NANDA-I-NIC-NOCの基本を理解する
最新の動向と看護計画への活用の仕方
NANDA-I-NIC-NOCの最新動向を踏まえ、具体的な看護過程の展開を解説
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NANDA-I看護診断、看護介入分類(NIC)および看護成果分類(NOC)の最新動向をわかりやすく解説。NANDA-I-NIC-NOCの基本的理解を踏まえたうえで、実際にそれらをどのように看護計画に活用するのか、身近な臨床の事例を交えながら紹介する。具体的な思考プロセスにもとづいた看護過程を展開しているので、臨床実践家はもとより看護学生にとっても有用な1冊となっている。
編集 | 黒田 裕子 |
---|---|
発行 | 2016年07月判型:B5頁:256 |
ISBN | 978-4-260-02825-7 |
定価 | 3,740円 (本体3,400円+税) |
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まえがき
わたしたちは臨床現場で日々患者に対して有効な看護援助を提供するために,看護するうえで必要な情報を得て,看護の視点からアセスメントをする。そのうえで患者の全体像を構成し,熟慮したうえで看護計画を立案し,意図的で計画的な看護援助を行っている。看護診断は,医学診断とは異なり,患者の健康問題そのものに対する診断ではなく,健康問題に対する人間の反応を診断している。つまり,疾患(disease),すなわち,細胞や組織や器官の異常を診断するのではなく,病気(illness)をもった人の体験(人間の反応)を診断するのである。
したがって,健康問題に対する人間の反応は,ガス交換障害,体液量減少,便秘などの身体的な側面のみならず,無力感,社会的相互作用障害などの心理的,社会的,行動的なすべての側面を含んでいる。NANDAインターナショナル(NANDA International,以下NANDA-I)の看護診断は,2015年現在235個を含んでいる。これら235個の看護診断は,〈便秘〉〈慢性疼痛〉などの身体的な側面の診断もあれば,〈非効果的コーピング〉〈悲嘆〉などの心理的,社会的,行動的なすべての側面を含む看護診断から成り立っている(文献1)。
看護診断分類が創始されたのは1973年である。以来,40年以上の間,エビデンスレベルの高い看護診断開発が継続されている。2016年現在存在する世界中の看護診断分類のなかにあって,NANDA-I看護診断は最も根拠をもつパワフルな看護診断概念であることは疑いようがない。NANDA-I看護診断の原語は英語であるが,現在,日本語を含めて17か国語へと翻訳され世界中で用いられている。
一方,看護診断で表された看護師の援助を要する患者現象が看護介入によって変化を起こされた状態,すなわち,看護介入による看護成果の分類,および看護介入の分類は,アイオワ大学看護学部の有志から組織された研究者らによって1980年代後半から1990年代初頭にかけて開発が始まってきた。1995年に看護分類・臨床有効性センターが創設され継続的に開発が進んできている(文献2)。看護成果分類(Nursing Outcomes Classification,以下NOC)は,初版が1997年に,第2版が2000年に,第3版が2004年に,そして,第4版が2008年に刊行されてきた。最新版は2013年で第5版である(文献3)。一方,看護介入分類(Nursing Interventions Classification,以下NIC)は,初版が1992年に,第2版が1996年に,第3版が2000年に,第4版が2004年に,そして第5版が2008年に刊行されてきた。最新版は2013年で第6版である(文献4)。
さて,本書はNANDA-I看護診断の最新版の定義集であるNANDA-I 2015-2017,NOC原書第5版,そして,NIC原書第6版を解説することを目的として執筆する。時代とともに移り変わるこのような最新動向を正確に踏まえることは,臨床実践家には重要であろう。
本書は単に最新のNANDA-I看護診断,NIC,NOCの解説だけにとどまらない。わたしたちに身近な臨床の事例に対してNANDA-I看護診断,NIC,NOCを活用する具体的な看護過程の思考プロセスを取り上げる。
筆者らは,黒田裕子を代表とする看護診断研究会(Nursing Diagnosis Conference,以下NDC)を1993年に組織し,現在約20年以上経過した。NDCは,30名程度の臨床の看護師がほとんどを占める。本書の執筆者はすべてこのNDCメンバーである。この20年間,2か月に1度のNDC活動を継続して行っている。NDCの主な活動は,年に1回開催するNDC公開セミナーで,全国の臨床看護師や看護教員を対象とした看護診断,看護成果分類,看護介入分類を使用した事例展開の教育活動を行っている。その他,看護診断に関連した研究の実施,そして,NDCメンバーが勤務している施設の臨床事例の検討なども実施している。このような地道な活動の成果として,本書では多様な事例を取り上げて看護過程を展開し,臨床実践家はもとより看護学生にとっても有用な学習へと繋げていきたいと考えている。
2016年5月
黒田 裕子
わたしたちは臨床現場で日々患者に対して有効な看護援助を提供するために,看護するうえで必要な情報を得て,看護の視点からアセスメントをする。そのうえで患者の全体像を構成し,熟慮したうえで看護計画を立案し,意図的で計画的な看護援助を行っている。看護診断は,医学診断とは異なり,患者の健康問題そのものに対する診断ではなく,健康問題に対する人間の反応を診断している。つまり,疾患(disease),すなわち,細胞や組織や器官の異常を診断するのではなく,病気(illness)をもった人の体験(人間の反応)を診断するのである。
