マイナー外科救急レジデントマニュアル
これで当直も安心! マイナー外科の初期対応に自信がつく!
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専門医「以外」のための、マイナー外科領域の当直本の決定版! 扱うのは形成外科、口腔外科、整形外科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科の7領域。各領域の専門医が初期研修医、看護師、他科の非専門医に向けて、当直の際に役立つマイナー外科の「ちょっとしたコツ」をまとめた。「まず何をするべきか(してはいけないか)」「何に注目して診察を進めるべきか」など、初期対応に自信が持てる1冊。もう外科系当直なんて恐くない!
*「レジデントマニュアル」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | レジデントマニュアル |
---|---|
監修 | 堀 進悟 |
編集 | 田島 康介 |
発行 | 2016年07月判型:B6変頁:322 |
ISBN | 978-4-260-02545-4 |
定価 | 4,180円 (本体3,800円+税) |
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- 序文
- 目次
- 書評
序文
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監修の序/序:読者へのメッセージ
監修の序
本書の親テキストとなる 『救急レジデントマニュアル』 は,救急診療を怖がらずに実行するための実践マニュアルである.しかし,救急患者ではマイナー外科の知識・処置を必要とする場合が多く,そのためのよい副読本がないかと探していた.本書の編者である田島医師は,もともとは整形外科専門医であるが,現在は救急医としてERであらゆる傷病を診療できる医師である.彼が患者を診療する手際は,整理され,無駄がなく,しかも安全である.そして 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 を 『救急レジデントマニュアル』 の副読本として執筆して,好評を得た.彼が,さらに熱意を示して編集したテキストが本書である.
本書の内容は,形成外科,口腔外科,整形外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科など多岐にわたり,いずれもERで救急患者を診療する際のニーズにかなっている.各章の著者は該当領域の専門医であるが,その内容は一般医にも理解しやすいものである.またERで各科にコンサルテーションを行った場合に,コンサルを受けた各科の医師が何を考えるかが網羅されていることは参考になる.読者は,本書を読んで,必ず得をした気持ちとなるに違いない.そして今まで,基本となるスキルを知らなかったために怖がっていたマイナー外科の診療を面白く思うようになるに違いない.診療が楽しくなれば,患者の診かたが深くなり,スキルは向上する.しかも本書の内容は専門医との棲み分けが明快で,ここまでは行ってよいという区分も明解に述べられている.『救急レジデントマニュアル』 とはスタイルが異なり,叙述風に記載されていることも,理解のための副読本として適している.今までになかった,読者の高いニーズを満たすマニュアルと思う.
救急診療の質を高めるには,非専門医の診療レベルを高め,専門医が本来の専門性を発揮できるようにするべきである.しかしこの点が,医学の各領域でないがしろにされてきた.本書は,救急診療に携わるマイナー外科の非専門医(研修医,救急医,あるいは他の外科系医師)のための好適な入門書といえよう.
2016年5月
堀 進悟
序:読者へのメッセージ
『救急レジデントマニュアル』 の整形外科関連の内容を拡充した 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 は,整形外科を専門としない一般医,研修医あるいは看護師などの読者の皆様から支持を得ることができました.さらに,整形外科以外の分野のマニュアルも欲しいという声が多かったことから,このたび,形成外科,歯科口腔外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科に整形外科を合わせた7つの“マイナー外科”のマニュアルを刊行することになりました.
三次救急センターに勤めていなければ当直で滅多に目にしない重傷症例,例えば四肢の開放骨折であったり外傷性肝損傷であったり重症頭部外傷など,これらは最初から専門家に治療をお任せすればよいと思います.しかしながら,一般病院に時間外で受診する患者の多くは軽症~中等症であり,外科系の患者はいわゆるminor emergencyの範疇に入るものがほとんどです.こういったただちに命にかかわるほどではないがすぐに対応したほうがよいマイナー外科疾患はちょっとしたコツさえ知っていれば,何科の医師であっても(内科系の医師であっても)本来は対応できるはずです.
救急領域の教科書は,診察頻度の高い重症例に主眼を置いて病態から治療までを詳述したものが多いのですが,minor emergencyについては簡素な記述しか見当たらないことが多いと常日頃思っていました.本書は,救急外来や当直者,あるいはコメディカルスタッフが使用することを目的として執筆された非専門医のための本であり,一般医でも対応できる内容に特化して記載しており,一方で専門医でないと施行できない手技などは記載していません.また,専門医にコンサルトすべきタイミング,あるいはただちにコンサルトすべきか翌日でも構わないか,に重点を置き各著者に記載をお願いしました.また,本書は 『救急レジデントマニュアル』 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 と異なり,例えば皮膚の所見や鼓膜の所見をしっかり伝えるために,フルカラーの図表を多用しています.
