できる救急外来
カルテを使えばうまくいく
当直が待ちきれない!
もっと見る
救急外来で考えるべきこと、やるべきこと、書くべきことがすぐにわかる。頻度の高い50の症候別に、検査、鑑別診断、初期対応など、知りたいことにすぐにアクセスできます。さらにカルテの書き方も解説。これで救急外来対応には、もう迷いません。
シリーズ | Essence for Resident |
---|---|
著 | 天沢 ヒロ |
発行 | 2017年09月判型:A5頁:340 |
ISBN | 978-4-260-03028-1 |
定価 | 4,950円 (本体4,500円+税) |
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
序文
開く
はじめに
「Essense for Residentシリーズ」。
略して「ERシリーズ」は主に研修医の先生向けに作成した本で,本書は第三弾“救急外来”になります。
昔,「探している本がどこにもない」という珍しい体験をしました。まずは,それを皆さんに伝えたいと思います。
研修医の頃,どの参考書を読んでも,何か(・・)が足りない……と感じていました。日々の研修を一生懸命駆け抜けているものの,そんな漠然とした気持ちを常に持ち合わせていました。
当時,何をそこまで知りたかったのかというと,「救急外来においてどうカルテを書くべきなのか」ということ。これを先輩や同僚に相談したのですが,
「よく分からん」
「なんでもいいんじゃん?」
「それを学ぶのが研修でしょ」
と自分が知りたい答えとは違うものばかり。
いえ,これは彼/彼女らが悪いと言いたいわけではありません。当時は自分でさえ求めているニーズを的確に言い表すことができなかったから,仕方がないことだったのです。
それならば自分で学ぶしかない。次にたくさんの本を読むという手段に出たわけですが,結局答えは見つかりませんでした。よくある「救急系の参考書」では,鑑別やpitfallについては載っているものの,どうカルテを書くべきかという記載についてはほとんどなし。次に「総合診療科の参考書」を開いてみると,時間がいくらあっても足りないような重いカルテばかり。そして,いわゆる「カルテの書き方」みたいな本はお作法ばかりで,まったく実践的ではありません。他分野も多数読破するも同様の結論でした。
しかし,こうして何十・何百冊の医学書を読み漁ったことも無駄ではありませんでした。自分なりの答えが1つ見つかったからです。その答えとは,大事なのはカルテをどう書くべきかではなく,カルテに何を残すべきか,ということだったのです。こうして文章にまとめてしまうと,ほとんど同じように感じるかもしれませんが,ずっと悩んできた自分にとっては宝くじで大当たりをしたような,そんな大発見だったのです。
その日の夜,答えを見つけた喜びでなかなか寝付けずにいましたが,ふと一冊の本を見つけました。その本には私が探していたすべての答えが詰まっていたのです。すべてを読み切った後,最も印象に残った言葉が次の通りです。
「――重要なことは,カルテに何を残すべきかということだ。その視点を中心に据えることで,初学者でも上級医と同等の診療が可能となる。病歴,身体所見,検査の行き着く先は結局のところ“診断”であり,そのプロセスを残すのがカルテである。ということは,カルテに何を残すべきかという逆の立場にたつことで,とるべき所見が明確化し診断に至るという究極の真理にたどり着く――」
不思議なことに,朝になるとその本の内容がすべて頭のなかにインプットされていました。その日以来,驚くべき診療の速さと正確さを手に入れることができたのです。
その本のことは今でも夢か現か定かではありませんが,1つ確かなことはその内容が記された本はもうこの世にないということでした。洋書まで引っ張ってきましたが,結局見つからず。これが冒頭でお話した不思議な体験の全容です。
それから月日は流れ,あの日みたものをすべて再現することに成功しました。完成した本書は今までにありそうでなかった本であり,私が研修医の頃に夢でみた本,そのものの仕上がりです。
唯一変えたのは,本のカバーをはずすとできるだけシンプルな装丁になるという工夫と私の経験知を加えたことのみ。色々な参考書が出ている中,「研修医◯◯本」みたいなタイトルの本は,患者さんの前で開くことが忍びないといつも感じていました。本書を最強の相棒にしていただくためにはそういった配慮まで必要だと感じ,出版社の方にはずいぶんわがままを通していただきました。共感してくださる方は,ぜひカバーをはずして使用してください。