したがって,健康問題に対する人間の反応は,ガス交換障害,体液量減少,便秘などの身体的な側面のみならず,無力感,社会的相互作用障害などの心理的,社会的,行動的なすべての側面を含んでいる。NANDAインターナショナル(NANDA International,以下NANDA-I)の看護診断は,2015年現在235個を含んでいる。これら235個の看護診断は,〈便秘〉〈慢性疼痛〉などの身体的な側面の診断もあれば,〈非効果的コーピング〉〈悲嘆〉などの心理的,社会的,行動的なすべての側面を含む看護診断から成り立っている(文献1)。
看護診断分類が創始されたのは1973年である。以来,40年以上の間,エビデンスレベルの高い看護診断開発が継続されている。2016年現在存在する世界中の看護診断分類のなかにあって,NANDA-I看護診断は最も根拠をもつパワフルな看護診断概念であることは疑いようがない。NANDA-I看護診断の原語は英語であるが,現在,日本語を含めて17か国語へと翻訳され世界中で用いられている。
一方,看護診断で表された看護師の援助を要する患者現象が看護介入によって変化を起こされた状態,すなわち,看護介入による看護成果の分類,および看護介入の分類は,アイオワ大学看護学部の有志から組織された研究者らによって1980年代後半から1990年代初頭にかけて開発が始まってきた。1995年に看護分類・臨床有効性センターが創設され継続的に開発が進んできている(文献2)。看護成果分類(Nursing Outcomes Classification,以下NOC)は,初版が1997年に,第2版が2000年に,第3版が2004年に,そして,第4版が2008年に刊行されてきた。最新版は2013年で第5版である(文献3)。一方,看護介入分類(Nursing Interventions Classification,以下NIC)は,初版が1992年に,第2版が1996年に,第3版が2000年に,第4版が2004年に,そして第5版が2008年に刊行されてきた。最新版は2013年で第6版である(文献4)。
さて,本書はNANDA-I看護診断の最新版の定義集であるNANDA-I 2015-2017,NOC原書第5版,そして,NIC原書第6版を解説することを目的として執筆する。時代とともに移り変わるこのような最新動向を正確に踏まえることは,臨床実践家には重要であろう。
本書は単に最新のNANDA-I看護診断,NIC,NOCの解説だけにとどまらない。わたしたちに身近な臨床の事例に対してNANDA-I看護診断,NIC,NOCを活用する具体的な看護過程の思考プロセスを取り上げる。
筆者らは,黒田裕子を代表とする看護診断研究会(Nursing Diagnosis Conference,以下NDC)を1993年に組織し,現在約20年以上経過した。NDCは,30名程度の臨床の看護師がほとんどを占める。本書の執筆者はすべてこのNDCメンバーである。この20年間,2か月に1度のNDC活動を継続して行っている。NDCの主な活動は,年に1回開催するNDC公開セミナーで,全国の臨床看護師や看護教員を対象とした看護診断,看護成果分類,看護介入分類を使用した事例展開の教育活動を行っている。その他,看護診断に関連した研究の実施,そして,NDCメンバーが勤務している施設の臨床事例の検討なども実施している。このような地道な活動の成果として,本書では多様な事例を取り上げて看護過程を展開し,臨床実践家はもとより看護学生にとっても有用な学習へと繋げていきたいと考えている。
2016年5月
黒田 裕子
●参考文献
文献1
Herdman, T. H., Kamitsuru, S. : Nursing Diagnoses; Definitions & Classification 2015-2017, 10th ed. NANDA International, Inc., 2014,日本看護診断学会監訳,上鶴重美訳:NANDA-I看護診断-定義と分類 2015-2017,原書第10阪,医学書院,2015
文献3
Moorhead, S., Johnson, M., Maas, M. L., Swanson, E. : Nursing Outcomes Classification (NOC); Measurement of Health Outcomes, 5th ed. Elsevier, 2013,黒田裕子・聖隷浜松病院看護部監訳:看護成果分類(NOC)-成果測定のための指標・測定尺度,原著第5版,エルゼピア・ジャパン,2015
文献4
Bulechek, G. M., Butcher, H. K., Dochterman, J. M., Wagner, C. M. : Nursing Interventions Classification (NIC), 6th ed. Elsevier, 2013,中木高夫・黒田裕子監訳:看護介入分類(NIC),原書第6版,南江堂,2015
●引用文献
文献2
Bulechek, G. M., Butcher, H. K., Dochterman, J. M., Wagner, C. M. : Nursing Interventions Classincation (NIC), 6th ed. Elsevier, 2013,中木高夫・黒田裕子監訳:看護介入分類(NIC),原書第6版,南江堂,2015,xvii
文献1
Herdman, T. H., Kamitsuru, S. : Nursing Diagnoses; Definitions & Classification 2015-2017, 10th ed. NANDA International, Inc., 2014,日本看護診断学会監訳,上鶴重美訳:NANDA-I看護診断-定義と分類 2015-2017,原書第10阪,医学書院,2015
文献3
Moorhead, S., Johnson, M., Maas, M. L., Swanson, E. : Nursing Outcomes Classification (NOC); Measurement of Health Outcomes, 5th ed. Elsevier, 2013,黒田裕子・聖隷浜松病院看護部監訳:看護成果分類(NOC)-成果測定のための指標・測定尺度,原著第5版,エルゼピア・ジャパン,2015
