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リハビリテーション医学・医療コアテキスト

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日本リハビリテーション医学会が監修する公式テキストブック。リハビリテーション医学・医療の基本について、総論4章、各論21章、便覧1章の構成により、臨床面を中心に網羅的に解説している。簡潔でわかりやすい文章と、理解を深めるカラーイラストにより、患者の“活動を育む”ためのリハビリテーション医学・医療が一読して理解できる。リハビリテーション科医にはもちろん、医学生、研修医、他科医、関連職種に必携となる1冊。
監修 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
総編集 久保 俊一
編集 加藤 真介 / 角田 亘
発行 2018年04月判型:B5頁:344
ISBN 978-4-260-03460-9
定価 3,960円 (本体3,600円+税)
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はじめに

 出生数が減り高齢化が進むわが国では,疾病構造が急速に変化しつつあり,必要とされる医療の内容も大きく移り変わってきた.なかでも,リハビリテーション医学・医療は少子高齢化の影響が大きい分野である.わが国におけるリハビリテーション医学・医療の原点は戦前の急性灰白髄炎(脊髄性小児麻痺:ポリオ),骨・関節結核,脳性麻痺などの肢体不自由児に対する療育にあるとされている.戦中は戦傷により,戦後と高度成長期には労働災害や交通事故により対象となる患者が増加した.四肢の切断・骨折,脊髄損傷のリハビリテーション医学・医療が大きな課題となった.そして,超高齢社会となった現在,リハビリテーション医学・医療の対象として,小児疾患や切断・骨折・脊髄損傷に加え,中枢神経・運動器(脊椎・脊髄を含む)・循環器・呼吸器・腎臓・内分泌代謝・神経筋疾患,リウマチ性疾患,摂食嚥下障害,がん,スポーツ外傷・障害などの疾患や障害が積み重なり,さらに周術期の身体機能障害の予防・回復,フレイル,サルコペニア,ロコモティブシンドロームなども加わり,ほぼ全診療科に関係する疾患,障害,病態を扱う領域になっているといっても過言ではない.しかも,疾患,障害,病態は複合的に絡み合い,その発症や増悪に加齢が関与している場合も少なくない.
 日本リハビリテーション医学会では2017年度から,リハビリテーション医学について「機能回復」「障害克服」「活動を育む」の3つのキーワードをあげている.すなわち,疾病・外傷で低下した身体的・精神的機能を回復させ,障害を克服するという従来の解釈のうえに立って,ヒトの営みの基本である「活動」に着目し,その賦活化を図る過程がリハビリテーション医学の中心であるという考え方を示している.日常での「活動」としてあげられる,起き上がる,座る,立つ,歩く,手を使う,見る,聞く,話す,考える,服を着る,食事をする,排泄する,寝る,などが組み合わさり有機的に行われることにより,家庭での「活動」,学校・職場・スポーツなどにおける社会での「活動」につながっていく.
 リハビリテーション医学・医療の専門家がリハビリテーション科医である.リハビリテーション診療において,リハビリテーション科医は的確なリハビリテーション診断のもと,適切なリハビリテーション治療を行わなければならない.その際,患者および家族にface to faceでその効用と見通しを説明しながら患者の意欲と家族の協力を高める努力は欠かせない.また,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,義肢装具士,歯科医,看護師,薬剤師,管理栄養士,臨床心理士,社会福祉士/医療ソーシャルワーカー,介護支援専門員/ケアマネジャー,介護福祉士などの専門職からなるリハビリテーション医療チームの要として,専門職の特性を熟知したうえで,チーム内の意思疎通を図り,それぞれの医療機関において,リハビリテーション医療という資源をバランスよく差配する役目を担っている.さらに,近年,リハビリテーション科医の活躍の場は急性期病院,回復期リハビリテーション病棟,在宅など広い範囲にわたっている.加えて,国の施策として構築が急がれている地域包括ケアシステムの中核で大きく活躍を期待されているのもリハビリテーション科医である.
 しかしながら,リハビリテーション科医のための教育体制は十分とは言いがたい状況である.全国の大学・医科大学の医学部のなかで,リハビリテーション医学の講座があるのは半数に満たない状況であり,医学生のうちの半数以上はリハビリテーション医学の基本的な教育を受けないまま卒業する.卒後臨床研修においても,リハビリテーション科は必修ではない.また,急性期,回復期,生活期のリハビリテーション医療施設はそれぞれ独立していることが多く,一貫した教育体制が取りにくくなっている.リハビリテーション医学に基づく質の担保されたリハビリテーション医療を行っていくためにも,リハビリテーション科専門医の教育体制の整備が喫緊の課題になっており,日本リハビリテーション医学会の役割は従来にも増して大きくなっている.
 2018年度から日本専門医機構による専門医養成教育が始まる.リハビリテーション科は19基本領域の1つであり,その研修プログラムを日本リハビリテーション医学会が日本専門医機構とともに管理している.「活動を育む」優れたリハビリテーション科医を育成していく好機であり,大きな節目となる.
 専門医養成教育には学術的な裏付けのある知識や技能が必須であり,その道しるべとして基本となる書籍は不可欠である.本書はリハビリテーション科の専門医養成教育開始にあたって学ぶべき多くの事項に関して,そのコアとなる部分について臨床面を中心に取り上げ,カラーイラストを配置しながらできるだけわかりやすく記載することを目的としたテキストである.日本リハビリテーション医学会の監修のもと,リハビリテーション科医ばかりでなく,医学生,研修医,他の領域の専門医,さらには,リハビリテーション医療チームを構成する専門職にも活用してもらえるよう企画してある.
 編集には,日本リハビリテーション医学会の特任理事であり,他のリハビリテーション医学関連の教科書の編集に携わっていない加藤真介先生と角田亘先生に務めてもらい,section editorには,自身の執筆を含む執筆者の選定とsectionの編集をしていただける先生方を募った.カラーイラスト作画は優れた才能を持つ徳永大作先生にイラスト編集を含めお願いした.出来上がった原案をもとに,理事会で内容を検討し仕上げを行った.議論の残る用語,説明が必要な部分,リハビリテーション医学・医療に関係する情報については,巻末にリハビリテーション医学・医療便覧という項目を設けた.ご活用いただければ幸いである.
 計画から発刊まで約1年という無理なお願いにもかかわらず,快くお引き受けいただき献身的な努力をされた編集者・section editor・執筆者の先生方に敬意と感謝の意を表したい.また,医学書院の関係者の方々のご尽力に深くお礼を申し上げる.本書が,質の高いリハビリテーション医学・医療を必要としている患者と家族のために働くリハビリテーション科医と専門職に役立つことを心から願っている.

