皮膚の脈管と神経
9章 感覚器系
 視覚器
  眼球付属器(副眼器)
 平衡聴覚器
  外耳/中耳/内耳
 味覚器
 嗅覚器
10章 神経系
 中枢神経系
  終脳=大脳半球/間脳/中脳/橋/延髄/小脳/脊髄
 末梢神経系
 髄膜,脳室,脈絡叢など
  髄膜

 和文索引
 欧文索引
 人名索引

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半世紀を経て,きわめて新鮮な感動を覚えた
書評者: 山浦 晶 (千葉県立保健医療大学長/千葉大名誉教授)
 はからずも『標準組織学 各論 第4版』(医学書院)の書評を書くことになった。私の学生時代に名物教授が担当する組織学は難関のひとつであり,厳格に勉強させられたものだが,以来ほぼ半世紀を経て,組織学教科書の書評とは不思議な縁である。

 ことの発端は,脳神経外科医でかつ童話作家の藤原一枝氏が,脳神経外科では脳脊髄液の排出については,「arachnoid granulationから静脈洞を経由して大循環に還流する」とされているようだが,これは誤りではないかと,文献付きで指摘されたことにある。藤原氏の示す文献を読むと,確かに私どもの(私だけかも知れないが)思い込みであり誤りであったようだ。

 『標準組織学 各論 第4版』562ページには「くも膜果粒は脳脊髄液を硬膜静脈洞に排出する装置であると考えられてきたが,この説は疑問視されている。その理由として,くも膜果粒が生後しばらくしてから出現し,加齢とともに増加すること,多くの動物種においてこの構造が見つからないことなどがあげられる」とある。Weedの説が盲目的に書き継がれてきたもので根拠がないと,大阪大学の橋本一成一派の説(1982~2005年に書かれた)を紹介している。髄液はどこで吸収されるのか,本書が挙げる部位は,脈絡叢,脳室周囲器官群circumventricular organ(終板器官,脳弓下器官,松果体,交連下器官,下垂体,傍室器官,最後野など~これらの器官では毛細血管が窓あき型である)や神経周膜管perineural tubeである。

 くも膜果粒にかかわる疑問をきっかけに開いた『標準組織学 各論 第4版』であるが,ページを繰るにつれ,著者らの気迫をひしひしと感じるとともに,図の美しさ~組織形態学のもつ美しさ~に魅入ってしまった。“Beauty is truth, truth beauty(John Keats)”の語も引用されている。

 今回この書に接し,半世紀も前に学んだ学問に古いというより,きわめて新鮮な感動を覚えたものである。
世界に誇る名著
書評者: 山科 正平 (北里大名誉教授・解剖学)
 “藤田・藤田”の名で親しまれてきた『標準組織学 各論』の第4版が刊行された。

 1992年に刊行された第3版が多くの特色を持った教科書として,すでにかなり完成度の高いものであった。ところがこの数10年来,分子細胞生物学の急速な発展は,組織学にも着実に波及してきて,器官の構造と機能の理解は特段の深化をみるようになってきた。この間に累積された膨大な知見を,著者らの目で逐一精密に吟味して,その上で丹念な削除と追加を加えたことが今回の改訂の主眼であったようだ。

 かくして,胸腺ホルモン,壁細胞の塩酸分泌機構,膵腺房細胞の開口分泌,カハールの介在細胞,クララ細胞のサーファクタント分泌機能,内分泌器官概論,神経系の組織学をはじめ,多くの分野で理解が非常に深まってきた様相を随所に発見でき,精読した後,このような専門書ではなかなか味わうことのできない心地よい充足感を覚えた。むろん,それには極めて平易で明解な文章による効果が大きい。

 組織学領域の発展は免疫組織化学法によるものが多い。こうした事実を反映して,免疫組織化学法による非常に美麗な写真が沢山挿入されたが,電顕,特に走査電顕による説得力の大きな見事な写真が何枚も追加された。改めて形態学の威力を喧伝する結果となっている。旧版では白黒だった光顕写真や図版も,ほぼすべてがカラー化されて理解を容易にしている。見出しの色刷りに加えて小見出しを大幅に整理するなど,視覚的にも読みやすくなったことも特記すべきだろう。