文献4
Bulechek, G. M., Butcher, H. K., Dochterman, J. M., Wagner, C. M. : Nursing Interventions Classification (NIC), 6th ed. Elsevier, 2013,中木高夫・黒田裕子監訳:看護介入分類(NIC),原書第6版,南江堂,2015
●引用文献
文献2
Bulechek, G. M., Butcher, H. K., Dochterman, J. M., Wagner, C. M. : Nursing Interventions Classincation (NIC), 6th ed. Elsevier, 2013,中木高夫・黒田裕子監訳:看護介入分類(NIC),原書第6版,南江堂,2015,xvii
目次
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執筆者一覧
まえがき
I 最新のNANDA-I 2015-2017の基本的理解
NANDA-Iとは何か
最新のNANDA-I 2015-2017の分類構造
NANDA-I 2015-2017の看護診断分類の変更点
看護診断の4つの型とその実際例の解説
看護診断概念構築のための多軸システム
標準化された共通言語としての看護診断
II 最新のNIC原書第6版の基本的理解
看護介入分類(NIC)とは何か
NICの構成と基本的な定義
NIC原書第6版の分類構造
NIC原書第6版から新しく加わった23介入
NICの特長
III 最新のNOC原書第5版の基本的理解
看護成果分類(NOC)とは何か
NOC原書第5版の分類構造
NOC原書第5版から新しく加わった107成果
NOCの強み
IV 看護計画にNANDA-I-NIC-NOCをどのように使うのか
1 NANDA-I-NIC-NOCを用いる看護過程の展開
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成と全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
第5段階:実践と評価
2 事例の看護計画にNANDA-I-NIC-NOCを活用する
慢性期の事例
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
急性期の事例
第1段階:情報収集
第2段階:アセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
超急性期の事例
第1段階:情報収集
第2段階:アセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
終末期の事例
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
V NANDA-I-NIC-NOCを使った看護記録を監査する方法
監査とは
NANDA-I-NIC-NOCとは何か
NNN監査用紙の使い方
監査手順と方法の説明1:「基礎情報」
監査手順と方法の説明2:「看護アセスメント」
監査手順と方法の説明3:「NANDA-I-NIC-NOC」
監査手順と方法の説明4:「評価」
NNNをみる視点
付録 NNNの最新分類構造の表
あとがき
索引
まえがき
I 最新のNANDA-I 2015-2017の基本的理解
NANDA-Iとは何か
最新のNANDA-I 2015-2017の分類構造
NANDA-I 2015-2017の看護診断分類の変更点
看護診断の4つの型とその実際例の解説
看護診断概念構築のための多軸システム
標準化された共通言語としての看護診断
II 最新のNIC原書第6版の基本的理解
看護介入分類(NIC)とは何か
NICの構成と基本的な定義
NIC原書第6版の分類構造
NIC原書第6版から新しく加わった23介入
NICの特長
III 最新のNOC原書第5版の基本的理解
看護成果分類(NOC)とは何か
NOC原書第5版の分類構造
NOC原書第5版から新しく加わった107成果
NOCの強み
IV 看護計画にNANDA-I-NIC-NOCをどのように使うのか
1 NANDA-I-NIC-NOCを用いる看護過程の展開
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成と全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
第5段階:実践と評価
2 事例の看護計画にNANDA-I-NIC-NOCを活用する
慢性期の事例
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
急性期の事例
第1段階:情報収集
第2段階:アセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
超急性期の事例
第1段階:情報収集
第2段階:アセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
終末期の事例
第1段階の情報収集および第2段階のアセスメント
第3段階:関連図の作成および全体像の描写
第4段階:看護計画の立案
V NANDA-I-NIC-NOCを使った看護記録を監査する方法
監査とは
NANDA-I-NIC-NOCとは何か
NNN監査用紙の使い方
監査手順と方法の説明1:「基礎情報」
監査手順と方法の説明2:「看護アセスメント」
監査手順と方法の説明3:「NANDA-I-NIC-NOC」
監査手順と方法の説明4:「評価」
NNNをみる視点
付録 NNNの最新分類構造の表
あとがき
索引
更新情報
-
更新情報はありません。
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