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外科専門医受験のための演習問題と解説 第2集

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日本外科学会専門医予備試験対策として定評ある問題集の第2集。本書では難易度の高い問題を中心に、幅広く多数の問題を収載。また、実際の試験の出題傾向に沿った「模擬試験」を収載し、実践的な力試しもできる。本書を使って多くの想定問題を解くことで、より自信を持って予備試験に臨むことができるだろう。基本問題を中心とした『第1集』とあわせてご利用いただきたい、専門医取得をめざす若手外科医の必携書。
監修 加納 宣康
編集 本多 通孝
発行 2017年04月判型:B5頁:264
ISBN 978-4-260-03045-8
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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監修の序(加納宣康)/(本多通孝)/本書の使い方

監修の序
 加納宣康監修,本多通孝編集による“『外科専門医受験のための演習問題と解説』の出版に寄せて”と題して同書の「監修の序」を執筆したのは,2012年12月1日のことでした.
 それよりも遡ること数年,本多通孝先生により同書の企画がなされたころ,当時まだ若かった本多先生から,「こういう受験問題集は絶対に必要だと思って医学書院へ企画を持っていったら,“どなたかに監修していただくことはできるでしょうか”と言われました.そこで勝手ながら,“加納宣康先生に監修者になってもらうということでどうでしょうか”と提案したら,“それならやりましょう”と承諾を得てきましたので,加納先生,何としても監修の仕事を引き受けてください」と言われました.
 私はまったく学問的とは言えない出版企画だが,確かにこういう書物が若い外科医たちに求められていることは確かだから,やってみる価値は大いにある,と考え,「喜んでお手伝いする」と答えました.
 その後,医学書院発行の雑誌「臨床外科」に毎月問題を掲載していくことになり,それを最終的に一冊の成書にして問題集にしようという予定が立ちました.その方針に基づいて,医学書院のご厚意により,問題作成と「臨床外科」への掲載が進んでいきました.
 監修者の私のところに本多先生たちが作った問題が届けられるようになりましたが,最初のうちはぎこちない文章が多くて,それを訂正するのに,かなりの時間とエネルギーを割いたものでした.しかし,連載が進むにつれて,執筆者らの文章力は急速に伸び,1年を過ぎるころには,私が手を加える必要がほとんどなくなるまでに成長しました.若い人の成長は本当に目覚ましいものだと感心したものでした.
 同書の初版第1刷の発行が2013年1月でしたから,2年が経過したころに,近いうちに増補改訂版を作らないといけないな,と思い,本多先生と打ち合わせを進めていました.その後,本多先生は新たな共同執筆者を見つけて,新作問題を集積していきました.
 その結果生まれたのが,本書『外科専門医受験のための演習問題と解説 第2集』です.
 『第1集』では基本的な内容が中心でしたが,『第2集』では,模擬試験をつけたり,少し難度の高い問題を中心に問題数を増やしたりしましたので,より実践的で充実した試験対策が可能となりました.
 受験生の皆様には,『第1集』と『第2集』をあわせてご利用いただくことにより,より効果的な準備をしていただけると確信しております.本多先生はじめ先輩外科医たちが皆様の勉強のお手伝いをするために,常に皆様の側についていると思って本書を利用しつつ,外科医学の勉強をお続けください.

