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異常値の出るメカニズム 第5版

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「異常メカ」、この長きにわたって医学生に親しまれてきた臨床検査の定番の入門書が、このたび5版を迎えた。初版から一貫して、患者に負担の少ない臨床検査を重視し、その検査結果を最大限に診療に活かす方策に到達するための考え方と知識を提供している。第5版では新たに、関節液、赤血球酵素など多項目に加え、遺伝子学検査の章も新設、さらなる充実版となった。薬学生にもお薦めの1冊。
編集 河合 忠 / 屋形 稔 / 伊藤 喜久
発行 2008年03月判型:B5頁:488
ISBN 978-4-260-00560-9
定価 6,600円 (本体6,000円+税)
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第5版 序
編者

 本書第1版を1985年に出版してから20年余が経過し,その間版を重ねて今回第5版を発行することになった.幸い,本書は「異常メカ」の愛称で医学生諸君の間で愛用され,医学関係者,最近では薬学関係者などの多くの読者に親しまれ,貴重なご意見とご叱正を頂きながら,より良いものをお届けできるよう努めてきた.このように長きにわたり発行を続けてこられたのは,ひとえに読者の温かいご支持の賜物であり,心からお礼申し上げたい.
 医学分野の進歩は一層加速しているが,現実には医療界はかつて経験したことのないほどの変革を迫られている.とくに,医療技術の目覚しい進歩により医療には高額の投資が必要であるにも拘らず,経済的抑制政策が強まる「二律背反」の状況にあって,世界的に,医学的にも経済的にも医療の効率性,さらに医療の質と安全の一層の向上が求められている.臨床検査の分野においても例外ではない.本書は,第1版から一貫して,患者に負担の少ない臨床検査を重視し,その検査結果を最大限に診療に生かす方策に到達するための考え方と知識を提供することをモットーとしてきたし,第5版でもその基本方針は変わっていない.
 今回の改訂にあたっては,従来の項目について新しい医学的進歩を基に書き直しただけではなく,一部の項目を削除し,新しく関節液,赤血球酵素,栄養アセスメント蛋白とシスタチンC,LDL-コレステロールとリポ蛋白リパーゼ,銅とセルロプラスミン,セロトニンと5-HIAA,MMP-3,抗リン脂質抗体,遺伝学的検査などを追加した.血液化学検査の章については,血清蛋白・含窒素化合物,糖代謝,血清脂質・アポリポ蛋白,血清電解質と血液ガスに分割し,他の章と同じように,それぞれに総論を加えて,類似検査を総合的に理解できるよう工夫した.
 従来にも増して,多くの読者のご愛読とご叱正を頂きたい.
 2008年1月

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序論 検査値を正しく判断するために
1 尿・便・分泌液検査
2 穿刺液・髄液検査
3 血液検査
4 血清蛋白・含窒素化合物検査
5 糖代謝検査
6 血清脂質・アポリポ蛋白検査
7 血清電解質と血液ガス検査
8 酵素検査
9 ホルモン検査
10 腫瘍マーカー検査
11 免疫血清検査
12 感染症の検査
13 遺伝学的検査

和文索引
欧文索引

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生涯の伴侶としてそばに携えてほしい一冊
書評者: 渡辺 清明 (国際医療福祉大三田病院教授・検査部)
 本書は1985年に第1版が出版されて以来,23年間の長きにわたり臨床検査の基礎読本として多くの医師や臨床検査技師に愛読されている。

 今回第5版が出版され,内容も血液化学検査,遺伝学的検査をはじめ最新の情報が加わり,前回の第4版より約70ページ増えた。具体的には関節液検査,赤血球酵素,栄養アセスメント蛋白およびシスタチンC,LDLコレステロールとリポ蛋白リパーゼ,銅およびセルロプラスミン,セロトニンおよび5-HIAA,MMP-3,抗リン脂質抗体,遺伝学的検査などが新たに項目として加えられた。これらの最新の項目の追加により旧第4版より,ますます刷新されたものになっている。また,血液化学検査については,各項目に総論が加えられ,より理解しやすいよう編纂されている。

 この本の特長は,基本的な臨床検査について,どのような病態あるいは疾患で異常になるかを一つ一つの検査について極めて明解に解説してあることであり,これが本書が多くの医療関係者に愛読されている大きな理由である。

 現在の医療の現場においては,検査なしに診療を行うのは極めて難しくなっている。従って,患者を診察しスクリーニング検査を行うことは診断に必須となっている。その際,スクリーニングに用いる尿や血液検査の値を確実に読むことは非常に重要である。つまり,基本検査値をいかに判読し,次の確定診断につなげるかは,疾患の診断や治療判定に大変重要なものである。まして,最近では医師不足,医療経済およびリスクマネジメントの問題などがあり,効率的で確実な臨床検査を行うことがあらゆる方面から要求されており,大きな課題になっている。

 本書では代表的な臨床検査項目について,なぜ検査の異常が認められるようになるか,その機序を丁寧に記載している。従って,本書を読めば,初期診療や再診時にどのように臨床検査を解釈すれば,医学的に適正な診断ができるかが理解できる。また医療経済的にも無駄のない効率の良い臨床検査の使い方ができるかを容易に把握できる。

 最近の医療においては,臨床検査が客観的数値を医師に与えるため大変多くの検査が施行されている。しかし,そのために一つ一つの検査の解釈がともすると安易に行われている傾向もないとはいえない。異常値を認めた際,深くその意義を考え実際の医療に反映させるために,本書は格好の検査ガイドとなっている。

 「臨床検査の異常の出るメカニズム」をよく知り,診断のために確実に検査値を利用することは必須であるので,是非本書を利用されることをお薦めする。なぜなら臨床検査の本は多くあるが,異常値の出る機序を掘り下げて重点的に記載してある本は本書をおいてないからである。

 できれば,本書を生涯の伴侶としてそばに携えていただければ日常診療や検査業務に大変有用と思う。

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