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看護研究のための文献レビュー
マトリックス方式

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学術的資料の集め方だけを知っていても文献レビューはできない。学術的資料の分析や評価の方法もわかっていないと、本当の文献レビューとは言えない。本書は、文献レビューにあたり膨大な学術的資料をどのように整理するのか、その整理法から集めた資料の分析や評価まで、文献レビューの基本について解説。
Judith Garrard
安部 陽子
発行 2012年06月判型:B5頁:176
ISBN 978-4-260-01511-0
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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訳者の序まえがき日本語版によせて

訳者の序
 質の高い研究を行うためには,その研究に関連する文献の徹底的なレビューが必要である。どの学問領域においても,そこで出版された研究論文の質には個々の差がある。そのため,研究論文の消費者である読者には,論文に書かれた情報をうのみにするのではなく,それを批判的に評価する能力が求められる。さらに,研究を実施し論文を執筆する研究者には,他者の研究論文を評価する能力とともに,自分の研究と関連する研究の中で,すでに調査されたことと,まだ調査されていないことおよび解決されていないことを判別する能力が求められる。なぜなら,研究の目的である知識の蓄積に寄与するためには,(もちろん既存の研究結果の確認が必要な場合を除いて)過去に実施された研究をただ繰り返すのではなく,すでに調査されたことに基づきつつも,まだ調査されていないことや解決されていないこと,つまり,知識のギャップに焦点を当てた研究を実施する必要があるからだ。知識のギャップに焦点を当てた,質の高い研究を計画するためには,自分の研究と関連する研究の論文に精通している必要がある。したがって文献レビューが不可欠になる。
 本書は,特に保健科学分野の初学者のための,実践的な文献レビューのガイドである。訳者が原書の初版と出会ったのは,ミネソタ大学看護学部(University of Minnesota School of Nursing)の博士課程で,研究の焦点を絞るために大量の文献と悪戦苦闘していたときであった。マトリックス方式の説明にもあるとおり,Microsoft社Excelの集計表(Sheet)を使い,横列に文献を並べていき,縦列ごとに研究の目的や対象といった,それぞれの文献の内容をまとめたところ,作業に時間はかかったが,大量の情報を整理することが可能になり,今まで行われた研究の全体像を把握すること,そして,これから自分が行う研究の焦点となりうる知識のギャップを明確にすることが容易になった。初版で印刷形式であったマトリックス方式は,第3版で電子形式になった。そして初版では大きめであった文字のサイズが情報量の増加とともに第3版では小さくなった。しかし,原書が,文献の検索からレビューの執筆までを網羅した,保健科学分野における文献レビューの基礎的かつ実用的なガイドであることは変わっていない。とりわけ,文献内容の整理方法の有用性は不変である。
 原書は保健科学分野全般の読者を対象に執筆されたが,日本語版を出版するにあたっては主に看護分野の読者を想定して翻訳した。訳者が日本に帰国してから,看護分野で研究を行っている人々に文献レビューの方法を講義する機会があり,そこで原書を紹介したところ,これらの人々からの評判がよく,日本語版に関する質問が殺到した。過去数十年の間に,日本の看護系大学および大学院の数は急増した。その結果,看護分野における研究者の数や,これらの研究者によって生み出される看護研究の件数も増加している。しかし,現在,文献レビューの基礎的かつ実践的な方法に関する日本語の成書は少ない。したがって,もしこの原著が翻訳されれば,より多くの人々の,特に看護分野で新しく研究者になる人々の役に立つのではないかと思った。このことから,日本語版が誕生することになった。
 原書は英語で執筆されているため,本書には日本語で検索できる電子文献目録データベース等に関する記述がない。たとえば,日本国内にも,科学技術全分野の国内外の文献情報を検索できるJDream II,国内の学術論文情報を検索できるCiNii,保健科学分野に関係した雑誌記事が検索できる医学中央雑誌,看護の実践,研究,教育に関するデータベースである最新看護索引のような電子文献目録データベースが存在する。残念ながら,本書ではこれらについての説明はされていない。しかし,これらのデータベースと,MEDLINEをはじめとする英語の電子文献目録データベースの使用法に大きな差はないと考えている。また,看護の分野では,英語圏の学術雑誌へのアジア諸国からの投稿が増えているが,日本からの投稿はあまり増えていないといわれている。これらの学術雑誌に投稿する際には,英語の文献を検索しレビューすることが不可欠であると思われることから,本書の内容を活かしていただけるとうれしい。
 電子形式となったマトリックス方式に関する,読者への助言が2つある。コンピュータ操作が苦手な読者は,インデックスシートなどの中仕切りを用いてバインダーを4区域に分け,それぞれの区域をペーパー・トレイル等4つのフォルダの代用とされるとよい。これは以前使用されていた紙形式のマトリックス方式である。それから,MacではなくWindowsを使用している読者は,ダウンロードした論文のPDFファイルに付箋を添付する機能やファイル名に着色する機能をもつ無料のソフトウェアがあるようなので,試してみられるとよいかもしれない。参考文献管理ソフトウェアEndNoteの最新版にも,PDFに付箋を添付する機能が装備されているようである。
 最後に,実践的な文献レビューのガイドである原著を執筆され,よりよい内容にするために改訂を重ねられたJudith Garrard博士に敬意を表する。加えて,遅々として進まず,何度も中断する翻訳の過程を,温かくまた辛抱強く支えてくださった医学書院の藤居尚子氏,そして,校正でお世話になった川口純子氏にここで厚くお礼を申し上げる。