あの日みた夢の本。それを皆さんと共有することができた今日この日を,心から嬉しく思います。本書作成に携わっていただいた方々,いつも応援してくれる家族,こうして今手にとってくれている読者の方への感謝の気持ちをもって,本書の始まりとしたいと思います。
2017年8月
天沢ヒロ
「Essense for Residentシリーズ」。
略して「ERシリーズ」は主に研修医の先生向けに作成した本で,本書は第三弾“救急外来”になります。
昔,「探している本がどこにもない」という珍しい体験をしました。まずは,それを皆さんに伝えたいと思います。
研修医の頃,どの参考書を読んでも,何か(・・)が足りない……と感じていました。日々の研修を一生懸命駆け抜けているものの,そんな漠然とした気持ちを常に持ち合わせていました。
当時,何をそこまで知りたかったのかというと,「救急外来においてどうカルテを書くべきなのか」ということ。これを先輩や同僚に相談したのですが,
「よく分からん」
「なんでもいいんじゃん?」
「それを学ぶのが研修でしょ」
と自分が知りたい答えとは違うものばかり。
いえ,これは彼/彼女らが悪いと言いたいわけではありません。当時は自分でさえ求めているニーズを的確に言い表すことができなかったから,仕方がないことだったのです。
それならば自分で学ぶしかない。次にたくさんの本を読むという手段に出たわけですが,結局答えは見つかりませんでした。よくある「救急系の参考書」では,鑑別やpitfallについては載っているものの,どうカルテを書くべきかという記載についてはほとんどなし。次に「総合診療科の参考書」を開いてみると,時間がいくらあっても足りないような重いカルテばかり。そして,いわゆる「カルテの書き方」みたいな本はお作法ばかりで,まったく実践的ではありません。他分野も多数読破するも同様の結論でした。
しかし,こうして何十・何百冊の医学書を読み漁ったことも無駄ではありませんでした。自分なりの答えが1つ見つかったからです。その答えとは,大事なのはカルテをどう書くべきかではなく,カルテに何を残すべきか,ということだったのです。こうして文章にまとめてしまうと,ほとんど同じように感じるかもしれませんが,ずっと悩んできた自分にとっては宝くじで大当たりをしたような,そんな大発見だったのです。
その日の夜,答えを見つけた喜びでなかなか寝付けずにいましたが,ふと一冊の本を見つけました。その本には私が探していたすべての答えが詰まっていたのです。すべてを読み切った後,最も印象に残った言葉が次の通りです。
「――重要なことは,カルテに何を残すべきかということだ。その視点を中心に据えることで,初学者でも上級医と同等の診療が可能となる。病歴,身体所見,検査の行き着く先は結局のところ“診断”であり,そのプロセスを残すのがカルテである。ということは,カルテに何を残すべきかという逆の立場にたつことで,とるべき所見が明確化し診断に至るという究極の真理にたどり着く――」
不思議なことに,朝になるとその本の内容がすべて頭のなかにインプットされていました。その日以来,驚くべき診療の速さと正確さを手に入れることができたのです。
その本のことは今でも夢か現か定かではありませんが,1つ確かなことはその内容が記された本はもうこの世にないということでした。洋書まで引っ張ってきましたが,結局見つからず。これが冒頭でお話した不思議な体験の全容です。
それから月日は流れ,あの日みたものをすべて再現することに成功しました。完成した本書は今までにありそうでなかった本であり,私が研修医の頃に夢でみた本,そのものの仕上がりです。
唯一変えたのは,本のカバーをはずすとできるだけシンプルな装丁になるという工夫と私の経験知を加えたことのみ。色々な参考書が出ている中,「研修医◯◯本」みたいなタイトルの本は,患者さんの前で開くことが忍びないといつも感じていました。本書を最強の相棒にしていただくためにはそういった配慮まで必要だと感じ,出版社の方にはずいぶんわがままを通していただきました。共感してくださる方は,ぜひカバーをはずして使用してください。
あの日みた夢の本。それを皆さんと共有することができた今日この日を,心から嬉しく思います。本書作成に携わっていただいた方々,いつも応援してくれる家族,こうして今手にとってくれている読者の方への感謝の気持ちをもって,本書の始まりとしたいと思います。
2017年8月
天沢ヒロ
目次
開く
第1章 救急外来で大切なこと
(1)カルテのエッセンス
(2)救外カルテを書こう!
