標準眼科学 第10版

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定評のある医学生向け眼科学教科書の改訂第10版。豊富な写真、図表が見やすい全頁カラーのビジュアルな構成。『標準』教科書シリーズの1冊として、内容を一層充実させつつも、なるべく簡潔な記述を心がけることで、通読可能な範囲のページ数におさえる方針を貫いている。第10版では医学生のニーズに応えて、付録「医師国家試験眼科関連臨床問題解説」を掲載。
シリーズ 標準医学
編集 大野 重昭 / 木下 茂
編集協力 水流 忠彦
発行 2007年03月判型:B5頁:384
ISBN 978-4-260-00380-3
定価 7,700円 (本体7,000円+税)
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第10版の序

執筆者/大野重昭(編者代表)

 

 このたび,記念すべき『標準眼科学』第10版を出版することになった。これまで長年にわたり本書を育んでくださった多くの皆様方に,執筆者を代表して心から感謝の意を表するものである。

 振り返ってみると,この『標準眼科学』は1981年1月1日に第1版が発行された。今から26年前のことである。その当時,本書を出版しようと考えられた編集者の意図は「初版の序」に書かれているとおり,昭和40年代以降眼科学の進歩と発展が著しいため,新しい眼科学の体系を「考えてわかる眼科学」の教科書にまとめたい,という趣旨であった。その後,本書は多くの編集者,執筆者の絶大なるご尽力のお蔭で,定期的に改訂がなされ,最近では本邦を代表するもっとも重要な眼科教科書のひとつとして多くの医学生から愛読されてきた。そして2004年に行われた第9版の改訂以後,今回の記念すべき第10版の改訂に当たっては,大きな区切りとなる見直しを行い,新たな『標準眼科学』の編集をめざして幾度となく検討を重ねてきた。

 今回の改訂で一番大きく変わった点は,全体の構成を根本的に見直し,21世紀の現代眼科学の進歩にふさわしい新たな構成に設え直したことである。その結果,新たな章として「神経眼科」が加わった。また,教科書全体の記述内容も装いを一変し,各章では最新の情報が豊富に追加された。今回初めて執筆をお願いした若手教授の方々は,従来の内容とは全く異なった新鮮な文章でわかりやすい原稿をお寄せいただいた。もちろん第10版でも豊富なシェーマや色鮮やかなカラー写真をできるだけ多用し,わかりにくい長文の解説は避けるという従来からの伝統はきちんと守っている。また,初めての試みとして,付録に医師国家試験で出題された眼科関連の重要事項をまとめて解説してみた。

 現代の眼科学の進歩はいまだにとどまるところを知らず,その発展ぶりは眼科専門医にとっても目を見張るばかりである。特に学際的な共同研究成果が実用化されるとともに,新しい診断機器が次々に開発され,手術装置,手術方法の改良,進歩もめざましい。また,10年前には治療不可能であった疾患が,今では新しい治療法によって失明の危機を免れる症例も稀ではない。

 今回の記念すべき第10版の『標準眼科学』では色鮮やかな表紙に代表されるように,これら長足の進歩を遂げつつある現代眼科学の進歩を余すところなく網羅することができたと確信している。

 本書が向学心溢れる医学生や臨床研修医,眼科初期研修医,さらにはコメディカルの方々や薬学部,眼科診療関連の皆様方に少しでもお役に立てれば,執筆者一同大いなる喜びとするところである。



 2007年 2月

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1 眼の構造と機能
2 眼疾患の問診,症状と検査の進め方
3 角膜と強膜
4 ぶどう膜
5 水晶体
6 緑内障
7 硝子体
8 網膜
9 視神経
10 眼瞼,結膜,涙器
11 眼窩
12 腫瘍
13 視覚器の発生と先天異常
14 全身疾患と眼
15 眼の外傷と救急疾患
16 瞳孔
17 神経眼科
18 視野
19 眼球運動と両眼視機能
20 斜視と弱視
21 視力
22 屈折と調節
23 色覚
付録 医師国家試験眼科関連臨床問題解説
索引
 和文索引
 欧文索引

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節目の改訂にふさわしい内容と最新の知見
書評者: 田野 保雄 (大阪大学大学院医学系研究科眼科学講座教授)
 記念すべき『標準眼科学』第10版が発行された。3年ごとに必ず改訂されている教科書なので,次の11版がお目見えする頃には,『標準眼科学』の歴史は30年を数えることになる。これだけの長期間,本書を支えてこられた関係者の方々に,まずは敬意を表したい。

 さて,言わずもがな,本書は我が国を代表する眼科学教科書の1冊である。これまで多くの医学生がこの本で眼科学を学んできたし,またその中から眼科に入局し,研修医になってからもお世話になったという人も少なくないであろう。ここまで多くの読者に支持された『標準眼科学』の魅力を,10版を手にして改めて考えてみた。

 まず,内容がシンプルで分かりやすい。実はこれが言うは易しで,実際は難しい。改訂によって本の厚みが増えないようにバランスを取りながら編集するのは並大抵の努力ではできないと拝察している。医学生や研修医は忙しい。彼らが欲しているのは,まさに本書のような,最新の知見を加えつつ,読み通せるだけの分量で眼科学全体を見渡せる教科書であろう。記述そのものも冗長な説明を排しており,非常に読みやすい。

 次に,改訂の間隔である。3年ごとに必ず改訂されていることにより,常に新しい情報が載っている。これは,読者が安心してその教科書で学ぶために重要な条件であるが,実現するのはこれもなかなか難しいことである。これまで都合9回の改訂をすべて3年間隔で発行してきたことは驚嘆に値する。編著者,出版社ともに相当の熱意で取り組んでいることの表れであろう。