 日本の研究者の貢献を積極的に紹介することは,本書の大きな特色であったが,第4版では,高峰譲吉,上中啓三,池田菊苗などの先達,ハワイで活躍しておられる柳町隆造氏を大きく紹介するほか,本文の随所に邦人の研究成果を克明に列挙して,組織学領域における日本人の貢献が世界に冠たるものであることを明示している。

 非常に豊富な参考文献を挙げていることが本書のもう一つの特色であったが,今回の改訂でも,役割を果たしたいくつかは削除しつつも,数多くの新しい文献を追加して,その総数は2,200にも達している。中には,歴史的な古典や碩学による肩の凝らない読み物などもたくさん収載されているので,学生から専門家まで,どのレベルの方々にも貴重な情報源となるに違いない。

 初版が出た頃,組織学を学ぶ医学生にとって,本書の総論,各論の2冊を精読することが試験に合格するための必須条件であった。しかし,この20年来のわが国の医学教育における“改革”は,基礎科目を徹底的にスリム化する方向へ進んでしまった。この傾向は,若者の活字離れにも大きく後押しされ,今や学生諸君が手にする教科書は絵解きによる簡素な一冊となってしまった。その結果,本書は次第に「advanced readings」のカテゴリーに棚上げされ,書名の「標準」は医学生から教官のレベルのものへと格上げされたことは極めて残念なことである。せめて心ある医学生には,国試対策ばかりではなく,本書の熟読により,人体の構造と機能のベールを一枚一枚はぎ取ることの妙味と快感を覚えていただきたいと切望する。また,これから器官の研究を始めようとするあらゆる分野の方々には,あたかも巨人の肩に乗った小人のごとく,一段上から世界を展望できる書物として推奨したい。

 欧米に伝統的な組織学書は多数あるが,その中でも本書は群を抜いていると見て間違いない。こうした優れた書物を英文化して,世界へ向けて発信させることは,文化国家としての重要な役割であろう。あえて,出版社へも提案したい。
美しい写真と解説の中に計り知れない生命の営みを見る
書評者: 年森 清隆 (千葉大大学院教授・発生医学)
 本書は「標組」の愛称で医学生の間で最も利用されてきた藤田尚男・藤田恒夫両先生による『標準組織学 各論 第4版』である。1976年の初版から34年間親しまれ,第3版から18年を経て刊行された。第4版各論は第3版と同様に全10章から構成されているが,岩永敏彦・石村和敬先生が改訂協力者として加わられ,全章にわたって新しい図譜や蛍光顕微鏡写真,そして新知見が加筆されている。

 日本に電子顕微鏡が導入されてから60年になる。この間に形態学はナノのレベルで解析できるまでの手法が発達し,近代組織学の基礎が作られた。この時期の日本の形態学者の貢献は極めて大きい。著者らは長きにわたりその第一線で教育研究をリードされた。

 第4版では日本人形態学研究者が撮影した写真や発見した事実が数多く取り入れられている。必然的に解説も詳細になっている。特に10章の神経系は,本章を担当された寺島俊雄先生によって大きく加筆されている。生命科学の知見は形態学だけでなく分子生物学的手法による膨大な成果として蓄積されているが,その膨大なデータは教科書として網羅することは不可能であり,専門書に委ねられる。本書は,これから真の学びを始める学生だけでなく若い研究者が生命科学の世界で迷うことなく進むことができるように,形態学的視点から細胞レベルで可視化し,解説が進められている。

 本書には他の組織学教科書や参考書にない特徴がある。特に次の2点を挙げたい。第1に,掲載されている写真は,生命現象を説明するに最もふさわしい第一級の美しい写真であることである。全体10章を通して掲載されている写真は,各領域を代表する日本人研究者が撮影したものを中心に構成されている。勿論海外の代表的な研究者も含まれている。適切に案内を付された写真や図譜のできあがりは,筆者らの眼を通して磨きあげられた芸術的な趣さえも感じる。第2に,その優れた写真や図譜に取り上げられた細胞で繰り広げられる生命現象について,その背景や研究の歴史が随所に解説されていることである。

 このようにして構成された本書を理解することは,すなわち研究の流れを同時に学ぶことであり,学問や研究の楽しさを知る入口ともなっている。そこから先の助けとなる代表的な参考文献も多数引用されている。通常,教科書は若い読者の経済的負担への配慮から,写真や文献を削減する傾向にある。本書はあえて多数の文献を引用している。この姿勢は初版から一貫しており,藤田尚男・藤田恒夫両先生がこれからの若き学徒や研究者へ託した学問研究への誘いであると,筆者は思っている。