 2012年5月
 安部 陽子


まえがき
 本書の第3版には,以下のことを含めてかなりの修正が施された。
電子ベース方式;ハードコピー方式(リング式ファイルや紙ベースの集計表を使うもの)から完全に電子ベース方式(コンピュータフォルダやサブフォルダを含むもの)へと,方法を変換した。そのような電子ファイルを準備するための手引きとして役立つ新しい付録を付け,このような電子ベースへの移行を説明しているすべての章に,情報を織り込んでいる。
アメリカにおける全国レベルの変化;この第3版では,米国立医学図書館の構造基盤において急速に変化している技術革新や,これらの変化が保健科学分野の文献レビュー方法にもたらす影響について説明している。
分野における変化;文献レビューについて説明をするためにさまざまな用語を紹介している。そのような用語について,またそれらと本書で説明している種類の文献レビューがどのように比較されるかについて説明している。

 本書の目的,範囲,強調点は第3版でも変わりはない。それらは依然として,以下のとおりである。
目的;本書の目的は,文献を,特に保健科学分野の科学的文献を,レビューするための実践的かつ実用的な方法を説明することである。本書の主な対象は引き続き,文献レビューの実施方法について実践的,段階的な一連の指導が必要な,大学院または専門職の学生である。それが,基本的な目的である。
範囲;本書の範囲は,入学したばかりの学生から職場で働いている医療従事者にまで及ぶ。文献レビューを行うための方法論は,公衆衛生学,看護学,歯学,医学,薬学,獣医学,関連する保健科学分野を含めた,すべての主要な医療職に適用される。
強調点;本書での強調点は実践的な適用にある。私たちの目標は,実際に文献レビューを行うための方法,総括を準備するための方法であったし,引き続きそうであり続ける。


日本語版によせて
 私の著書『看護研究のための文献レビュー-マトリックス方式』(Health Sciences Literature Review Made Easy : The Matrix Method 3rd ed.)が日本語で学生や医療従事者の方々に読んでもらえることになり,大変喜んでいる。私が本書を執筆したときの目的はきわめて控えめなものであり,私の学生が文献レビューの方法を理解することを助けるというものであった。今,本書は一人歩きを始め,ほかの教授陣の学生にも役立っているようだ。この日本語版の出版により,本書は国際的になった。本書が多くの人々から読まれ,楽しまれ,学んでもらえることを祈っている。それを可能にした安部陽子氏に感謝する。

