乳癌診療ポケットガイド 第2版
「チーム医療」が日本社会に根付いてきた今、その「チーム」のさらなる質の向上を目指して
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わが国における乳癌罹患率は増加の一途をたどり、女性の癌罹患率の第1位、死亡数は第5位である。治療としては手術のみならず、薬物療法が日進月歩であり、新薬の導入、国際的な新しい考え方・合意事項を適正に導入し、患者の人生を共に考えたうえで、患者に最大のベネフィットを提供することがますます求められてきている。乳癌診療に携わるすべての医療者に向けて、共通認識として必要十分な情報、知見をコンパクトにまとめた書。
監修 | 中村 清吾 |
---|---|
編集 | 聖路加国際病院ブレストセンター・オンコロジーセンター |
責任編集 | 山内 英子 |
発行 | 2014年07月判型:B6変頁:264 |
ISBN | 978-4-260-01950-7 |
定価 | 3,960円 (本体3,600円+税) |
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第2版の序
乳癌診療における目覚ましい医療の進歩に伴い,われわれ医療者は常にあたらしい情報をとりいれ,それを患者と家族に伝え,ともに治療選択を決定していく日々に追われています.診断,手術,放射線治療,化学療法といった分野のみならず,リスクの評価や遺伝子診断から患者の人生を考慮しながらの治療選択にいたるまで,多岐にわたる角度からの診療が要求され,そうした状況を支えるため,さまざまな分野の専門家が集まった「チーム医療」が必要不可欠なものとなっています.
こうしたチーム医療においては,構成員の1人ひとりが,基本となる乳癌診療の基礎知識を土台にしたうえで,各々の角度からの議論が行なわれることが不可欠です.キャンサーボードを行なうときも,各専門家が最新の知識を持ち寄って,そのうえで1人の患者のことを話し合うのでなければ,患者に最善の医療を提供できません.チーム医療下においては,全員の共通認識としての知識の修得が,ますます重要性を帯びているといえましょう.
米国で乳癌の臨床をしていたころ参加していた現地のキャンサーボードでは,参加メンバーの各々が,最低限のランドマークペーパーのデータをしっかり把握したうえで,外科医は最新の治療成績や新しい技術を提示し,腫瘍内科医はどの療法がその程度の効果があるかを数値で提示し,放射線腫瘍科医は照射での局所コントロール率を話し,遺伝専門医やカウンセラーはその症例の遺伝的背景に関して考察し,さらにソーシャルワーカーは経済的なことなどを配慮していました.
「チーム医療」という言葉が日本社会に根付いてきた今,その「チーム」のさらなる質の向上を目指していく時代が到来したのではないでしょうか.“TEAM”—Talent, Encouragement, Aim, Move——が,それぞれの才能を尊重し,互いに励まし合い,同じ目標に向かって進んでいく——そのためにも,まずは各々が基本となる乳癌診療の基礎知識をしっかりと身につけていることが大切です.
そのチーム医療の土台となる情報を臨床現場で簡単に確認することができるようにデザインされたのが,この『乳癌診療ポケットガイド』です.このガイドが乳癌診療のチーム医療のさらなる発展に役立ち,ひいては1人ひとりの患者の診療改善の一助となれば,これほど嬉しいことはありません.
2014年6月
山内英子
乳癌診療における目覚ましい医療の進歩に伴い,われわれ医療者は常にあたらしい情報をとりいれ,それを患者と家族に伝え,ともに治療選択を決定していく日々に追われています.診断,手術,放射線治療,化学療法といった分野のみならず,リスクの評価や遺伝子診断から患者の人生を考慮しながらの治療選択にいたるまで,多岐にわたる角度からの診療が要求され,そうした状況を支えるため,さまざまな分野の専門家が集まった「チーム医療」が必要不可欠なものとなっています.
こうしたチーム医療においては,構成員の1人ひとりが,基本となる乳癌診療の基礎知識を土台にしたうえで,各々の角度からの議論が行なわれることが不可欠です.キャンサーボードを行なうときも,各専門家が最新の知識を持ち寄って,そのうえで1人の患者のことを話し合うのでなければ,患者に最善の医療を提供できません.チーム医療下においては,全員の共通認識としての知識の修得が,ますます重要性を帯びているといえましょう.
