非結核性抗酸菌症診療マニュアル
学会編集の信頼! 最新のエビデンスに基づく診療マニュアル
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減少する結核に対して、増える非結核性抗酸菌症の基礎知識、診断、治療をまとめた1冊。これまで蓄積されてきた研究データをもとに、最新のエビデンスを踏まえた診療エッセンスを紹介。非結核性抗酸菌症の多くを占める肺MAC症を中心に、標準治療のみならず、最新の検査法にまで言及。臨床医に向けた初めての診療マニュアル。
編集 | 日本結核病学会 |
---|---|
発行 | 2015年03月判型:B5頁:152 |
ISBN | 978-4-260-02074-9 |
定価 | 3,300円 (本体3,000円+税) |
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序文
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理事長の言葉(山岸文雄)/序(鈴木克洋)
理事長の言葉
肺非結核性抗酸菌症の罹患率は,このところ一定の割合で漸増傾向にあることが推定されています.肺非結核性抗酸菌症の治療は難渋することが多く,また再排菌例も少なからず認められることから有病率も高くなり,呼吸器専門医だけでなく,一般臨床医が外来診療を行うことも多くなっています.
日本結核病学会では2004年4月から新医師臨床研修制度が始まったことを受け,研修医教育に主眼を置いて,結核症の全般にわたる体系的な「結核診療ガイドライン」を2009年に発刊しました.臨床研修医以外にも一般臨床医,また呼吸器専門医にも大変好評であり,2012年に改訂第2版,また2015年には改訂第3版と相次いで改訂版が発刊されています.
一方,肺非結核性抗酸菌症については,日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会から,その時々に,診断や治療に関する指針が報告されてきました.1998年には「非定型抗酸菌症の治療に関する見解—1998年」,2003年には「肺非結核性抗酸菌症診断に関する見解—2003年」,2008年には「肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針—2008年」,「肺非結核性抗酸菌症に対する外科治療の指針」,「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解—2008暫定」,2012年には「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解—2012年改訂」と相次ぎました.しかし,非結核性抗酸菌症の全般にわたる,まとまった書籍としての発刊はありませんでした.日本結核病学会としては,非結核性抗酸菌症のすべてを網羅する書籍をぜひ発刊したいと考えました.そして非結核性抗酸菌症対策委員会の鈴木克洋委員長に,執筆者の選考から編集までをすべてお願いして,今回の「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」が完成しました.
出来上がった「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」の内容を見ますと,感染源の検索や,再感染と再燃の鑑別などで注目されている分子疫学的解析がとりあげられています.結核では積極的疫学調査で感染源の解明や集団結核などでなじみの深いこの方法が,非結核性抗酸菌症でも研究面も含め,大いに利用されていくと思います.またわが国で,血清学的診断法として開発された「キャピリアMAC_(r)抗体ELISA」は,感度および特異度の両面からすぐれた成績が出ており,補助的診断法として肺MAC(Mycobacterium avium complex)症の早期診断に役立つと,期待されているところです.さらに肺MAC症については,その標準治療,治療開始時期,治療期間,外科治療併用の問題など,多くの点について記載していただき,日常臨床に大変に役立つ内容となっております.
この本の発刊に向けて大変ご尽力いただいた鈴木克洋委員長をはじめとして,ご執筆いただいた先生方,医学書院の担当者の皆様方に感謝申し上げます.そして臨床研修医や一般臨床医,呼吸器専門医などの医師のみならず,臨床検査技師や看護師などにも広く活用されることを願っております.