当直ではさまざまな領域のマイナー外科疾患を扱うことが多いですが,「どこまで自分で治療してよいか」「どこから専門医を呼んだほうがよいか」ということすらわからずに不安を感じることも多いと思います.しかし,ちょっとした知識さえあれば,対応は難しくありません.これらの不安や疑問に少しでも応えられるよう,以下の3点に留意し,各専門医へ執筆をお願いしました.
各項目には非専門科の医師が診察する際の診断のポイントが明快に記載されています.何に注目して診察を進めるべきか,何をするべきか,これさえわかれば初期対応には困りません.各専門分野で用いる「○○の分類」などの記載は,他科医師でも知っておくべき有名な分類の掲載にとどめ,専門医しか使わないような分類は,目の前の患者の治療上は必要がないために掲載していません.
最後に,本書は分担執筆による内容の不均等を回避したく,各章ともその道のエキスパートである単一の執筆者に原稿をお願いしました.しかも,通常の依頼原稿と異なり,「その科の常識は他科の非常識」という前提で,その科の素人である編集者(救急医)が疑問に思うことは一般医も疑問に思うことであるという考えから,疑問点を徹底的に著者に質問し,著者校正を3回も4回もお願いするという異例の編集過程をとらせていただきました.このような一見失礼な編集作業に快くご協力いただけた執筆者の先生方には,本当に頭の下がる思いです.この場を借りて厚く御礼を申し上げます.
読者の皆様にとって,本書が日常診療に少しでもお役に立てれば幸いです.
2016年5月
田島康介
監修の序
本書の親テキストとなる 『救急レジデントマニュアル』 は,救急診療を怖がらずに実行するための実践マニュアルである.しかし,救急患者ではマイナー外科の知識・処置を必要とする場合が多く,そのためのよい副読本がないかと探していた.本書の編者である田島医師は,もともとは整形外科専門医であるが,現在は救急医としてERであらゆる傷病を診療できる医師である.彼が患者を診療する手際は,整理され,無駄がなく,しかも安全である.そして 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 を 『救急レジデントマニュアル』 の副読本として執筆して,好評を得た.彼が,さらに熱意を示して編集したテキストが本書である.
本書の内容は,形成外科,口腔外科,整形外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科など多岐にわたり,いずれもERで救急患者を診療する際のニーズにかなっている.各章の著者は該当領域の専門医であるが,その内容は一般医にも理解しやすいものである.またERで各科にコンサルテーションを行った場合に,コンサルを受けた各科の医師が何を考えるかが網羅されていることは参考になる.読者は,本書を読んで,必ず得をした気持ちとなるに違いない.そして今まで,基本となるスキルを知らなかったために怖がっていたマイナー外科の診療を面白く思うようになるに違いない.診療が楽しくなれば,患者の診かたが深くなり,スキルは向上する.しかも本書の内容は専門医との棲み分けが明快で,ここまでは行ってよいという区分も明解に述べられている.『救急レジデントマニュアル』 とはスタイルが異なり,叙述風に記載されていることも,理解のための副読本として適している.今までになかった,読者の高いニーズを満たすマニュアルと思う.
救急診療の質を高めるには,非専門医の診療レベルを高め,専門医が本来の専門性を発揮できるようにするべきである.しかしこの点が,医学の各領域でないがしろにされてきた.本書は,救急診療に携わるマイナー外科の非専門医(研修医,救急医,あるいは他の外科系医師)のための好適な入門書といえよう.
2016年5月
堀 進悟
序:読者へのメッセージ
『救急レジデントマニュアル』 の整形外科関連の内容を拡充した 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 は,整形外科を専門としない一般医,研修医あるいは看護師などの読者の皆様から支持を得ることができました.さらに,整形外科以外の分野のマニュアルも欲しいという声が多かったことから,このたび,形成外科,歯科口腔外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科に整形外科を合わせた7つの“マイナー外科”のマニュアルを刊行することになりました.
三次救急センターに勤めていなければ当直で滅多に目にしない重傷症例,例えば四肢の開放骨折であったり外傷性肝損傷であったり重症頭部外傷など,これらは最初から専門家に治療をお任せすればよいと思います.しかしながら,一般病院に時間外で受診する患者の多くは軽症~中等症であり,外科系の患者はいわゆるminor emergencyの範疇に入るものがほとんどです.こういったただちに命にかかわるほどではないがすぐに対応したほうがよいマイナー外科疾患はちょっとしたコツさえ知っていれば,何科の医師であっても(内科系の医師であっても)本来は対応できるはずです.