米国で乳癌の臨床をしていたころ参加していた現地のキャンサーボードでは,参加メンバーの各々が,最低限のランドマークペーパーのデータをしっかり把握したうえで,外科医は最新の治療成績や新しい技術を提示し,腫瘍内科医はどの療法がその程度の効果があるかを数値で提示し,放射線腫瘍科医は照射での局所コントロール率を話し,遺伝専門医やカウンセラーはその症例の遺伝的背景に関して考察し,さらにソーシャルワーカーは経済的なことなどを配慮していました.
「チーム医療」という言葉が日本社会に根付いてきた今,その「チーム」のさらなる質の向上を目指していく時代が到来したのではないでしょうか.“TEAM”—Talent, Encouragement, Aim, Move——が,それぞれの才能を尊重し,互いに励まし合い,同じ目標に向かって進んでいく——そのためにも,まずは各々が基本となる乳癌診療の基礎知識をしっかりと身につけていることが大切です.
そのチーム医療の土台となる情報を臨床現場で簡単に確認することができるようにデザインされたのが,この『乳癌診療ポケットガイド』です.このガイドが乳癌診療のチーム医療のさらなる発展に役立ち,ひいては1人ひとりの患者の診療改善の一助となれば,これほど嬉しいことはありません.
2014年6月
山内英子
目次
開く
I 乳癌の発生・進展
癌の発生と進展/乳癌の発生・増殖/乳癌の進展・転移
II 疫学・予防
A 罹患率・死亡率
現状/欧米との比較
B リスクファクター
各リスクのエビデンス
C 検診
検診の考え方/意義/MMG/US/その他
III 診断
A 診断総論
B 診察
問診/視診/触診
C 画像診断
総論/MMG/US/CT/MRI/骨シンチグラフィ/
positron emission tomography(PET)/腫瘍マーカー
D 細胞診・組織診
検査の選択基準/細胞診/針生検(CNB)/マンモトーム生検(MMT)/摘出生検
E 病理組織診断
悪性腫瘍/良性病変
IV 原発性乳癌の治療
A 治療総論
B 術前化学療法
意義/適応/投与の実際
C 外科的治療
乳房の外科治療/腋窩リンパ節転移の評価
D 乳房再建術
総論/人工乳房(インプラント)による再建/自家組織移植による再建
E 放射線療法
部分切除術後の放射線療法/全摘術後の放射線治療/局所再発領域への放射線照射
F 術後補助薬物療法
術後補助薬物療法の適応/術後補助薬物療法の選択/化学療法/内分泌療法
G 妊娠・授乳期乳癌
妊娠・授乳期乳癌の定義/疫学/診断/治療/予後/授乳・乳汁分泌
H 妊孕性保護の問題
妊孕性保護を考慮する因子/卵巣機能障害への対処/妊孕性温存治療/
聖路加国際病院ブレストセンターのシステム
I 肝炎合併乳癌
B型肝炎対策のガイドライン/核酸アナログ製剤の処方
J 術後リハビリテーション・退院指導
リハビリテーションの目的/乳癌術後の上肢トラブル/リハビリテーションの実際/
退院指導
K リンパ浮腫
リンパ浮腫の基礎知識/臨床分類/症状/予防/治療/社会資源
L 術後フォローアップ
目的/検診項目
V 転移再発乳癌の治療
A 治療総論
目的/方針
B 内分泌療法
閉経前症例/閉経後症例
C 化学療法
タキサン系薬剤を含むレジメン/アンスラサイクリン系薬剤を含むレジメン/
その他のレジメン
D 分子標的治療
抗HER2治療/Bevacizumab(アバスチン®・Bev)療法/今後期待される分子標的治療
E 脳転移・癌性髄膜炎
脳転移/癌性髄膜炎
F 骨転移
疫学/症状/診断/治療
G 胸水貯留・肺転移
疫学/症状/検査/癌性胸水の成因/治療/予後
H 肝転移
疫学/症状/検査/治療/予後
I 皮膚転移
皮膚転移とは?/局所処置/出血コントロール/感染管理/疼痛コントロール/
精神的ケア
VI oncologic emergency
発熱性好中球減少症(febrile neutropenia,FN)/脊髄圧迫/高カルシウム血症/
上大静脈症候群/尿路閉塞/SIADH(抗利尿ホルモン不適合症候群)/
心タンポナーデ/アナフィラキシー
VII 緩和療法
A 疼痛管理
疼痛の理解/疼痛の評価/疼痛への対応
B オピオイドの使い方
種類/オピオイドの副作用とその対策/レスキューの使い方/