2015年1月
山岸文雄
(日本結核病学会 理事長)
序
このたび日本結核病学会から「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」を発刊することになりました.徐々に減少する結核に対して,非結核性抗酸菌症は増加の一途をたどっています.元々は結核専門医が担当するまれな疾患でしたが,現在では一般医家のクリニックでも決して珍しくない病気となっています.旧来のテキストブックは,どちらかというと玄人好みの書きかたで,一般医家の先生には読みにくいものが多かったと思います.本書では,最新の情報をコンパクトにまとめ,普通の臨床医にわかりやすく役立つ内容での編集を心がけたつもりです.非結核性抗酸菌症対策委員会のメンバーを中心に,日本結核病学会の会員に執筆を依頼しました.多忙ななか,素晴らしい原稿を快く執筆してくれた各執筆者にこの場を借りて深謝したいと思います.
非結核性抗酸菌症は,結核と異なり公衆衛生的な問題はありません.しかし当初は結核と区別しにくい,薬剤効果が乏しく慢性化する例が多い,症例によって経過や予後が大きく異なるなど,一般医家の先生にとって厄介な病気である点は変わりありません.2008年まで保険適用のある薬剤が全くなかったという驚くべき事実もあります.その後各方面の努力で保険適用のある薬剤が徐々に増加し,現在5種類となりました.やっと「診療マニュアル」が作成できる条件が整備されたといえるでしょう.しかしまだまだわからないことの多いあいまいな病気です.いわゆる「エビデンス」は乏しく,「ガイドライン」は作成できないのが現状です.本書をきっかけとして非結核性抗酸菌症に興味を持つ医療従事者が増加し,今後「エビデンス」が蓄積するとともに,将来有効な治療法が開発されることを切に願っております.
2015年2月
責任編集者
鈴木克洋
(日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会 委員長)
理事長の言葉
肺非結核性抗酸菌症の罹患率は,このところ一定の割合で漸増傾向にあることが推定されています.肺非結核性抗酸菌症の治療は難渋することが多く,また再排菌例も少なからず認められることから有病率も高くなり,呼吸器専門医だけでなく,一般臨床医が外来診療を行うことも多くなっています.
日本結核病学会では2004年4月から新医師臨床研修制度が始まったことを受け,研修医教育に主眼を置いて,結核症の全般にわたる体系的な「結核診療ガイドライン」を2009年に発刊しました.臨床研修医以外にも一般臨床医,また呼吸器専門医にも大変好評であり,2012年に改訂第2版,また2015年には改訂第3版と相次いで改訂版が発刊されています.
一方,肺非結核性抗酸菌症については,日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会から,その時々に,診断や治療に関する指針が報告されてきました.1998年には「非定型抗酸菌症の治療に関する見解—1998年」,2003年には「肺非結核性抗酸菌症診断に関する見解—2003年」,2008年には「肺非結核性抗酸菌症診断に関する指針—2008年」,「肺非結核性抗酸菌症に対する外科治療の指針」,「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解—2008暫定」,2012年には「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解—2012年改訂」と相次ぎました.しかし,非結核性抗酸菌症の全般にわたる,まとまった書籍としての発刊はありませんでした.日本結核病学会としては,非結核性抗酸菌症のすべてを網羅する書籍をぜひ発刊したいと考えました.そして非結核性抗酸菌症対策委員会の鈴木克洋委員長に,執筆者の選考から編集までをすべてお願いして,今回の「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」が完成しました.
出来上がった「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」の内容を見ますと,感染源の検索や,再感染と再燃の鑑別などで注目されている分子疫学的解析がとりあげられています.結核では積極的疫学調査で感染源の解明や集団結核などでなじみの深いこの方法が,非結核性抗酸菌症でも研究面も含め,大いに利用されていくと思います.またわが国で,血清学的診断法として開発された「キャピリアMAC_(r)抗体ELISA」は,感度および特異度の両面からすぐれた成績が出ており,補助的診断法として肺MAC(Mycobacterium avium complex)症の早期診断に役立つと,期待されているところです.さらに肺MAC症については,その標準治療,治療開始時期,治療期間,外科治療併用の問題など,多くの点について記載していただき,日常臨床に大変に役立つ内容となっております.