救急領域の教科書は,診察頻度の高い重症例に主眼を置いて病態から治療までを詳述したものが多いのですが,minor emergencyについては簡素な記述しか見当たらないことが多いと常日頃思っていました.本書は,救急外来や当直者,あるいはコメディカルスタッフが使用することを目的として執筆された非専門医のための本であり,一般医でも対応できる内容に特化して記載しており,一方で専門医でないと施行できない手技などは記載していません.また,専門医にコンサルトすべきタイミング,あるいはただちにコンサルトすべきか翌日でも構わないか,に重点を置き各著者に記載をお願いしました.また,本書は 『救急レジデントマニュアル』 『救急整形外傷レジデントマニュアル』 と異なり,例えば皮膚の所見や鼓膜の所見をしっかり伝えるために,フルカラーの図表を多用しています.
当直ではさまざまな領域のマイナー外科疾患を扱うことが多いですが,「どこまで自分で治療してよいか」「どこから専門医を呼んだほうがよいか」ということすらわからずに不安を感じることも多いと思います.しかし,ちょっとした知識さえあれば,対応は難しくありません.これらの不安や疑問に少しでも応えられるよう,以下の3点に留意し,各専門医へ執筆をお願いしました.
(1) | どこまで救急外来で処置すればよいか(救急外来でやるべきことと,やれることの限界について) |
(2) | どの時点でコンサルトすべきか |
(3) | コンサルトするうえで,その緊急性は?(つまり,翌営業日に専門科を受診させるのでよいのか,その場でただちに専門科を受診させるべきか) |
最後に,本書は分担執筆による内容の不均等を回避したく,各章ともその道のエキスパートである単一の執筆者に原稿をお願いしました.しかも,通常の依頼原稿と異なり,「その科の常識は他科の非常識」という前提で,その科の素人である編集者(救急医)が疑問に思うことは一般医も疑問に思うことであるという考えから,疑問点を徹底的に著者に質問し,著者校正を3回も4回もお願いするという異例の編集過程をとらせていただきました.このような一見失礼な編集作業に快くご協力いただけた執筆者の先生方には,本当に頭の下がる思いです.この場を借りて厚く御礼を申し上げます.
読者の皆様にとって,本書が日常診療に少しでもお役に立てれば幸いです.
2016年5月
田島康介
目次
開く
第1章 形成外科
1 創傷の処置
2 縫合法の基本
3 顔面の縫合
4 口唇・口腔内の縫合
5 耳介の縫合
6 眼窩底骨折
7 顔面骨骨折〔鼻骨骨折,頬骨(弓)骨折,上顎骨骨折〕
第2章 口腔外科
1 顎口腔領域の解剖・歯式
2 外傷におけるパノラマX線写真とCTの使い分け
3 顎口腔領域の救急治療:総論
4 う蝕への対応
5 歯周組織の炎症(歯肉炎,歯周炎,智歯周囲炎)
6 口腔内軟組織の損傷
7 義歯・矯正装置による損傷
8 歯の外傷,歯槽骨骨折
9 下顎骨骨折
10 顎関節脱臼
11 抜歯後出血
12 口内炎(アフタおよびウイルス性疾患)
13 歯性上顎洞炎
14 唾液腺炎,唾石症
15 蜂窩織炎,骨髄炎,深頸部膿瘍
16 壊死性軟部組織感染症(ガス壊疽,壊死性筋膜炎)
第3章 整形外科
1 診察の仕方
2 麻酔の仕方
3 爪の処置
4 異物の対処法
5 突然,手関節や手指が伸展できなくなった(橈骨神経麻痺)
6 急性関節痛
7 コンパートメント症候群
8 腱損傷
9 脱臼の対処法
10 捻挫,靱帯損傷
11 見逃しやすい骨折集
12 小児編
第4章 眼科
1 眼の解剖
2 診察の仕方
3 眼が赤い(結膜下出血,結膜のうっ血,結膜炎)
4 眼が見えない(飛蚊症,急に視野が狭くなった,急に見えなくなった)
5 緑内障(救急外来でできる診断方法は? ただちにコンサルトが望ましい?)