オピオイドローテーション/オピオイドが効きにくい痛み
C その他の症状の管理
呼吸困難/全身倦怠感/食欲不振/悪心
VIII 薬物療法の副作用
A 骨髄抑制
白血球・好中球減少/血小板減少/貧血
B 悪心・嘔吐
発現機序/発現のタイミング/薬物療法
C 末梢神経障害
D 口内炎
発症機序/発症のタイミング/治療
E 脱毛
F 手足症候群(hand-foot syndrome,HFS)
障害をきたしやすい薬剤/症状/対策
G 便秘
H 心毒性
障害をきたしうる薬剤/治療/対策
I 浮腫
発症機序/症状/治療
J 化学療法薬剤の減量基準
肝機能異常時/腎機能異常時
IX 遺伝性乳癌
遺伝性乳癌/
遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の検査基準(NCCN guideline ver3. 2013を改変)/
BRCA1/BRCA2とは?/BRCA1/BRCA2変異保因者の乳癌・卵巣癌発症リスク/
検診/リスク低減乳房切除/卵巣卵管切除/化学予防/遺伝カウンセリング/
今後の課題
X 予後予測因子・治療効果予測因子とテーラーメード治療
A 予後予測因子と治療効果予測因子
予後予測因子/治療効果予測因子
B 予後・治療効果予測ツール
Adjuvant! Onlineの概要/Adjuvant! Onlineの今後
C 遺伝子発現解析を用いた予後因子
XI 社会的サポート
A キャンサーサバイバーシップの概念
キャンサーサバイバーシップとは/乳癌患者のサバイバーシップ
B 訪問看護
目的/訪問看護の流れ/利用料金/サービス内容
C 社会資源
医療費負担の軽減/経済的援助/介護保険/患者会
XII 乳癌におけるチーム医療
A 総論
チーム医療とは?/チーム医療が必要な理由/社会の中でのチーム医療
B 乳がん看護認定看護師
認定看護師とは?/乳がん看護認定看護師教育の目的/
乳がん看護認定看護師の専門的看護技術/乳がん看護認定看護師の役割
C がん化学療法看護認定看護師
がん化学療法看護認定看護師とは?/がん化学療法看護認定看護師育成の目的/
がん化学療法看護認定看護師の役割
D がん専門薬剤師
がん専門薬剤師とは?/がん専門薬剤師養成の目的/
がん専門薬剤師の乳癌治療へのかかわり
E チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)
CLSとは?/成人医療におけるCLSの役割
F 臨床研究コーディネーター(CRC)
G 精神的・心理的サポート
受容の過程/適応障害への心のケア/うつ病の治療/家族への心のケア
付録
毒性と抗癌剤投与遅延・減量基準/TNM分類
索引
有害事象共通用語規準 v4.0 日本語版 JCOG版
癌の発生と進展/乳癌の発生・増殖/乳癌の進展・転移
II 疫学・予防
A 罹患率・死亡率
現状/欧米との比較
B リスクファクター
各リスクのエビデンス
C 検診
検診の考え方/意義/MMG/US/その他
III 診断
A 診断総論
B 診察
問診/視診/触診
C 画像診断
総論/MMG/US/CT/MRI/骨シンチグラフィ/
positron emission tomography(PET)/腫瘍マーカー
D 細胞診・組織診
検査の選択基準/細胞診/針生検(CNB)/マンモトーム生検(MMT)/摘出生検
E 病理組織診断
悪性腫瘍/良性病変
IV 原発性乳癌の治療
A 治療総論
B 術前化学療法
意義/適応/投与の実際
C 外科的治療
乳房の外科治療/腋窩リンパ節転移の評価
D 乳房再建術
総論/人工乳房(インプラント)による再建/自家組織移植による再建
E 放射線療法
部分切除術後の放射線療法/全摘術後の放射線治療/局所再発領域への放射線照射
F 術後補助薬物療法
術後補助薬物療法の適応/術後補助薬物療法の選択/化学療法/内分泌療法
G 妊娠・授乳期乳癌
妊娠・授乳期乳癌の定義/疫学/診断/治療/予後/授乳・乳汁分泌
H 妊孕性保護の問題
妊孕性保護を考慮する因子/卵巣機能障害への対処/妊孕性温存治療/
聖路加国際病院ブレストセンターのシステム
I 肝炎合併乳癌
B型肝炎対策のガイドライン/核酸アナログ製剤の処方
