日常生活活動・社会生活行為学
作業療法士がかかわる日常生活活動(ADL)のすべてを扱ったテキスト誕生!
もっと見る
作業療法に欠かすことのできないテーマである「日常生活活動(ADL)」。本書はADLの行為ごとに、評価、訓練、訓練プログラム(事例演習)についてわかりやすくまとめている。また、訓練については、基礎(機能訓練)、部分(動作訓練)、全体(一連の流れで行う訓練)の3段階に分けて、各々の構成要素について、運動器、認知・心理、環境・福祉機器といった観点から学べる。「日常生活活動」などの科目に最適のテキスト。
*「標準作業療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準作業療法学 専門分野 |
---|---|
シリーズ監修 | 矢谷 令子 |
編集 | 濱口 豊太 |
発行 | 2014年12月判型:B5頁:392 |
ISBN | 978-4-260-02038-1 |
定価 | 4,620円 (本体4,200円+税) |
- 販売終了
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 序文
- 目次
序文
開く
序
生活行為は,生命維持のために日常生活で繰り返す活動を人間が意図して行うものであり,日常の出来事や習慣的動作を骨格に,行為者の知識や思想,文化などから修飾され,さらに,行為に用いられる道具や物品から構成される複合的な概念である.
作業療法は社会生活行為に関するあらゆる手段を用いて人間の生活を支援する.本書は社会生活行為の構造的成り立ちと,それらに対応する作業療法を理解するために,次のような章構成にした.
「序章 日常生活活動・社会生活行為学を学ぶ皆さんへ」では,人間のふるまいには,運動,動作,行動,活動,行為などの分類があり,これらの意味をふまえて対象者の課題を発見し,整理して対応する基本的な考え方を概説した.対象者の日常生活活動(以下ADL)と社会生活行為の着眼点をここでご確認いただきたい.
「第1章 日常生活活動・社会生活行為学概論」では,ADLと社会生活行為の歴史的分類から世界保健機関(WHO)のICF分類に照合した位置づけを解説し,作業療法士が対象者のADL・社会生活行為を支援するために行う評価,目標設定,治療計画,実践および効果判定までの流れを示した.ADLの評価とADL治療法の理論は,第2章以降に展開される作業療法の仕組みの基盤となっている.本章こそが本書の縮図である.
「第2章 日常生活活動の障害領域別の支援」では,対象者のADLと生活関連動作(APDL)を治療,援助,指導するための評価と治療計画について障害別に解説した.ADLの評価では,動作手順・構成要素・観察の要点を示した.また,ADLの治療法では,ADLの基礎練習・部分練習・全体練習の構成が要である.ADLの治療法としての標的・強度・頻度・期間をその構成要素にしながら,身体・精神・発達期におけるADLの支援について,本章を演習の参考にしていただきたい.
「第3章 補装具・福祉用具・住環境」では,対象者の動作能力を発揮しやすい物理的環境は,それ自体が治療の要素の1つであることを述べている.補装具と福祉用具,住環境への対応法を概説し,対象者の能力を代償してADLと社会生活行為を支援する作業療法の考え方を示した.
人間は個人・家庭・社会の階層の中で相互につながりながら生活している.「第4章 社会生活行為の支援」では,社会で生活するための要石である教育と就労に対応する作業療法士の役割を取り上げた.また社会参加に加え,遊びやレジャーへの考え方にも言及した.
本書末の「日常生活活動・社会生活行為学の発展に向けて」では,人間の運動や行為を,個人・家庭・社会に広がりながら相互に関連する要素ととらえたうえで作業療法の視点でまとめた.作業療法士が対象者に提供できるADL・社会生活行為への支援は,身体・精神・社会などの観点と,発達過程・高齢期といった人生期間を軸とした治療の技術体系があり,疾患や障害別の特異的な作業療法理論を集学的に用いる必要がある.
生活の構造と機能を知り,人間が安全に生活を継続するための支援技法はまさに,作業療法士が対象者に寄与する知と技である.本書の内容が読者の生活を再発見する1つのきっかけになれば幸甚である.
最後に,執筆いただいた諸氏には,作業療法を必要とする人たちの生活行為を助ける作業療法のいくつかを限られた紙面に示すという困難な仕事にご尽力いただいた.この場を借りて謝意を表したい.
2014年11月
濱口豊太
生活行為は,生命維持のために日常生活で繰り返す活動を人間が意図して行うものであり,日常の出来事や習慣的動作を骨格に,行為者の知識や思想,文化などから修飾され,さらに,行為に用いられる道具や物品から構成される複合的な概念である.