この本の発刊に向けて大変ご尽力いただいた鈴木克洋委員長をはじめとして,ご執筆いただいた先生方,医学書院の担当者の皆様方に感謝申し上げます.そして臨床研修医や一般臨床医,呼吸器専門医などの医師のみならず,臨床検査技師や看護師などにも広く活用されることを願っております.
2015年1月
山岸文雄
(日本結核病学会 理事長)
序
このたび日本結核病学会から「非結核性抗酸菌症診療マニュアル」を発刊することになりました.徐々に減少する結核に対して,非結核性抗酸菌症は増加の一途をたどっています.元々は結核専門医が担当するまれな疾患でしたが,現在では一般医家のクリニックでも決して珍しくない病気となっています.旧来のテキストブックは,どちらかというと玄人好みの書きかたで,一般医家の先生には読みにくいものが多かったと思います.本書では,最新の情報をコンパクトにまとめ,普通の臨床医にわかりやすく役立つ内容での編集を心がけたつもりです.非結核性抗酸菌症対策委員会のメンバーを中心に,日本結核病学会の会員に執筆を依頼しました.多忙ななか,素晴らしい原稿を快く執筆してくれた各執筆者にこの場を借りて深謝したいと思います.
非結核性抗酸菌症は,結核と異なり公衆衛生的な問題はありません.しかし当初は結核と区別しにくい,薬剤効果が乏しく慢性化する例が多い,症例によって経過や予後が大きく異なるなど,一般医家の先生にとって厄介な病気である点は変わりありません.2008年まで保険適用のある薬剤が全くなかったという驚くべき事実もあります.その後各方面の努力で保険適用のある薬剤が徐々に増加し,現在5種類となりました.やっと「診療マニュアル」が作成できる条件が整備されたといえるでしょう.しかしまだまだわからないことの多いあいまいな病気です.いわゆる「エビデンス」は乏しく,「ガイドライン」は作成できないのが現状です.本書をきっかけとして非結核性抗酸菌症に興味を持つ医療従事者が増加し,今後「エビデンス」が蓄積するとともに,将来有効な治療法が開発されることを切に願っております.
2015年2月
責任編集者
鈴木克洋
(日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会 委員長)
目次
開く
第1章 非結核性抗酸菌症の現状
I 日本と世界の疫学と動向について
1 日本の状況
2 米国の状況
3 その他諸外国の状況
第2章 非結核性抗酸菌の細菌学
I 細菌検査
1 非結核性抗酸菌とは
2 抗酸菌検査の方法
3 抗酸菌塗抹検査
4 抗酸菌培養検査
5 抗酸菌同定検査
6 薬剤感受性試験
II NTMの分子疫学解析と感染源
1 NTMに用いられる分子疫学解析法
2 NTMの生息環境と感染経路
3 NTMにおける分子疫学的解析法の応用
4 環境曝露とMAC感染の危険因子
5 感染源と生活指導
第3章 肺非結核性抗酸菌症の診断
I 臨床症状・画像診断
1 はじめに
2 臨床症状
3 画像診断
II 血液検査(血清診断)