 米国ミネソタ州ミネアポリス
 ミネソタ大学公衆衛生学部
 保健医療政策・管理分野 教授
 ジュディス・ガラード

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 訳者の序
 まえがき
 感謝のことば
 献呈のことば
 日本語版によせて

第1部 文献レビューの基礎
 第1章 文献レビューおよび本書の概要
  文献のレビュー
  インデックスカードの時代を超えて
  文献を自分のものにするには
  研究の総括:歴史的視点
  マトリックス方式:定義と概要
  レビュー・マトリックス:用途の広い道具
  各章と付録の概要
  参考となるウェブサイト
  キャロラインの冒険旅行:過程を理解する
 第2章 基本的な概念
  基礎資料の定義
  基礎資料の種類
  科学論文の解剖学:典型的な研究論文の中から必要なことを見つける方法
  研究方法をレビューするためのガイドライン
  キャロラインの冒険旅行:概念を学ぶ

第2部 マトリックス方式
 第3章 ペーパー・トレイル-文献検索の計画方法と実施方法
  ペーパー・トレイルとは
  ペーパー・トレイルの作り方
  基礎資料の見つけ方:ペーパー・トレイルの作成と使用
  基礎資料を探すコツ
  キャロラインの冒険旅行:検索を管理する
 第4章 文書フォルダ-文献レビュー用文書の選択方法と整理方法
  文献レビュー用文書の選び方
  文書フォルダとは
  文書フォルダの整理のしかた
  文書の保管場所を覚えておく方法
  キャロラインの冒険旅行:文書フォルダをまとめる
 第5章 レビュー・マトリックス-研究文献の要約方法
  レビュー・マトリックスとは
  レビュー・マトリックスの作り方
  レビュー・マトリックス用文書の準備のしかた
  レビュー・マトリックス用列トピックの選び方
  レビュー・マトリックス内での文書要約のしかた
  要約過程で得る二次的利益
  キャロラインの冒険旅行:レビュー・マトリックスを作成する
 第6章 総括-総括の記述のためのレビュー・マトリックスの使用方法
  総括とは
  総括を書くためのレビュー・マトリックスの使い方
  キャロラインの冒険旅行:総括を書く

第3部 マトリックス方式の活用
 第7章 文献レビュー基本フォルダのライブラリ
  文献レビュー基本フォルダのライブラリとは
  文献レビュー基本フォルダのライブラリの作り方
  文献レビュー基本フォルダのライブラリの使い方
  文献レビュー基本フォルダの最大限の活用
  キャロラインの冒険旅行:文献レビュー基本フォルダのライブラリを構築する
 第8章 マトリックス索引システム
  マトリックス索引システムとは
  マトリックス索引システムの始め方
  文書フォルダの増やし方
  効率的な文献レビューの更新方法
  キャロラインの冒険旅行:マトリックス索引システムを使う
 第9章 保健科学分野の専門家によるマトリックス・アプリケーション
  マトリックス・アプリケーションとは
  研究プロジェクトでのマトリックス・アプリケーションの使用方法
  メタ分析でのマトリックス・アプリケーションの使用方法
  実践ガイドラインでのマトリックス・アプリケーションの使用方法
  EBMでのマトリックス・アプリケーションの使用方法
  キャロラインの冒険旅行:科学分野以外でマトリックス・アプリケーションを使用する

 付録A 文献検索に役立つ情報源
 付録B マトリックス方式のためのコンピュータ・フォルダの構造

 索引

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文献レビュー「マトリックス」空間で創造的な論文を作成 (雑誌『看護研究』より)
書評者: 石原 逸子 (神戸市看護大学教授)
 筆者は,総説や研究論文の執筆,科学研究費の申請時に,当初集めておいた文献リストから必要な論文を探し出すのに戸惑うことが多い。また,文献リストを前にして,上手に分類化しいつでも使えるようにしたいと願ってはいるが,文献をまとめるために時間を割きたくないとも思っている。しかし,この本を読み進んでいくうちに,このような考えは間違いであることに気づかされ,また,いい論文を書くためには文献レビューのプロセスこそ省略してはならないという認識を新たにした。

