成人看護学[15]
歯・口腔 第12版

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歯・口腔領域の多様な看護について幅広く学習できるテキストです。 検査・治療について、最新の知見を取り入れてわかりやすく説明しています。 重要疾患の記述を充実させるとともに、看護に必要な知識を優先させて情報の整理を行い、メリハリのある使いやすい内容となっています。 看護については多くの症状・疾患を取り上げ、小児の歯科治療時の看護についても項目を設けてあります。 「特論 口腔ケア」では、全身の健康のための口腔ケアという視点から、ライフサイクル各期の口腔ケア、口腔清掃の実際、全身疾患を持つ患者への口腔ケア、高齢者への口腔ケアなどについて説明しています。
*「系統看護学講座/系看」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ 系統看護学講座
渋谷 絹子 / 天笠 光雄 / 塩沢 育己 / 倉林 亨 / 森山 啓司 / 高木 裕三 / 田上 順次 / 青木 春恵 / 紺野 肖子 / 月川 和香奈 / 味田 徳子
発行 2013年01月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-01580-6
定価 2,090円 (本体1,900円+税)
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はしがき

発刊の趣旨
 1967年から1968年にかけて行われた看護学校教育課程の改正に伴って,新しく「成人看護学」という科目が設けられた。
 本教科のねらいとするところは,「看護の基礎理論としての知識・技術・態度を理解し,これを応用することによって,病気をもつ人の世話あるいは健康の維持・増進を実践・指導し,看護の対象であるあらゆる人の,あらゆる状態に対応していくことができる」という,看護の基本的な理念を土台として,「成人」という枠組みの対象に対する看護を学ぶことにある。
 したがって,看護を,従来のように診療における看護といった狭い立場からではなく,保健医療という幅広い視野のなかで健康の保持・増進という視点においてとらえ,一方,疾患をもった患者に対しては,それぞれの患者が最も必要としている援助を行うという看護本来のあり方に立脚して学習しなければならない。
 本書「成人看護学」は,以上のような考え方を基礎として編集されたものである。
 まず「成人看護学総論」においては,成人各期の特徴を学び,対象である成人が,どのような状態のもとで正常から異常へと移行していくのか,またそれを予防し健康を維持していくためには,いかなる方策が必要であるかを学習し,成人の全体像と成人看護の特質をつかむことをねらいとしている。
 以下,「成人看護学」の各巻においては,成人というものの概念を把握したうえで,人間の各臓器に身体的あるいは精神的な障害がおこった場合に,その患者がいかなる状態におかれるかを理解し,そのときの患者のニーズを満たすためにはどのようにすればよいかを,それぞれの系統にそって学習することをねらいとしている。
 したがって,「成人看護学」の学習にあたっては,従来のように診療科別に疾病に関する知識を断片的に習得するのではなく,種々の障害をあわせもつ可能性のある1人ひとりの人間,すなわち看護の対象としての人間のあらゆる変化に対応できる知識・技術・態度を学びとっていただきたい。
 このような意味において,学習者は対象の健康生活上の目標達成のために,より有効な援助ができるような知識・技術を養い,つねに研鑽を続けていかなければならない。
 以上の趣旨のもとに,金子光・小林冨美栄・大塚寛子によって編集された「成人看護学」であるが,日進月歩をとげる医療のなかで,本書が看護学の確立に向けて役だつことを期待するものである。

カリキュラムの改正
 1989(平成元)年,20年ぶりに看護教育のカリキュラムが全面的に改正され,さらに,1996年には3年課程,1998年には2年課程のカリキュラムが改正された。その背景には,医学・医療の発展はもとより,人口構造の急速な変化(高齢化・少子化)や疾病構造の変化(慢性疾患の増加),保健医療ニーズの増大・多様化,あるいは情報化・高学歴化など大きな社会的変化があり,それに伴って看護機能の拡大と高度化が強く要請されているからにほかならない。
 その結果,新カリキュラムでは,人間とその健康を多角的に理解し,科学的に看護を実践しうる基礎的能力を育成することを強調するとともに,新たに在宅看護論・精神看護学を独立させ,時代の要請に対応しようとしている。またこのような視点から,専門分野における各看護学では,健康のレベルに応じて,看護の対象・目的および方法を統合的に学習することを強調している。