6 眼の違和感や痛み(異物,角膜損傷)
7 眼の感染症〔ものもらい(麦粒腫),流行性角結膜炎など〕
8 外傷
第5章 耳鼻科
1 耳鼻咽喉科領域の解剖
2 診察の仕方
3 急性中耳炎
4 鼻出血
5 耳鼻咽喉科領域の異物総論
6 外耳道異物
7 鼻内異物
8 咽頭異物
9 食道異物
10 外傷性鼓膜穿孔
11 気道異物(喉頭異物)
12 急性扁桃炎
13 扁桃周囲膿瘍
14 急性喉頭蓋炎
15 耳介血腫
第6章 泌尿器科
1 泌尿器の解剖
2 診察の仕方
3 尿検査の結果の見方
4 泌尿器科領域の画像診断
5 尿閉
6 血尿
7 尿管結石
8 尿路感染症
9 急性陰嚢症(精索捻転,精巣上体炎)
10 陰嚢外傷
11 嵌頓包茎
12 亀頭包皮炎
13 包皮のファスナー食い込み
14 陰茎折症
15 Fournier壊疽
第7章 皮膚科
1 皮膚の解剖
2 診察の仕方
3 蕁麻疹など皮疹全般
4 帯状疱疹
5 アテローム,せつ,よう,胼胝,鶏眼,いぼ
6 爪周囲炎,ひょう疽
7 虫刺され
8 咬創
9 蜂窩織炎,丹毒
10 凍傷
11 熱傷,日焼け
索引
memo
1 創傷の処置
2 縫合法の基本
3 顔面の縫合
4 口唇・口腔内の縫合
5 耳介の縫合
6 眼窩底骨折
7 顔面骨骨折〔鼻骨骨折,頬骨(弓)骨折,上顎骨骨折〕
第2章 口腔外科
1 顎口腔領域の解剖・歯式
2 外傷におけるパノラマX線写真とCTの使い分け
3 顎口腔領域の救急治療:総論
4 う蝕への対応
5 歯周組織の炎症(歯肉炎,歯周炎,智歯周囲炎)
6 口腔内軟組織の損傷
7 義歯・矯正装置による損傷
8 歯の外傷,歯槽骨骨折
9 下顎骨骨折
10 顎関節脱臼
11 抜歯後出血
12 口内炎(アフタおよびウイルス性疾患)
13 歯性上顎洞炎
14 唾液腺炎,唾石症
15 蜂窩織炎,骨髄炎,深頸部膿瘍
16 壊死性軟部組織感染症(ガス壊疽,壊死性筋膜炎)
第3章 整形外科
1 診察の仕方
2 麻酔の仕方
3 爪の処置
4 異物の対処法
5 突然,手関節や手指が伸展できなくなった(橈骨神経麻痺)
6 急性関節痛
7 コンパートメント症候群
8 腱損傷
9 脱臼の対処法
10 捻挫,靱帯損傷
11 見逃しやすい骨折集
12 小児編
第4章 眼科
1 眼の解剖
2 診察の仕方
3 眼が赤い(結膜下出血,結膜のうっ血,結膜炎)
4 眼が見えない(飛蚊症,急に視野が狭くなった,急に見えなくなった)
5 緑内障(救急外来でできる診断方法は? ただちにコンサルトが望ましい?)
6 眼の違和感や痛み(異物,角膜損傷)
7 眼の感染症〔ものもらい(麦粒腫),流行性角結膜炎など〕
8 外傷
第5章 耳鼻科
1 耳鼻咽喉科領域の解剖
2 診察の仕方
3 急性中耳炎
4 鼻出血
5 耳鼻咽喉科領域の異物総論
6 外耳道異物
7 鼻内異物
8 咽頭異物
9 食道異物
10 外傷性鼓膜穿孔
11 気道異物(喉頭異物)
12 急性扁桃炎
13 扁桃周囲膿瘍
14 急性喉頭蓋炎
15 耳介血腫
第6章 泌尿器科
1 泌尿器の解剖
2 診察の仕方
3 尿検査の結果の見方
4 泌尿器科領域の画像診断
5 尿閉
6 血尿
7 尿管結石
8 尿路感染症
9 急性陰嚢症(精索捻転,精巣上体炎)
10 陰嚢外傷
11 嵌頓包茎
12 亀頭包皮炎
13 包皮のファスナー食い込み
14 陰茎折症
15 Fournier壊疽
第7章 皮膚科
1 皮膚の解剖
2 診察の仕方
3 蕁麻疹など皮疹全般
4 帯状疱疹
5 アテローム,せつ,よう,胼胝,鶏眼,いぼ
6 爪周囲炎,ひょう疽
7 虫刺され
8 咬創
9 蜂窩織炎,丹毒
10 凍傷
11 熱傷,日焼け
索引
memo
創トラブルの原因
眼窩底骨折の分類
パノラマX線写真の撮影ポジション
う蝕の進行と抗菌薬
激しい歯痛を訴える患者の仮封材や仮歯を外すべきか?