 2018年2月
 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
 理事長 久保 俊一

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総論1 リハビリテーション医学・医療の概念
 1 リハビリテーション医学・医療の意義─活動を育む医学─
 2 わが国におけるリハビリテーション医学・医療の現状
 3 機能を回復する,障害を克服するとは
 4 活動を育むとは
 5 急性期・回復期・生活期のリハビリテーション医学・医療の考え方
 6 リハビリテーション医学・医療における専門職との連携
 7 リハビリテーション医学・医療の歴史

総論2 リハビリテーション医学に必要な基礎科学
 1 臨床解剖学
  臨床解剖学を活用したリハビリテーション診察
  体表解剖学
 2 臨床生理学
  リハビリテーション医学と生理学
  呼吸の臨床生理
  循環の臨床生理
  体温調節の臨床生理
  筋エネルギー代謝
  安静臥床時の臨床生理
 3 骨格筋の解剖と生理
  解剖
  生理
  障害が起こるメカニズム
 4 バイオメカニクス
 5 運動学
  関節の運動学
  上肢の基本動作
  下肢の基本動作

総論3 リハビリテーション診断
 1 リハビリテーション診察
 2 リハビリテーション診断における評価法
 3 リハビリテーション診断における画像検査(エコー検査以外)
 4 リハビリテーション診断におけるエコー検査
 5 リハビリテーション診断における電気生理学的検査
 6 リハビリテーション診断における心電図,病理検査