 書籍の中で,著者のGarrard氏は,「大学院を含めてどの段階の教育プログラムにおいても,文献レビューの体系的な整理方法と実施方法についての正式な授業はほとんどされていない」(p. 5)ことを指摘している。確かに,日本の教育機関においても実態は同様である。本書は,この点について電子ベース方式で科学文献をレビューする方法を手ほどきしてくれる。具体的には,マトリックス方式として4つの文献レビュー基本ホルダーを活用し,特定のテーマに関する学術的な資料を読み,分析し,総括を書くことで文献レビューを完成される方法である。これらの基本ホルダーは,以下のように構成されている。(1)ペーパー・トレイル・ホルダー(どのようにして文献を検索したのかのメモ書きと場所記載),(2)文書ホルダー(レビューに必要な文書をコピーやPDFファイルとして保管する),(3)レビュー・マトリックス・ホルダー((2)の文書を要約し集計表に必要な情報を記載する),(4)総括ホルダー(文献レビューをまとめ執筆)

 実際,マトリックス方式による4つの文献ホルダーと説明されても,実行に移してみないと理解することは難しいかもしれない。したがって,本書の9つの章には,「キャロラインの冒険旅行」として大学院生キャロライン・コリンズの修士論文の作成プロセスを紹介し,文献レビューにマトリックス方式をいかに活用していくかを,キャロラインの体験と,指導教授であるディカーソン教授との会話を通じてよりわかりやすく解説している。知的な探求に勇気と決意がいかに必要かを,キャロラインの経験を通じて読者は知ることになる。

 この本が与えてくれるもう1つのメリットは,文献を自分のものにすることの意味を教えてくれる点である。つまり,読者は,一連のマトリックス方式のプロセスを介して,書こうとしている特定のテーマは,誰が最初に定義しどのような方法で研究され,このテーマに関する知見はどの程度積み重ねられ知的体系化されているのか,また何がいまだに調査されていないのかなどを把握でき,自分が取り組もうとしている研究内容やテーマに精通できる。このことは,優れた論文を書くための文献レビューマトリックス方式をつくりあげる最大のねらいでもある。

 本書は,日本語の翻訳の際に,看護分野の読者を想定して翻訳されており,特に看護系大学の大学院生や医療従事者の方々には,体系的な文献レビューへの取り組み方法について実践的で実用的な方法を示してくれる解説書でもある。原文の方法論は,保健科学分野の医療職に広く適用されるように書かれているため,公衆衛生学,歯学,医学,薬学等幅広い分野でも活用できる。

(『看護研究』2012年8月号掲載)
文献レビューを行うすべてのヘルスサイエンシスト必読の本
書評者: 中木 高夫 (天理医療大・共通基盤看護学)
◆マトリックス方式の進化

 「訳者の序」でも述べられているように,初めて訳者が接した原著の初版では,いわゆる「集計表」(この名前はアラカン世代の筆者も忘れていました)を用いた「マトリックス方式」でした。すなわち,縦軸に論文名,横軸には研究疑問や研究目的,研究方法(サンプリングや分析方法,統計処理方法)など論文から抽出すべき項目を配置した格子状の升目の中に,論文を精読(クリティーク)して必要事項を埋め,分析マップを作りあげる作業で,ずいぶん細かく,しかも大きな表になったと思います。

 この集計表は,英語ではspread sheetと呼ばれ,マイクロソフト社においてはExcelへと進化したものの原型です。原著も版を重ねるごとに電子化の波を反映し,本訳書の原著である第3版ではEndNoteやRefWorksなどの文献管理ソフトも紹介されています。しかし,基本原理が集計表を使ったマトリックスであることは揺るぎがありません。

◆文献をクリティークする(自分のものにする)ということは?