縫合するか否か?
FDSテスト,FDPテスト
直接対光反射の左右差の確認
非眼科医でも簡易的に行える,近見視力表を用いた視力検査法
コンタクトレンズと頻度の高いトラブル
耳痛
メラニン細胞とメラニン形成
Langerhans細胞と免疫反応
真皮と皮膚の弾性
主な発疹の種類
ステロイド薬の強度について
眼窩底骨折の分類
パノラマX線写真の撮影ポジション
う蝕の進行と抗菌薬
激しい歯痛を訴える患者の仮封材や仮歯を外すべきか?
縫合するか否か?
FDSテスト,FDPテスト
直接対光反射の左右差の確認
非眼科医でも簡易的に行える,近見視力表を用いた視力検査法
コンタクトレンズと頻度の高いトラブル
耳痛
メラニン細胞とメラニン形成
Langerhans細胞と免疫反応
真皮と皮膚の弾性
主な発疹の種類
ステロイド薬の強度について
書評
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救急診療の現場で手元にあると心強い有用なマニュアル
書評者: 嶋津 岳士 (阪大大学院教授・救急医学)
救急受診をする患者数は近年増加傾向が著しく,救急車の搬送件数は過去10年間で約1.5倍に増加している。そのほとんどは初期・二次救急患者で,いわゆるマイナーエマージェンシーに相当し,直ちに生命に関わるものではないが,早く対応することが求められる。しかしながら,対応する医療機関の数はむしろ減少傾向にあり,通常,当直医は全ての領域の患者を診療することは困難であることから専門医に任せることになる。
例えば,夜中に眼痛や鼻出血を来した救急患者はどこを受診すればよいのだろうか。眼科,耳鼻咽喉科領域の救急医療体制を見てみると,大阪市のような大都市でも平日22時から翌1時まで,休日準夜では17時から22時までは大阪市中央急病診療所が対応するが,それ以降の時間帯では,専門医による診察を受けることができない。
救急外来(ER)や夜間当直において,外科系のマイナーエマージェンシー(開放創からの出血,蜂窩織炎,脱臼・捻挫,眼・耳・鼻異物,鼻出血,扁桃周囲膿瘍,尿閉など)に遭遇する機会は多い。初期研修医やレジデントはもちろんのこと,何科の医師であっても,自分の専門領域ではない傷病に対応する場合には不安や戸惑いを持つことがあろう。
本書は形成外科,口腔外科,整形外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科およびの7つの領域にわたって,初期・二次救急診療で遭遇する機会の多い傷病・病態についてわかりやすく簡潔に記載したマニュアルで,非専門医がどのように対応すればよいかを専門医が具体的に指南するものである。
すなわち本書では,(1)どこまで非専門医が救急外来で処置すればよいか(やるべきこと,やれることの限界),(2)どのような場合に専門医にコンサルトするか,(3)コンサルトする場合のタイミング(特に緊急性の有無),が明確に示されていることが特徴で,研修医や若手医師にとって好適な入門書である。また,救急に携わる全ての医師にとって,救急診療の現場で手元にあると心強い有用なマニュアルとなろう。そして,救急診療に不安や戸惑いを持たない医師にとっても,本書はまた,カラフルな図表や写真が多く掲載されているので,若手医師やコメディカルスタッフへの説明,教育に重宝することであろう。
本書で取り上げられた各領域でのテーマの選択から編著者らの救急診療に対する思いがうかがわれる。全編で16のコラム(Memo)が掲載されているが,Memoだけを通読しても面白い。
迅速な処置と適切な他科コンサルトに役立つ「コツとポイント」が満載
書評者: 佐々木 淳一 (慶大教授・救急医学)
このたび刊行された『マイナー外科救急レジデントマニュアル』は,数多くの整形外傷手術をこなす整形外科専門医であり救急科専門医でもある田島康介先生が,自分が知りたい他科の知識や,同僚医師らからよく聞かれる質問への答えをまとめた書籍です。
対義語の一つに,「メジャー(major)」と「マイナー(minor)」があります。アメリカ大リーグにおけるメジャーリーグ,マイナーリーグといった使い方はよく知られています。その意味を『大辞林』(第三版)で調べてみると,メジャーは「規模の大きなさま・主要な位置を占めるさま・広く知られているさま・有名なさま」,マイナーは「規模や重要度が小さいさま・あまり知られていないさま・有名ではないさま」と書かれています。医学の領域でも,内科・外科・小児科・産婦人科をメジャー科,それ以外の診療科をマイナー科といった使い方がされますが,何をもって二つに分けるのでしょうか。「仕事が大変 vs 楽」「入院患者数が多い vs 少ない」「全身を診る vs 局所を診る」など,どれももっともらしく思えますが,本当のところは医師国家試験の出題の関係でいわれるようになったようです。昔は上記のメジャー科が毎年必ず出題され,それ以外のマイナー科は毎年2科が選択出題されていました。
