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フィジカルアセスメント ガイドブック
目と手と耳でここまでわかる

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なぜ患者さんの右側から診察を行うの? なぜ頸静脈をアセスメントすることで、右心不全が見抜けるの? フィジカルアセスメントの「なぜ」を解決しながら、基本的知識と技術を解説するガイドブック。目的と根拠がわかれば、フィジカルアセスメントは看護につながる。
山内 豊明
発行 2005年10月判型:B5頁:192
ISBN 978-4-260-00114-4
定価 2,530円 (本体2,300円+税)
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  • 目次
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Part1 症状・徴候からのアセスメント

 1. 頭が痛い

 2. 胸が痛い

 3. お腹が痛い

 4. 息苦しい

 5. ドキドキする

 6. 咳が出る

 7. むくみがある

 8. 口から血が出た

 9. 気を失った

 10. フラフラする

 11. しゃべりにくい

 12. 見えにくい

 13. 思ったように身体を動かせない

 14. おしっこの調子が悪い

Part2 身体機能別のアセスメント

A. 呼吸系

 1. 胸部における「場所」を表す(1)-水平位置(肋骨・肋間)の同定

 2. 胸部における「場所」を表す(2)-垂直位置の同定

 3. 胸壁と肺との関係を捉える

 4. チアノーゼの有無を確認する

 5. ばち状指の有無を確認する

 6. 触診により呼吸の観察をする

 7. 視診により呼吸の観察をする

 8. 触覚振盪音(音声伝導)を確認する

 9. 胸郭を打診する

 10. 横隔膜を同定する

 11. 呼吸音を聴取する

 12. 呼吸音を評価する

B. 循環系

 1. 脈を触知する

 2. 血圧を測定する

 3. 頸静脈により中心静脈圧を推定する

 4. 心臓の大きさを推定する-心尖拍動の触知

 5. 心音を聴取する(1)-I音とII音を聴く・聴き分ける

 6. 心音を聴取する(2)-過剰心音の有無を確認する

 7. 心音を聴取する(3)-心雑音を聴き取る

 8. 心音を聴取する(4)-心音の正常・異常を判断する

 9. 末梢循環不全を評価する(1)-動脈の循環を確認する

 10. 末梢循環不全を評価する(2)-静脈の循環を確認する

C. 消化系

 1. 口から食物を摂取できるかを評価する

 2. 咽頭反射をみる

 3. 腹部のアセスメントを行う

 4. 腹部を視診する

 5. 腸蠕動音の消失・減少を判断する

 6. 肝臓の大きさを推定する

 7. 腹水の有無を判断する

 8. 腹部を触診する

D. 感覚系

 1. 眼位の異常の有無をみる

 2. 外眼球運動を確認する

 3. 視力・視野をスクリーニングする

 4. 聴力をスクリーニングする

 5. 伝音性難聴/感音性難聴を鑑別する(1)-リンネ試験

 6. 伝音性難聴/感音性難聴を鑑別する(2)-ウェーバー試験

 7. 皮膚知覚(痛覚・触覚)をみる

 8. 深部感覚(振動覚)を評価する

E. 運動系

 1. ADL・歩行を観察する

 2. 関節可動域を測定する

 3. 筋力をスクリーニングする

 4. 筋力を測定する

 5. 小脳機能を評価する

 6. 平衡機能を評価する

F. 中枢神経系

 1. 意識状態を測る

 2. 呼吸パターンを確認する

 3. 瞳孔および対光反射を確認する

 4. 脳幹反応をみる

 5. 高次脳機能を評価する(1)-認知症のアセスメント

 6. 高次脳機能を評価する(2)-失語のアセスメント

参考文献

索引

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書評 (雑誌『看護教育』より)
書評者: 吉田 澄恵 (順天堂大学医療看護学部)
 20年前の新人時代,一人夜勤のある病棟で働いていた。能力の有無にかかわらず,患者の訴えや変化に,「当直医に報告したほうがいいか? 様子をみても大丈夫か?」という判断と決断を迫られ続けた。本書を読んで真っ先に感じたのは,「ああ,あの頃この本があったら」ということだ。

 本書は,2つのpartからなるコンパクトなつくりで,病棟の本棚にちょうどおさまりがよい。繰り返し開き,多少汚れても使い勝手が変わらないような質感,厚さのガイドブックである。

 Part1は,「頭が痛い」「ドキドキする」「むくみがある」といった,著者曰く「生活者としての患者さんが用いる言葉」で表現された14の症状・徴候からのアセスメントで構成されている。症状・徴候ごとに,1)問診によって原因を推測し,緊急度を見抜くための質問例があり,2)それを手がかりに推論できるように,考えられる疾患が列挙され,3)その見きわめに必要な関連するフィジカルアセスメントが示され,part2に誘われる。