1 肺MAC症診断の現状
2 肺MAC症の血清診断法の開発
3 MAC血清診断における臨床的諸問題
4 MACの潜在性感染はあるのか?
5 MACの血清診断の使用法のまとめ
III NTM症の診断基準とその運用
1 新しい診断基準に至る経緯
2 わが国の2008年診断基準の内容と特徴
3 今後の課題
第4章 肺非結核性抗酸菌症の治療
I 肺MAC症の治療
1 肺MAC症治療に関する学会の見解
2 学会の見解に対する解説
II 肺カンサシ症の治療
1 肺カンサシ症の基礎知識
2 肺カンサシ症の治療
III その他の肺非結核性抗酸菌症の治療
1 迅速発育菌
2 遅発育菌
3 外科治療
IV 肺NTM症の外科療法
はじめに
1 外科療法の目的
2 米国ガイドラインでの外科療法の適応
3 わが国のガイドラインでの外科療法の適応
4 術前耐術能評価
5 外科療法の効果
6 今後の課題
おわりに
V 主な薬剤の解説と副作用対策
1 クラリスロマイシン(CAM:Clarithromycin)
2 リファンピシン(RFP:Rifampicin)
3 エタンブトール(EB:Ethambutol)
4 アミノグリコシド系抗菌薬
5 リファブチン(RBT:Rifabutin)
6 キノロン系抗菌薬〔例:シタフロキサシン(STFX:Sitafloxacin)〕
第5章 特殊な病態における非結核性抗酸菌症
I HIV感染
1 M. avium complex(MAC)
2 M. kansasii
3 その他の非結核性抗酸菌
II 関節リウマチと生物学的製剤
1 生物学的製剤
2 RA患者の肺の基礎病変-NTM症発症の母地
3 RAに合併するNTM症,わが国の実態,米国の実態
4 NTM症の診断
5 NTM症の治療
6 NTM症と生物学的製剤
索引
I 日本と世界の疫学と動向について
1 日本の状況
2 米国の状況
3 その他諸外国の状況
第2章 非結核性抗酸菌の細菌学
I 細菌検査
1 非結核性抗酸菌とは
2 抗酸菌検査の方法
3 抗酸菌塗抹検査
4 抗酸菌培養検査
5 抗酸菌同定検査
6 薬剤感受性試験
II NTMの分子疫学解析と感染源
1 NTMに用いられる分子疫学解析法
2 NTMの生息環境と感染経路
3 NTMにおける分子疫学的解析法の応用
4 環境曝露とMAC感染の危険因子
5 感染源と生活指導
第3章 肺非結核性抗酸菌症の診断
I 臨床症状・画像診断
1 はじめに
2 臨床症状
3 画像診断
II 血液検査(血清診断)
1 肺MAC症診断の現状
2 肺MAC症の血清診断法の開発
3 MAC血清診断における臨床的諸問題
4 MACの潜在性感染はあるのか?
5 MACの血清診断の使用法のまとめ
III NTM症の診断基準とその運用
1 新しい診断基準に至る経緯
2 わが国の2008年診断基準の内容と特徴
3 今後の課題
第4章 肺非結核性抗酸菌症の治療
I 肺MAC症の治療
1 肺MAC症治療に関する学会の見解
2 学会の見解に対する解説
II 肺カンサシ症の治療
1 肺カンサシ症の基礎知識
2 肺カンサシ症の治療
III その他の肺非結核性抗酸菌症の治療
1 迅速発育菌
2 遅発育菌
3 外科治療
IV 肺NTM症の外科療法
はじめに
1 外科療法の目的
2 米国ガイドラインでの外科療法の適応
3 わが国のガイドラインでの外科療法の適応
4 術前耐術能評価
5 外科療法の効果
6 今後の課題
おわりに
V 主な薬剤の解説と副作用対策
1 クラリスロマイシン(CAM:Clarithromycin)
2 リファンピシン(RFP:Rifampicin)
3 エタンブトール(EB:Ethambutol)
4 アミノグリコシド系抗菌薬
5 リファブチン(RBT:Rifabutin)
6 キノロン系抗菌薬〔例:シタフロキサシン(STFX:Sitafloxacin)〕
第5章 特殊な病態における非結核性抗酸菌症
I HIV感染
1 M. avium complex(MAC)
2 M. kansasii
3 その他の非結核性抗酸菌
II 関節リウマチと生物学的製剤
1 生物学的製剤
2 RA患者の肺の基礎病変-NTM症発症の母地
3 RAに合併するNTM症,わが国の実態,米国の実態
4 NTM症の診断
5 NTM症の治療
6 NTM症と生物学的製剤
索引
更新情報
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更新情報はありません。
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