 そして,美しい。今でこそ眼科の書籍はオールカラーのものが多くなったが,『標準眼科学』はカラー印刷がまだまだ高価であった時代から4色刷りであった。誌面構成もビジュアルに作られており,眼底写真などの美しさも特筆すべきものがある。読者が手に取りたいと思うのも当然である。

 以上,述べたことは,過去の版も含めこれまでの『標準眼科学』すべてに共通する特長であるが,さらにこの第10版では,益々重要性が高まる「神経眼科」章の新設や,付録の国試問題解説など,節目の改訂にふさわしい魅力的な内容が加わった。新進気鋭の新しい執筆者も多く加わり,まさに磐石の構えである。昨今,医学生の教科書離れが進んでいると言われているが,こと眼科に関して言えば,今後も『標準眼科学』にお世話になる読者は多くなりそうである。
綿密な吟味のもと改訂された「記念すべき第10版」
書評者: 石橋 達朗 (九大教授・眼科学)
 本教科書は1981年に初版が出版された。私はこの年,ちょうど大学院を卒業した。臨床に戻る私にとって,最新の,しかも標準的な眼科学を改めてざっと復習するのに,本書は最適の教科書であった。

 それから現在までの26年もの間に,この書は9回も改訂を重ねている。より新しい眼科学の知見を常に取り入れていく,という姿勢には脱帽である。特に今回の第10版は編者が「記念すべき第10版」と記しているようにかなり綿密な吟味のもと,改訂がなされている。

 近年の診断機器の改良はめざましく,Heidelberg retina angiographによる網脈絡膜血管のより微細な観察が可能となり,OCT(optical coherence tomography)は網膜の10層構造を詳細に映し出し,今まで発見することが困難であった失明につながる網膜疾患の診断を飛躍的に向上させた。本書の中では,これらの診断機器の進歩に則した,より新しい画像,インパクトのある画像へと常に切り替えられてきている。

 また,緑内障の項では年齢別有病率のグラフ,ぶどう膜炎の項ではベーチェット病の発症地域の分布図を示すなど,より身近に疾患を感じながら勉強できるよう工夫されている。

 今回新しく神経眼科の項も加えられた。神経眼科は,普通の眼科医でも取り組みにくい分野である。しかしながら,疾患としては増加傾向にあり,日常の診療でも専門的な知識を要求されることが多くなってきている。本書で神経眼科に少しでも親しみがわくことによって,さらに高度な内容を理解する取り掛かりとなるであろう。

 本書は医学生の教科書としてのみ用いられるにはもったいない書である。研修医はもちろん,専門医の試験前に「豊富なカラー写真から,その病因を考えさせる,考えてわかる書」,として,十分,読みごたえがありそうである。
鮮明なカラー写真を用い完結にわかりやすく説明
書評者: 寺崎 浩子 (名大大学院教授・感覚器外科学)
 医学生,臨床研修医,眼科研修医の皆様,そしてコ・メディカル,医療関係者の皆様こんにちは。本日はここに『標準眼科学』第10版をご紹介いたします。

 本書は第1版が1981年と20数年前に出版された歴史ある眼科教科書です。私の研修医時代,本書はとにかく知りたいことがすぐ,よくわかる,従来の教科書とはちょっと違う新しいスタイルの本でした。今,20数年たち,記念すべき第10版の本書を見てその新鮮さに再び驚きました。TEXTに入る前の1ページに描かれた眼球の説明図がとても印象的です。いつも,ポリクリの学生さんや研修医が外来や手術室で脇にはさんで持っているこの本が,なぜ新鮮でわかりやすいのか考えてみました。

 第1は,項目立てです。見出しはとてもわかりやすく,1つの項目に400字以上の文字数はほとんどなく,短く完結しています。それがわかりやすい秘訣です。もちろん,執筆されている先生はそれぞれの分野のエキスパートの教授陣です。

 第2には,1ページのうちの3分の1から半分が,図表となっていて,アトラスではないかしらと思わせる構成です。手術手技や検査の具体的な方法がきれいな写真を用いて説明されています。写真の質はとてもよく,鮮明なカラー写真です。眼底写真や前眼部の写真の解像度もきわめてよいものが採用されています。眼科医でも理解が難しい機能的分野の説明には,とてもうまいイラストを使っています。

 第3に,少し前述しましたが,情報が新しいということです。眼科領域では,日進月歩のテクノロジーの発展や新しい薬物,レーザーの治療など,著しい変化が起きています。本書では従来の教科書ではなかなか対応できないような最新情報をできるだけ先取りして載せています。2,3年に一度改訂されてきた賜物です。本書第10版の“序”には,21世紀の現代眼科学の進歩にふさわしい新たな構成の中で,それを余すところなく網羅した自信作であると書かれています。どの専門科を選択しようとも,全身病との関連やプライマリーケアの習得に眼科学を理解していただくことは必要になると思います。特に高齢社会ではますます眼科疾患が増えてくるでしょう。

 今回,おまけについている国試対策は,第97回(2003年)から第100回(2006年)まで,計4回の医師国家試験に出題された眼科およびその関連領域の問題から抜粋された代表的な31問とその解答,解説です。これらを勉強するとかならずや合格の日の目を見るさらなる助けとなるでしょう。

 紙がめくりやすく軽い。いつもかばんの中で折れてしまう本の角が落としてあるなど,心配りも人いや,本一倍です。一度手にとって読んで見てください。

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