 Part2には,身体機能の系統別に具体的な手技が示されているが,他書ほど項目数は多くない。しかし,そのほとんどが手と目と聴診器があればできるものである。必要最小限の手技を選んで載せてあるのだが,著者の意図は「『害することなかれ』は,医療の大原則です」にある。

 どんな本にも,その本にしかない独自の良さがある。フィジカルアセスメントの他書に目を向ければ,技術書らしくビジュアルの充実したもの,CD-ROM付で音声確認も可能なものがある。また,看護学書らしく「姿勢・運動」「睡眠・休息」などの基本的ニーズを柱にしたものなど,さまざまである。多くは,自らフィジカルアセスメントを学ぶ気になった読者向けと思う。

 これと比較すると,本書は,フィジカルアセスメントを遠く感じている読者に,こんな臨床場面で使いますよと語りかけ,学習を誘っているように思う。それは,著者の山内氏が,医師としてのキャリアの中で,すでにフィジカルアセスメントを習得し,その後に看護師となったことと関係しているのかもしれない。

 私は,看護や医療,福祉,どの領域であっても,どのように概念化されようとも,心身の不調があってセルフケア困難な状況にある誰かと出会ったとき,逃げないで,何らかの関わりをもとうと行動するには勇気が必要だと思う。そして,知識や技術は,勇気を支えるなにがしかのものにすぎないと思う。知識や技術だけでは関われない。本書には,そういう私の価値観の琴線に触れる何かがある。「生活者としての患者さんの言葉」で構成された本書からは,「つらい」とか「苦しい」という相手に,看護師なら共に向かい合おうと呼びかけられていると感じる。

 ケアを必要とする人のそばにいることを選ぶ者として,繰り返し開きたい一冊である。

(『看護教育』2006年3月号掲載)
訪問看護師のためにこの本は作られた!?
書評者: 角田 直枝 (日本訪問看護振興財団(認定看護師教育課程訪問看護学科主任教員))
 私は昨年まで勤務していた病院で教育担当副看護部長を務めていた。そこでは,現任研修としてさまざまな研修が企画され,なかでも人気の研修が「フィジカルアセスメント」であった。ところが,この研修が人気というのにはひとつ問題があった。それはリピーターが多いことであった。

 そこでリピーターの受講生に何度も受講する理由を尋ねてみると,その答えは私を大変がっかりさせるものであった。なんとそれは,「フィジカルアセスメントは勉強しても使わないから忘れてしまうのです……」というものだったからだ。

 私は心の中でつぶやいた。「しっかり身につけたいと思うなら,訪問看護師になりなさい」と。そう,訪問看護師はフィジカルアセスメントを駆使しなくてはならない。なぜなら,そこにいる看護師の目や手や耳だけで,起きている事象をアセスメントしていくしかないのだから。

 さて,皆さんはこの所見をとり判断をしていくプロセスに自信がありますか? 訪問看護師に必須と考えるこの技術と判断を,皆さんはどのように学習しているのですか? 訪問看護では現任教育システムが未整備な組織も多く,フィジカルアセスメントの勉強会をしているところは多くないでしょう。「自信をもてるようになりたいけど,どうやって勉強すればよいのかわからない」と悩んでいるのは,あなただけではありません。

 そんなあなたに本書を薦めます。ともすればフィジカルアセスメントの所見をとる技術(フィジカルイクザミネーション)を強調する書籍が多いなか,この本は違います。本書では,まず Part 1 で症状・徴候からのアセスメントが位置づけられています。次に Part 2 で身体機能別のアセスメントが続くのです。

 思い出してください。私たちは,患者に「頭が痛い」と言われたとき,いくつかの原因を思い浮かべ,インタビューしながらフィジカルイクザミネーションを用い,それらからいくつかの仮説を取捨選択し,問題を絞っていくはずです。つまりこれは訪問看護師の思考プロセスにぴったり合った本なのです。しかも,生活者としての患者さんが用いる言葉から著者が選んだ「頭が痛い」「胸が痛い」から始まる 14 項目は,訪問看護で日々出会う言葉であり,訪問看護師のためにこの本が作られたのかと思うくらいです。14 項目の最後は「おしっこの調子が悪い」です。利用者からこんなふうに相談されたことがあるでしょう。

 もちろん身体機能別アセスメントのわかりやすさは言うまでもありません。『最新訪問看護研修テキストステップ 1フィジカルアセスメント』(日本看護協会出版会)も山内氏が書かれているだけに,さらに実践力を高めるためにはまさに本書が必要でしょう。いっそのことステーション購入指定図書にしてしまえば,訪問看護の質の均一化が図れるのに!と考えた私は,まず訪問看護認定看護師教育課程のテキストとして採用したのでした。