J 術後リハビリテーション・退院指導
リハビリテーションの目的/乳癌術後の上肢トラブル/リハビリテーションの実際/
退院指導
K リンパ浮腫
リンパ浮腫の基礎知識/臨床分類/症状/予防/治療/社会資源
L 術後フォローアップ
目的/検診項目
V 転移再発乳癌の治療
A 治療総論
目的/方針
B 内分泌療法
閉経前症例/閉経後症例
C 化学療法
タキサン系薬剤を含むレジメン/アンスラサイクリン系薬剤を含むレジメン/
その他のレジメン
D 分子標的治療
抗HER2治療/Bevacizumab(アバスチン®・Bev)療法/今後期待される分子標的治療
E 脳転移・癌性髄膜炎
脳転移/癌性髄膜炎
F 骨転移
疫学/症状/診断/治療
G 胸水貯留・肺転移
疫学/症状/検査/癌性胸水の成因/治療/予後
H 肝転移
疫学/症状/検査/治療/予後
I 皮膚転移
皮膚転移とは?/局所処置/出血コントロール/感染管理/疼痛コントロール/
精神的ケア
VI oncologic emergency
発熱性好中球減少症(febrile neutropenia,FN)/脊髄圧迫/高カルシウム血症/
上大静脈症候群/尿路閉塞/SIADH(抗利尿ホルモン不適合症候群)/
心タンポナーデ/アナフィラキシー
VII 緩和療法
A 疼痛管理
疼痛の理解/疼痛の評価/疼痛への対応
B オピオイドの使い方
種類/オピオイドの副作用とその対策/レスキューの使い方/
オピオイドローテーション/オピオイドが効きにくい痛み
C その他の症状の管理
呼吸困難/全身倦怠感/食欲不振/悪心
VIII 薬物療法の副作用
A 骨髄抑制
白血球・好中球減少/血小板減少/貧血
B 悪心・嘔吐
発現機序/発現のタイミング/薬物療法
C 末梢神経障害
D 口内炎
発症機序/発症のタイミング/治療
E 脱毛
F 手足症候群(hand-foot syndrome,HFS)
障害をきたしやすい薬剤/症状/対策
G 便秘
H 心毒性
障害をきたしうる薬剤/治療/対策
I 浮腫
発症機序/症状/治療
J 化学療法薬剤の減量基準
肝機能異常時/腎機能異常時
IX 遺伝性乳癌
遺伝性乳癌/
遺伝性乳癌・卵巣癌症候群の検査基準(NCCN guideline ver3. 2013を改変)/
BRCA1/BRCA2とは?/BRCA1/BRCA2変異保因者の乳癌・卵巣癌発症リスク/
検診/リスク低減乳房切除/卵巣卵管切除/化学予防/遺伝カウンセリング/
今後の課題
X 予後予測因子・治療効果予測因子とテーラーメード治療
A 予後予測因子と治療効果予測因子
予後予測因子/治療効果予測因子
B 予後・治療効果予測ツール
Adjuvant! Onlineの概要/Adjuvant! Onlineの今後
C 遺伝子発現解析を用いた予後因子
XI 社会的サポート
A キャンサーサバイバーシップの概念
キャンサーサバイバーシップとは/乳癌患者のサバイバーシップ
B 訪問看護
目的/訪問看護の流れ/利用料金/サービス内容
C 社会資源
医療費負担の軽減/経済的援助/介護保険/患者会
XII 乳癌におけるチーム医療
A 総論
チーム医療とは?/チーム医療が必要な理由/社会の中でのチーム医療
B 乳がん看護認定看護師
認定看護師とは?/乳がん看護認定看護師教育の目的/
乳がん看護認定看護師の専門的看護技術/乳がん看護認定看護師の役割
C がん化学療法看護認定看護師
がん化学療法看護認定看護師とは?/がん化学療法看護認定看護師育成の目的/
がん化学療法看護認定看護師の役割
D がん専門薬剤師
がん専門薬剤師とは?/がん専門薬剤師養成の目的/
がん専門薬剤師の乳癌治療へのかかわり
E チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)
CLSとは?/成人医療におけるCLSの役割
F 臨床研究コーディネーター(CRC)
G 精神的・心理的サポート
受容の過程/適応障害への心のケア/うつ病の治療/家族への心のケア
付録
毒性と抗癌剤投与遅延・減量基準/TNM分類
索引
有害事象共通用語規準 v4.0 日本語版 JCOG版
書評
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現場を意識した構成で使いやすいポケットガイド