 文献レビュー(文献検討)は,研究の最初の相,すなわち概念相の主要な部分となるものです。研究動機から研究疑問,研究課題へとテーマが絞り込まれ,そのテーマに関する研究の現況を分析して提示するのが文献レビューです。本書はヘルスサイエンスの研究者を対象にしているので,レビューの情報源が紙に印刷された書籍と学術雑誌の範囲に収まるものではなく,インターネットを介して入手可能な国内外の会議の記録,電子メール,個人や団体・機関のブログ,ツイッター・フェイスブック・種々のWikiなどのソーシャル・ネットワーク・システムなど,想像が追いつかない範囲にまで及んでいると述べています。となると,重要なのは各情報のクリティークで,クリティークの結果,信用に値すると判断された情報がマトリックスに展開されるのです。「信用に値する」ということを本書では「文献を自分のものにする」(p.6-7)ためにすることを述べています。この部分は重要ですので,少し抜き書きしてみましょう。

主要な見解,研究されてきたこと,著者の名前と専門家としての所属,誰と誰とが協力しているか,使用された(または使用されなかった)データベース,研究の方法論的長所と短所,繰り返し研究されていること,そして特に欠けていることについて,知っていなければならない

以前の研究者によって書かれたものに精通しているということであり,その研究範囲が時間や見解を経てどのように発展したかを明確に理解しているということである

一連の知識がどのように発展したのか,それが現在どういったことを包含しているのか,そして何がまだ調査されていないのかについて熟知しているということである

各部分を細かく調べ,著者が行ったことや言ったことに,あなたが同意するかどうかを決めることである

研究の基礎として使われた概念モデルについて学び,どの仮説が実際に試されたのか,誰がその見解を提案したのか,誰が最初の調査研究を行ったのか,推論しなければならない

 そして,このようにして,信用に値すると見抜いた多くの文献を自分のものにすると,それらの文献がある特徴からいくつかのグループに分かれ,時代の経過とともにある方向に進化し,いくつかのカテゴリーの結論を示していることがわかってきます。つまり,自分が研究しようとするテーマの過去から現在という時間軸と個々の論文を構成する詳細な内容の地図がマトリックスのうえに描かれるのです。

◆文献レビューについて書かれた本は?

 文献レビュー(文献検討)が,研究論文の最初の概念相で最重要な部分であるからには,さぞかしさまざまな解説書やノウハウ書があると思うのですが,日本では本書以外1冊もないようです。ちなみに,アメリカでは14冊見つかりました。したがって,本書が出版されるまでは研究に関する一般的な解説本のなかで文献レビューについて書かれた10数頁しか頼るところはなかったわけです。日本の看護研究論文の概念相が薄かったのも,仕方がなかったのかもしれません1)

 文献レビューそのものは本書によると(p.5)以下の4つの基礎的な作業から成り立っています。なお,カッコ内は筆者のコメントです。

1.レビューする文書を決める(これは医中誌WebやCINAHLなど,文献検索データベースが充実していて,かつて梅棹忠夫の『知的生産の技術』で一世を風靡〈ふうび〉した「京大式カード」がかすんで見えるくらいである)

2.これらの文書で著者が述べていることを読み取り,理解する

3.個々の出版物について,意図や研究方法,結果を評価する(個々の出版物というのは,文献や書籍のことで,研究論文の検索が簡単になったため,最近は書籍を忘れることが多い。そして,ここでマトリックス方式がものを言うのである)

4.これらの資料について,内容と批評的な分析の両方を含んだ総括を書く(Excelなどを利用したマトリックス方式だと,同類に色付けをすると,特徴的なパターンが浮かび上がってくる)

 繰り返しますが,本書は文献レビューに関する日本でただ1つしかない本です(と思います)。ここで紹介した部分はほんのわずかであり,これに続いて,では具体的にどうやるのかということが詳細に説明されています。

 本書は,看護に限らず,文献レビューを行うすべてのヘルスサイエンシスト必読の本であるといえるでしょう。

●文献
1)谷津裕子,中木高夫.看護系論文の執筆スタイルの現状と展望――看護研究の普及を支えるために研究者と研究指導者,看護系学会ができること.看護研究.2012; 45(2): 113-137. http://medicalfinder.jp/ejournal/1681100631.html

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