総論4 リハビリテーション治療
 1 リハビリテーション治療の概要
 2 運動療法
 3 物理療法
 4 作業療法
 5 言語聴覚療法
 6 義肢装具療法
 7 薬物療法
 8 患者心理への対応
 9 手術療法
 10 リハビリテーション診療における栄養管理

各論1 脳血管障害・頭部外傷
 1 脳神経系の解剖と生理
 2 脳血管障害─急性期から回復期─
 3 脳血管障害─生活期─
 4 頭部外傷
 5 高次脳機能障害
 6 脳腫瘍,水頭症など

各論2 運動器疾患
 1 運動器とは
 2 長管骨,関節,脊柱の構造
 3 運動器におけるリハビリテーション診療のポイント
 4 肩関節の疾患・外傷
 5 肘関節の疾患・外傷
 6 手関節・手の疾患・外傷
 7 上肢の絞扼性神経障害
 8 股関節の疾患・外傷
 9 膝関節の疾患・外傷
 10 足関節・足部の疾患・外傷
 11 脊椎疾患
 12 脊柱変形

各論3 脊髄損傷
 1 外傷性脊髄損傷,馬尾損傷

各論4 神経筋疾患
 1 Parkinson病
 2 筋萎縮性側索硬化症
 3 脊髄小脳変性症
 4 多発性硬化症
 5 Guillain-Barré症候群と慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー
 6 筋ジストロフィー
 7 多発性筋炎,皮膚筋炎
 8 ポストポリオ症候群
 9 ニューロパチー

各論5 切断
 1 切断総論
 2 上肢切断
 3 下肢切断

各論6 小児疾患
 1 正常な発達
 2 脳性麻痺,二分脊椎
 3 小児の運動器疾患
 4 発達障害

各論7 リウマチ性疾患
 1 関節リウマチに対するリハビリテーション診療

各論8 循環器疾患
 1 循環器の解剖と生理
 2 循環器疾患のリハビリテーション診療のポイント
 3 (急性)心筋梗塞
 4 心不全
 5 心大血管疾患の周術期リハビリテーション治療
 6 下肢閉塞性動脈疾患

各論9 呼吸器疾患
 1 呼吸器の解剖と生理
 2 呼吸器疾患のリハビリテーション診療のポイント
 3 肺炎
 4 慢性閉塞性肺疾患
 5 間質性肺炎

各論10 腎疾患
 1 腎臓の解剖と生理
 2 腎不全

各論11 内分泌代謝性疾患
 1 糖尿病
 2 肥満症
 3 メタボリックシンドローム

各論12 集中治療室におけるリハビリテーション診療
 1 集中治療室におけるリハビリテーション診療

各論13 摂食嚥下障害
 1 摂食嚥下障害に対するリハビリテーション診療

各論14 リハビリテーション診療における栄養管理
 1 リハビリテーション診療における栄養管理

各論15 がん
 1 がんに対するリハビリテーション医療の意義
 2 がんの周術期におけるリハビリテーション診療
 3 がんの化学・放射線療法におけるリハビリテーション診療
 4 緩和ケアにおけるリハビリテーション診療

各論16 スポーツ障害・外傷
 1 スポーツ障害・外傷に対するリハビリテーション診療

各論17 骨粗鬆症
 1 骨粗鬆症に対するリハビリテーション診療

各論18 熱傷
 1 熱傷,浮腫,皮膚腫瘍

各論19 その他の重要事項
 1 フレイル,ロコモティブシンドローム,サルコペニア
 2 疼痛
 3 転倒予防
 4 不動
 5 褥瘡
 6 認知症,精神疾患
 7 地域包括ケアシステム
 8 福祉用具

各論20 社会貢献
 1 障がい者スポーツ
 2 大規模災害リハビリテーション支援

各論21 リハビリテーション医療の展開
 1 ロボット
 2 再生医療
 3 Brain Machine Interface(BMI)
 4 非侵襲的脳神経刺激
 5 電気刺激療法
 6 痙縮治療〔ボツリヌス療法・ITB(髄腔内バクロフェン投与)療法〕
 7 ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)
 8 障がい者の自動車運転
 9 漢方とリハビリテーション医学・医療

便覧 リハビリテーション医学・医療便覧
 1 用語解説
 2 評価法

索引

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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