 2017年3月吉日 千葉徳洲会病院院長室にて(弟子たちの書いた原稿に囲まれて)
 監修者 加納宣康



 2016年は勤務医にとって“新専門医制度”や“個人情報保護法改正”に振り回された1年ではなかったでしょうか.着地点はいまだに見えてきませんが,おそらく現場の若手医師にとっては制約の強化と負担増の可能性が濃厚です.これから外科専門医を目指す医師に対して,専門医取得に向けた明るい未来の話ができないのはつらいものです.多くの外科医が,外科専門医取得をもはや当たり前のことと認識しており,取得しないという選択肢がなくなりつつあるなかで,取得への“事務的な”手続きが増える一方であるというのは実に残念なことです.しかしこれも,社会が専門医に求める期待の声を反映してのことと前向きにとらえて,その先にある未来に希望をもって進んでいくしかないのかもしれません.
 さて,このような背景で外科専門医予備試験の問題も年々難易度が上がってきているとの感想が多くの受験者から聞かれました.私が受験したときには,「問題が難しい」という話はあまりなく,臨床をしっかりやっていればおおむね解けるというレベルの問題が大半でした.また,毎年必ず出るという頻出問題が数題あり,あまり細かい知識問題はなかったように記憶しています.『外科専門医受験のための演習問題と解説 第1集』(医学書院,2013,増補版2016)は,このような背景のもと最低限必要な基本知識を短時間で復習し,効率よく試験勉強を乗り切ることを目的に作成されました.
 しかしながら,最近はかなり稀な病態や,最新のエビデンスに関する出題もあるようです.これまでは,受験の時期が近づいた段階での詰め込み学習が効率のよい勉強法だったかもしれませんが,最近の出題傾向に対応するためには日々のマメな学習が必要になってきたのかもしれません.そこで本書は,そんな若手外科医のニーズに応えるべく,第2集として幅広い出題範囲や少し難易度の高い問題への対策を目的に作成されています.コンセプトは,あくまでも若手外科医(麻酔科・頭頸部外科含む)が自分の学習体験をもとに出題傾向に合わせた実践的な問題を作成し,受験者目線のわかりやすい解説をつけるというものです.
 公私ともに(?)多忙な若手外科医にとって,座学自習は苦痛を伴うことですし,なにより手術室や救急外来に足を運ぶほうが得るものは多いことでしょう.しかし,そんな合間をぬって本書を活用していただいた読者の方々が,少しでも楽しく,実りある学習の成果を得ることができましたらこれに勝る喜びはありません.
 本書の発刊にあたり,読者目線の貴重なご助言と,学術的な見地からの的確なご指導を頂きました医学書院医学書籍編集部の飯村祐二氏をはじめ,画像提供および読影・診断のご指導を賜りました総合南東北病院放射線科の三浦由啓先生,同 消化器内科の濵田晃市先生,企画・編集・出版に尽力してくださいましたすべての関係者に心より御礼申し上げます.
 2017年4月
 編集者 本多通孝


本書の使い方
この問題集は以下の方々を対象に作成しています.
1.日本外科学会の専門医予備試験を受験予定の方
2.外科をローテーションする初期研修医の方
3.外科専門医制度における修練施設の指導医の先生方
 第1集(増補版;医学書院,2016)では,専門医試験の全体像をつかんでいただくために全分野の代表的な疾患について演習問題と解説を用意しています.ひととおり第1集での演習が終了し,試験の大まかな出題範囲,雰囲気をつかんでいただけましたら,続いて本書の「模擬試験」にチャレンジしてみましょう.この「模擬試験」は,実際の試験と同様に3時間の制限時間を設けて,実践的にやってみるとよいでしょう.問題数は例年110題(2017年度から計100題に変更される予定)であり,実際の試験で考える時間が足りなかったという訴えはあまり聞かれませんが,マークシート形式の回答など,慣れていないところで思わぬミスを犯す危険もあります.合格率80%が目安の試験であり,なるべくケアレスミス・誤記入を減らすことが大切なポイントになりそうです.
模擬試験が終わったら,解説を見ながら採点をしてみましょう.本番の試験と同様,問題は消化器,心臓・血管,呼吸器,小児,乳腺・内分泌,救急・麻酔,総論の順番で分野別に出題されています.それぞれ分野別の正解数をチェックして自分の苦手分野を特定しましょう.解説に付記されている★の数が設問の難易度を表しており,以下のとおり受験者のレベルでの正答率の目安になっています.
難易度   正答率目安
★     81% 以上
★★    51~80%
★★★   21~50%
★★★★  20% 以下
 この模擬試験では実際の予備試験問題よりも少し難易度の高い問題を多く含めていますので正解数が少なくても慌てる必要はありません.不正解だった問題は★の数が少ないものから優先的に復習していくとよいでしょう.特に苦手な分野がある場合には第1集で解説した頻出問題に立ち戻って復習し,弱点の克服に努めましょう.また,試験問題が難しく感じるのは単に勉強不足だけでなく診療経験の不足も意味しています.経験症例の偏りなどがあれば,早めに指導医に相談し調整をお願いしておきましょう.これは予備試験合格後の認定試験対策としても重要になります.
 模擬試験の問題を十分に理解できたと思ったら,最後の仕上げとして本書後半の分野別の演習問題にチャレンジしてみましょう.ここでは選択肢の難易度を少し高めに設定しています.時間の許す限り,1つ1つの選択肢の内容まで吟味して回答することでより学習効果を高めることができるでしょう.実際の試験問題よりも少し難しめの設問があるので,あまり正答できなかったとしてもそれほど気にすることはありません.試験直前期に知識を整理するためのきっかけとして利用していただければと思います.