それでは,救急領域に使われている「マイナー救急」という言葉は,何を対象としているのでしょうか。Philip Buttaravoliの名著である“Minor Emergencies”(3rd ed, Elsevier, 2012)では,「直ちに命にかかわるほどではないが,すぐに対応しなければならない」さまざまな疾患や病態に対する救急,すなわち3大救急疾患(心筋梗塞・脳卒中・急性腹症)以外を“Minor Emergencies”としています。救急医療の現場で診療する患者の多くは軽症に分類され,その中に病態が重篤化するものが潜んでいることは重要なポイントです。救急医は,このような軽症の患者の相当数を「マイナー救急」として扱っているのかもしれません。もちろん外科系疾患も同様です。
実は,田島先生は評者の元同僚になります。彼の指導医としての信条は「まずはやらせてみること」です。また,臨床医としてのスタイルは「どうしても判断に自信がなければ専門科への受診を勧めるべき,それは患者さんのためでもある」「マイナー外科の疾患の中には緊急性が高いものも紛れている場合があり,緊急か否かを鑑別できる力は最低限備えておく必要がある」といったものです。本書は,これらの「田島フィロソフィー」がそのまま書籍の形で結実したものです。若手研修医のみならず救急医療の現場に携わる多くの先生方にとって,本書に書かれた「コツとポイント」は迅速な処置,他科への適切なコンサルトに役立つに違いありません。
当直で頑張っている医師の強い味方になる一冊!
書評者: 林 寛之 (福井大附属病院教授・総合診療部)
確かに救急外来では実にバラエティ豊かな訴えの患者が行き来する。専門分化が進んだ昨今であればこそ,「専門以外の疾患を見て訴えられたらどうしよう」という当直医の不安はよくわかる。でもね,患者も条件は同じなんですよ。救急となれば背に腹は変えられず,患者も医者を選べない。相思相愛といかない条件下での診療こそ,「患者の期待に応える医療」であって,自分の好きなものしか診ない「選り好みの医療」ではないのだ。当直で頑張っている先生方は本当に偉い!
一方,「困ったらいつでも呼んでもらっていいですよ」というオフィシャルな他科コンサルトルールはあっても,いざコンサルトすると「マジ? この程度で呼びつけたの?」といったように,各科から見れば初歩中の初歩の処置で済んでしまうということも少なくない。そんな時に強い味方が本書なのだ。
マイナー外科と侮るなかれ。例えば,「顔面外傷なんて,気道さえ確保できていたらあわてないよ」という通説(?)だけでは外来は回らない。顔面の縫合も何を目安に縫合したらよいか,どんな場合に専門科を呼ぶべきかの判断は結構難しい。口唇のvermillion borderをまず合わせるというのは,形成外科では当たり前でも,他科の医者がいつも通りに端っこから縫い始めると外見上痛い目に遭う。耳介もただ縫うのではなく,ボルスター固定をすると良い形が保てて便利。
口腔外科・歯科に関する患者も多いが,痛み止めだけ出しておしまい……にならないように本書を活用してはどうだろうか。なかなか歯に関する知識を仕入れる機会が少ない医師にとって,本書は結構詳しく解説してあり,安心して患者対応できるようになるだろう。確かに顎の脱臼くらいで呼ばれたら……なんてことを言ってはいけないが,顎の脱臼もきちんと治せるようになるはずだ。
編者の田島先生(藤田保健衛生大学病院教授)が整形外科医兼救急医のため,当直医の視点で整形外科がなかなかうまくまとまっている。見逃しやすい骨折をまとめてあるのが,当直医にとってうれしい。特に股関節骨折では「CTで骨折が診断できなくても,骨折を疑ったら入院させておくこと」(p.129)というのは,実に重要なアドバイスである。MRIでしか指摘できない股関節骨折では,患者が痛みをこらえて根性で歩くこともできるからつい見逃してしまうので注意されたい。
眼科は比較的緊急疾患が少ないが,それでも急性緑内障発作,網膜中心動脈閉塞症は緊急性が高くすぐに眼科を呼ばないといけないので,本書を通読してほしい。視神経管骨折は眼科じゃなくて耳鼻科を呼ぶとある(病院によっては脳外科)が,確かに視神経管骨折では眼科を呼ぶんじゃないということは知っておくとよい。