(3)よく使うテンプレート集
第2章 救急外来 How To Do
(0)救急外来の掟
(1)頭痛
(2)咽頭痛
(3)胸痛
(4)腹痛
(5)腹痛(若年女性)
(6)腰痛
(7)嘔吐
(8)ショック
(9)発熱
(10)高体温
(11)意識障害
(12)失神
(13)けいれん
(14)めまい
(15)動悸
(16)下痢
(17)便秘
(18)吐血
(19)下血・血便
(20)血痰
(21)呼吸困難
(22)関節痛
(23)浮腫
(24)腎機能障害
(25)肝機能障害
(26)低Na血症
(27)高Na血症
(28)低K血症
(29)高K血症
(30)高Ca血症
(31)頭部外傷(軽症)
(32)創傷
(33)動物咬傷
(34)骨折
(35)アナフィラキシー
(36)高血圧
(37)片頭痛
(38)尿路結石
(39)髄膜炎
(40)肺炎
(41)脳梗塞
(42)心筋梗塞
(43)大動脈解離
(44)肺塞栓症
(45)急性膵炎
(46)不眠/せん妄
(47)こどものER
(48)熱性けいれん
(49)喘息
(50)心不全
(51)低血糖
(52)高血糖
第3章 カルテの役割と実際
(1)カルテの3つの役割
(2)カルテは公文書
(3)カルテで情報共有
(4)カルテで治療方針の見直し
(5)Admission noteを書こう!
(6)病棟カルテを書こう!
(7)週間サマリーを書こう!
索引
column
点滴薬・内服薬の記載の仕方
うまいROSのとり方
夕回診のカルテ
(1)カルテのエッセンス
(2)救外カルテを書こう!
(3)よく使うテンプレート集
第2章 救急外来 How To Do
(0)救急外来の掟
(1)頭痛
(2)咽頭痛
(3)胸痛
(4)腹痛
(5)腹痛(若年女性)
(6)腰痛
(7)嘔吐
(8)ショック
(9)発熱
(10)高体温
(11)意識障害
(12)失神
(13)けいれん
(14)めまい
(15)動悸
(16)下痢
(17)便秘
(18)吐血
(19)下血・血便
(20)血痰
(21)呼吸困難
(22)関節痛
(23)浮腫
(24)腎機能障害
(25)肝機能障害
(26)低Na血症
(27)高Na血症
(28)低K血症
(29)高K血症
(30)高Ca血症
(31)頭部外傷(軽症)
(32)創傷
(33)動物咬傷
(34)骨折
(35)アナフィラキシー
(36)高血圧
(37)片頭痛
(38)尿路結石
(39)髄膜炎
(40)肺炎
(41)脳梗塞
(42)心筋梗塞
(43)大動脈解離
(44)肺塞栓症
(45)急性膵炎
(46)不眠/せん妄
(47)こどものER
(48)熱性けいれん
(49)喘息
(50)心不全
(51)低血糖
(52)高血糖
第3章 カルテの役割と実際
(1)カルテの3つの役割
(2)カルテは公文書
(3)カルテで情報共有
(4)カルテで治療方針の見直し
(5)Admission noteを書こう!
(6)病棟カルテを書こう!
(7)週間サマリーを書こう!
索引
column
点滴薬・内服薬の記載の仕方
うまいROSのとり方
夕回診のカルテ
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。