人間発達学 第2版
「人間の発達とはなにか?」臨床的視点に根差した人間発達学の知的体系を学べる1冊!
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人間の発達過程をWHOの国際生活機能分類(ICF)に依拠し、(1)機能の発達、(2)社会生活活動の発達、(3)発達段階(胎生期~老年期)の3つの視点から体系的に整理していく。読者は多面的かつ重層的な記述によって「発達」への理解を深めることができ、著者の臨床経験や洞察から紡がれる言葉は、学生のみならず臨床家にとっても大きな示唆を与えてくれる。臨床的視点に根差した人間発達の知的体系を提示する1冊!
*「標準理学療法学・作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野 |
---|---|
シリーズ監修 | 奈良 勲 / 鎌倉 矩子 |
執筆 | 岩崎 清隆 |
発行 | 2017年12月判型:B5頁:374 |
ISBN | 978-4-260-03264-3 |
定価 | 5,720円 (本体5,200円+税) |
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序文
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第2版 序
初版が出版されてから8年が過ぎようとしている.この間,社会では,人工知能を核にしたロボット工学やさらに高度化した情報伝達技術を目玉にした,産業の構造それ自体を変えんばかりの動きが本格化しだしている.電子工学や情報処理技術を用いたものごとのスマート化は,当然,生命科学分野にも及び,生命および生命体の遺伝子レベルの研究が多くの成果を生んでいる.
人間の発達の中身を決める要因として,従来,生得的側面と環境的側面が指摘されてきたが,これらの遺伝子レベルの研究成果は,生得説に大きく軍配を向けることになった.生理的反応を指標にした赤ちゃん研究も,社会性,他者への配慮といった能力も,従来よりも早期に観察できるとし,これらの能力も,学習の結果というより生得的なものではないかということを示唆している.
しかし,これらの知見は,発達の環境的側面,つまり経験(学習)の意義を軽視するものではない.個人の能力に生得的な側面が強く,その能力にばらつきがあることは事実としても,その個々人のもてる能力を最大限に顕現化させるものはやはり,生まれてからの育ちの過程である.そういう点で,遺伝子レベルの生命科学の成果は,あらためて人の育ちの過程の学問である人間発達学の重要性を説くものといえる.
第2版の構造が3つの角度から描かれている点については,初版と同様である.つまり,発達が,それを構成する(1)要素的機能の発展から,(2)それらの機能が総合されたものとしての身辺処理技能,社会適応技能などの総合的行動の発展から,(3)それらの変化・発展を時間的系列から眺められている.ただ,(1)要素的機能に関しては,初版では「身体・姿勢・移動運動」「目と手の協調」「認知機能」「社会性」「言語」としたが,第2版では,「社会性」「言語」を合体させて「コミュニケーション」の発達としてまとめた.両者の密接な結びつきを重視した結果である.
初版においても,「わかりやすさ」と臨床における応用性を念頭において書いたつもりであったが,第2版においては,それをさらに強調し,図表などをカラー化した.本書は,確かに1年次の人間発達学の15時間で教え切るには,多くの内容を含んでいる.第3学年ころからの発達障害専門領域の治療学のなかでも,復習や副読本として利用されるとよい.いずれにしても,発達に関する知識は,何度も折にふれて振りかえることによって定着がはかられるものなので,そのように本書を使っていただけたら幸いである.
2017年10月
岩崎 清隆
初版が出版されてから8年が過ぎようとしている.この間,社会では,人工知能を核にしたロボット工学やさらに高度化した情報伝達技術を目玉にした,産業の構造それ自体を変えんばかりの動きが本格化しだしている.電子工学や情報処理技術を用いたものごとのスマート化は,当然,生命科学分野にも及び,生命および生命体の遺伝子レベルの研究が多くの成果を生んでいる.
人間の発達の中身を決める要因として,従来,生得的側面と環境的側面が指摘されてきたが,これらの遺伝子レベルの研究成果は,生得説に大きく軍配を向けることになった.生理的反応を指標にした赤ちゃん研究も,社会性,他者への配慮といった能力も,従来よりも早期に観察できるとし,これらの能力も,学習の結果というより生得的なものではないかということを示唆している.
しかし,これらの知見は,発達の環境的側面,つまり経験(学習)の意義を軽視するものではない.個人の能力に生得的な側面が強く,その能力にばらつきがあることは事実としても,その個々人のもてる能力を最大限に顕現化させるものはやはり,生まれてからの育ちの過程である.そういう点で,遺伝子レベルの生命科学の成果は,あらためて人の育ちの過程の学問である人間発達学の重要性を説くものといえる.
第2版の構造が3つの角度から描かれている点については,初版と同様である.つまり,発達が,それを構成する(1)要素的機能の発展から,(2)それらの機能が総合されたものとしての身辺処理技能,社会適応技能などの総合的行動の発展から,(3)それらの変化・発展を時間的系列から眺められている.ただ,(1)要素的機能に関しては,初版では「身体・姿勢・移動運動」「目と手の協調」「認知機能」「社会性」「言語」としたが,第2版では,「社会性」「言語」を合体させて「コミュニケーション」の発達としてまとめた.両者の密接な結びつきを重視した結果である.
初版においても,「わかりやすさ」と臨床における応用性を念頭において書いたつもりであったが,第2版においては,それをさらに強調し,図表などをカラー化した.本書は,確かに1年次の人間発達学の15時間で教え切るには,多くの内容を含んでいる.第3学年ころからの発達障害専門領域の治療学のなかでも,復習や副読本として利用されるとよい.いずれにしても,発達に関する知識は,何度も折にふれて振りかえることによって定着がはかられるものなので,そのように本書を使っていただけたら幸いである.
2017年10月
岩崎 清隆
目次
開く
I 人間発達学総論
II 人間発達における各機能の発達
第1章 身体,姿勢・移動動作の発達
第2章 目と手の協調の発達
第3章 認知機能の発達
第4章 コミュニケーションの発達
III 社会生活活動の発達
第1章 日常生活における諸活動の発達
第2章 食事動作の発達
第3章 排泄行動の発達
第4章 更衣・整容動作の発達
第5章 遊びの発達
第6章 仕事をする能力の発達
IV 発達の諸段階と発達課題
第1章 胎生期(受精~40週)
第2章 乳児期
第3章 幼児期
第4章 児童期
第5章 青年期
第6章 成人期
第7章 老年期
セルフアセスメント
索引
巻末付表
II 人間発達における各機能の発達
第1章 身体,姿勢・移動動作の発達
第2章 目と手の協調の発達
第3章 認知機能の発達
第4章 コミュニケーションの発達
III 社会生活活動の発達
第1章 日常生活における諸活動の発達
第2章 食事動作の発達
第3章 排泄行動の発達
第4章 更衣・整容動作の発達
第5章 遊びの発達
第6章 仕事をする能力の発達
IV 発達の諸段階と発達課題
第1章 胎生期(受精~40週)
第2章 乳児期
第3章 幼児期
第4章 児童期
第5章 青年期
第6章 成人期
第7章 老年期
セルフアセスメント
索引
巻末付表
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