作業療法は社会生活行為に関するあらゆる手段を用いて人間の生活を支援する.本書は社会生活行為の構造的成り立ちと,それらに対応する作業療法を理解するために,次のような章構成にした.
「序章 日常生活活動・社会生活行為学を学ぶ皆さんへ」では,人間のふるまいには,運動,動作,行動,活動,行為などの分類があり,これらの意味をふまえて対象者の課題を発見し,整理して対応する基本的な考え方を概説した.対象者の日常生活活動(以下ADL)と社会生活行為の着眼点をここでご確認いただきたい.
「第1章 日常生活活動・社会生活行為学概論」では,ADLと社会生活行為の歴史的分類から世界保健機関(WHO)のICF分類に照合した位置づけを解説し,作業療法士が対象者のADL・社会生活行為を支援するために行う評価,目標設定,治療計画,実践および効果判定までの流れを示した.ADLの評価とADL治療法の理論は,第2章以降に展開される作業療法の仕組みの基盤となっている.本章こそが本書の縮図である.
「第2章 日常生活活動の障害領域別の支援」では,対象者のADLと生活関連動作(APDL)を治療,援助,指導するための評価と治療計画について障害別に解説した.ADLの評価では,動作手順・構成要素・観察の要点を示した.また,ADLの治療法では,ADLの基礎練習・部分練習・全体練習の構成が要である.ADLの治療法としての標的・強度・頻度・期間をその構成要素にしながら,身体・精神・発達期におけるADLの支援について,本章を演習の参考にしていただきたい.
「第3章 補装具・福祉用具・住環境」では,対象者の動作能力を発揮しやすい物理的環境は,それ自体が治療の要素の1つであることを述べている.補装具と福祉用具,住環境への対応法を概説し,対象者の能力を代償してADLと社会生活行為を支援する作業療法の考え方を示した.
人間は個人・家庭・社会の階層の中で相互につながりながら生活している.「第4章 社会生活行為の支援」では,社会で生活するための要石である教育と就労に対応する作業療法士の役割を取り上げた.また社会参加に加え,遊びやレジャーへの考え方にも言及した.
本書末の「日常生活活動・社会生活行為学の発展に向けて」では,人間の運動や行為を,個人・家庭・社会に広がりながら相互に関連する要素ととらえたうえで作業療法の視点でまとめた.作業療法士が対象者に提供できるADL・社会生活行為への支援は,身体・精神・社会などの観点と,発達過程・高齢期といった人生期間を軸とした治療の技術体系があり,疾患や障害別の特異的な作業療法理論を集学的に用いる必要がある.
生活の構造と機能を知り,人間が安全に生活を継続するための支援技法はまさに,作業療法士が対象者に寄与する知と技である.本書の内容が読者の生活を再発見する1つのきっかけになれば幸甚である.
最後に,執筆いただいた諸氏には,作業療法を必要とする人たちの生活行為を助ける作業療法のいくつかを限られた紙面に示すという困難な仕事にご尽力いただいた.この場を借りて謝意を表したい.
2014年11月
濱口豊太
目次
開く
序章 日常生活活動・社会生活行為学を学ぶ皆さんへ
A.行為とは
B.作業療法の仕組み
第1章 日常生活活動・社会生活行為学概論
I ADLの基礎
A.社会生活行為学とは
B.ADLを支援するために
C.作業療法士がADLを支援するために
II ADL評価
A.ADLの評価分類・資料
B.作業療法士の視点
C.評価方法と記録方法
III ADLの治療理論
A.運動理論
B.学習理論
C.生活における活動の定着
第2章 日常生活活動の障害領域別の支援
I 身体機能のADL・APDL
脳血管障害のADL・APDL
1 起居・移動
A.脳血管障害の起居・移動
B.評価と支援-総論
C.観察・動作練習・学習の要点
D.事例演習
2 食事
A.食事行為と機能障害
B.食事の評価
C.食事訓練,支援
D.脳血管障害者(片麻痺,仮性球麻痺)に対する食事訓練
3 整容
A.評価
B.支援
C.事例演習
4 更衣
A.評価
B.更衣練習
C.事例演習
5 排泄
A.評価
B.支援
C.事例演習
6 入浴
A.入浴の目的
B.入浴にかかわる要素
C.入浴の評価
D.入浴活動の支援(練習の内容)
E.入浴環境の調整
F.事例演習
7 睡眠・栄養・運動
A.睡眠
B.栄養
C.運動とエネルギー代謝
8 炊事
A.評価
B.支援
C.事例演習
9 掃除
A.掃除の意義
B.評価