 本書は単に教科書としてだけでなく,研究の素晴らしさを伝える名著である。じっくりと読み込んでいくと,美しい写真と解説文の中に計り知れない生命の営みが見えてくる。細胞とそこに広げられる永遠の生命の神秘的な営みに引き込まれながら,自然に組織学を学び,研究への世界へ誘われることであろう。
ゆとり世代の学生にはもったいない骨太の教科書
書評者: 佐藤 洋一 (岩手医大教授・解剖学)
 藤田・藤田の標準組織学が改訂された。この本は,手垢の付いた表現ではあるが「深い教養と該博な知識に裏打ちされた組織学の教科書」として,初版以来,多くの解剖学・組織学の教員から絶大な支持を得てきた。その特徴は,生理学や細胞生物学の知見を織り交ぜながら生命形態を美しい写真とわかりやすい図で表していることに加え,研究のプロセスを感じさせるエピソードがここかしこにちりばめられている点にあった。とりわけ日本人学者の業績を紹介している項は,われわれの励みになってきた。とはいえ,発展が目ざましい分子生物学の新知見を盛込むために,趣味的記載は減らされたのではなかろうか,そんな不安を抱きつつ,改訂版をひもといた。

 杞憂であった。例えば,ランゲルハンスの写真は彼が最も充実していた若いときのものに入れ替えられ,伝記的記述も増えている。知見の追加は,おもに「成り立ち」と「機能」を重視したものであり,読んでいて目から鱗がはがれる思いをすることがしばしばであった。

 「…新説によって すっきり説明できる。」「…であれば,当然のことである。」「…この発生過程から納得できる。」等の表現は,一般的な教科書では目にしないが,これこそが本書の真骨頂であり,科学的思考方法を読者に教えてくれる。改訂協力者の岩永敏彦教授と石村和敬教授は,それぞれ藤田恒夫教授と藤田尚男教授の愛弟子であり,本書の特質を失うことの無いように改訂作業が進められたのであろう。

 神経系の章は序に記されているように,寺島俊雄教授により大改訂された。新知見が過不足無く収められており,不勉強な私にとっては,今後ともかなり助けていただくことになろう。それ以外の箇所でも,改訂に当たっては全国の解剖学者が協力しており,日本の解剖学者のアクティビティーの高さを伺わせるとともに,いかにこの本が好まれているのかがわかる。そのせいか,いささか文献が多いような気がするが,本書を一種の総説と見なせば,文献欄の充実ともいえよう。

 ゆとり教育のおかげか,あるいは社会環境の変化によるものかわからないが,医学生の気質は最近になって急激に変わっており,試験に出ないことを教えるのは悪であるかのように言ってくる学生が増えている。そんな彼らにとって,逸話はいらないし,「…についてよくわかっていないが,…という人もいる。」という記述は煩わしい。それらはCBTや国家試験に出されないからである。

 一方では,教科書の隅から隅まで覚えなければいけないと思い込んでいるような,極めてまじめな学生(言い換えれば,要領の悪い学生)も増えている。全体を俯瞰して軽重をつけた勉学ができない学生にとって,「ぶらぶらと散歩しながら,横道に入って見る楽しさ」は実感できない。

 そこで改訂版では,組織学の教科書としての記述と,研究者向けあるいは趣味的な記載とが,フォントサイズの違いによって示されている。ただし,教科書としての記載はもう少し簡潔に記載するか,あるいは章ごとに「まとめ」の項があれば良かったように思う。もっとも,将来は電子書籍化することで,ジャンルやレベルを分けて呈示することが容易になるであろう。

 さて,私はこの教科書を以下の方々に強く勧める。まず,既に旧版の標準組織学を買っている方である。改訂版を購入して失望する事は無い。また,解剖学教室はもちろん,すべての基礎医学系の若手教員には本書を通読してもらいたい。多細胞生物の生命現象は,培養皿の中ではなく,組織という場でなされていることを認識した上で,教育と研究に当たってもらいたいと強く願うからである。

 さて,学生に対してであるが,これを組織学の教科書として指定したくない誘惑に駆られる。こんな楽しい読み物は学生にはもったいない。われわれ教員が密かに読んでおいて,授業や実習中に学生にさりげなく披瀝し,「教養有る学者」と学生に思い込ませるためには最適な本なのである。

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