改訂の趣旨
 今回の「成人看護学」の改訂では,これらカリキュラムの意図を再吟味するとともに,1999年に発表され,2003年に改訂された「看護師国家試験出題基準」の内容をも視野に入れて,各系統において統合的・発展的な学習が可能となるよう大幅に構成を見直し,内容の刷新・強化をはかった。
 第1章「看護を学ぶにあたって」では,各系統別に現在の医療動向を概観したあと,上記の対象論と目的論が展開されている。すなわち,各系統別に患者の身体的,心理・社会的特徴を明確にし,看護上の問題とその特質に基づいて,看護の目的と機能が具体的に示されている。
 第2~5章では,疾患とその医学的対応という視点から,看護の展開に必要とされる医学的な基礎知識が選択的に示されている。既習知識の統合化と臨床医学の系統的な学習のために,最新の知見に基づいて解説されている。
 第6章「患者の看護」では,上記の1~5章の学習に基づいて,看護の方法が示されている。すなわち,患者の有する問題と既習の医学的知識をふまえて,各系統の特性に応じて,症状別,診断および治療・処置別,経過別,疾患別に看護の実際が提示されている。すべてを看護過程に基づいて展開し,プロセスを通して全体像が論理的・立体的に理解できるように配慮されている。
 巻末の付章「事例による看護過程の展開」では,2つの事例を取り上げ,看護過程に基づいて看護の実際が展開されている。疾患だけでなく,患者の有するさまざまな問題が提示されているので,看護の広がりと問題解決のプロセスが具体的に学習できるようになっている。
 特論「口腔ケア」では,総合的に学習ができるように最新の内容を解説した。
 今回の改訂によって看護の学習がより効果的に行われ,看護実践能力の向上,ひいては看護の質的向上に資することを切に望むものである。ご活用いただき,読者諸賢の忌憚のないご意見とご叱正をいただければ幸いである。
 2012年11月
 著者ら

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第1章 看護を学ぶにあたって (渋谷絹子)
 A 医療の動向と看護
 B 患者の特徴
 C 看護の役割
第2章 歯・口腔の構造と機能 (田上順次・天笠光雄)
 A 歯および歯周組織
 B 口唇および頬部
 C 口蓋
 D 舌
 E 口底・顎下部
 F 顎および顎関節
 G 口腔顎顔面の筋
 H 唾液腺
第3章 症状とその病態生理 (天笠光雄・塩沢育己)
 A 口腔症状
 B 顎口腔機能障害
第4章 検査と治療・処置 (天笠光雄・田上順次・倉林亨・塩沢育己・森山啓司・高木裕三)
 A 診察と診断の流れ
 B 検査
 C 治療・処置
第5章 疾患の理解 (田上順次・天笠光雄)
 A 歯の異常と疾患
 B 歯周組織の疾患
 C 齲蝕に続発する疾患(顎骨の炎症)
 D 口腔粘膜の疾患
 E 口腔領域の嚢胞
 F 口腔領域の腫瘍および腫瘍類似疾患
 G 口腔領域の悪性腫瘍
 H 歯と顎骨の外傷
 I 口腔領域の先天異常および発育異常
 J 顎関節の疾患
 K 唾液腺の疾患
 L 神経の疾患
第6章 患者の看護 (青木春恵・紺野肖子・月川和香奈・渋谷絹子)
 A 症状に対する看護
 B 治療・処置を受ける患者の看護
 C 疾患を持つ患者の看護
付章 事例による看護過程の展開 (紺野肖子・月川和香奈)
 A 放射線治療を受ける患者の看護
 B 下顎前突症患者の看護
特論 口腔ケア (味田徳子)
 A 口腔ケアとは
 B ライフサイクル各期の口腔ケア
 C 口腔ケアの基本的な流れ
 D 口腔清掃
 E 全身疾患を持つ患者の口腔ケア

索引

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