その他,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科など多岐にわたり,各専門科でも唸る内容もきちんと記載してあり,非専門科の医師にとっては重宝する仕上がりになっている。「各科の常識は非専門科の非常識」(p.viii)ということで,各科教科書のコンパクト版という仕上がりになっている。
書評者: 嶋津 岳士 (阪大大学院教授・救急医学)
救急受診をする患者数は近年増加傾向が著しく,救急車の搬送件数は過去10年間で約1.5倍に増加している。そのほとんどは初期・二次救急患者で,いわゆるマイナーエマージェンシーに相当し,直ちに生命に関わるものではないが,早く対応することが求められる。しかしながら,対応する医療機関の数はむしろ減少傾向にあり,通常,当直医は全ての領域の患者を診療することは困難であることから専門医に任せることになる。
例えば,夜中に眼痛や鼻出血を来した救急患者はどこを受診すればよいのだろうか。眼科,耳鼻咽喉科領域の救急医療体制を見てみると,大阪市のような大都市でも平日22時から翌1時まで,休日準夜では17時から22時までは大阪市中央急病診療所が対応するが,それ以降の時間帯では,専門医による診察を受けることができない。
救急外来(ER)や夜間当直において,外科系のマイナーエマージェンシー(開放創からの出血,蜂窩織炎,脱臼・捻挫,眼・耳・鼻異物,鼻出血,扁桃周囲膿瘍,尿閉など)に遭遇する機会は多い。初期研修医やレジデントはもちろんのこと,何科の医師であっても,自分の専門領域ではない傷病に対応する場合には不安や戸惑いを持つことがあろう。
本書は形成外科,口腔外科,整形外科,眼科,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科およびの7つの領域にわたって,初期・二次救急診療で遭遇する機会の多い傷病・病態についてわかりやすく簡潔に記載したマニュアルで,非専門医がどのように対応すればよいかを専門医が具体的に指南するものである。
すなわち本書では,(1)どこまで非専門医が救急外来で処置すればよいか(やるべきこと,やれることの限界),(2)どのような場合に専門医にコンサルトするか,(3)コンサルトする場合のタイミング(特に緊急性の有無),が明確に示されていることが特徴で,研修医や若手医師にとって好適な入門書である。また,救急に携わる全ての医師にとって,救急診療の現場で手元にあると心強い有用なマニュアルとなろう。そして,救急診療に不安や戸惑いを持たない医師にとっても,本書はまた,カラフルな図表や写真が多く掲載されているので,若手医師やコメディカルスタッフへの説明,教育に重宝することであろう。
本書で取り上げられた各領域でのテーマの選択から編著者らの救急診療に対する思いがうかがわれる。全編で16のコラム(Memo)が掲載されているが,Memoだけを通読しても面白い。
迅速な処置と適切な他科コンサルトに役立つ「コツとポイント」が満載
書評者: 佐々木 淳一 (慶大教授・救急医学)
このたび刊行された『マイナー外科救急レジデントマニュアル』は,数多くの整形外傷手術をこなす整形外科専門医であり救急科専門医でもある田島康介先生が,自分が知りたい他科の知識や,同僚医師らからよく聞かれる質問への答えをまとめた書籍です。
対義語の一つに,「メジャー(major)」と「マイナー(minor)」があります。アメリカ大リーグにおけるメジャーリーグ,マイナーリーグといった使い方はよく知られています。その意味を『大辞林』(第三版)で調べてみると,メジャーは「規模の大きなさま・主要な位置を占めるさま・広く知られているさま・有名なさま」,マイナーは「規模や重要度が小さいさま・あまり知られていないさま・有名ではないさま」と書かれています。医学の領域でも,内科・外科・小児科・産婦人科をメジャー科,それ以外の診療科をマイナー科といった使い方がされますが,何をもって二つに分けるのでしょうか。「仕事が大変 vs 楽」「入院患者数が多い vs 少ない」「全身を診る vs 局所を診る」など,どれももっともらしく思えますが,本当のところは医師国家試験の出題の関係でいわれるようになったようです。昔は上記のメジャー科が毎年必ず出題され,それ以外のマイナー科は毎年2科が選択出題されていました。
