ウエルネスからみた
母性看護過程 第2版
+病態関連図

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妊娠期・分娩期・産褥期・新生児期ごとに、「正常経過とアセスメント」「異常とケア」の2部構成。第2版では、正常経過にみられるマイナートラブルについて、ウエルネスの視点からみた看護診断リストを新たに掲載。各疾患の情報を全面的にup to dateし、妊娠・出産に特有の病態生理から臨床までをイラストや図表をふんだんに使って解説。疾患・異常別の看護過程は、正常からの逸脱という視点から展開。内容充実の1冊。
シリーズ からみた看護過程
編集 佐世 正勝 / 石村 由利子
発行 2012年09月判型:A5頁:1024
ISBN 978-4-260-01563-9
定価 4,180円 (本体3,800円+税)
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はじめに

 本書は看護学生の方々の学習の一助となるようにと願って,2009年3月に初版が発行されました.以来,企画の意図を超えて,看護学生のみならず,助産師学生や臨床の看護師,助産師の方々に活用していただいてきました.
 初版から3年余の短い間にも,産科学の領域では多くのエビデンスが集積され,臨床の場に新しい考え方や治療法が導入されてきました.母性看護学および助産学の実践・研究分野にもそれらが反映されると同時に,少子化の時代に即したケアのあり方を考え,世代が伝承されることの意味をしっかり捉えてかかわっていく必要性がより強く求められています.
 今回の改訂では,疾患解説のほぼ全項目について,最新情報へと刷新しました.また,新たに「産科に必要な薬の知識」と「妊娠中の主な禁忌薬」を付録に加え,妊産褥婦の特性に即した薬物の使い方,胎児毒性や催奇形性への理解を深められるようになっています.
 看護過程解説では,正常な経過をたどる事例での看護診断のリストを加えたことと,妊娠期から新生児期にいたるまで,より正確で実践的な記述に改めたことが大きな変更点です.疾患に関する基本的な考え方,アセスメントの視点や根拠を充実させることで,初学者でも疾患のイメージをつかみやすく,また,関連する事項を整理できる記述になっています.
 本書では,初版と同様に,まず医学的な立場から妊娠・分娩・産褥・新生児期における正常な経過について解説し,基本的な知識をもてるようにしています.次いで,各時期のアセスメントでは,生理的変化が理解でき,正常な状態であるか,時期に相応した経過をたどっているかを確認できるように基礎的な知識の解説をしています.対象が健康なレベルにある,あるいは経過観察をしてよいと判断することは,時としてたいへん勇気がいることであり,十分な知識なくしては難しいことです.手順に沿って観察していくことで,対象の健康レベルが判断できるようになっています.また,正常な経過をたどる事例の看護診断リストを加えたことで,母性看護実習で受け持つ,いわゆるローリスクの対象の看護過程を考える際の参考にしていただけると考えています.ここにあげた例を参考に,ウエルネスの視点で考えていけば,対象が望ましい方向に健康行動を強化するために必要な支援,看護介入を決定していくことができると思います.
 一方,妊娠・分娩経過はいつ正常から逸脱するかわからない危険性をはらむものであり,異常の予防,早期発見,適切なケアが求められます.代表的な疾患に対して,それぞれの病態,管理方針を説明した後,初版と同様に「問題解決型思考」の手法を用いて,情報の収集・分析から健康問題を明確化し,看護目標を設定して問題解決に導く過程をたどることができるように記述しています.看護過程フローチャートで思考過程を概観したのち,情報収集とアセスメントのポイント→看護問題・看護診断→看護目標・看護成果→看護活動・看護介入→評価の順に解説を加え,看護介入を導き出した根拠を明確にするように努めています.
 また,今回の改訂では,看護診断名は『NANDA-I 看護診断-定義と分類 2012-2014』の定義に従って記述し,これから看護診断を学ぶ方々にも混乱がないようにしました.
 母性看護学では,現世代を通して次世代の健康を考える視点が重要です.目の前にいる対象への働きかけと同時に次世代を見すえたケアが必要であり,とくに周産期の看護は,個人の健康を考える視点だけでなく,ユニットとしての母児,世代間伝達,家族へのかかわり,生活の場としての地域社会に目を向けることが求められます.対象を個人として観察し,特徴を把握することのみならず,複数の対象間の関係性や外的刺激の与える影響,母児の時間軸の相違を整理しなければならないことが,母性看護の対象理解を難しくさせている一因であろうと思います.しかし,基本的な観察ポイントを丁寧に見ていくことで,問題解決への示唆が得られるはずです.これから母性看護を学ぼうとしている多くの方々に,さらには卒業後の復習や臨床でふと疑問を感じたときに,本書が役に立つことを願っています.
 最後になりましたが,改訂にあたり,熱意をもって支え続けてくださいました医学書院編集者の方々に深謝申し上げます.

 2012年7月
 編著者を代表して 石村由利子

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 はじめに
 本書の構成と使い方

第1章 妊娠期
 1.妊娠の正常経過とアセスメント
  1 妊娠の正常経過
  2 妊娠期のアセスメント
 2.妊娠期の異常とケア
  3 妊娠悪阻
  4 異所性妊娠
  5 流産
  6 切迫流産
  7 妊娠高血圧症候群
  8 切迫早産・早産
  9 前期破水
  10 前置胎盤
  11 多胎妊娠
  12 常位胎盤早期剥離
  13 羊水過多症
  14 羊水過少症
  15 過期妊娠・過期産
  16 胎児発育不全(FGR)
  17 血液型不適合妊娠
  18 心疾患合併妊娠
  19 腎疾患合併妊娠
  20 糖尿病合併妊娠
  21 喘息合併妊娠
  22 自己免疫疾患合併妊娠
第2章 分娩期
 1.分娩の正常経過とアセスメント
  23 分娩の正常経過
  24 分娩期のアセスメント
 2.分娩期の異常とケア
  25 児頭骨盤不均衡(CPD)
  26 骨盤位・横位
  27 微弱陣痛
  28 遷延分娩
  29 胎児機能不全
  30 胎盤剥離異常(癒着胎盤)
  31 産科出血・産科ショック・DIC
  32 分娩損傷
  33 帝王切開
  34 吸引分娩術・鉗子分娩術
第3章 産褥期
 1.産褥の正常経過とアセスメント
  35 産褥の正常経過
  36 産褥期のアセスメント
 2.産褥期の異常とケア
  37 子宮復古不全
  38 子癇
  39 産褥熱・産褥感染症
  40 乳腺炎
  41 乳汁分泌不全
  42 妊娠高血圧症候群(産褥期)
  43 マタニティブルーズ
  44 死産
第4章 新生児期
 1.新生児の生理とアセスメント
  45 新生児の生理
  46 新生児のアセスメント
 2.新生児の異常とケア
  47 新生児仮死
  48 低出生体重児
  49 初期嘔吐
  50 哺乳障害
  51 体重増加不良
  52 黄疸
  53 分娩外傷
  54 口唇口蓋裂・ダウン症候群

 付録
 看護診断名索引
 索引

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