 1 人でも多くの訪問看護師に読んでもらいたい一冊です。
チーム医療におけるナースの役割を高めるために
書評者: 日野原 重明 (聖路加国際病院名誉院長)
 昭和23年に制定された保助看法では,看護の業務は,医師の診療の補助と規定されている。

 しかし,看護の教育は,この法律が制定された時に比べると,比較にならないまでに進歩している。ナースが患者に接した時,問診によりその症状を確認し,それを起こしている器官の機能がどのように異常になっているかをバイタルサインからとらえることができれば,症状緩和のケアをなすことができるのである。そして,そのバイタルサインから医師がどのような検査を選ぶかということさえも,ナースは把握が可能なので,その意味で医師の診療を分担することができるのである。

 本書の著者,山内豊明医師は,医師でありながら,米国に留学して,レベルの高い米国の看護の技術を習得して帰国し,医療におけるナースの役割を高めることに大いに貢献されている。

 本書は2部に分かれている。第1部は病歴の取り方を,症状別に具体的に示している。胸痛や腹痛,目まい,頭痛,呼吸困難,意識障害などの症状別の病歴の取り方をまず教え,続く第2部では各系統のバイタルサインのとらえ方として,視診,触診,打診,聴診のテクニックがわかりやすく記載されている。要所要所に図表やイラストが挿入され,理解を確実なものにしてくれる。

 ナースに一定の基礎的知識さえあれば,自分の目と手と耳とで患者の病態がとらえられ,医師の指示を待つまでもなく,検査の適用などについても大方の予測はつくようになる。

 このようなテクニックがナースに可能となれば,医師とは遠隔の地にあっても,ナースは診断治療の情報を医師に提供できるのだと思う。

 本書がナースの臨床能力を高めるために広く活用されることを期待する。

ベッドサイドで手技を伝える魅力あるガイドブック
書評者: 高階 經和 (社団法人臨床心臓病学教育研究会理事長/高階国際クリニック院長)
 「フィジカルアセスメント」は,ベッドサイドで問診・視診・触診・打診・聴診によって,呼吸器・循環器・消化器・神経系など各系統の変化を仔細に観察し,患者のどこが悪いのかを判断することができるが,一日で習得できる手技ではない。しかし患者の言葉に耳を傾けるとともに,身体所見を的確に捉え臓器の言葉を的確に理解するための注意深い洞察力と集中力があれば,誰でも身に付けることができるベッドサイドの手技なのである。

 私は1972年に臨床には3つの言葉があることを提唱した。それは「日常語」(spoken language),「身体語」(body language),そして「臓器語」(organ language)である。はからずも「臨床における3つの言葉」の持つ意味と,それを看護にどう生かすかという一連の流れを見事にまとめられた山内豊明先生の『フィジカルアセスメント ガイドブック』を手にして,長年,私がどう教えるべきかについて描いていた夢が,本書となって実現したことに感銘を受けるとともに,山内先生の看護学教育に賭ける情熱に感動を覚えた。

 先生は神経内科医として臨床経験を積まれ,カリフォルニア大学医学部に医師として留学された後に,看護学を専攻され,米国・登録看護師免許を取得された。更にケース・ウエスタン・リザーヴ大学看護学部博士課程で,看護学博士となられた日本ではただ1人の俊才である。私は3年前に山内先生に招かれて名古屋大学で医学英語の集中講義を行ったことがあるが,学生たちには絶大な人気のある非凡な才能の持ち主に敬愛の念を抱いた。

 本書は,まさに山内先生の看護学教育に対する思いが凝縮されたものと言ってよい。今までフィジカルアセスメントについて,医学の立場から書かれたものは少なくないが,医学から看護学への1つの流れとして的確に示された教科書は少ない。

 本書の特徴はアートブックを思わせる斬新な美しい装丁とともに各系統の中から最も必要と思われるポイントを選び,フィジカルアセスメントについて,山内先生ならではの的確で,かつ易しい言葉で語られ,また,フィジカルアセスメントによって得られた情報から「なぜそのアセスメントをするのか」「どうすればそのアセスメントを的確に看護に反映させるのか」という問題点と意味を,わかりやすいイラストとともにメモにまとめ見事な解説で綴られている。しかし心音や呼吸音を文面に表すことには苦労されたことだろうと推察できた。それは文字の表現によって「臓器語」を読者に実感させることは難しいからである。

 本書はこれから看護学を学ぼうとしている方々はもちろん,臨床の現場で活躍しておられるベテランの方々,そして看護教育に携わっている方々にもお勧めしたい必携の書であり,従来の教科書には見られなかったベッドサイド手技を伝える魅力あるガイドブックとして活用していただきたい。

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