C.掃除に必要な基礎能力
D.練習
10 買い物・経済管理
A.作業療法の評価
B.支援
C.事例演習
運動器障害・整形外科疾患のADL
A.病期によるADLのポイント
B.上肢関節の機能的役割
C.ADLにおける修復組織別の注意点
D.脊髄損傷
・脊髄損傷の概要
・支援(SCI起居・移動各論)
II 精神機能のADL
A.統合失調症
B.大うつ病性障害
C.アルコール使用障害
III 発達過程のADL
A.発達過程における障害の特徴および医学管理
B.評価
C.治療・支援
第3章 補装具・福祉用具・住環境
I 装具と補装具
A.補装具とは
B.補装具の公的給付
C.装具とは
D.体幹装具
E.上肢装具
F.下肢装具
II 福祉用具
A.福祉用具の公的給付(補装具を除く)
B.福祉用具の種類
C.ADLで用いる福祉用具
III 住宅環境
A.住宅改修の考え方
B.住宅改修の職種間連携
C.住宅改修の基本的な配慮
第4章 社会生活行為の支援
I 教育
A.評価
B.支援
C.補装具と福祉機器
D.参加と体験
II 就労
A.作業療法と就労支援
B.就労支援のための評価
C.就労支援のしかた
D.事例演習1
E.事例演習2
III コミュニティ,遊び
A.社会生活機能とコミュニティ・ケア
B.遊び,趣味,余暇活動の多様性
C.遊びと作業療法
D.作業療法の視点
E.身体機能と遊び
F.社会心理機能
日常生活活動・社会生活行為学の発展に向けて
さらに深く学ぶために
索引
A.行為とは
B.作業療法の仕組み
第1章 日常生活活動・社会生活行為学概論
I ADLの基礎
A.社会生活行為学とは
B.ADLを支援するために
C.作業療法士がADLを支援するために
II ADL評価
A.ADLの評価分類・資料
B.作業療法士の視点
C.評価方法と記録方法
III ADLの治療理論
A.運動理論
B.学習理論
C.生活における活動の定着
第2章 日常生活活動の障害領域別の支援
I 身体機能のADL・APDL
脳血管障害のADL・APDL
1 起居・移動
A.脳血管障害の起居・移動
B.評価と支援-総論
C.観察・動作練習・学習の要点
D.事例演習
2 食事
A.食事行為と機能障害
B.食事の評価
C.食事訓練,支援
D.脳血管障害者(片麻痺,仮性球麻痺)に対する食事訓練
3 整容
A.評価
B.支援
C.事例演習
4 更衣
A.評価
B.更衣練習
C.事例演習
5 排泄
A.評価
B.支援
C.事例演習
6 入浴
A.入浴の目的
B.入浴にかかわる要素
C.入浴の評価
D.入浴活動の支援(練習の内容)
E.入浴環境の調整
F.事例演習
7 睡眠・栄養・運動
A.睡眠
B.栄養
C.運動とエネルギー代謝
8 炊事
A.評価
B.支援
C.事例演習
9 掃除
A.掃除の意義
B.評価
C.掃除に必要な基礎能力
D.練習
10 買い物・経済管理
A.作業療法の評価
B.支援
C.事例演習
運動器障害・整形外科疾患のADL
A.病期によるADLのポイント
B.上肢関節の機能的役割
C.ADLにおける修復組織別の注意点
D.脊髄損傷
・脊髄損傷の概要
・支援(SCI起居・移動各論)
II 精神機能のADL
A.統合失調症
B.大うつ病性障害
C.アルコール使用障害
III 発達過程のADL
A.発達過程における障害の特徴および医学管理
B.評価
C.治療・支援
第3章 補装具・福祉用具・住環境
I 装具と補装具
A.補装具とは
B.補装具の公的給付
C.装具とは
D.体幹装具
E.上肢装具
F.下肢装具
II 福祉用具
A.福祉用具の公的給付(補装具を除く)
B.福祉用具の種類
C.ADLで用いる福祉用具
III 住宅環境
A.住宅改修の考え方
B.住宅改修の職種間連携
C.住宅改修の基本的な配慮
第4章 社会生活行為の支援
I 教育
A.評価
B.支援
C.補装具と福祉機器
D.参加と体験
II 就労
A.作業療法と就労支援
B.就労支援のための評価
C.就労支援のしかた
D.事例演習1
E.事例演習2
III コミュニティ,遊び
A.社会生活機能とコミュニティ・ケア
B.遊び,趣味,余暇活動の多様性
C.遊びと作業療法
D.作業療法の視点
E.身体機能と遊び
F.社会心理機能
日常生活活動・社会生活行為学の発展に向けて
さらに深く学ぶために
索引
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。