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本書の使い方

模擬試験

(1)消化管
(2)肝胆膵脾
(3)心臓・血管
(4)呼吸器
(5)小児
(6)乳腺・内分泌
(7)救急・麻酔
(8)外科学総論

著者紹介

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効率よく学習するための,若手外科医必読の参考書
書評者: 吉田 和弘 (岐阜大大学院教授・腫瘍外科学)
 外科専門医とは,外科系の基本領域専門医であり,消化器外科,心臓血管外科,呼吸器外科,小児外科,乳腺外科,内分泌外科などのサブスペシャリティ専門医を取得するために必要な基本的な資格である。

 これまでは各種学会などが独自に運営をしていた専門医制度が,日本専門医機構による新専門医制度へ移行すると,外科専門医はより公的な資格に近づくため,若い外科医たちにとって外科専門医取得はますます重要になってくる。

 『外科専門医受験のための演習問題と解説 第1集』は2013年に刊行された参考書で,この本が出版されるまでは外科専門医の予備試験に対応した成書はなかった。それまで若い外科医たちは,先輩外科医の話を参考にしたり消化器外科専門医の過去問で勉強したりと,手探りで勉強していたことから,多くの外科医にとって待望の参考書であった。

 外科専門医予備試験の特徴は,消化器外科,心臓血管外科,呼吸器外科,小児外科,乳腺外科,内分泌外科など広い範囲の疾患について問われることであるが,今日の診療では一人の外科医が全ての領域について診療することはない。そのため,予備試験を受験するに当たり専門外の設問に対して多くの外科医が不安を抱いていたと思われる。そのような背景の中で『第1集』は発刊された。しかし,この本はやや難易度の低めな問題集となっており,実際の予備試験の勉強としては,やや物足りなさを感じた若手外科医もいたと思われる。

 これらの問題点を踏まえて新たに刊行されたのが,この『第1集増補版』と『第2集』である。

 『第1集増補版』は,2013年に刊行された『第1集』を見直し,新たなガイドラインや規約に沿った内容としたものである。医療の世界は発展が急速であるため,定期的な見直しは必要である。内容としては,専門外の医師でも最低限必要と思われる内容で構成されており,この本の内容を理解することは,日常診療においても重要と思われる。

 『第2集』は,やや難易度の高い問題が含まれた問題集となっており,また,最初の章には,模擬試験が掲載されている。もしも,この参考書を順番通りに使用すると,最初の模擬試験の難しさに危機感を煽られ,勉強の意欲が増すに違いない。特に専門外の問題については(もしかしたら専門分野の問題でも)難易度が高く感じられるだろう。しかし,予備試験を受験した外科医からは,本番の試験でもかなりつっこんだ内容までは問われたという声も聞き,本番に安心して臨むためには,この本の内容くらいは習得しておいたほうがよいかもしれない。

 例えば『第2集』[胃]問9*では,進行胃癌の郭清範囲を問うているが,No.12aやNo.11pが郭清範囲に入るということを答えるのはまだ標準的だが,No.110が郭清範囲に入る場合まで設問で問われており,かなり踏み込んだところまで出題されている。また[大腸]問7~10までは炎症性腸疾患について問われており,消化器外科医でもしっかり勉強していなければ答えられないと思われる。

 内視鏡や血管内治療が発展した昨今でも,外科手術の役割は極めて大きく,外科専門医の育成は不可欠である。本書は,若い外科医が専門医をめざすに当たり効率よく学習するのに役立ち,日々の診療に疲れた外科医の負担を軽減するのに貢献すると思われ,若手外科医に必携,必読の参考書であると推薦する次第である。

*第1刷(2017年4月15日発行)をお持ちの方へ:該当部分(『第2集』p.109)に訂正がございます。上記に正誤表を出しておりますのでご確認ください。
簡潔にして要を得た,外科専門医試験合格のための書
書評者: 山口 俊晴 (がん研究会有明病院・病院長)
 「簡潔にして要を得ている」という言葉が,本書にはぴったりと当てはまる。常に面倒なことは先送りして,土壇場になって徹夜で仕事を仕上げることが習いとなっているような受験者にはまさに待望の書である。もちろん,計画的に系統的に準備を着々と進め,自信を持って受験される方もおられると思うが,現場にある若手医師の多忙さはそれを必ずしも許さない状況にしている。

 本書は外科専門医試験に合格するための書物である。筆者たちはこれを活用しようとする受験者の現状を知り尽くしているだけに,なにより本書が「簡潔にして要を得ている」ことに留意して筆を進めている。「初版の序」に本多医師のめざすところが,明快に書かれているので本文の前にぜひお読みいただきたい。
 