書評者: 池田 正 (帝京大主任教授・腫瘍外科学)
『乳癌診療ポケットガイド 第2版』が発刊された。山内英子先生編集のもと,聖路加国際病院のブレストセンター・オンコロジーセンターが総力を挙げて改訂された。乳癌の分野では医学情報が日進月歩であるため,待ちに待った改訂といえる。
本書の特徴は,(1)乳癌診療の基本から最新情報までコンパクトにまとめてあること,(2)図表を多用しており,かつ2色刷のため非常に見やすいこと,(3)看護の面から見た情報も記載してあること,(4)遺伝性乳癌,多遺伝子アッセイ,社会的サポートなどトピックについても紙面を割いていること,(5)薬物療法に関してはレジメンの量まで記載してあることなどである。ことに,ポケットに入るような大きさにもかかわらず,レジメンが細かく書いてあるなど,臨床の現場を意識して構成しているため実臨床で非常に使いやすいものに仕上がっている。若い医師が臨床現場でオーダーを確認するのにもってこいである。また,乳癌は近年増加が著しく,臨床でよく遭遇する疾患である一方,診断治療の変化が著しい癌でもあり,専門外の先生にとっては苦手意識があるかもしれない。このような先生にとってもレジメンの根拠になる臨床試験も挙げており,理解しやすいと思う。本書を読んでさらに詳しい情報が欲しいと思われる方は,『乳癌診療ガイドライン』などを一緒に読まれるとさらに理解が深まってよいだろう。
本書の内容から見てわかることは,編者も序で述べているが,チーム医療を推進するに当たり全員が共通の理解の下にディスカッションすることが重要だということである。その目的のために構成された本書は乳癌に携わる方々を対象に,基盤となる情報を過不足なく網羅している。若手医師,看護師ほか乳癌診療に関わるメディカルスタッフにお薦めであり,ポリクリ学生にも参考となるであろう。ぜひ日常臨床でポケットに入れて持ち歩き,わからないことをすぐに確認するとともに,キャンサーボードなどでも活用されることをお薦めする。
書評者: 池田 正 (帝京大主任教授・腫瘍外科学)
『乳癌診療ポケットガイド 第2版』が発刊された。山内英子先生編集のもと,聖路加国際病院のブレストセンター・オンコロジーセンターが総力を挙げて改訂された。乳癌の分野では医学情報が日進月歩であるため,待ちに待った改訂といえる。
本書の特徴は,(1)乳癌診療の基本から最新情報までコンパクトにまとめてあること,(2)図表を多用しており,かつ2色刷のため非常に見やすいこと,(3)看護の面から見た情報も記載してあること,(4)遺伝性乳癌,多遺伝子アッセイ,社会的サポートなどトピックについても紙面を割いていること,(5)薬物療法に関してはレジメンの量まで記載してあることなどである。ことに,ポケットに入るような大きさにもかかわらず,レジメンが細かく書いてあるなど,臨床の現場を意識して構成しているため実臨床で非常に使いやすいものに仕上がっている。若い医師が臨床現場でオーダーを確認するのにもってこいである。また,乳癌は近年増加が著しく,臨床でよく遭遇する疾患である一方,診断治療の変化が著しい癌でもあり,専門外の先生にとっては苦手意識があるかもしれない。このような先生にとってもレジメンの根拠になる臨床試験も挙げており,理解しやすいと思う。本書を読んでさらに詳しい情報が欲しいと思われる方は,『乳癌診療ガイドライン』などを一緒に読まれるとさらに理解が深まってよいだろう。
本書の内容から見てわかることは,編者も序で述べているが,チーム医療を推進するに当たり全員が共通の理解の下にディスカッションすることが重要だということである。その目的のために構成された本書は乳癌に携わる方々を対象に,基盤となる情報を過不足なく網羅している。若手医師,看護師ほか乳癌診療に関わるメディカルスタッフにお薦めであり,ポリクリ学生にも参考となるであろう。ぜひ日常臨床でポケットに入れて持ち歩き,わからないことをすぐに確認するとともに,キャンサーボードなどでも活用されることをお薦めする。
正誤表
開く
本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。