それでは,救急領域に使われている「マイナー救急」という言葉は,何を対象としているのでしょうか。Philip Buttaravoliの名著である“Minor Emergencies”(3rd ed, Elsevier, 2012)では,「直ちに命にかかわるほどではないが,すぐに対応しなければならない」さまざまな疾患や病態に対する救急,すなわち3大救急疾患(心筋梗塞・脳卒中・急性腹症)以外を“Minor Emergencies”としています。救急医療の現場で診療する患者の多くは軽症に分類され,その中に病態が重篤化するものが潜んでいることは重要なポイントです。救急医は,このような軽症の患者の相当数を「マイナー救急」として扱っているのかもしれません。もちろん外科系疾患も同様です。
実は,田島先生は評者の元同僚になります。彼の指導医としての信条は「まずはやらせてみること」です。また,臨床医としてのスタイルは「どうしても判断に自信がなければ専門科への受診を勧めるべき,それは患者さんのためでもある」「マイナー外科の疾患の中には緊急性が高いものも紛れている場合があり,緊急か否かを鑑別できる力は最低限備えておく必要がある」といったものです。本書は,これらの「田島フィロソフィー」がそのまま書籍の形で結実したものです。若手研修医のみならず救急医療の現場に携わる多くの先生方にとって,本書に書かれた「コツとポイント」は迅速な処置,他科への適切なコンサルトに役立つに違いありません。
当直で頑張っている医師の強い味方になる一冊!
書評者: 林 寛之 (福井大附属病院教授・総合診療部)
確かに救急外来では実にバラエティ豊かな訴えの患者が行き来する。専門分化が進んだ昨今であればこそ,「専門以外の疾患を見て訴えられたらどうしよう」という当直医の不安はよくわかる。でもね,患者も条件は同じなんですよ。救急となれば背に腹は変えられず,患者も医者を選べない。相思相愛といかない条件下での診療こそ,「患者の期待に応える医療」であって,自分の好きなものしか診ない「選り好みの医療」ではないのだ。当直で頑張っている先生方は本当に偉い!
一方,「困ったらいつでも呼んでもらっていいですよ」というオフィシャルな他科コンサルトルールはあっても,いざコンサルトすると「マジ? この程度で呼びつけたの?」といったように,各科から見れば初歩中の初歩の処置で済んでしまうということも少なくない。そんな時に強い味方が本書なのだ。
マイナー外科と侮るなかれ。例えば,「顔面外傷なんて,気道さえ確保できていたらあわてないよ」という通説(?)だけでは外来は回らない。顔面の縫合も何を目安に縫合したらよいか,どんな場合に専門科を呼ぶべきかの判断は結構難しい。口唇のvermillion borderをまず合わせるというのは,形成外科では当たり前でも,他科の医者がいつも通りに端っこから縫い始めると外見上痛い目に遭う。耳介もただ縫うのではなく,ボルスター固定をすると良い形が保てて便利。
口腔外科・歯科に関する患者も多いが,痛み止めだけ出しておしまい……にならないように本書を活用してはどうだろうか。なかなか歯に関する知識を仕入れる機会が少ない医師にとって,本書は結構詳しく解説してあり,安心して患者対応できるようになるだろう。確かに顎の脱臼くらいで呼ばれたら……なんてことを言ってはいけないが,顎の脱臼もきちんと治せるようになるはずだ。
編者の田島先生(藤田保健衛生大学病院教授)が整形外科医兼救急医のため,当直医の視点で整形外科がなかなかうまくまとまっている。見逃しやすい骨折をまとめてあるのが,当直医にとってうれしい。特に股関節骨折では「CTで骨折が診断できなくても,骨折を疑ったら入院させておくこと」(p.129)というのは,実に重要なアドバイスである。MRIでしか指摘できない股関節骨折では,患者が痛みをこらえて根性で歩くこともできるからつい見逃してしまうので注意されたい。
眼科は比較的緊急疾患が少ないが,それでも急性緑内障発作,網膜中心動脈閉塞症は緊急性が高くすぐに眼科を呼ばないといけないので,本書を通読してほしい。視神経管骨折は眼科じゃなくて耳鼻科を呼ぶとある(病院によっては脳外科)が,確かに視神経管骨折では眼科を呼ぶんじゃないということは知っておくとよい。
その他,耳鼻科,泌尿器科,皮膚科など多岐にわたり,各専門科でも唸る内容もきちんと記載してあり,非専門科の医師にとっては重宝する仕上がりになっている。「各科の常識は非専門科の非常識」(p.viii)ということで,各科教科書のコンパクト版という仕上がりになっている。