 『第1集(増補版)』は2013年に刊行された『第1集』を,最新の内容にアップデートし,主に基本問題とその解説を簡明に加えてある。解説は短いが冗長な言葉をそぎ落とし,しかも重要な点はきっちりと盛り込まれており,無駄がない。写真や図もサイズは小さめだが,驚くほど鮮明なものが使用されており,記憶に残りやすい。最後のほうに,試験直前に時間が十分取れない読者のために,448に及ぶチェックリストが添えられているが,これが秀逸な出来である。外科専門医試験の合格という,最終のゴールに到達するためのダメ押しの部分であり,重要なポイントばかりである。

 『第2集』の演習問題と解説は,最近の試験問題では比較的新しいエビデンスに基づいたものもみられるようになったことに対応するために,新たに刊行された。前半は模擬試験として,実際の試験の雰囲気に慣れるためにも作られたもので,『第1集(増補版)』を終えた後に挑戦するようになっている。さらに,後半では分野別に,やや難易度の高い問題を掲載しており,これらの問題に挑戦することによりさらに自信が深まる仕組みになっている。まさに「至れり尽くせり」である。

 本書が成功している原因は,従来の型にはまった問題集を,いわゆる権威者が執筆したのではなく,まだ頭の柔軟な若手のトップランナーたちが,斬新なアイデアの下に作成したところにある。また,監修には小生が日頃より敬愛する加納宣康先生が熱意を込めて当たっておられ,本書をさらに信頼性の高いものにしている。

 試験に合格するためばかりでなく,合格の先にあるものを意識して,本書が読者たちに活用されたときこそ,多忙の中執筆した著者諸氏の努力は報われるといえよう。
効率よく問題解決型形式で構成された問題集
書評者: 天野 篤 (順大大学院教授・心臓血管外科学)
 われわれが専門医を取得したころの知識習得方法は,主として臨床の現場で先輩医師の教えを素直に聞き入れて,疑問に感じることや患者さんの容態が思うように改善しない場合に教科書を開くという手続きだった。その上で,所属学会雑誌,海外の専門領域雑誌を読んで,日頃の診療,地方会での症例報告,総会での発表に励み,現場と学会の場で打たれ強くなっていることが実際の執刀医になるための必要条件で,この点に関しては,それほど施設間格差がなかったように感じている。さらに外科認定医(当時)取得に際しての試験は2人の試験官による口頭試問だけだったので,系統的な学習はしなくても抄録集の作成が完了すれば試験の合格は手中に収めたも同然だったように思う。

 しかし,1990年ごろからの情報伝達形式の進化によって,外科医の修得すべき知識も増加してきた。さらに2000年以降,インターネットとPC環境の普及・進化に伴う情報処理の加速は最新知識の公平な取得を可能にした。以前には地方の病院勤務では購読して送ってもらわなければ読めないような海外の雑誌が電子書籍として簡単に読めるようになって,YouTubeなどの動画環境の向上により,静止画からイメージを膨らませて行ってきた手術技術も,世界の第一線レベルでの実際が見られるようになった。さらには低侵襲化による鏡視下手術の方法が普及したり,医療安全への一層の配慮などが外科医の世界でもいろいろなことを大きく変えたように思う。

 またそのような中で始まった初期臨床研修医制度,今真っ只中にある専門医制度の改編など,古き良き時代と一変して,若手医師にとって「みんなで渡れば怖くない」では済まされない自己責任が問われる専門医取得時代に入ったといえよう。しかし,中身の伴った専門医を待っているのは他ならない患者さんたちであり,一定以上の知識と経験を備えていなければ医療安全を損ない,患者さんとその家族だけでなく,医療チームさえも巻き添えにしかねない。

 そのような中で,効率よく問題解決型の取り組みやすい形式で構成された本書は誠にタイムリーな参考書であると思う。著者らが試験問題の解決法で最も重視しているのが,伝承や経験に基づく古い外科医体質でなく,科学的なエビデンスに基づく方法であることは明白で,設問の回答を導くだけで数多くのエビデンス論文に記載されたエッセンスを取り入れていくことが可能である。若手の先生方の学習法として,定型的な外科治療の原点まで振り返ることも可能だし,患者管理に明日から役立つベッドサイドの知識として問題解決を応用することも可能である。おそらく,この問題集を繰り返して用いることで,今後数年に関しては専門医試験に合格したと同時に,次の専門医候補医師をカンファレンスや手術・術後管理の現場で指導していくことが可能であろう。

 今後,可能であれば書籍としての問題集にとどまらずに,携帯端末のアプリとして活用可能な提供を検討してもらえると継続的に改編された知識習得も可能になるかと思う。監修・編集の加納先生と本多先生にご一考を期待するところである。

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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